↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
乙女ゲームの退学予定モブ、改造魔法で最強の魔導機甲を造る!  作者: ジャクロの精霊


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
30/45

第30話 元魔導機甲乗りのメイド、久しぶりの休日! 忘れられた庭園に眠る不思議な泉

マルタ・エーレンフェルトには、長年続けている習慣があった。


 夜明け前に起床し、身支度を整え、屋敷の使用人たちと一日の仕事を確認する。


 それから厨房へ向かい、朝食の準備が滞りなく進んでいるかを確かめる。


 レオンハルトが起きる時刻になれば、部屋を訪ねて体調を尋ねる。最近は怪我の具合も確認しなければならない。


 そして、時間に余裕があれば、訓練場の整備を行う。


 それが、ヴァイス男爵家に仕えるメイドとしての彼女の日常だった。


 ところが、その朝。


「……おや?」


 いつもどおり目を覚ましたマルタは、寝台の脇に置かれた小さな紙を見て、動きを止めた。


 そこには、屋敷の女主人であるヘレナの筆跡で、こう書かれていた。


『明日は必ず休むこと。仕事は禁止です。――ヘレナ』


 マルタはしばらく紙を見つめた。


「……そうでした」


 今日は休日だった。


 昨日、ヘレナから直接言い渡されたのである。


 北の旧採掘路で起きた落石事故のあと、彼女が十分な休息を取っていないことを心配したらしい。


 もちろん、マルタ自身は疲労を感じていないわけではなかった。


 久しぶりに魔導作業機の操縦席へ座り、危険な斜面を歩いたのだ。体の奥には、普段の家事とは違う疲れが残っている。


 それでも、仕事を休むほどではないと思っていた。


「……さて」


 マルタは寝台から立ち上がった。


「まずは厨房の様子を――」


 そこまで言って、再び紙を見る。


『仕事は禁止です』


「…………」


 マルタは静かに寝台へ腰を下ろした。


 窓の外では、小鳥が鳴いている。


 朝日はまだ低く、部屋の床に細長い光を落としていた。


 いつもなら、この時間にはすでに廊下を歩いているはずだ。


 しかし、今日は何もする必要がない。


「……休日とは、こんなにも静かなものだったでしょうか」


 独り言に答える者はいなかった。


 マルタは少し考えたあと、もう一度横になってみた。


 天井を見つめる。


 一分。


 二分。


 そして三分。


「……やはり、落ち着きませんね」


 結局、彼女は起き上がった。


     ◇


 そのころ、ヴァイス男爵家の厨房では、アンナとベラが朝食の準備を進めていた。


 焼きたてのパンの香りが漂い、大きな鍋からは野菜のスープの湯気が上がっている。


「おはようございます」


 マルタが厨房へ顔を出すと、アンナが振り返った。


「あら、マルタさん。おはようございます」


「パンの焼き上がりはいかがですか?」


「順調ですよ。あと少しで全部焼けます」


「そうですか。では、食器の準備を――」


「駄目です」


 アンナが即答した。


 マルタは目を瞬かせる。


「……何がでしょう?」


「今日はお休みでしょう?」


「ええ。ですが、食器を並べる程度なら」


「それもお仕事です」


 隣で野菜を切っていたベラも頷いた。


「奥様から言われています。マルタさんには、今日は何もさせないようにって」


「……そこまで徹底しなくても」


「駄目です」


 二人の声が重なった。


 マルタは困ったように微笑んだ。


「分かりました。それでは、お邪魔にならないようにします」


 そう言って厨房を出ようとしたところで、アンナが声をかけた。


「マルタさん」


「はい?」


「たまには、ご自分のために時間を使ってくださいね」


 その言葉に、マルタは少しだけ足を止めた。


「……自分のために、ですか」


「ええ。お菓子を食べに行くとか、お買い物をするとか」


 ベラも笑った。


「綺麗な服を見に行くのもいいですよ」


「服、ですか……」


 マルタは自分の姿を見下ろした。


 今日も、いつもの黒いメイド服を着ている。


 白いエプロンも、きちんと結んでいた。


 アンナはそれを見ると、呆れたように笑った。


「まずは、その服を着替えるところからですね」


     ◇


 朝食の席で、俺は少し奇妙な光景を目にしていた。


