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キャバリア・スラップスティック  作者: シベリウスP
暗黒領域・魔王決戦編
156/171

Tournament156 The Monster of Swamp hunting:前編(沼地の怪物を狩ろう!前編)

『瘴気の密林』の行軍に苦戦するジンたち。別動隊を率いるマロンは、ジンを自分たちの部隊に移動させるという奇策を思いつく。

その頃、ついに魔王が実体を持ち、魔軍が出撃した。そして魔王は、衝撃的な人物だった。

【前回のあらすじ】

シュバルツユニコーン族は賢者マーリンの説得によりジン討伐を放棄した。いよいよ『瘴気の密林』に踏み込むジンたちだったが、アルケー・クロウはエピメイアの要望で『魔王』を実体化することに決めた。


     ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★


 シュバルツユニコーン族の部隊が引き上げた後、僕たち『騎士団』は『勇士の軍団』と共に次の難関である『瘴気の密林』に分け入った。


 『瘴気の密林』は、その名のとおり毒を持った植物が繁茂し、同じく毒を持った動物が至る所にいる。そして全体的に沼沢地となっており、昼間は瘴気を発しているので、街道沿いくらいしか安全に通行できる場所はなかった。


 しかも、僕たちやド・ヴァンさんの『ドラゴン・シン』は『暗黒領域』は初めての場所だったし、21年前にマイティ・クロウと共に魔軍と戦った『勇士の軍団』にしても、スピリタス侯やシール戦士長他幹部の数名が前回の戦い経験者であることを除けば、ほとんどが『暗黒領域』についてほとんど何も分かっちゃいなかった。


 そのため、昼間に道を啓開しようとした先鋒の『左龍軍団』の兵士が瘴気に巻かれ、重傷者数名を出すこととなり、最初っから進撃に暗雲が立ち込めた。


「……街道沿いでも瘴気がたゆたっている場所があるようだ。以前行軍した時は、夕方から次の日の朝にかけては瘴気が消えていたはずだが、何かが変わったのかもしれないな」


 『勇士の軍団』との軍議で、スピリタス侯がそう述べると、ユニコーン侯国のシール・レーズン戦士長も、腕を組んで難しい顔をする。


「我らの知見がさほど役に立たないとすれば、『瘴気の密林』を越えるのは結構な難事になりますぞ。詳細の判らない植物なども2・3見かけますし、この分では沼沢地帯に踏み込んだ時、どんな危険生物や魔物に襲われるか分かったものじゃありませんな」


 前回の『魔王の降臨』の際、僕の父マイティ・クロウと共に戦ったお二人が、そう言いながら腕をこまねいている。地形や方角、兵要地誌については、ド・ヴァンさんが『黒の種族』の一人、ダークエルフの首領ガイウス・ロンギヌスさんから譲られた地図があるため、ある程度のことは分かるが、瘴気にどんな特性があるかとか、どのような植物や動物が発見されたのかなどの詳しいことは分からない。


 それが不明だから、状況を見ながら、時には犠牲を覚悟のうえで進路を啓開しなければならず、進撃速度はお二人が事前に想定していたものより遥かに遅れてしまっている。


「……ふーむ、それが輜重にも想定外の負担となっているんだ。メアリー・ツィツィからも、『補給先の状況が判らないことに加えて、思わぬ瘴気だまりや毒虫のせいで、補給が追い付かなくなりつつある』

と警告をしてきた。

 今のまま進撃をするつもりなら、想定日数を4倍、少なくとも2倍にすべきだろうな。その分、『瘴気の密林』内での危険度は上がるが」


 さしものド・ヴァンさんも、他に方法が思い付かないのだろう。彼にしては弱気な提案をしてきた。


 とにかく、その日の軍議はド・ヴァンさんの提案を基に、『瘴気の密林』を抜けるための日数の想定を練り直し、輜重の負荷を下げる方向でまとまった。


 軍議からの帰り道、ド・ヴァンさんは僕に、ため息とともに言う。


「そもそも、『瘴気の密林』は2百マイルに渡って広がっている。ここを、前回の『魔王の降臨』の際は10日間で踏破したそうだ。途中の魔物たちと戦いながら1日平均20マイルも進んだのだからたいしたものだ。

 それで、シール戦士長はその経験を基に、1週間で抜ける腹積もりだった。


 だが、さっきの軍議で分かるとおり、『瘴気の密林』の植生や、内部に巣食っている毒虫たちの様子がかなり変わっているらしい。想定と違い、一から手探りで進まなくちゃいけなくなったってことだ。実際、この2日間でわずか10マイルしか進めてないからね。

 だからボクは、『瘴気の密林』を抜けるのには最悪1か月はかかると見ている」


 僕は補給などの実務はよく分からない。ド・ヴァンさんのように多人数を指揮した経験があまりにも少ないからだ。もし、精霊覇王エレクラ様が僕を5千年前の時代に送り込まれることがなかったら、まったくの素人同然でこの立場に立たされているところだった。


 ただ、2・3百の部隊を率いていた時と、千を超える部隊を指揮した時では、『補給』というものに対する印象はだいぶ違っていた覚えはある。


(……今回は万に近い部隊だ。あの時よりももっと緻密で、もっと組織立ったものが必要なんだろうな。ただ進めばいいってもんじゃないんだ……)


 僕はそう思い、


「……『暗黒領域』に詳しい人物がいれば、もっと早く進軍できるんでしょうね。マロン様たちが早く合流してくれればいいんですが……」


 そう言うと、ド・ヴァンさんは驚いたような顔をして、


「おや、団長くんには話していなかったかな? マロン様たち『ドッカーノ村騎士団先遣隊』はダイ・アクーニンの能力を生かすため、スコッチ・カッパー殿の『遊撃軍団』に加わるんだ。ダイを参謀としてね?

 だからマロン様はこちらには来られないんだ。何か不都合でもあったかな?」


 そう訊いて来る。


「あ、いえ。マロン様の方に、賢者マーリン様のお友だちが加わっていまして、彼らは『約束の地』の向こう側まで探索したことがあるらしいので、彼らがいればなと思って」


 僕が答えると、ド・ヴァンさんは目を輝かせて、


「それは本当かい!? 確かに、そんな人物がいれば進軍速度はもっと上がるだろう。少なくとも、『遊撃軍団』が先頭を行ってくれれば、本隊は今より楽に行動できるはずだ。

 その情報をスピリタス侯やシール戦士長にお知らせして、全軍の行動を統制していただこう。団長くん、ついて来てくれたまえ」


 そう言うと、僕をさっき出て来たばかりのスピリタス様の天幕へと引っ張って行った。



 その頃、『瘴気の密林』の入り口から西北西に50マイル(この世界で約93キロ)ほど離れたオアシスに、数人の旅人がビバークしていた。


 旅人とは言っても、ここは『暗黒領域』である。普通の人間ならこんなところでビバークしようなどとは思わないし、なんならここまでたどり着くことがすでに困難ですらある。


「ここで便々と『遊撃軍団』や『猟兵軍団』を待っていて大丈夫ですか?

 情報によればジン団長をはじめ『勇士の軍団』の本隊は、すでに『瘴気の密林』に入ったってことですが?」


 金髪碧眼でひょろりとした男性が、どう見ても12・3歳の少女に訊く。少女は翠の瞳を持つ目を男性に当てて、にこりと笑って言った。


「あら、だってあなたが『遊撃軍団』を指揮することになっているのよ? 軍団長のスコッチ・カッパーとの顔合わせが必要じゃない?

