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キャバリア・スラップスティック  作者: シベリウスP
暗黒領域・魔王決戦編
155/171

Tournament155 The Death hunting:4(死神を狩ろう!その4)

シュバルツユニコーン族の王と対峙するジン。その前に、賢者マーリンとアイリスが現れて……。

『勇士の軍団』も到着し、いよいよジンは『約束の地』に向かう。

【前回のあらすじ】


アルケー・クロウと話をしたジンは、マロンの執り成しもあって同盟を結ぶことになった。

アルケーから、シュバルツユニコーン族が自分を狙っていることを聞いたジンは、マロンやワイン、ラムたちと共に迎撃戦を展開することになった。


     ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★


「カザリン・マザランの辞書に『戦死』はあっても『降伏』はない。『ステルス・ウォーリアー』よ、謹んでお相手仕ろう」


 シュバルツユニコーン部隊の軍師、カザリンは、ラムにそう言うと腰の剣を抜く。実際は弓が得意なカザリンだったが、いきなり本陣に踏み込まれては弓の間合いを取ることは難しかったのだ。


「……一応、忠告はしたぞ?」


 ラムは緋色の眼を据えてカザリンを見ると、魔力を開放する。ラムの緋色の髪の毛は紫電を放って膨らんだ。


「はっ!?」

 ジャンッ!


 カザリンはラムの殺気を感じると同時に、剣を振り上げる。ラムの長剣とカザリンの剣が打ち合って、盛大な火花を上げた。


「……ほう、私の斬撃を受けるとはな。やはり元は同じユニコーン族だから、目は良いようだな」


 ラムがカザリンの後ろでそう言う。カザリンはその声を聞いて、慌てて振り返った。


(い、一瞬で後ろに回り込んだ? しかも斬撃を放ちながら!? 剣の軌跡など、まったく見えなかった。これが『見えない戦士』の実力の一端か……)


 カザリンはちらりと後ろを一瞥する。ワインは剣ほどの長さの長大な穂を持つ手槍を、無造作に左手で引っさげ、ゆっくりとこちらに歩いて来るところだった。


(……これは、『どれだけ長く生き延びられるか』ではなく、『何回攻撃を凌げるか』の戦いになりそうだわ。いずれにしても、私がやられる前に、ランズロウ様が逃げ出してくださればいいけれど……)


「ラムさん、カザリンを生け捕ることはできないか?」


 不意にワインがそう言う。カザリンは油断なく二人を見張りながら、ゆっくりと距離を取る。弓の間合いまで開けることが出来たら、少なくとも瞬殺は免れることができる……そんな思いだった。


「生け捕りか? 出来ないことはないが、その必要はあるのか?」


 ラムもカザリンの様子を見ながらそう答える。カザリンが何を考えているのか、手に取るように分かっている様子だった。


「ムダなことはやめろ。たとえお前がどれだけ弓が得意だとしても、私を倒すことはできない。それよりも降伏して、お前の大事な王様の命を長らえさせるんだな」


「ボクも、それをお勧めするよ。魔王や『運命の背反者(エピメイア)』と戦うのに、味方は多い方がいいからね」


 いつの間にか、ワインはカザリンを槍の間合いに入れていた。ワインから逃げようとするとラムが間合いに入り、ラムを避ければワインが間合いを詰めてくる。どうやってもカザリンに弓を使わせないつもりだった。


「うるさい! 私を捕まえる相談を本人の前でするなんて、酷く馬鹿にしてくれるじゃないか。私がそうやすやすとお前たちに捕まってたまるものか!」


 カザリンがそう言って剣を構えると、ラムはニヤリと笑って、


「ふん、その程度の腕で……」


 長剣を構えると、その姿が消えたように思えた。


「うっ!?」

 シャリーンッ!

