↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
乙女ゲームの退学予定モブ、改造魔法で最強の魔導機甲を造る!  作者: ジャクロの精霊


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
32/38

第32話 八歳になった元メイドの新生活!? 天才少年と三人の少女、元に戻る方法を探します!

翌朝。


 ヴァイス男爵家の食堂には、何とも言えない空気が漂っていた。


 いつもなら、マルタが朝食の準備を確認し、使用人たちへ指示を出している時間だ。


 しかし、今日は違う。


 長い食卓の端に、小さな少女が一人座っていた。


 栗色の髪。


 落ち着いた茶色の瞳。


 白いブラウスに、濃紺の膝丈スカート。


 髪には、昨日と同じ銀色の髪留めがついている。


 服はアンナとベラが夜のうちに探してくれたものだった。以前、屋敷で預かっていた子供用の衣服を仕立て直したらしい。


 見た目だけなら、どこにでもいる八歳くらいの女の子だ。


 だが。


「レオンハルト様。パンをお取りいたしましょうか?」


「……いや、マルタ。自分で取れるよ」


「そうですか。では、お茶のお代わりを――」


「マルタ」


 母上が静かに声をかけた。


「はい、奥様」


「あなたは今、食事をする側でしょう?」


「……あ」


 少女になったマルタは、手にしていたティーポットを見下ろした。


 そして、ゆっくりと食卓へ戻した。


「……失礼いたしました」


 母上は困ったように微笑んだ。


「謝らなくていいのよ。昨日から何度も言っているでしょう?」


「……はい」


 マルタは小さく頷いた。


 俺は、その様子を見つめながらパンをかじった。


 ……まだ慣れないな。


 昨日まで大人だった人が、突然俺と同じくらいの年齢になってしまった。


 しかも、話し方も性格も、以前のままだ。


 見た目と中身が、まったく一致していない。


 リナは隣で、じっとマルタを見つめていた。


「……なあ、マルタ」


「何でしょう、リナ様?」


「本当に、あたしたちと同じくらいなんだな」


「……見た目だけですが」


「じゃあ、走る速さも同じくらいなのか?」


「……それは、試しておりません」


 リナの狐耳がぴんと立った。


「じゃあ、あとで競争しようぜ!」


「リナ」


 俺が声をかける。


「マルタは昨日、大変だったんだから」


「……あ」


 リナは少し考えたあと、耳を伏せた。


「……そっか。ごめん」


 マルタは穏やかに微笑んだ。


「お気になさらないでください。元気になりましたら、体力の確認も必要でしょう」


「……本当か!?」


「ただし、競争ではなく、安全な歩行訓練から始めます」


「……えーっ!」


 リナが不満そうに声を上げた。


 その様子に、エリスがくすくす笑った。


「……マルタ、やっぱりマルタだね……」


「……そうでしょうか?」


「……うん」


 エリスは嬉しそうに頷いた。


「……昨日は、少し心配だったから……」


 マルタの表情が柔らかくなった。


「……ありがとうございます、エリス様」


 俺は三人を見ながら、小さく息を吐いた。


 ……うん。


 見た目は変わっても、マルタはマルタだ。


 それだけは、間違いない。


     ◇


 朝食後。


 父上は、俺たちを小さな応接室へ集めた。


 部屋には、父上と母上、マルタ、そして俺、リナ、エリスがいる。


 机の上には、昨日マルタが持ち帰った荷物が並べられていた。


 革の小物入れ。


 市場で買った焼き菓子。


 小さな髪飾り。


 そして、濡れた青いワンピース。


 父上は腕を組んだ。


「……まず、昨日の出来事を整理しよう」


 マルタが頷いた。


「はい、旦那様」


「マルタ。もう一度、庭園で起きたことを説明してくれ」


「承知いたしました」


 マルタは椅子に座り直した。


 小さな体では、足が床に届かない。


 それを見て、彼女は少しだけ眉を寄せた。


 ……気になるんだろうな。


 俺はそう思った。


 マルタは静かに話し始めた。


「昨日、町で買い物を済ませたあと、昔よく通った道を散歩しておりました」


 父上は頷いた。


「それから?」


「林の奥で、古い石造りの庭園を見つけました。中央には噴水があり、そこに古い文字が刻まれていたのです」


「……文字?」


 俺は思わず身を乗り出した。


「どんな文字だったの?」


 マルタは少し考えた。


「……正確には覚えておりません。ただ、『失われし』や『時』という言葉が読めたように思います」


 ……失われし、時。


 俺は眉を寄せた。


 何だろう。


 古代魔法?


 それとも、何かの儀式に使われていた場所なのか?