 それに、ジン団長たちの部隊も、そう先には進めないでしょうし、今から追いかけても追いつく手段はあるわ。そうでしょう、アントン、ドーラ?」


 すると、アントンと呼ばれた胸当てをした戦士が、恭しく少女に答える。


「ダイ殿、マロン・デヴァステータ様の仰るとおりです。まず、『瘴気の密林』の生態系が21年前とは少し異なっています。戦慣れしたスピリタス殿やシール殿なら、先を急ごうとはなされないでしょう。

 それに『地獄の河原』までとは違い、『瘴気の密林』内の街道は1本ではありません。『北の関門』から通じる街道も内部を通っています。ですから、俺たちはその街道を使って『勇士の軍団』の先回りをすればいいのです」


「そうそう。それに私たちが合流すれば、これまでより早く『瘴気の密林』を越えられるから、本隊の指揮官さんも無駄な被害を出して強行突破するより、英気を養って私たちを待つ方を選ぶと思うわよ?」


 長い金髪をかき上げながらドーラも口を挟む。


「まあ、ダイちゃん。すべては体制が整ってからだよ。あたしたちの役目は、『決戦の荒野』でたっくさん魔物をやっつけることなんだから♡」


 亜麻色の髪をした15・6歳の少女が、ダイの気持ちを落ち着かせるように言う。


「そうそう、シロヴィンの言うとおりさ。だからあんたよりも気が短いあたいだって、いい子ちゃんでここに何日も居座っているんだぜ?

 ダイはいつも言ってじゃないか、『何事にも機がある』って。無駄に焦るよりも、あたいたちが犬死しないような作戦を考えておいておくれよ?」


 茶髪碧眼で体格のいい女性が、大剣の鞘を撫でながら言う。二人にもそう言われ、ダイは髪をかき上げて、


「……うん、シロヴィンやコアの言うとおりだな。ぼくは焦っているのだろう。夢寐にも忘れたことのない『魔王』に、もう少しで会えるんだからな。

 分かった、ぼくは『魔王』を倒すためにここに居るんだ。そのことだけに集中しよう」


 そう言って笑う。


 それを見て、新緑の髪を持つ少女、マロン・デヴァステータは、ニコニコしながらダイに言った。


「ダイ、少しは落ち着いた? あなたがいままで才能を発揮する場所がなくて退屈していたのは知っているわ。でも、『勇士の軍団』別動隊を、あなたの考えで動かせば、『魔王』を倒すことができると信じているわ。


 わたくしはスコッチ・カッパーのところに行って、今後のことについて事前に話し合って来るから、それまでには考えをまとめておいてね?」



 こちらは『北の関門』から『暗黒領域』に入った『勇士の軍団』別動隊である。別動隊はスコッチ・カッパーが集めて指揮を執っている『遊撃軍団』1千5百と、マーターギ村村長のガン・スミスが引き連れている魔獣ハンター5百で構成された『猟兵軍団』からなっている。


 現在は、21年前の『魔王の降臨』の際、マイティ・クロウの副官として戦った経験を持つスコッチ・カッパーが臨時に両隊を統率していた。


 しかし、スコッチには一つの懸念があった。そしてその懸念というのは、別動隊の指揮官としては致命的ともいえるものだった。


(……やれやれ、ヒーロイ大陸で『遊撃軍団』を集めたはいいものの、千を超える規模の部隊指揮を執れる人間が誰もいないときたもんだ。

 かく言う俺だって、マイティ・クロウ様と戦った時は護衛部隊百人を指揮していただけだからなぁ……後方? 補給? なんだそりゃって感じだ)


「……『北の関門』までは、マジツエー帝国の正規軍が補給をしてくれたからよかったが、本隊と合流できなかったら、別動隊は立ち枯れちまうなぁ……」


 天幕の中でため息をつくスコッチだった。


 その時、天幕の外から、歩哨の兵がスコッチに呼びかける。


「軍団長殿、マロン・デヴァステータと名乗る女の子が訪ねて来ていますが?」


 スコッチは、最初聞き間違いかと思った。


「女の子? バカを言え、ここは『暗黒領域』だぞ。女性、それも子どもが一人でこんな所までやって来られるわけがないだろう?」


 スコッチがいぶかしがりながら天幕から出ると、そこには歩哨に連れられて12・3歳くらいの少女が立っていた。新緑の色をした髪の毛、翠の淡い光を放つワンピース……スコッチは21年前の経験から、この少女は人間ではなく、精霊か魔族の者だと考えた。


「……俺はスコッチ・カッパー。そなたは何者だ?」


 するとマロンは、輝くような笑みを浮かべて名乗った。


「わたくしはマロン・デヴァステータ。ジン・ライム団長の命を受けてドッカーノ村騎士団先遣隊を率いているわ。今日はちょっとあなたに提案があってやって来たの」


 スコッチは『ジン・ライム』の名を聞くと、表情を緩めた。


「おお、マイティ・クロウ様のご子息の団員さんかい? ジン団長さんとはウミベーノ村で出会って以来だから、知り合ってもう1年くらいになるのかな。

 俺に提案があるって? 遠慮せずに入った入った」


 スコッチは気軽にマロンを天幕に招き入れると椅子を勧め、自分も座って訊く。


「お話を聞こうか。どんな提案だい?」


 するとマロンは、笑顔のままズバリと言った。


「参謀と部隊指揮官と後方幕僚はご入用じゃないかしら?」


 それを聞いて、スコッチは反射的に笑ってしまった。


「はは、ははは……マロンさん、あなたが何者かは知らないが、千を超える部隊を指揮できる人間はそうそう転がっていないよ?」


 マロンは笑顔を消さずに答える。


「そうですわね、それは認めます。けれど、わたくしが紹介する人物はダイ・アクーニンとその仲間だ、と言ったらどうします?」


「ダイ・アクーニンと言うと、強大なマジツエー帝国の艦隊を、弱小のトオクニアール王国艦隊を率いて破ったっていう男かい?」


 スコッチが訊く。俄然興味をそそられた顔をしている。


 マロンはうなずいて、


「それに、半年ほど前は2千の山賊を率いて、マジツエー帝国の1個軍団を全滅させているわ。ちょっと扱い辛い人物かもだけど、能力はわたくしが折り紙を付けるわ。

 それに彼の仲間には傭兵隊長や、後方専門家もいるわ。あなたがうんと言えば、わたくしも含めてその三人があなたに協力するんだけど?」


 そう言う。スコッチは考え込んだ。心を動かされた顔をしている。


「……ダイ・アクーニンは、その実績から登用はされても信用はされないわ。その点、あなたは21年前の実績から人望がある。二人が手を組んだら、『伝説の英雄』であるジン・ライム様のためになるのよ。そう思わないかしら?」


 あと一押しだと感じたマロンは、そう言いながら懐から1通の封書を取り出す。それをスコッチに手渡しながら、止めの言葉を言った。


「賢者スナイプ様の推薦状よ。もちろんこのことはスピリタス侯もご存じだわ」


 スコッチは封書を受け取り、書簡を読んだ。そして笑いながらマロンに言った。


「分かった。俺の『遊撃軍団』の進退は、ダイ・アクーニンに任せるぜ」


   ★ ★ ★ ★ ★


 ドッカーノ村騎士団先遣隊に、『暗黒領域』をよく知る人材がいる……そのことを知った『勇士の軍団』本隊の指揮官であるスピリタス侯は、すぐさまシール戦士長と話し合い、瘴気が広がっていない場所まで部隊を移動させた。