「……大きな口を叩くな」


 ラムの長剣はカザリンの剣を弾き飛ばし、その首筋に切っ先を突き付けていた。カザリンはラムの神業に言葉もなく固まっている。


 ラムは、そんなカザリンを睥睨して、


「見てのとおり、お前と私の力の差は歴然としている。これはジン様とお前が仕えるランズロウにも言えることだ。

 ジン様は無益な戦いを好まれない。今ならまだ、降伏すれば命は助かるぞ。本当にランズロウや種族のことを思えば、白旗を掲げるのが正しい選択だと私は思うがな?」


「……くっ」


 悔しさをにじませているカザリンに、ワインがやって来て


「おやおや、今時『くっころ』は流行らないよ? 別にボクたちはキミたちシュバルツユニコーン族が憎いから剣を交えているわけじゃない。ただ、『伝説の英雄』の道を阻んでいるから、それを排除しているだけだ。


 ボクは、ラムさんの言うように降伏しろとまでは言わない。ただ、兵をまとめて集落に帰り、ボクたちが『瘴気の密林』を越えるのを邪魔しないでいてくれればそれでいいんだ」


 ニコニコしながらそう言うと、カザリンは何か考えていたが、


「……分かった。ではその旨、ランズロウ様に意見してみる」


 唾を飲み込んでそう言った。


 ワインはうなずきながら、


「おお、そうしてくれれば助かるよ。何せ、ボクたちは先を急ぐ。こんなところでしたくもない戦いをして、時間を溶かすわけにはいかないからね」


 そう言いながらラムに目配せをする。ラムはうなずいて長剣を引き、


「……立つといい。そして私たちと一緒に来てもらおう」


 そう言いながら、カザリンの後ろに回った。



「うむ、異質な魔力だと思ったら、貴様がジン・クロウか。たった3人で我が精鋭の陣地に乗り込んできて、我に勝負を挑むとは、飛んで火にいる夏の虫だ。ここを貴様の墓場にしてやる!」


 僕の神剣は、天幕の中にいた数人を斬り裂いたが、漆黒の鎧を着た戦士と、同じく黒い革鎧を身につけた女性が、連れ立って天幕から飛び出て来た。


「我がシュバルツユニコーン族の族長、ランズロウ・ミステイル。汝を魔剣パラグラムの錆にしてくれるわ」


 ゆらりと静かに燃え立つ黒いほむら……ランズロウの魔力開放は、そんな感じがした。さすがに『死神貴公子』と呼ばれるだけの風格と気迫を感じさせる相手だった。


「俺はドッカーノ村騎士団団長のジン・ライム。『約束の地』まで罷り通る」


 僕が言うと、ランズロウはゆっくりと剣を抜きながら、


「……通らせるわけにはいかんな。ただでさえ貴様は『黒の領域』で魔族や魔物を手当たり次第に殺戮していると聞く。『黒の領域』の覇者たるわがシュバルツユニコーン族の名誉にかけて、貴様を処断する」


 そう言うと、漆黒の鎧を煌めかせて斬りかかってきた。


 ガツッ!


 最初の一太刀で、ランズロウが魔剣士として並々ならぬ腕を持っていることが分かる。例えて言えば盤石の重みと堅固さを感じさせる剣だった。


(……自ら『黒の領域の覇者』と名乗るだけはある。こいつの剣は、まがい物のない本物の剣だ)


 その瞬間、僕はランズロウという男に非常に興味を覚えた。確かシュバルツユニコーン族は、21年前の『魔王の降臨』の際も、マイティ・クロウに抵抗するでもなく、かといって道を阻むでもなく、人間側とも魔族側とも没交渉だったと聞いている。


 それがなぜ、今回僕たちの敵に回ったのか、それを知りたいと思った。


「やあっ!」

 ビュンッ!

「……」


 ランズロウの横薙ぎを、数歩下がってかわし、僕は黙って剣を突き出す。


「はっ!」

「おおうっ!」

 カキーンッ!


 僕の突きは、斬り返してきたランズロウの剣によって阻まれる。そのまま今度はランズロウの方が一歩踏み込みながら剣を突き出してきた。


「だっ!」

「……」

 シャリンッ!