 父上が続けた。


「それで、噴水へ落ちたのだな」


「……はい」


 マルタは少しだけ頬を赤らめた。


「苔で足を滑らせまして……」


 リナが口元を押さえた。


「……ぷっ」


「リナ」


 俺が小声で注意する。


「……わ、笑ってないぞ!」


 ……いや、笑ってたよね。


 マルタは苦笑した。


「お気になさらないでください。私の不注意です」


 そして、表情を引き締めた。


「水の中で、青い魔導陣のようなものが光りました。その直後、体が軽くなり……気づいたときには、この姿になっておりました」


 父上はしばらく黙っていた。


 そして、ゆっくりと息を吐いた。


「……なるほど」


 母上がマルタを見つめた。


「痛みはなかったの?」


「はい。痛みはありませんでした」


「気分が悪くなったり、記憶が曖昧になったりは?」


「それもございません」


 マルタは頷いた。


「ただ、体の感覚が大きく変わりました。歩幅も、筋力も、以前とは違います」


 俺は小さく頷いた。


 ……そりゃそうだ。


 大人の体から、八歳くらいの体になったんだから。


 でも。


 俺には、もう一つ気になることがあった。


「……マルタ」


「はい?」


「魔力はどう?」


 マルタが目を瞬かせた。


「……魔力、ですか?」


「うん。以前と同じように使える?」


 マルタは少し考えた。


「……昨日は、確認しておりません」


 父上がすぐに口を開いた。


「それについては、医師と魔導師に調べてもらう」


 俺は頷いた。


「……はい」


 父上は真剣な表情になった。


「原因が分からない以上、無理な実験はしない。特に、あの噴水へ再び入ることは禁止だ」


「……分かりました」


 俺は素直に答えた。


 ……正直、調べたい。


 でも、危険な魔法かもしれない。


 マルタが子供になった理由も分からないのに、安易に近づくべきじゃない。


 それは、これまで何度も学んできたことだった。


     ◇


 昼前。


 屋敷へ、領内の医師と魔導師が訪れた。


 医師は、白髪交じりの穏やかな男性だった。


 魔導師は、青いローブを着た中年の女性。


 二人とも、父上から事情を聞いているらしい。


 しかし、実際にマルタを見ると、驚きを隠せなかった。


「……本当に、あのマルタさんなのですか?」


 医師が尋ねた。


 マルタは丁寧に頭を下げた。


「はい。ご無沙汰しております」


「……いやはや」


 医師は困惑したように眼鏡を直した。


「長年診てきましたが、このような例は初めてです」


 魔導師も眉を寄せた。


「……体の変化を伴う魔法は存在しますが、ここまで完全な若返りとなると……」


 父上が尋ねた。


「元に戻す方法はあるのか?」


 魔導師は少し考えた。


「……今の段階では、何とも申し上げられません」


 その言葉に、部屋が静かになった。


 マルタは表情を変えなかった。


 けれど、膝の上に置いた小さな手が、わずかに握られている。


 俺は、それに気づいた。


 ……怖いよな。


 当然だ。


 突然、体が変わってしまったんだから。


 しかも、元に戻れるかどうかも分からない。


 俺は何も言わず、彼女の隣に座った。


 医師は慎重に診察を進めた。


 脈拍。


 呼吸。


 目の反応。


 手足の動き。


 そして、体の成長状態。


 診察が終わると、医師は父上へ向き直った。


「……現在のところ、重大な異常は見られません」


 父上が息を吐いた。


「そうか」


「ただし、体は幼い子供の状態です。筋力や体力も、それに相応しいものになっています」


 マルタが頷いた。


「……承知しております」


 医師は続けた。