「我らは、『勇士の軍団』遊撃隊と連絡を取り、遊撃隊の進出に合わせ進撃を再開する」


 これが、丘の上に陣地を作った後に発せられた命令だった。


「ま、これが安牌さ。ボクでも同じやり方をするだろうね」


 割り当てられた陣地に『ドラゴン・シン』を進入させた後、ド・ヴァンさんは僕たちを招いて開いたお茶会の席上、そう言って肩をすくめる。


「団長くんとしては、一刻も早く『約束の地』に至り、マイティ・クロウの安否を確認したいだろうけれど、こればかりは仕方ないと思うしかない。

 ボクたちは『暗黒領域』については何も知らないんだ。下手に突出しても、何の成果も得られないどころか、命まで無駄に危険に晒すことになる」


 ド・ヴァンさんはそう言ってくれるが、僕は実のところ、もうそんなに焦ってはいなかった。賢者マーリン様からワインが聞いたという『魔王が実体を持つまでの猶予期間』はもうすぐそこまで迫っている。ワインが転移魔法陣で僕を『約束の地』に放り出してくれない限り、もう間に合わない。そしてそんなことに賛成するワインではない。


「……正直、父や母、そしてエウルア伯母上に会いたいとは思いますが、それも運命でしょう。『魔王』が実体を手に入れていようがいまいが、もう関係ないです」


 僕がそう答えた時、天幕の外から声がした。


「ド・ヴァン団長、シール戦士長様です!」


 それを聞いて、和やかだった天幕の雰囲気はいっぺんに緊張する。さすがのド・ヴァンさんも居住まいを正して立ち上がると、歩哨に命令する。


「分かった。お通ししろ!」


 僕たち全員が立ち上がっている天幕の中に、シール戦士長は単身で入って来た。


「シール戦士長殿、急なお運びは何事でしょう。何か起こったのでしょうか?」


 ド・ヴァンさんの問いに、シール戦士長はうなずくと、僕とラムさんを見て微笑み、


「遊撃隊と急いで連絡を取らねばならないが、途中に化け物が巣喰っていることが判った。

 詳細は、逃げ帰って来た伝令に話を聞いているところだが、ジン団長殿と『ドラゴン・シン』に討伐と遊撃隊への連絡をお願いしたいのだ」


 それを聞いて、ラムさんが異議を申し立てる。


「ち……シール戦士長殿、『勇士の軍団』は『伝説の英雄』と共にあるものではないのですか? なぜジン様を遊撃隊への伝令に?」


 シール戦士長は一瞬言葉に詰まったが、


「マロン・デヴァステータ様のご所望だそうだ。何か深いお考えがあるに違いない。大丈夫だ、ラム。我ら『右鳳軍団』は、たとえどれだけ離れていようと、ジン・ライム殿のために戦うのみだ」


 そう答える。


 ラムさんはさらに何か言いたそうだったが、


「分かりました。その伝令の話を聞かせてもらえますか?」


 僕はラムさんを抑えてそう言う。ド・ヴァンさんも、その場にいる幹部団員を見て、


「団長くんが出ようが出まいが、ボクたち『ドラゴン・シン』の出番であることは間違いないね。マディラ、ついて来てくれ」


 そう命令する。


 結局、シール戦士長に僕たちドッカーノ村騎士団全員、そしてド・ヴァンさんとマディラさんが、『右鳳軍団』の本陣へと向かった。



 僕たち本隊がいる場所と、遊撃隊がいる場所は、およそ20マイル(約37キロ)ほど離れているらしい。思ったよりも近いのは、『北の関門』からの街道は『瘴気の密林』の南側へと向かっており、『東の関門』からの街道と合流する地点に向けて大きく北へと向きを変えるからだ。遊撃隊はその『大屈曲点』に位置しているらしい。


 ただ問題は、そこまで直線で行こうとするとほぼ全過程が沼地を通ることだ。瘴気が立ち込める中、不確かな小道を探し、時には沼地に橋を架けながら進むことは、言うは易し行うは難しだ。


(こんな時、レイラさんがいれば、沼地を凍らせながら進むって手も取れただろうに)


 今更ながら、『テモフモフの遺産』たちとの戦いでレイラさんを失ったことが惜しまれる。いや、ウォーラさんやガイアさん、そして賢者スナイプ様がいれば、物事はもっと円滑に進んでいたことだろう。


 とにかく僕たちは、ド・ヴァンさんが持っている地図を眺めて、どうにかいいルートはないかと考え込んだ。


「……伝令の報告によれば、彼が通ったルートは、沼地とはいえあまり水はなく、ただ膝まで泥に沈むところが多かったようだ。一応、工作隊には資材を持たせて追及させるが、かなり戦い辛い地形だな」


 ド・ヴァンさんが言うと、マディラさんも、


「伝令の言う『化け物』が、どういうものなのかが分かりませんね。全長が10メートル以上もあるなんて、この辺りに多いポイズンオオルにしては大き過ぎますし……」


 そう言って不安そうな顔をする。


「……伝令の話では、そいつは鱗を持っていたそうだ。ポイズンオオルは鱗を持たないし、特有の粘膜質の表皮とは違っていたと言っている。考えられるのはドラゴン類かサーペント類だね。ただ、瘴気の中に棲むドラゴンとか聞いたことがない。恐らく、アクアサーペントの亜種だろうね」


 ワインがそう言うと、ド・ヴァンさんが、


「ふむ、毒を持つサーペントはかなりの種類がいるからね。恐らくワインの見立てはそう外れちゃいないだろう。

 よし、それじゃ対サーペント装備に5日分の糧食を持って出発しようか」


 そう決断した。


 ド・ヴァンさんは準備に2日かけ、3日目の明け方に進発するつもりだった。しかし、シール戦士長から、


「『ドラゴン・シン』は遊撃隊の方に配置を替えるつもりだ」


 と聞き、慌てて最前線補給所で輸送の指揮を執っている管運料のメアリー・ブラッドレイさんを呼びつけ、配置転換による補給路の変更など所要の処置を取ったため、出発日は5日目になった。


「……北の街道が途中で東の街道と合流するから助かった。まったく違うルートを取るなら、補給線そのものを作り直す必要があったからね。

 しかし、マロン様も精霊王だったのなら、軍事的な素養は身に着けていらっしゃるはず……なぜ、こんな混乱を招きかねないご要望をされたんだろう?」


 ド・ヴァンさんが不思議そうに言うと、


「マロン様はジン団長のことを気に入られていたけれど、ただそれだけの理由で側に呼ばれることはないはずですよね?」


 ソルティさんも首をかしげている。


 ただ、マディラさんとワインだけは、何かに思い当たったように顔を見合わせている。


「マディラとワインは、マロン様の胸の内を推し量れたようだね? 聞かせてくれないかい、君たちの考えを?」


 ド・ヴァンさんがニヤリとして訊くと、ワインは黙って肩をすくめる。まるでマディラに、『キミが先に話すといい』と言っているようだ。


 マディラはため息をつくと、仕方なくといった感じで話し始める。


「マロン様はアルケー・クロウと何らかの関係があると聞いています。そのアルケー・クロウはジン団長を狙っています。

 マロン様はジン団長を側において、アルケー・クロウから守ろうと考えられているのではないでしょうか?」


 ド・ヴァンさんはうなずくとワインを見る。ワインは肩をすくめて、


「やれやれ、どうしても言わなきゃダメかい? ボクとしては、『約束の地』に着く頃にはいろんな答えが出ていると思うけれどね?」


 そうぼやくと、ド・ヴァンさんは薄い唇を片方だけ上げて、


「聞きたいなぁ。それによってはボクたちの行動も変わって来るからね」


 そう言ってワインをせっつく。ワインはため息を吐くと、


「ボクの個人的見解だ。そのつもりで聞いてくれ。そして口外無用だよ」


 そう念を押した後、とんでもない考えを口にした。


「……マロン様は『左龍軍団』と『右鳳軍団』を囮に使うつもりではないかな? すなわち、亜人で構成された本隊の戦闘力と21年前に勝ち得た名声で敵を引き付け、敵から見れば吹けば飛ぶような『遊撃軍団』と『猟兵軍団』で『約束の地』に踏み込むつもりじゃないだろうか」