「……マルタ?」


 いつもなら食事の準備を手伝っている彼女が、今日は食堂の入口で何となく落ち着かない様子を見せていたのだ。


 しかも、メイド服ではない。


 深い青色の長袖のワンピースに、白い襟飾り。


 腰には細い革のベルトを巻き、足元には茶色の編み上げ靴。


 髪はいつもより緩くまとめられ、控えめな銀色の髪留めが光っていた。


 普段のきっちりした雰囲気とは違い、少し柔らかな印象を受ける。


「……どうかなさったのですか、レオンハルト様?」


「いや……その服、初めて見たから」


 俺が答えると、マルタは自分の服を見下ろした。


「休日ですので、私服に着替えてみました」


「似合ってるよ」


「……ありがとうございます」


 彼女は少し照れたように微笑んだ。


 すると、隣でパンを食べていたリナが勢いよく顔を上げた。


「おおっ! マルタ、今日はメイドじゃないのか!」


「メイドであることに変わりはありませんよ、リナ様」


「でも、仕事しないんだろ?」


「はい。本日はお休みをいただいております」


 リナはにやりと笑った。


「じゃあ、今日はあたしたちに命令するの禁止な!」


「……命令、ですか?」


「そう! 訓練しろとか、走るなとか、お菓子を食べすぎるなとか!」


 マルタは穏やかに微笑んだ。


「リナ様。そういえば、昨日の平衡訓練の記録ですが――」


「ほら! もう仕事してる!」


 リナが叫んだ。


 俺は思わず吹き出した。


 エリスも口元を押さえて笑っている。


「……マルタ、今日は休んでね」


 エリスが優しく言うと、マルタは少し困ったように頷いた。


「……そうですね。気をつけます」


 母上が楽しそうに笑った。


「ほら、マルタ。子供たちにまで言われてしまったわね」


「面目ございません、奥様」


「謝らなくていいのよ」


 母上は紅茶のカップを置いた。


「今日は好きなところへ出かけてきなさい。夕食の時間を気にする必要もないわ」


「ですが、レオンハルト様の体調が……」


「それは私たちが見ているわ」


 父上も新聞代わりの報告書から顔を上げた。


「工房での作業も、今日は私が監督する。心配するな」


「……承知いたしました」


 マルタはようやく頷いた。


 俺は笑いながら言った。


「マルタ、楽しんできてね」


「はい。ありがとうございます、レオンハルト様」


 そう答えた彼女は、いつもより少しだけ戸惑っているように見えた。


 ……まあ、無理もないか。


 あれだけ働いている人が、急に一日休めと言われても、何をしたらいいか分からないよな。


 前世の俺も、仕事が忙しかったころは似たようなことがあった。


 休みの日なのに、つい仕事のことを考えてしまう。


 ……いや、今はそんなことより。


 俺は目の前のパンを手に取った。


 今日は父上と一緒に、オメガの操縦席を改良する予定だ。


 昨日までに考えた設計案を、ようやく試せる。


 マルタが休んでいる間に、少しでも進めておきたい。


     ◇


 午前十時を過ぎたころ。


 マルタは屋敷を出て、領内の町へ向かっていた。


 今日は護衛としてではなく、一人の客として町を歩く。


 それだけのことが、彼女には少し不思議だった。


 市場には、野菜や果物を並べた露店が続いている。


 焼き菓子の甘い香り。


 行商人たちの呼び声。


 荷車の車輪が石畳を転がる音。


 以前よりも、町には活気があった。


「……随分と賑やかになりましたね」


 マルタは小さく呟いた。


 レオンハルトが改良した水路と揚水装置。


 そのおかげで、村の畑には以前より安定して水が届くようになった。


 まだ領地全体が豊かになったわけではない。


 しかし、作物の収穫量が少しずつ増え、町へ運ばれる品物も多くなっている。


 道端では、農夫たちが収穫物の値段について話し合っていた。


 子供たちは小さな水路のそばで遊び、母親たちがその様子を見守っている。


 マルタは、その光景を眺めながら微笑んだ。


「……レオンハルト様のおかげですね」


 あの小さな少年は、いつも何かを考えている。


 壊れた機械を見つければ修理方法を探し、困っている人を見れば放っておけない。


 時には、危険を顧みず行動してしまうこともある。


 そのたびに、マルタは心配させられてきた。


 けれど。


 彼が領地の人々を笑顔にしていることも、確かだった。