「今後しばらくは、無理な運動を避け、十分な食事と休息を取ることをおすすめします」


「はい」


 次に、魔導師が小さな水晶を取り出した。


 透明な球体の中には、淡い光が揺れている。


「では、魔力の状態を確認いたします」


 マルタは水晶へ手を伸ばした。


 小さな指が、表面に触れる。


 すると。


 ぽうっ。


 水晶が淡い青色に輝いた。


「……ふむ」


 魔導師は目を細めた。


「魔力の流れは安定しています」


 俺は少し安心した。


 ……よかった。


 でも、魔導師は続けた。


「ただし、以前の状態と比較する資料がありませんので、魔力量が変化したかどうかまでは判断できません」


 ……なるほど。


 今の状態が正常でも、以前と同じとは限らない。


 父上も頷いた。


「分かった。無理な魔法の使用は控えさせよう」


 魔導師は静かに答えた。


「それがよろしいかと」


     ◇


 診察が終わったあと。


 俺たちは、屋敷の庭にあるベンチへ集まっていた。


 秋の風が、木々の葉を揺らしている。


 マルタは小さなカップを両手で持ち、温かいお茶を飲んでいた。


 その姿は、どう見ても普通の女の子だ。


 ……でも。


「……レオンハルト様」


「ん?」


「何か、お考えですか?」


 俺は目を瞬かせた。


「……分かる?」


「はい。先ほどから、ずっと難しい顔をしていらっしゃいます」


 ……やっぱり、マルタだな。


 俺は苦笑した。


「……どうすれば元に戻せるかなって」


 マルタは少し黙った。


 そして、静かに言った。


「……ありがとうございます」


「え?」


「私のために、考えてくださっているのでしょう?」


「……うん」


 俺は頷いた。


「だって、マルタにはいつも助けてもらってるから」


 マルタは微笑んだ。


「……それが、私の仕事ですから」


「仕事だけじゃないよ」


 俺はすぐに答えた。


 マルタが目を瞬かせた。


「……え?」


「マルタは、俺たちの大切な人だから」


 俺は少し照れくさくなった。


 でも、続けた。


「だから、困ってるなら助けたいんだ」


 マルタはしばらく俺を見つめていた。


 そして、ゆっくりと目を伏せた。


「……そう、ですか」


 その声は、少しだけ震えていた。


 リナが隣から身を乗り出した。


「そうだぞ! マルタはあたしたちの先生だし!」


 エリスも頷いた。


「……いつも、優しくしてくれるもん……」


 マルタは二人を見た。


 そして、小さく笑った。


「……ありがとうございます」


 その笑顔は、いつもより少しだけ幼く見えた。


     ◇


 午後。


 俺は父上の許可を得て、工房で古い魔法の資料を調べていた。


 もちろん、マルタ本人を実験に使うつもりはない。


 まずは、噴水の仕組みについて情報を集めることにした。


「……アリア」


『はい、レオンハルト様』


「古代の魔法で、体の年齢を変えるものってある?」


『現在アクセス可能な記録には、該当する術式の詳細情報は存在しません』


「……そっか」


『ただし、古代魔導技術の記録には欠損が多く、存在しないと断定することはできません』


 俺は頷いた。


 ……そうだよな。


 アリアの記憶は、まだ完全じゃない。


 以前、北の鉱山で見つけたときも、古い記録の多くが破損していた。


 でも。


 それと今回の噴水が関係しているとは限らない。


 俺は紙に書き込んだ。


『現時点で、噴水と古代魔導技術の関係は不明』


 次に、マルタが覚えている文字を整理する。


『失われし』


『時』


 ……うーん。


 これだけじゃ、何も分からないな。


 俺は椅子にもたれかかった。


 すると、リナが机の上を覗き込んだ。