『マロン様は『勇士の軍団』本隊を囮にするつもりでは?』


 ワインの意見を聞いた全員が、一瞬呆気に取られた。『伝説の英雄』は『勇士の軍団』と共にあるべきであり、左龍・右鳳の両軍団は、『伝説の英雄』直接指揮下で戦うことを誉れとしてきた過去がある。


「ばっ、バカな。『伝説の英雄』は『勇士の軍団』を指揮し、魔軍と正々堂々の大会戦を行って蹴散らし、『約束の地』に至るべきだ。

 現に、今まで数多の『魔王の降臨』を阻止してきたが、『伝説の英雄』がその本陣を左龍・右鳳軍団以外に置いた事例はないぞ!?」


 ラムさんが叫ぶように言うとウォッカさんもたくましい腕を組んで、


「『伝説の英雄』は戦士の中の戦士、将帥の中の将帥。『伝説の英雄』の側で散ることができてこそ、左龍・右鳳軍団兵たちの士気も上がる。

 『伝説の英雄』が一時的に『遊撃軍団』と共に進んだという事例すらない。そのことを知らぬマロン・デヴァステータ様でもあるまい」


 そう言うが、ド・ヴァンさんとマディラさんは何かを考えている。


 ワインは、笑ってラムさんとウォッカさんに言った。


「ラムさん、思い出してくれ。今、マロン様の側にはダイ・アクーニンがいることを。

 彼なら、そんな掟破りの策を思いついても不思議じゃない。目標を達成するには手段を択ばず、過去にも縛られない男だからね」


 ラムさんは緋色の瞳を持つ目を細めた。


「……確かに、あいつならそんな策を考えつくだろうな。私はあいつが仲間の山賊2千を囮にしてマジツエー帝国の1個師団を全滅させたとき、『こいつは人非人か』とすら思ったぞ」


 嫌悪感を露わにするラムさんに、ワインは薄く笑って言った。


「ボクも彼のことは嫌いだが、あの才能は認めている。敵に回したら厄介この上ないが、仲間だったら心強い。

 確かに、扱い辛いところはあるけれど、仲間のことをそんなに悪し様には言わないようにね? 陰口なんてキミらしくないよ」


「むむ……分かった。しかし、どうしても左龍・右鳳軍団を敵の引き付け役にするという使い方は納得がいかん。『遊撃軍団』にもしものことがあったらどうするつもりだ!?」


 ラムさんはそう言ってまだ怒っている。ワインはため息をついて、


「はぁ……言っているだろう? これは僕の個人的見解だ。ダイ・アクーニンならそんな作戦を立てても不思議じゃないってだけさ。

 第一、本隊にはスピリタス侯やシール戦士長殿もいらっしゃるし、参謀だって名の知られたお方がいらっしゃる。『遊撃軍団』の参謀であるダイがそんな提案をしたとしても、受け入れられるとは思えないな」


 ワインがそう言うと、ラムさんはやっと怒気を収めた。


 しかし、僕はワインの考えは存外無視できないとも思っていた。確証がないので口には出せないが、僕に『遊撃軍団』への使者を頼みに来たシール戦士長殿の態度や、その後に『ドラゴン・シン』を遊撃部隊に配置換えをしたところから、


(……もしかして、マロン様とスピリタス侯の間に、何か戦略上の合意でもできたか?)


 そう感じていたからだ。


「まぁ、とにかくまずは『遊撃部隊』と合流しないとな。

 団長くん、良ければ少し君の護衛について話をしたいんだが、ちょっといいかな?」


 ド・ヴァンさんは、マディラさんに何か指示を出した後、僕に向かってそう言ってきた。


 そのまま僕は、ド・ヴァンさんの本部になっている幌馬車に連れられて行った。


「帰りかけていたところを呼び止めて済まない。だが、発向前にぜひ君と話しておきたいことがあったんだ」


 ド・ヴァンさんは、身振りで僕に椅子を勧めながらそう言い、自分も机に肘をついて目の前で両手を組んだ。


「……さっき、ワインが話していたことですか?」


 僕が訊くと、ド・ヴァンさんは片方の頬だけで笑い、


「ああ、やっぱり君も、ワインの『個人的見解』に薄々同意しているんだね?

 今回の『魔王の降臨』には、アルケー・クロウや『運命の背反者(エピメイア)』が絡んでいる。これは前回までの『魔王の降臨』にはなかった条件だ。


 より詳細に分析すれば、エピメイアが絡んだ『魔王の降臨』は今回が初めてだ。だから、マロン様は大事を取って、ダイ・アクーニンに『絶対不敗の作戦』を諮問したんだと思う」


 そう言って僕の眼を覗き込むように見つめてくる。


「……その作戦が、ワインが言ったものだと?」


 僕が訊くと、ド・ヴァンさんは薄く笑ってうなずく。


「団長くん、チェスに『キャスリング』って手があるのを知っているだろう?」


「ええ、キングとルークを入れ替える手ですね?」


 僕がうなずくと、ド・ヴァンさんは、鋭い目で虚空を睨みながら、


「ああ、ダイ・アクーニンはワインが言ったとおり、勝つためにはどんな手段でも取るし、どんな犠牲もいとわない男だ。

 武勇の名が高い左龍・右鳳の両軍団で敵を引き付けておいて、手薄になった敵を『猟兵軍団』でかき回し、『遊撃軍団』で止めを刺す。


 その止めこそが、『遊撃軍団』と共にいる団長くんと、ボクたち『ドラゴン・シン』って寸法だろう。そのためには、左龍・右鳳両軍団6千をすり潰しても構わない……ダイなら、そう考えても不思議じゃない」


 淡々とそう言った後、ド・ヴァンさんは静かな笑みに闘志を湛えて僕に言った。


「ま、すべてはマロン様にお会いすれば判ることだ。

 だが団長くん、これだけは確かだ。わが『ドラゴン・シン』は、最後まで君を守り抜く。だから、心おきなく戦ってほしい。君たちの後ろは、ボクが守る」


   ★ ★ ★ ★ ★


「えっ、ジン・ライム団長を!?」


 こちらは『北の街道』上で大休止している『遊撃軍団』と『猟兵軍団』である。両軍団長のスコッチ・カッパーとガン・スミスは、自分たちの上官としてスピリタス侯から指名された元精霊王マロン・デヴァステータの言葉を聞いて驚愕する。


 マロンは二人の軍団長とその幕僚に、


「本隊にいるジン・ライム団長と彼の騎士団、そして『ドラゴン・シン』を遊撃部隊に加え、わたくしが遊撃部隊司令部護衛隊として直接両騎士団の指揮を執ります。

 むろん、遊撃部隊はそのままわたくしの指揮下にあります。そのことを承知して置いてください。


 なお、ジン・ライム団長がこちらに所属することは最重要機密事項です。魔軍、特にエピメイアに知られてはいけません。そのことを部隊全員に周知しておいてください」


 そう、きつく言い渡したのだ。


「分かりました」

「承知いたしました」


 軍団長二人はそう言ってマロンの前を下がったが、


「どういうことだ? わしも『魔王の降臨』の歴史はある程度知っておるつもりだが、『伝説の英雄』が『勇士の軍団』の本営を離れて行動するというのは前代未聞だぞ?」


 ガン・スミスが小声で言う。


 スコッチも、


「俺もだ。前回の『魔王の降臨』では、マイティ・クロウ様は最初から最後まで、スピリタス様やシール様と行動を共にしていた。『決戦の荒野』で魔王のもとに突撃されるまではな。だから、マロン殿の言われることの意味がよく分からない」