「おや?」


 不意に、背後から声がした。


「もしかして……マルタさんじゃないか?」


 振り返ると、灰色の髭を生やした年配の男性が立っていた。


 大きな荷車の隣で、革製品を並べている。


「……失礼ですが?」


「覚えていないかい? 昔、北の街道で行商をしていたハインツだよ」


 マルタは目を瞬かせた。


 そして、ゆっくりと表情を和らげた。


「……ハインツさん?」


「そうだとも!」


 男性は嬉しそうに笑った。


「いやあ、久しぶりだ! あのころは随分と世話になったねえ」


「お元気そうで何よりです」


「おかげさまでな。今は息子に荷運びを任せて、こうして店番をしているよ」


 ハインツはマルタの服装を見て、少し驚いた顔をした。


「今日はお仕事じゃないのかい?」


「はい。お休みをいただきまして」


「そいつは珍しい!」


 彼は大きく笑った。


「昔から働き者だったからなあ。休むのが下手なのは相変わらずか」


「……お恥ずかしい限りです」


 マルタも苦笑した。


 ハインツはしばらく彼女を見つめたあと、懐かしそうに目を細めた。


「覚えているかい? 北の街道で、俺の荷車が動けなくなったときのことを」


 マルタの表情が少し変わった。


「……ええ。雨のひどい日でしたね」


「そうそう。あのとき、あんたが来てくれなかったら、どうなっていたことか」


 彼は荷車の車輪を軽く叩いた。


「本当に助かったよ。改めて礼を言わせてくれ」


 マルタは静かに頭を下げた。


「私は、任務を果たしただけです」


「それでも、助かった人間にとっちゃ大きなことなんだよ」


 ハインツは笑った。


「今でも、あんたの乗っていた大きな魔導機甲を覚えている。あれは頼もしかった」


 マルタは少しだけ目を細めた。


「……《グランガード》ですね」


「そう、それだ!」


 ハインツは懐かしそうに頷いた。


「頑丈そうな機体だったなあ。あんたが操縦席から降りてきたときは、まさかあんな若い娘さんが乗っているとは思わなかったよ」


 マルタは小さく笑った。


 そして、ふと遠くを見るような目をした。


     ◇


 ――雨が降っていた。


 山の斜面を叩く激しい雨。


 ぬかるんだ街道。


 その中央で、一台の荷車が車輪を泥に取られていた。


『こちら第三巡回隊。街道北側で立ち往生している荷車を確認しました』


 若いマルタは、魔導機甲の操縦席から報告していた。


 当時の彼女は、今より少し短い髪をしていた。


 身につけているのは、防衛隊の紺色の制服。


 胸元には、小さな銀色の徽章が輝いている。


 操縦席の外では、雨が装甲を激しく叩いていた。


『周辺に魔物の反応は?』


 通信装置から上官の声が響く。


『現時点では確認できません。ただし、視界が悪いため警戒を続けます』


『了解。民間人の安全を最優先にしろ』


『はい!』


 マルタは操縦桿を握り直した。


 灰色の重装甲魔導機甲《グランガード》。


 速度は決して速くない。


 しかし、頑丈な脚部と大きな腕を備え、街道の防衛や障害物の撤去に適した機体だった。


 マルタは機体を荷車のそばへ移動させた。


『大丈夫ですか!』


 外部伝声装置から声をかける。


 荷車の御者が顔を上げた。


『た、助けてください! 車輪が泥にはまってしまって!』


『分かりました。少し離れていてください!』


 マルタは慎重に機体の腕を伸ばした。


 荷車の下へ補助具を差し込み、車輪にかかる重さを少しずつ減らしていく。


 無理に引けば、荷車が壊れてしまう。


 だから、焦らず。


 ゆっくりと。


 泥に埋まっていた車輪が、少しずつ持ち上がった。


『……よし』


 マルタは小さく息を吐いた。


 荷車が無事に街道へ戻ると、御者が何度も頭を下げた。


『ありがとうございます! 本当にありがとうございます!』


 マルタは操縦席の中で微笑んだ。


『お気をつけて。まだ雨が強いですから』


 そして、機体を再び歩かせた。


 雨の向こうには、守るべき街道が続いていた。


     ◇


「……マルタさん?」


 ハインツの声で、彼女は我に返った。


「あ……失礼しました」


「いやいや。懐かしい話をしてしまったね」


「いいえ」


 マルタは微笑んだ。


「私も、久しぶりに思い出しました」


 ハインツは店先から小さな革の袋を取り出した。