「……レオン」


「ん?」


「これ、何してるんだ?」


「マルタが見た文字を調べてるんだよ」


「……ふーん」


 リナは少し考えた。


「……だったら、もう一回見に行けばいいじゃん」


「……まあ、そうなんだけど」


 俺は頷いた。


「でも、危険な場所かもしれないからね」


 エリスが静かに言った。


「……遠くから、見るだけなら……?」


 俺は顔を上げた。


「……遠くから?」


「……うん。近づかないで、魔力の流れを調べるとか……」


 ……なるほど。


 確かに、直接噴水へ触れなければ、危険を減らせるかもしれない。


 でも、魔力がどの範囲まで影響するのか分からない。


 だから、まずは大人たちと相談する必要がある。


「……いい考えだね、エリス」


 俺は微笑んだ。


「父上に相談してみよう」


 エリスは嬉しそうに頷いた。


「……うん……!」


 リナも拳を握った。


「じゃあ、あたしも行く!」


「まだ決まってないよ」


「えーっ!」


 俺は苦笑した。


 ……本当に、元気だな。


     ◇


 夕方。


 父上は、俺たちの提案を聞いていた。


 机の上には、古い庭園の位置を示した地図が広げられている。


「……なるほど。噴水そのものを調べたいのか」


「はい」


 俺は頷いた。


「でも、直接触れるつもりはありません」


 父上は腕を組んだ。


「……それでも、危険はある」


「分かっています」


 俺は真剣に答えた。


「だから、まずは周囲の安全を確認してから、離れた場所で観測する方法を考えたいんです」


 父上はしばらく黙っていた。


 そして、ゆっくりと頷いた。


「……よし。まずは警備隊に庭園の位置を確認させよう」


「……ありがとうございます!」


「ただし、レオンハルトたちはまだ行かせない」


「……はい」


 俺は素直に頷いた。


 父上は続けた。


「現地の状況が分かってから、改めて判断する」


「分かりました」


 ……焦らない。


 無理をしない。


 それが、今の俺にできることだ。


     ◇


 その夜。


 マルタは、屋敷の客室で一人、鏡の前に立っていた。


 小さな少女の姿。


 栗色の髪。


 茶色の瞳。


 幼い顔立ち。


 何度見ても、慣れない。


「……本当に、変わってしまいましたね」


 彼女は小さく呟いた。


 鏡の中の少女も、同じように口を動かす。


 マルタは椅子へ腰を下ろした。


 そして、両手を見つめた。


 かつて、グランガードの操縦桿を握っていた手。


 重い装備を運び、魔導機甲の整備を手伝い、何度も人々を守ってきた手。


 今では、こんなにも小さい。


 ……これから、どうなるのでしょう。


 不安がないわけではなかった。


 元に戻れるのか。


 今までどおり働けるのか。


 魔導機甲に乗れるのか。


 そして、ヴァイス男爵家の役に立てるのか。


 考え始めると、きりがなかった。


 そのとき。


 コンコン。


 扉が叩かれた。


「……マルタ?」


 レオンハルトの声だった。


「……はい。どうぞ」


 扉が開き、小さな少年が顔を出した。


 銀色がかった淡い金髪。


 澄んだ青い瞳。


 いつもの寝間着姿だった。


 手には、小さな包みを持っている。


「……まだ起きてた?」


「はい。少し考え事をしておりました」


「……そっか」


 レオンハルトは部屋へ入った。


 そして、包みを差し出した。


「……これ」


 マルタは首を傾げた。


「……何でしょう?」


「今日、工房で作ったんだ」


 包みを開くと、中には小さな革の腕輪が入っていた。


 柔らかい革で作られ、内側には薄い布が縫い付けられている。


「……腕輪?」