 そう小声で返して首を振る。


「いや、それは簡単なことではないか? おぬしとわしの軍団で『伝説の英雄』と共に『決戦の荒野』に乗り込むということだろう?『決戦の荒野』とはどんな所だったんだ?」


 ガン・スミスの問いに、スコッチは恥ずかしそうに頭を掻き、


「いや、それがな? 前回の『魔王の降臨』では、俺は『遊撃軍団』を指揮したはいいものの、援軍に駆け付ける魔軍たちを『決戦の荒野』から引き離す役割に終始していたんだ。


 だから、俺が『決戦の荒野』に入った時には、戦はあらかた終わっていた。後は退却するスピリタス様やシール殿を援護して、『瘴気の密林』まで後衛戦闘さ。そこで、俺が指揮していた『遊撃軍団』はほぼ全滅しちまったけれどな」


 そう答えて続けた。


「あの時、『勇士の軍団』本隊は1万もいた。俺の『遊撃軍団』も5千で戦いを始めた。

 だが、『黒の種族』との小競り合いで本隊は1千、俺の方は3千5百も失った。

 それでも、『決戦の荒野』にたどり着いた時には本隊は8千もいたんだ。その代わりを、俺たち2千でできるわけがないだろう?」


 それを聞いたガン・スミスは、真剣な顔でスコッチに言う。


「なるほど、わしも覚悟を決めんといかんだろうな。

 だが、わしは前回、トロールたちとの取り決めで『暗黒領域』に入れなかった。そのことについては深く責任を感じている。

 その責任を問いもせず、かえって村の危機を救ってくれたのがジン・ライム様だ。彼には大きな借りがある。わしの命でそれが返せるなら安いものだ。

 だから、どんな過酷な戦いでも、わしは避けるつもりはない。スコッチ、お前が怖気づいて前進しない場合でも、わしはハンター5百を率いて前進するだろうよ」


 するとスコッチは、憤慨したように言う。


「俺が怖気づく? バカを言え! ジン殿はマイティ・クロウ様のご子息で、俺が住んでいたウミベーノ村を悩ます怪物を退治してくれたお方だ。

 俺だってジン殿には恩義がある。だが、事の成否を考えずに突っ込んでも、かえってジン殿が不利になるって言いたかったんだ!」


 それを聞いて、ガン・スミスはニヤニヤしながら答えた。


「ふむ、そこのところは心配しないでもいいんじゃないか? あのダイ・アクーニンが、わざわざ負け戦を立案するとは思えんし、仮にわしらが負け戦に投入されるとしても、奴のことだ、どこかで帳尻を合わせて勝ちをもぎ取りに行くだろうよ」



 一方、マロンは自身の帷幕としている幌馬車の中で、ダイ・アクーニンとその仲間たちに話をしていた。


「……ダイ、あなたの言うとおりジン様と『ドラゴン・シン』をこちらに寄越してもらうことにしたけれど、エピメイアのことだわ、きっとジン様がこっちにいることには気づくと思うの。

 あなた、一体何を考えているの? そろそろ教えてくれてもいいんじゃないかしら?」


 マロンが頬を膨らませて訊くと、ダイは薄く笑って言う。


「マロンさん、『掎角きかくの計』って知っているか?」


「……角を取ろうとして逃げれば脚を取る、脚を取ろうと蹴り上げれば角を取る……鹿を獲るようにする作戦ね? それが?」


 マロンが答えると、ダイは笑って


「さすがはマロンさん、精霊王は何でも知っているな? で、ジン殿がこっちにいるって知ったら、魔王は魔軍をこっちに向けるだろ?」


 そう言うと、マロンはうなずいて、


「当然の助動詞ね。で?」


 先を促すと、ダイは半眼になって自分の考えを述べた。


「ジン殿は強いし、『ドラゴン・シン』の強さも知れ渡っている。魔軍もその主力をこちらに向けたいだろう。

 だが、もっと恐ろしい『勇士の軍団』に横腹を見せて、魔軍が主力をこちらに向けられると思うかい?

 魔王は、『勇士の軍団』を抑えるに足るだけの部隊を割かざるを得ないはずだ」


「……こちらに来る部隊も、『勇士の軍団』本隊に向かう部隊も、中途半端にならざるを得ないってことですね?

 でも、もし魔王が不利を承知でこちらに全軍を向けてきたら?」


 マロンの問いに、ダイはくすくす笑って言った。


「ふふ、マロンさん、こっちはジン殿さえ守ればいいんだ、『戦士の誉れ』なんか知ったことか。その時は尻に帆掛けて『勇士の軍団』本隊に加わるだけさ。

 そんな正々堂々の戦いになったら、ぼくはお役御免。作戦はド・ヴァンやワインに任せて、ぼくは魔王に掛からせてもらうよ」


 そんなダイを見ながら、マロンは秘かに心配し、


(アルケー・クロウはジン様の味方。でも、エピメイアに通じている可能性は否定できない。アルケーがジンを倒そうとする場合、最も効果的なのはエピメイアをこちらにけしかけること……)


 そう、『プランB』を頭の中で描き始めていた。


「それでさ、マロンさんに提案があるんだ」


 ダイが笑顔のままマロンに話しかける。


「何かしら?」


 マロンが訊くと、ダイはニコニコしながら言った。


「ぼくたちは本来、『遊撃軍団』に所属している。だからさ、ジン殿や『ドラゴン・シン』が着いたら、マロンさんはドッカーノ村騎士団を幕僚にしなよ。

 ぼくたちはスコッチさんを助けて、魔軍をきりきり舞いさせてやるからさ。その方が、ぼくの才能が活かせると思うんだよね。マロンさんもそう思うだろう?」


 その提案を聞いて、マロンはダイが考えていることを理解した。


(なるほど、ジン様もダイにとっては囮なのね。ジン様と『勇士の軍団』を囮に使い、自身で魔王の隙を突こうって考えなんだわ。

 でも、アルケーやエピメイアがいるのに、そう上手くいくかしら? ここはダイを止めるべきなんじゃ……)


 マロンは迷った。彼女にしてみれば『魔王の降臨』は一大事ではあるものの、『摂理の黄昏』に比べれば些事である。それを止めるためにはジンとアルケーが手を結ぶことが絶対条件だと考えている。『魔王の降臨』などでジンを危ない目には遭わせたくないというのが本音だった。


 そこで彼女が下した決断は、元精霊王らしく非情なものだった。


(……ダイは魔王への復讐だけで生きて来た人物。だからジン様の安全すらも度外視した作戦を立てる。彼は排除されるべきだわ。それもジン様にとって最も有利な状況で。

 恐らく彼はアルケーやエピメイアを考慮に入れていない。だが、戦局の回しようによっては彼と魔王を相討ちにさせることはできるわ……)


 そう考えたマロンは、にこやかに応じた。


「わたくしも、ダイの才能を十二分に発揮させるにはその方がいいと思うわ。ジン様たちが到着したら、そのように手配します。スコッチも有能な戦士だから、彼をしっかり助けてあげてくださいね?」