「そうだ。これを持っていきなさい」


「……これは?」


「旅先で使う小物入れだよ。丈夫な革で作ってある」


「いえ、そのようなものをいただくわけには……」


「昔のお礼さ。受け取ってくれ」


 マルタは少し迷った。


 けれど、ハインツの笑顔を見て、静かに頷いた。


「……ありがとうございます。大切に使わせていただきます」


「それでいい」


 ハインツは満足そうに笑った。


 別れ際、彼はふと真面目な顔になった。


「……それにしても、あんたが無事でよかった」


 マルタは一瞬、動きを止めた。


「……え?」


「いや、昔の隊のことを聞いてな。大変だったんだろう?」


 マルタはすぐには答えなかった。


 風が吹き、店先に吊るされた革紐が小さく揺れた。


 やがて、彼女は穏やかに微笑んだ。


「……もう、ずいぶん前のことです」


 ハインツは何か言いかけたが、それ以上は尋ねなかった。


「そうか。すまなかったね」


「いいえ」


 マルタは小さく頭を下げた。


「どうぞ、お元気で」


「ああ。あんたもな」


 店を離れたあと、マルタはしばらく無言で歩いた。


 胸の奥に、懐かしい記憶が残っていた。


 雨。


 街道。


 グランガードの操縦席。


 そして、もう戻ることのできない時間。


「……さて」


 彼女は小さく息を吐いた。


「せっかくのお休みです。暗い顔をしていてはいけませんね」


 そう自分に言い聞かせ、再び歩き始めた。


     ◇


 一方、そのころ。


 俺たちは工房で、オメガの改良作業を進めていた。


「……よし。これで固定具の位置は変えられるかな」


 俺は設計図を見つめながら呟いた。


 オメガの操縦席。


 以前は、体を固定することばかり考えていた。


 でも、マルタに指摘されて気づいたことがある。


 緊急時には、すぐに脱出できなければならない。


 だから、固定具を外すための操作を簡単にし、座席の側面にも少し余裕を持たせることにした。


 もちろん、衝撃を受けたときに勝手に外れては困る。


 そのため、二段階の解除機構を考えている。


「……父上、ここを見てください」


 俺が図面を差し出すと、父上は顎に手を当てた。


「ふむ……通常時は固定され、解除操作を二つ続けることで外れる仕組みか」


「はい」


「悪くない。だが、操縦士が怪我をして片手しか使えない場合はどうする?」


「……あ」


 俺は手を止めた。


 ……そうか。


 両手が使えるとは限らない。


 戦闘中に腕を怪我することだってある。


「……もう少し考えます」


 父上は頷いた。


「それでいい。急いで完成させる必要はない」


 俺は鉛筆を持ち直した。


 そのとき、リナが工房の隅から声を上げた。


「レオン! ちょっと見てくれ!」


「……ん?」


 振り返ると、リナが床に並べた木片の上を跳び回っていた。


 右へ。


 左へ。


 そして、くるりと方向転換。


「どうだ!」


 彼女は得意そうに胸を張った。


「……何してるの?」


「ヴァーミリオン・フォックスの動き!」


「……え?」


 リナは尻尾を揺らした。


「ほら、あたしの機体は速く動くんだろ? だったら、こういう動きができた方がいいじゃん!」


 なるほど。


 俺は少し考えた。


 ヴァーミリオン・フォックス。


 リナのために考えている、赤と白の魔導機甲。


 素早い地上機動と、狐人族の幻影能力を生かすことを目指した機体だ。


 まだ設計段階だけれど、リナ自身がどう動きたいのかを知ることは大切だ。


「……確かに、方向転換は重要だね」


「だろ!」


 リナが嬉しそうに笑った。


「でも、急に向きを変えると、脚の関節に大きな負担がかかるんだ」


「……じゃあ、もっと丈夫にすればいい!」


「それも必要だけど、重くなりすぎると速く動けなくなるよ」


「……むう」


 リナは腕を組んだ。


 俺は笑った。


「だから、軽さと丈夫さのバランスを考えないとね」


「……難しいな」


「うん。でも、一緒に考えよう」


 リナはすぐに笑顔になった。


「おう!」


 そのとき、エリスがそっと近づいてきた。


「……レオンくん」


「どうしたの?」


「……セイレーンのことなんだけど……」


「うん」


 エリスは少し恥ずかしそうに指を組んだ。