「うん」


 レオンハルトは少し照れくさそうに笑った。


「今のマルタ、服も道具も大きすぎるでしょ?」


「……はい」


「だから、まずは使いやすいものを一つ作ってみたんだ」


 マルタは腕輪を見つめた。


 特別な魔法が込められているわけではない。


 高価な宝石もついていない。


 ただ、小さな手首に合うように作られた、簡単な革の腕輪だった。


 けれど。


「……ありがとうございます」


 マルタは静かに微笑んだ。


 レオンハルトも笑った。


「それと、もう一つ」


「……はい?」


「元に戻る方法、ちゃんと探すから」


 マルタは目を瞬かせた。


 レオンハルトは真剣な表情で続けた。


「でも、すぐに見つからないかもしれない」


「……はい」


「だから、それまでは無理しないでね」


 マルタはしばらく黙っていた。


 そして、ゆっくりと頷いた。


「……承知いたしました」


 レオンハルトは微笑んだ。


「じゃあ、おやすみ、マルタ」


「おやすみなさいませ、レオンハルト様」


 少年は小さく手を振り、部屋を出ていった。


 扉が閉まる。


 静かな部屋に、再び一人になる。


 マルタは、手の中の腕輪を見つめた。


 そして、ゆっくりと手首につけた。


 ぴったりだった。


「……ふふっ」


 小さな笑い声が漏れた。


 ……本当に、不思議なお方ですね。


 レオンハルトは、いつも自分のことより他人のことを考えている。


 時には、それが心配になる。


 けれど、今日の言葉は嬉しかった。


 マルタは鏡を見た。


 そこには、八歳ほどの少女が映っている。


 でも。


 その瞳には、少しだけ希望が戻っていた。


「……大丈夫です」


 彼女は小さく呟いた。


「私は、まだ私ですから」


 そして、静かに微笑んだ。


     ◇


 同じころ。


 俺は自室の机で、明日の予定を書いていた。


『マルタの体調確認』


『噴水の情報収集』


『オメガの安全装置の改良』


『リナとエリスの訓練』


 ……やること、いっぱいだな。


 俺は苦笑した。


 でも、悪い気分じゃない。


 むしろ、少しだけ楽しみだった。


 マルタを元に戻す方法は、まだ分からない。


 けれど、何もしないわけにはいかない。


 それに。


 今回の出来事で、改めて思った。


 魔法の世界には、まだ知らないことがたくさんある。


 俺が前世で知っていたゲームの世界よりも、ずっと広くて、複雑だ。


 ……だからこそ。


 学ばなければならない。


 もっと、たくさん。


 俺は鉛筆を置いた。


 そして、窓の外を見上げた。


 夜空には、無数の星が輝いている。


 いつか、オメガであの空を飛ぶ。


 リナとエリスと一緒に。


 そして、マルタにも見てもらいたい。


 ……いや。


 できることなら。


 マルタにも、もう一度操縦席へ座ってほしい。


 あの人が、もう一度自分の意志で空を見上げられるように。


 俺は静かに拳を握った。


「……頑張ろう」


 小さく呟いた。


 窓の外では、秋の風が静かに木々を揺らしていた。


 そして、遠く離れた古い庭園では。


 誰もいない噴水の底に、ほんの一瞬だけ、淡い青い光が走った。


 しかし、その光を見た者は誰もいなかった。


 ――マルタの体に起きた変化。


 その理由は、まだ分からない。


 けれど、ヴァイス男爵家の人々は、少しずつ新しい日常へ歩き始めていた。

この章を楽しんでいただけたなら、ぜひご感想をお聞かせください。


コメント、評価、または単に章を読んで感じたことなど、何でも構いません。


読んでいただきありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。