 『勇士の軍団』の内部も、スピリタスやシールなどの正統派指揮官、ダイ・アクーニンという異端の作戦家、マロン・デヴァステータという先を見通せる元精霊王などで思惑がすれ違い、決して一枚岩ではない様相を呈し始めていたが、魔軍……エピメイアとアルケーの方でも、同盟関係にあるとはいえ疑心暗鬼の状況にあった。


 しかし、中でも一番の『不規則弾』はアルケー・クロウだった。彼が目覚めさせた魔王が全員の思惑を見事に外れさせ、誰もが思ってもいなかった展開へと導いていくのだった。


「……やあ、魔王、21年ぶりだね。君が世界を掌握する時期が来たんだ。思う存分暴れて、人間という愚かな存在をこの世界から抹消するんだ」


 白髪に緋色の眼をした細身の男アルケー・クロウ。『魔族の祖』と呼ばれるその男は、薄い微笑を浮かべながら、目の前に立つ戦士に語りかける。


 その戦士は銀髪を熱風になびかせながら、翠の眼をアルケーに向けて訊く。


「……アルケー様、お久しぶりです。今回の『魔王の降臨』で、人間という種族をこの世界から消し去って見せましょう。それで、何か私にご指示でもございますか?」


 アルケーは、一振りの剣を魔王に手渡しながら言った。


「意気軒高で何よりだ。これはエピメイア様から下げ渡された魔剣『パラグラム』だ。俺たちにはエピメイア様が付いている。何も恐れることはない」


 魔王は魔剣を受け取りながら、


「おお、これなら人間どもはもとより、『伝説の英雄』すら鎧袖一触にできそうですな。

 では、魔軍がそろい次第出陣します。『勇士の軍団』はどこにいるでしょう?」


 そう、いかつい顔をほころばせて訊く。


 アルケーは、不気味な笑いを浮かべて、魔王も驚く指示を出した。


「ふっふっふっ、『勇士の軍団』を気にする必要はない。『伝説の英雄』は今、『勇士の軍団』本隊にはいない。


 本隊は『瘴気の密林』に50マイルほど入り込んだ所で立ち往生している。そこから北西に30マイルほど離れたところに『勇士の軍団』の遊撃部隊がいる。兵力は約3千。

 『伝説の英雄』であるジン・クロウもそこに居る。だから君は、魔軍の全力でもって敵の遊撃部隊を強襲すればいい。本隊の方は俺が始末する」


 それを聞いて、魔王は漆黒の魔力を迸らせ、


「……了解いたしました。では、すべての魔族に栄光をもたらさんことを!」


 そう言いながら姿を消した。


 次に魔王が姿を現したのは、『決戦の荒野』だった。ここは比高5百メートルほどの絶壁台地である『約束の地』を中心に、半径50マイル(約93キロ)に及ぶ盆地になっている。もちろん、砂と岩だらけの土地であり、域内には数か所しかオアシスはない。


 そこに、数万の軍隊が集っていた。魔王を守り、魔王の手足となる親衛連隊……パンテル連隊、ティーゲル連隊、シール連隊、ワイバーン連隊、ゴート連隊、イーグル連隊、サラマンダー連隊、トロール連隊、ギガント連隊など、同一種族で構成された連隊が13個・52個大隊である。


 それらの部隊を前にして、魔王は遂に命令を下した。


「我は目覚めた。世界は我ら魔族の前にひれ伏すであろう。まずは『伝説の英雄』を血祭りに挙げ、『勇士の軍団』を蹴散らす。全軍進発せよ!」


 魔王の号令一下、続々と魔軍がオアシスを離れていく様を見ながら、


「……さて、エピメイアにはまだ眠っていてもらおうかな。そのためには、僕自ら指揮を執り、ジンたちを討伐するとでも説明しておくか」


 アルケー・クロウはせせら笑って、その場から姿を消した。



「ふーん。魔王はちゃんと目覚めたのね?」


 『暗黒領域』の奥深く。まだ誰も人間が到達していない場所に、昔は『運命の供与者』、今は『運命の背反者』と呼ばれ、自らは『摂理の超越者』と名乗っているエピメイアの本拠地の一つがあった。


 もともとエピメイアは、世界の根源と言われる『虚空ヌル』が産んだ女神の一柱である。双子の姉で『摂理の調律者』と呼ばれているプロノイアと共に『摂理の二柱』と呼ばれていた。


 世界に生まれてくる生命が摂理に反していないかを判定し、その種族や個体としての運命を授ける役割を担っていが、ある時摂理そのものに矛盾を感じ、『完全なる摂理』を求めて姉プロノイアの許を去った。


 彼女が、最初の人工生命体ホムンクルスであるアルケー・クロウを錬成し、木々の精霊王マロン・デヴァステータと共に世界の謎や『虚影の空』の秘密を探っていたが、やがてそのマロンとアルケーによって封印された過去を持つ。


(私がこうして目覚めたことこそ、摂理が不完全な証拠。真実の世界なら封印の魔力が減衰することはないはずだから)


 エピメイアはそう信じ、『摂理の黄昏』を惹き起こす機会を窺っていた。そして今、遂にその機会を得たのだ。


「今度の魔王は、人間を世界から駆逐できるかしら?」


 エピメイアは、摂理の不完全さを人間が存在するためだと結論付けていた。新たな摂理の世界、永遠が支配する世界には、人間などという不合理で不完全な存在は必要ない。


 アルケーは、うっすらと笑みを浮かべて答える。


「それはもちろん。あなたが生み出した私の作品ですよ?」


 アルケーの言葉に、エピメイアは満足そうにうなずく。


「ジン・クロウの居場所も判っています。魔王には魔軍全力でそれに当たらせ、俺は邪魔な『勇士の軍団』を消滅させます。エピメイア様は、ここで新たな世界について準備を進めてください」


 アルケーが言うと、エピメイアは上機嫌にうなずいたが、


「それは頼もしいわ。でも私は、万が一プロノイアが動いた時のために、四神を牽制しておきましょう。エレクラはああ見えて、結構小狡いところがあるから」


 そう言いながら立ち上がった。


   ★ ★ ★ ★ ★


「……ついに動き始めたか……」


 この世界の摂理をプロノイアに代わって見守っている四神……土の精霊覇王エレクラ・ラーディクス、風の筆頭精霊王ウェンディ・リメン、火の精霊王アリス・ヴェルファイア、そして水の精霊王マーレ・ノストラムは、ここしばらく自分の『異界』には戻らず、世界を見渡せる異界にある『神殿パンテオン』に詰めていた。


 神殿の中央にある巨大な水晶玉を見ていたエレクラは、魔軍の進発を確認すると、沈痛な面持ちでそう言って、部屋に詰めている三人に向き直る。


「諸君、見てのとおりだ。エピメイアはアルケー・クロウを使って魔王に実体を与え、遂に魔軍が動き出した。

 今出撃したのは3万弱の兵力だが、ジン・ライムを亡き者にしたら、軍勢を挙って両大陸の制圧に乗り出すだろう。

 我々はそれを座視するわけにはいかん。かねて打ち合わせていたとおり、各精霊王は手勢を率いて適切な措置を取るよう、精霊覇王として助言しかつ依頼する」


 白い長髪に整った顔立ち、黄金色の瞳をしたエレクラの言葉に、黒髪をセミロングにして耳の横だけ三つ編みにした15・6歳の少女、ウェンディが手を挙げて訊く。


「状況は分かったよ。でも()()()()、エピメイアが動く前にボクたちが動いちゃっていいの? そりゃあ、『先んじるは人を制す』というけど、それってプロノイア様の許可が要るんじゃない?」