「……水の中では……私、足が変わるでしょう……?」


「ああ、人魚の姿になるんだよね」


「……うん」


 彼女は頷いた。


「……そのときも……操縦できるようにしたい……」


 俺は少し考えた。


 確かに。


 セイレーンは、水中でも活動できる魔導機甲にしたい。


 でも、エリスが人魚の姿になったとき、普通の操縦席では使いにくいだろう。


 足元の踏み板も、そのままでは操作できない。


「……なるほど」


 俺は設計図を取り出した。


「じゃあ、操縦席の形を変えられるようにしようか」


「……変えられる……?」


「うん。陸上では普通の座席。水中では、エリスの尻尾に合わせた形にするんだ」


 エリスの緑色の瞳が輝いた。


「……できるの……?」


「すぐには難しいけど、考えてみるよ」


 俺は笑った。


「エリスが無理な姿勢で操縦するのは嫌だからね」


 エリスは頬を赤らめた。


「……ありがとう、レオンくん」


 リナが横から顔を出した。


「じゃあ、あたしのも変形するようにしようぜ!」


「……何に変形するの?」


「でっかい狐!」


「……それは、ちょっと別の話かな」


「えーっ!」


 リナが不満そうに叫ぶ。


 エリスはくすくす笑った。


 俺もつられて笑った。


 ……本当に、賑やかだな。


 でも。


 こういう時間が、俺は好きだった。


     ◇


 昼食後。


 父上が別の仕事へ戻ったあと、俺は工房の窓際で設計図を眺めていた。


 机の上には、オメガ、ヴァーミリオン・フォックス、セイレーンの三枚の図面。


 まだ完成しているのはオメガの試作機だけだ。


 それも、飛行機能は未完成。


 右脚の改良も必要。


 武装だって、十分とは言えない。


 ……先は長いな。


 俺は椅子にもたれかかった。


 すると、ふと前世の記憶がよみがえった。


 『ターボナイト ~エターナル・ハーツ~』。


 王立魔導騎士学院を舞台にした、あの乙女ゲーム。


 主人公のソフィア・エヴァーハートが、学院でさまざまな人物と出会い、事件に巻き込まれていく物語だ。


 ゲームの中には、魔導機甲を使った実技試験もあった。


 特に印象に残っているのは、複数の操縦士が協力して課題を達成する試験だった。


 攻略対象の青年たちは、それぞれ得意分野が違う。


 正面から突破する者。


 仲間を支援する者。


 状況を分析して指示を出す者。


 プレイヤーの選択によって、試験の展開も少しずつ変わっていた。


「……そういえば」


 俺は小さく呟いた。


 あのゲームでは、協力することが重要な場面が何度もあった。


 それなのに、俺は今まで、自分の機体を強くすることばかり考えていた。


 ……駄目だな。


 リナとエリスの機体を造るなら、三機がどう連携するかも考えなければならない。


 オメガが前に出る。


 ヴァーミリオン・フォックスが素早く動いて周囲を確認する。


 セイレーンが水魔法で支援する。


 ……いや。


 最初から役割を決めつけるのもよくない。


 二人が何をしたいのか、ちゃんと聞くべきだ。


 俺は鉛筆を手に取った。


 設計図の余白に、新しい項目を書き加える。


『三機連携時の安全な通信方法』


『操縦士ごとの得意分野』


『緊急時の救助手順』


 そして、最後に。


『全員で帰還すること』


 俺は、その文字をしばらく見つめた。


 ……マルタが教えてくれたことだ。


 いつか、三機で空を飛ぶ。


 その夢を叶えるためにも、絶対に忘れないようにしよう。


     ◇


 午後。


 マルタは町を離れ、ゆっくりと郊外の道を歩いていた。


 市場で買った小さな包みを片手に持ち、もう片方の手にはハインツから贈られた革の袋を下げている。


 包みの中には、焼き菓子が入っていた。


 レオンハルトたちへの土産にしようと思って買ったものだ。


「……結局、子供たちのことを考えてしまいますね」


 マルタは苦笑した。


 休日なのだから、自分のために時間を使えばいい。


 そう言われたばかりなのに。


 気づけば、リナが喜びそうな甘い菓子や、エリスが好みそうな小さな髪飾りを探していた。


 レオンハルトには、工房で使えそうな革製の道具入れを買った。


 ……これでは、いつもとあまり変わりませんね。


 けれど、不思議と嫌な気持ちはしなかった。


 誰かの喜ぶ顔を思い浮かべながら買い物をするのは、仕事とは少し違う楽しさがある。