 エレクラは残りの二人を見る。アリス・ヴェルファイアが眉を寄せて訊いた。


「ワタクシは手下の者に命じて、ジン・ライムに対する支援を行ってきましたが、エレクラ様からの注意を受け、フェンリスもヴォルフも、セレーネも下がらせました。

 先ごろ話し合った協定では、今後はエピメイアに対して完全に敵対行動を取ることになりますが、フェンリスたちを再び『暗黒領域』に派遣しても構わないのでしょうか?」


 アリスに続いて、マーレが疑問を質す。


「マロン・デヴァステータ様がジン・ライム殿と行動を共にしておられます。わたしたちはマロン様と連携を取る必要があると考えますが、エレクラ様はいかがお考えですか?」


 エレクラは三人の疑問を聞くと、黒い詰襟服の襟を少し緩めて、


「ふむ……まずはウェンディの疑問から答えよう。


 プロノイア様としては、『魔王の降臨』は摂理の範囲内の出来事でもあり、予定調和の世界であるため手出しは控えるようにとのお達しだった。これはみなも知ってのとおりだ。


 しかし、『摂理の黄昏』は摂理への挑戦であり、特にエピメイアの動きが見えた場合、直ちに必要な処置をすべきとのお考えだ。


 私はジン・ライムが『暗黒領域』に入って以降、ラインを派遣して常にジン及び彼の騎士団並びに関係者の動向をプロノイア様に報告していた。

 その中で、『テモフモフの遺産』の動きについては、明らかにエピメイアが策動したという証拠が取れたため、エピメイアが『摂理の黄昏』を惹起する可能性が高まった。


 ゆえに、今後はエピメイアの動きの有無に関わらず、『魔王の降臨』を阻止するために必要最低限の支援をジン・ライムに与える許可を下されている……ウェンディ、そういうことだ。早速お前には『暗黒領域』に行ってほしい」


 エレクラの答えを聞いたウェンディは、頭の後ろで腕を組んで、


「なーるほどね☆ じゃあ、エピメイアとケンカできる可能性だってあるんだ♪

 分かったよじいさん。そういうことなら、ボクは喜んで団長くんの援護をしよう」


 そう言うと、アリスに向かってウインクして、


「アリス、フェンの仇は取ってやるよ。あ、もし君が自身で仇を取りたいなら、ボクはこの役割を譲ってもいいけど?」


 そう言うと、エレクラに向かって何か言いたそうにしていたアリスは、立ち上がると


「ワタクシに譲っていただけるとは恩に着ますわ、ウェンディおば様。


 エレクラ様、ワタクシは四神の中でただ一人、マジツエー帝国に拠点を置いています。つまりはジン様への支援も他の精霊王より容易くできますので、ウェンディ様とワタクシの役割を交替してよろしいでしょうか?」


 エレクラは少し考えていたが、うなずいて答えた。


「うむ、認めよう。それに関連して、お前の質問についてだが、現状では必要最小限の行動を認める。事態の推移に応じて、必要な軍事的行動も認める。


 ただし、エピメイアが自身で出てきた場合、いかなる理由があっても単独での攻撃行動は禁ずる。それを約束できるなら、お前を四神の先鋒にしよう」


「分かりました。エピメイアが自身で出てきた場合は、エレクラ様にご報告のうえ対処いたします。願いをお聞き届けくださり、ありがとうございます」


 アリスがそう言って着席すると、エレクラはマーレに顔を向けて、


「マーレの質問に対する答えだが、マロンにはアルケー・クロウとの因縁があり、それはエピメイアとのつながりにも影響すると私は見ている。

 そのため、マロンの行動を私たちの行動で阻害するのも良くない。マロンにはマロンの考えがあり、マロンとアルケーとの『やり方』もあるはずだ。


 ここは、マロンに任せざるを得ないと私も、プロノイア様もそう考えている。

 よって、マロンから依頼があった場合は格別、それ以外は手出し無用だ。ただ、マロンの動向については、私とウェンディで常時、見守っておくことにする」


 そう答えたが、それは実質的に三人に向けて話されたものでもあった。


 マロンとの連携については、ウェンディやマーレが不服そうにしていたが、プロノイアの意向となると反対もできず、


「……ちぇっ、プロノイア様も案外ケチだなぁ。ま、いっかぁ~☆ とにかくボクはマロンとの連絡を絶やさないようにしておくよ」


 ウェンディがそう言って席を立つのをしおに、アリスもマーレも席を立ち、それぞれの『異界』へと帰って行った。



 誰もいなくなった広間で、エレクラは目を閉じて座っていたが、不意に、


「……あなたが来るのは珍しい。『摂理の黄昏』への流れを決定づけた責任を取りに、出頭されに来たのですか?」


 目をつぶったままはっきりとした声で言う。


「ふふ、やはりエレクラは侮れないわね。でも残念、私は出頭しに来たんじゃないわ」


 柱の陰から現れたのは、12・3歳の少女だった。白髪ロングの髪に銀の髪飾りを付け、淡い青色の布を無造作に身体に巻き付けている。腰には銀の太いベルトを締めていた。


「それは残念です。『摂理の二柱』と呼ばれていたことを思い出し、改心されたかと思いましたが……それで、何の用事でしょうか、エピメイア様?」


 エピメイアは、エレクラが座る円卓の反対側にやって来ると、微笑んで訊いた。


「お姉さまは、私の討伐を命令したんでしょ?」


 エレクラは黙ってうなずく。まだ目を閉じ、腕を組んだままだ。


「いいことを教えてあげる。アルケーが目覚めさせた魔王、名前をなんて言うと思う?」


 エレクラはそのままの姿勢で、何も答えない。眉一つ動かさないエレクラに、エピメイアは興ざめしたような顔で言った。


「詰まんない人ね、せっかく楽しいことが起きるわよって知らせに来たのに」


「私にとって『摂理の黄昏』が厄介すぎて、他のどんな楽しいこともまったく興味を持てませんな」


 ぶっきらぼうにエレクラが答えると、エピメイアはラピスラズリのような瞳にサディスティックな光を宿して言った。


「バーボン・クロウって言うのよ、魔王の名前は」

「!」

 ジャンッ!


 エピメイアの言葉に反応したエレクラは、一瞬にして槍を呼び出し、エピメイアに斬り付けた。しかし、目の前の円卓が真っ二つになって転がっただけだった。


「……速いわね。さすがエレクラ、歳を取っても耄碌はしていないって訳ね。四神最強と言われるのも納得だわ。

 でも、私に手を出せるのはお姉さまか『虚空』だけよ? 『摂理の二柱』と四神は、お互いに『世界』の中では敵対しない……契約を忘れたわけじゃないわよね?」


 エレクラの背後から、首筋にレイピアを突き付けて訊くエピメイアだった。


「……バーボンを魔王にすることは、お前が指示したのか?」


 エレクラが訊くと、エピメイアは気分を害したように、


「お口の利き方には気を付けた方がいいわよ? さっきまでの丁寧さはどこに行ったのかしら? 最も紳士的な精霊覇王さん?」


 そう言うと、ねっとりとした声で先ほどのエレクラの問いに答えた。


「私が指示したわけじゃないわ。『大いなる風が止んだ時、親子が相討つことになる/枝の親が子を倒し、摂理の外を破壊する』って、お姉さまも言っているじゃない。


 アルケーがジンを倒すために魔王を作れば、それはバーボン・クロウしかありえないわ。あなたを倒すために、ウェンディ・ヴェントを魔王にするようなものね」


 エレクラは斬り付けたい衝動を何とか抑えた。そんなことをしても無駄だと言い聞かせたのだ。エレクラの槍がエピメイアを両断する前に、エピメイアはレイピアでエレクラの首を斬り、この場から逃げ出すだろう。


「動かないのは褒めてあげるわ。じゃ、そこで見ておきなさい、ジン・ライムが『破壊者』になる瞬間を」


 含み笑いと共にそう言って、エピメイアはその場から消えた。


 エレクラは、エピメイアの気配が完全に消えたのを確認すると、ほうっと息を吐いた。額には脂汗が浮かんでいる。


「あれがエピメイアかい? すごい奴だね、『摂理の二柱』って言われてただけあるね」


 そう言いながら、入り口からウェンディが入って来た。さっきまで抜剣していたのか、背中の鞘に大剣を戻しながら歩いて来る。


「斬りかからなかっただけお前も成長したな、呑兵衛娘」


 エレクラが言うと、ウェンディはペロッと舌を出して、


「えへっ☆ 実はエピメイアが消える寸前に入り口に着いたんだ。だから斬りかかるのを我慢したわけじゃないよ。間に合っていたら、後ろからザクッてやったかもね?」


 そう言うと、エレクラが何か言う前に両手を顔の前で振って、


「じょ、冗談だよ冗談。相手の力量くらいボクだって判るさ。

 あいつを倒すにはボクら四神が全員で掛かって、じいさん以外は奴にやられるつもりでないと勝負にすらならないだろうね」


 そう言った後、エレクラに問いかける。


「でも、あいつ気になることを言っていたね? ジン・ライムが『破壊者』になる瞬間を見ておけ、ってどういうこと?」


 するとエレクラは苦虫を噛み潰したような顔になり、


「アルケー・クロウが、バーボン・クロウを魔王として目覚めさせたそうだ。私はすぐ、プロノイア様にこの件を報告して善後策を考えて来るから、お前はこのことをアリスとマーレに知らせてくれ。


 特にアリスには、『ジン・ライムに破壊者の兆候が現れたら、その場で捕獲しろ』と伝えてほしい。頼んだぞ」


 そう言うと、エレクラはプロノイアに会うために時空移動の魔法を発動した。


「……そんなぁ、団長くんが『破壊者』になっちゃったら、エピメイアを倒しても意味ないじゃないか……何とかならないのかな?」


 エレクラの話を聞いたウェンディは、悲しそうな顔でそうつぶやいていた。


   (沼地の怪物を狩ろう!後編に続く)

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

遂に魔王が実体を持ちました。バーボンの姿となった魔王と、果たしてジンはどんな戦いを繰り広げるのか? そしてジンを『遊撃軍団』へと移動させる策は思い通りになるのか?

『魔王討伐』のクライマックスが近付いています。次回もお楽しみに。

★ ★ ★ ★ ★ ★ ★

【主な登場人物紹介】

■ドッカーノ村騎士団

♤ジン・ライム 18歳 ドッカーノ村騎士団の団長。典型的『鈍感系思わせぶり主人公』だったが、旅が彼を成長させている。いろんな人から好かれる『伝説の英雄』候補。

♤ワイン・レッド 18歳 ジンの幼馴染みでエルフ族。結構チャラい。水の槍使いで博学多才、智謀に長ける。『PTD7・淑女』と共に『PTD6・ナルシスト』を倒した。

♡シェリー・シュガー 18歳 ジンの幼馴染みでシルフの短剣使い。弓も使って長距離戦も受け持つ。ジン大好きっ子で負けフラグをへし折った『幼馴染ヒロイン』。

♡ラム・レーズン 19歳 ユニコーン族の娘で『伝説の英雄』を探す旅の途中、ジンのいる村に来た。魔力も強いし長剣の名手。シェリーのライバルである『正統派ヒロイン』。『右鳳軍団』に先行し、ジンと合流を果たした。

♡チャチャ・フォーク 14歳 マーターギ村出身の凄腕狙撃手。謎の組織から母を殺され、事件に関わったジンの騎士団に入団する。シェリーが大好きな『百合っ子ヒロイン』。

♡ジンジャー・エイル 21歳 他の騎士団に所属していたが、ジンにほれ込んで移籍してきた不思議な女性。闇魔法の使い手で、『PTD4・幽霊』を倒すも、右腕を失った。

♡メロン・ソーダ 年齢不詳 元は木々の精霊王マロン・デヴァステータだがその地位を剥奪された。『魔族の祖』アルケー・クロウの関係者で、彼を追っている。現在ジンたちとは別に『先遣隊』を率いて行動中。

♤ダイ・アクーニン 28歳 賢者ストックの息子で卓越した知力と魔法を誇る弓使い。魔王を目の敵にし、傭兵隊長だったコア・クトーや錬金術師のシロヴィン・ボルドーとともに先遣隊に加わった。現在、マロンと行動中。

♡アイリス・ララ 『PTD10・ドール』を名乗り、ジンを瀕死に追い込むほど善戦した自律的魔人形エランドール。ジンの魔力マナで再起動し、新たに仲間となった。

■トナーリマーチ騎士団『ドラゴン・シン』

♤オー・ド・ヴィー・ド・ヴァン 21歳 アルクニー公国随一の騎士団『ドラゴン・シン』のギルドマスター。大商人の御曹司で、頭も切れ双剣の腕も確かだが女好き。

♤ウォッカ・イエスタデイ 21歳 ド・ヴァンのギルド副官。オーガの一族出身である。無口で生真面目。戦闘が三度の飯より好き。オーガの戦士長、スピリタスの息子。現在、『左龍軍団』と共にジンとの合流を目指している。

♡マディラ・トゥデイ 20歳 ド・ヴァンのギルド事務長。金髪碧眼で美男子のような見た目の女の子。生真面目だが考えることはエグい。狙撃魔杖の2丁遣い。

♡ソルティ・ドッグ 21歳 『ドラゴン・シン』の先鋒隊長である弓使い。黒髪と黒い瞳がエキゾチックな感じを醸し出している。調査・探索が得意。

♤テキーラ・トゥモロウ 年齢不詳 謎の組織から身分を隠して『ドラゴン・シン』に入団した謎の男。いつもマントに身を包み、ペストマスクをつけている。現在、ド・ヴァンの許可のもと、『暗黒領域』で単独行動をしている。

♤ブルー・ハワイ 25歳『ドラゴン・シン」の遊撃兼偵察隊長である槍使い。金髪碧眼で観察力と記憶力に優れる。変装に優れ、情報を分析する能力に長ける。

♡メアリー・ブラッドレイ 25歳『ドラゴン・シン』で物資調達を引き受けている槍使い。ド・ヴァンを詐欺ろうとして失敗、許されて彼に心酔し仲間になった。

■退場した仲間たち

♡レイラ・コパック 博識で氷魔法の使い手。スナイプのスカウトで加入した。『PTD5・法律家』を倒すも『PTD3・道化』に止めを刺された。享年17歳。

♡ウォーラ・ララ ジンの魔力マナで再起動した自律的魔人形エランドール。彼に献身的に仕えたが、『PTD2・戦士』との戦いで相討ちとなった。

♡ガイア・ララ 謎の組織の依頼でマッドな博士が造ったエランドールでウォーラの姉。『PTD1・学生』と対峙したが、相討ちとなって果てた。

♡エレーナ・ライム(賢者スナイプ)28歳『賢者会議』の一員だった才媛。ジンに自身が人工生命体ホムンクルスであることを明かし『風の宝玉の欠片』を譲る。『PTD3・道化』を倒すも、『道化』が残した瘴気に侵されてしまったが、マーリンの秘薬『諸刃の韻律』によって命は救われた。現在、視力を失いマーリンの許にいる。

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