 マルタは空を見上げた。


 薄い雲が流れ、午後の日差しが草原を照らしている。


 遠くには、北方の山々が見えた。


 かつて彼女が巡回していた街道も、あの山の向こうへ続いている。


「……少し、歩いてみましょうか」


 マルタは、昔よく通った小道へ足を向けた。


 その道は、町の外れにある林へ続いていた。


 木々の間から、涼しい風が吹いてくる。


 鳥の声。


 葉の擦れる音。


 遠くで流れる小川のせせらぎ。


 マルタはゆっくりと歩いた。


 急ぐ必要はない。


 誰かに呼ばれることもない。


 ただ、自分の歩幅で進めばいい。


 そんな時間が、思いのほか心地よかった。


 しばらく歩くと、道の脇に古い石柱が見えてきた。


「……あら?」


 マルタは足を止めた。


 石柱には、蔦が絡みついている。


 表面には文字が刻まれていたが、風雨にさらされてほとんど読めなくなっていた。


 その向こうには、細い石畳の道が続いている。


「……こんな道がありましたか」


 マルタは首を傾げた。


 この辺りには何度も来たことがある。


 けれど、林の奥へ続く石畳の道には覚えがなかった。


 もしかすると、以前は草木に覆われていたのかもしれない。


 道の両側には、白い小さな花が咲いていた。


 古い石畳の隙間からも、柔らかな草が伸びている。


「……綺麗ですね」


 マルタは微笑んだ。


 少しだけ、歩いてみよう。


 そう思い、石畳へ足を踏み入れた。


     ◇


 道は、思ったより長く続いていた。


 木々の間を抜けると、やがて古い石造りの門が見えてきた。


 門の上部には、蔦に覆われた紋章が刻まれている。


 しかし、長い年月のせいで形は崩れ、何を表しているのか分からない。


「……昔の庭園でしょうか」


 マルタは門の前に立った。


 門扉は片側が外れ、地面に倒れている。


 周囲に人の気配はない。


 ただ、門の向こうには、思いがけない光景が広がっていた。


 古い庭園。


 石畳の小道。


 苔むした彫像。


 そして、色とりどりの花々。


 手入れされていないはずなのに、花は不思議なほど美しく咲いていた。


 白い花。


 淡い紫色の花。


 小さな青い花。


 その間を、蝶がゆっくりと飛んでいる。


「……まあ」


 マルタは思わず声を漏らした。


 庭園の中央には、円形の広場があった。


 その真ん中に、古い噴水が置かれている。


 白い石で造られた噴水。


 縁には細かな模様が刻まれ、中央には小さな女性像が立っていた。


 女性像は両手で水瓶を抱えている。


 水瓶からは、細い水が静かに流れ落ちていた。


「……まだ、水が流れているのですね」


 マルタは驚いた。


 これほど古い庭園なのに、噴水が動いている。


 しかも、水は驚くほど澄んでいた。


 底に沈んだ小石まで、はっきりと見える。


 水面には、午後の日差しが反射している。


 マルタはゆっくりと噴水へ近づいた。


 縁の石には、何か文字が刻まれている。


「……これは……?」


 彼女は身をかがめた。


 古い文字だった。


 現在使われている文字とは少し形が違う。


 読める部分もあるが、全体の意味は分からない。


 指先で苔を少し払うと、短い文章が現れた。


『……失われし……』


 その先は欠けていた。


 さらに別の部分には、こんな言葉が残っている。


『……時の……』


「……時?」


 マルタは首を傾げた。


 何かの記念碑だろうか。


 あるいは、古い詩が刻まれているのかもしれない。


 彼女はしばらく文字を眺めた。


 しかし、どれだけ考えても意味は分からなかった。


「……専門家でなければ、難しそうですね」


 マルタは小さく笑った。


 レオンハルトなら、こういうものに興味を持つかもしれない。


 そう思った瞬間、彼女は自分で苦笑した。


「……また、レオンハルト様のことを考えてしまいました」


 今日は休日なのに。


 それでも、あの少年が目を輝かせながら古い文字を調べる姿を想像すると、自然と笑みが浮かんでしまう。


 ……本当に、変わったお方です。


 八歳とは思えないほど、機械に詳しい。


 時には大人顔負けの発想をする。


 けれど、甘い菓子を喜び、リナやエリスと笑い合い、失敗すれば悔しそうな顔をする。


 そんなところは、年相応の少年だった。


 マルタにとって、レオンハルトは大切な主家の子供であり、守るべき存在だった。


 そして今では、未来を楽しみにしている教え子でもある。


「……あの方たちが、無事に夢を叶えられるといいですね」


 マルタは静かに呟いた。


 噴水の水面が、風に揺れた。


     ◇


 しばらくして、マルタは庭園の奥にある石のベンチへ腰を下ろした。


 木漏れ日が足元に落ちている。


 彼女は市場で買った小さな焼き菓子を一つ取り出した。


 蜂蜜と木の実を使った、素朴な菓子だった。


「……いただきます」


 一口食べる。


 優しい甘さが広がった。


 マルタは目を細めた。


「……美味しいですね」


 誰かに急かされることもなく、静かな庭園で菓子を味わう。


 それだけのことが、こんなにも贅沢に感じられるとは思わなかった。


 ふと、昔のことを思い出した。


 防衛隊に所属していたころ。


 任務の合間に、仲間たちと休憩したことがあった。


 古い詰所。


 粗末な木の椅子。


 温かい飲み物。


 そして、くだらない冗談を言い合う声。


 あのころも、忙しかった。


 危険な任務も多かった。


 それでも、笑い合う時間はあった。


 ……皆さんは、今ごろどうしているのでしょう。


 マルタは菓子を持つ手を止めた。


 懐かしさとともに、胸の奥に小さな痛みが生まれる。


 もう会えない人もいる。


 連絡が途絶えた人もいる。


 そして、自分は今、ヴァイス男爵家で働いている。


 後悔しているわけではない。


 あの家には、守りたい人々がいる。


 ラインハルト。


 ヘレナ。


 学院へ旅立ったアルブレヒトとセドリック。


 そして、レオンハルト、リナ、エリス。


 彼らと過ごす日々は、穏やかで温かい。


 けれど、ときどき。


 操縦席の感触を思い出すことがある。


 魔導機甲の駆動音。


 足元から伝わる振動。


 視界の向こうに広がる街道。


 ……私は、もう一度乗りたかったのでしょうか。


 先日のワークランナーの操縦を思い出す。


 久しぶりに操縦桿を握ったとき、胸の奥が高鳴った。


 機体が一歩を踏み出した瞬間、懐かしい感覚が戻ってきた。


 けれど、落石に巻き込まれかけたとき。


 彼女の頭に浮かんだのは、自分のことではなかった。


 観測台にいる子供たちの顔だった。


 ……心配させてしまいましたね。


 レオンハルトが、怖かったと打ち明けたときの表情。


 あれは忘れられない。


 マルタは静かに息を吐いた。


「……私は、今の暮らしが好きなのですね」


 その言葉を口にすると、不思議と心が軽くなった。


 昔の自分を否定する必要はない。


 けれど、今の自分も大切にしたい。


 そう思えた。


     ◇


 午後の日差しが、少しずつ傾き始めていた。


 マルタはベンチから立ち上がり、服についた小さな葉を払った。


「……そろそろ戻りましょうか」


 庭園を出る前に、もう一度噴水へ目を向ける。


 澄んだ水が、静かに流れていた。


 その光景があまりにも美しく、彼女は少しだけ足を止めた。


「……本当に、不思議な場所ですね」


 噴水の縁には、古い石の飾りがいくつも並んでいる。


 その一つに、小さな青い花が咲いていた。


 マルタは近づき、花を眺めた。


 花びらは透き通るように薄く、中心には淡い銀色の模様がある。


「……珍しい花ですこと」


 彼女は手を伸ばしかけた。


 しかし、すぐに引っ込める。


 せっかく咲いているのだから、そのままにしておこう。


 そう思った。


 そのとき。


 ひらり。


 頭上から、一枚の枯れ葉が落ちてきた。


 風に流され、噴水の水面へ落ちる。


 マルタは何気なく、その動きを目で追った。


 そして、足元の石畳に気づくのが一瞬遅れた。


「……あら?」


 靴の裏が、苔に覆われた石の上を滑った。


 つるり。


「……っ!」


 マルタは反射的に体をひねった。


 長年の訓練で身につけた動きだった。


 重心を低くし、片足を踏み出す。


 普段なら、それで十分に立て直せる。


 だが。


 踏み出した先にも、湿った苔があった。


「……しまっ――!」


 足が滑る。


 体が傾く。


 手を伸ばしたが、噴水の縁には届かなかった。


 次の瞬間。


 ばしゃんっ!


 マルタは、噴水の中へ落ちた。


     ◇


「……っ、冷たい!」


 水が顔にかかり、マルタは思わず目を閉じた。


 幸い、噴水は深くなかった。


 大人なら、腰の少し上ほどの深さだ。


 彼女はすぐに足をつき、体を起こそうとした。


「……まったく、何をしているのでしょう」


 自分でも呆れてしまう。


 元魔導機甲乗りが、苔で滑って噴水へ落ちるなんて。


 もしリナが見ていたら、きっと大笑いしただろう。


 レオンハルトも、驚いたあとで心配そうに駆け寄ってくるに違いない。


 マルタは濡れた髪をかき上げた。


「……服を乾かさなければ」


 そう呟いたときだった。


 水面の下で、何かが光った。


「……え?」


 最初は、日差しが反射したのだと思った。


 しかし、光は消えなかった。


 噴水の底。


 古い石の隙間から、淡い青色の光が広がっていく。


 細い線が、円を描くようにつながった。


 そして、その円の内側に、複雑な模様が浮かび上がった。


「……魔導陣?」


 マルタは息を呑んだ。


 魔導機甲の操縦士だった彼女には、それが単なる装飾ではないことが分かった。


 何らかの魔法的な仕組みが、起動している。


 だが、どのような術式なのかは分からない。


「……まずいですね」


 彼女はすぐに噴水から出ようとした。


 ところが。


 足元の水が、突然温かくなった。


「……っ?」


 冷たかったはずの水が、春の日差しを浴びたような温度に変わる。


 同時に、体の奥へ奇妙な感覚が広がった。


 痛みはない。


 苦しさもない。


 ただ、全身がふわりと軽くなる。


「……何、これ……?」


 マルタは噴水の縁へ手を伸ばした。


 しかし、指先が届かない。


 ……おかしい。


 さっきまでは、すぐ近くにあったはずなのに。


 彼女はもう一歩踏み出した。


 その瞬間、足元で布が絡まった。


「……え?」


 見下ろす。


 青いワンピースの裾が、水の中で大きく広がっていた。


 腰のベルトが緩んでいる。


 袖口から伸びていたはずの手が、いつの間にか布の奥へ引っ込んでいた。


「……どういう……」


 マルタは慌てて袖を引き上げた。


 そこから現れたのは、小さな手だった。


 指が短い。


 手のひらが小さい。


 まるで、子供の手のようだった。


「……え?」


 彼女は目を見開いた。


 胸が激しく鳴り始める。


 何が起きているのか分からない。


 けれど、確かなことが一つあった。


 自分の体が、変わっている。


 マルタは震える手で、頬に触れた。


 顔の輪郭が違う。


 肩幅も狭くなっている。


 濡れた髪が、いつもより長く感じられた。


 そして。


 視界が、低い。


「……そんな……」


 彼女は噴水の縁を見上げた。


 先ほどまで腰ほどの高さだった石の縁が、今では胸よりも高い位置にある。


 足元の水も、さっきより深く感じられる。


 マルタは慌てて両手で縁をつかみ、体を引き上げた。


 だが、腕に力が入らない。


「……っ!」


 一度、手が滑った。


 彼女は水の中へ戻り、息を整えた。


 ……落ち着きなさい。


 そう自分に言い聞かせる。


 危険な状況で慌ててはいけない。


 それは、かつて何度も教わったことだった。


 まずは、状況を確認する。


 そして、安全な場所へ移動する。


 マルタは噴水の内側にある低い石段を見つけた。


 そこへ足をかけ、慎重に体を持ち上げる。


 濡れた服が重い。


 それでも、何とか縁を越えることができた。


 石畳の上へ降り立つ。


 そして。


 彼女は、自分の姿を見下ろした。


「…………」


 ワンピースは、まるで大人の服を無理やり着せられた子供のように、ぶかぶかになっていた。


 袖は長すぎる。


 裾は地面を引きずっている。


 靴は大きすぎて、歩くたびに脱げそうだった。


 腰のベルトは、もはや役に立っていない。


 マルタは、ゆっくりと噴水へ振り返った。


 水面は、すでに静かになっていた。


 先ほどまで輝いていた魔導陣も消えている。


 何事もなかったかのように、細い水が流れ落ちていた。


「……これは……」


 マルタは噴水へ近づいた。


 そして、水面を覗き込んだ。


 そこに映っていたのは。


 茶色の髪をした、小さな少女だった。


 丸みを帯びた頬。


 大きな瞳。


 幼い顔立ち。


 年齢は、おそらく八歳ほど。


 レオンハルトやリナ、エリスと同じくらいの少女。


 マルタは息を止めた。


 少女も、同じように目を見開いている。


 彼女が右手を上げると、水面の少女も右手を上げた。


 頬に触れる。


 水面の少女も、頬に触れる。


「…………」


 長い沈黙が流れた。


 やがて、マルタは震える声で呟いた。


「……わ、私……?」


 水面の少女が、同じように口を動かした。


 マルタは自分の喉に手を当てた。


 声まで変わっている。


 高く、幼い声。


 けれど、頭の中は何も変わっていなかった。


 自分の名前も。


 ヴァイス男爵家で働いていることも。


 魔導機甲《グランガード》を操縦していた過去も。


 レオンハルトたちと過ごした日々も。


 すべて覚えている。


 ただ、体だけが。


 子供になっていた。


「……どうして……」


 マルタは水面を見つめた。


 そこに映る少女は、困惑した表情で彼女を見返していた。


 しばらくして、マルタは小さく息を吸った。


「……まずは、屋敷へ戻らなければ」


 そう呟き、一歩踏み出す。


 しかし。


 ずるっ。


「……きゃっ!」


 大きすぎる靴が脱げ、彼女は慌てて石畳へ手をついた。


 幸い、転ぶことはなかった。


 けれど、その姿勢のまま、しばらく動けなかった。


「…………」


 マルタは、ゆっくりと顔を上げた。


 目の前には、誰もいない古い庭園。


 静かな噴水。


 そして、長すぎる袖と裾。


 彼女は、思わず呟いた。


「……レオンハルト様たちに、何と説明すればよいのでしょう……」


 その声は、幼い少女のものだった。


 秋の風が、庭園の花々を揺らした。


 噴水の水面には、もう不思議な光は残っていない。


 ただ一人。


 突然八歳ほどの姿になってしまった元魔導機甲乗りのメイドが、途方に暮れて立ち尽くしていた。


 ――そして彼女は、まだ知らない。


 屋敷へ帰り着くことさえ、今の自分には思った以上に難しいということを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。