 僕も負けずに『払暁の神剣』を切り返し、ランズロウの突きを弾いた。


「……ふん。まだ若いくせにかなりの場数を踏んでいるな。それに俺の剣と同じ守りの剣だな、貴様は」


 ランズロウがニヤリと笑って言う。僕は数歩下がり、彼に問いかけた。


「俺は、わざわざ突っかかってくる者たち以外には、こちらから手を出してはいないはずだ。それに『瘴気の密林』も、できるなら誰とも戦わずに越えられればいいと思っている。

 僕が『約束の地』に行くのを邪魔する理由は何だ? やはり魔王側についているからか?」


 するとランズロウは、一言で答えた。


「『運命の背反者(エピメイア)』に頼まれただけだ」


「では、お前たちは現在の世界が無くなってもいいと思っているわけだな?

 今までお前たちが培い、結んできた様々な思いや関係が、すべて消えてしまってもいいと思っているんだな?」


 僕が訊くと、ランズロウは笑い顔のまま首を振り、


「そう難しく考えることじゃない。世界が消え、今の我が消えても、エピメイアが望む世界でまた新たな歴史を刻めばいいわけだからな。

 完全な摂理の中で『完全な存在』として生きる方が、我も我が種族も幸せになれる、そう思っているだけだ」


 そう答えた。


「……そうか、それじゃこれは信念の戦いだから、お互いに剣を引けないな」


 僕はそう言って、魔力を開放する。金色のハローを伴った翠の魔力が僕を包み、紫紺の煙のようなものが僕の身体を取り巻くように立ち上った。


「うっ!?」


 ランズロウが僕の魔力を見て数歩下がる。はっきりと驚愕の表情を浮かべていた。


「……これは驚いた……話には聞いていたが、貴様は本当にアルケー・クロウの血族だったんだな……しかも……」


 ランズロウは動揺に近い反応を示している。そんな彼の態度に不審なものを覚えつつ、僕が


「……では行くぞ」


 そう言って斬りかかろうとしたとき、


「ジン、ちょっと待ちたまえ!」


 横合いから、ワインが声をかけて来た。僕は構えを解いて、数歩下がる。


 ワインは僕にニコリとして見せて、


「両者ともしばし剣を引きたまえ。ランズロウ殿、キミの部下であるカザリン殿が、キミと少し話し合いたいそうだ」


「……カザリンが? カザリン、お前なぜここに敵と共にいる?」


 ランズロウは、ワインやラムさんと共にいる黒髪ショートで黒い瞳をした女性を見て、驚いたように言う。


 カザリンと呼ばれたその女性は、ワインたちに促されてランズロウに近付くと、


「お怒りを受ける覚悟はできています。しかし、その前に私の話を聞いてくださいませんか?」


 そう言ってランズロウをじっと見つめた。


 ランズロウは僕たちに攻撃する意思がないと見ると、剣を鞘に納め、


「……聞こう。お前はいつも、我に正しい道を示してくれたからな」


 そうカザリンに言う。


 カザリンはホッとした顔で、ランズロウに、


「ここは兵を収めて、『瘴気の密林』に戻るのが得策かと思います」


 そうはっきりと言い切った。


「……我としては、エピメイアとの約束があるので受け入れがたい提案だが、試みにその理由を聞こう」


 ランズロウは当惑した面持ちでカザリンに言う。カザリンは周囲を見渡しながら一気にまくしたてた。


「私たちはジン・クロウを討ち取れません。その理由は三つあります。


 一つ目は、ジン・クロウが摂理を守ろうとしている存在であることです。摂理を守る者には四神の守護があります。四神の守護がある者には勝てません。

 現に本陣の兵たちは、これだけの騒ぎを聞いて、これだけ時間が経っても誰一人ここに加勢に現れないじゃないですか。四神の守護によりここに来られないのでしょう。


 二つ目は、エピメイア様が言う『完全な摂理の世界』を創るには、今の世界を壊さねばならないことです。私は、どんなに『完全な存在』になれると聞かされても、今の世界が好きです。これまでに経験し、出会ってきた人たちとの思い出が無くなることに、非常に抵抗を覚えます。それは、種族全員がそう感じるのではないでしょうか?


 三つ目は、アルケー・クロウ様が目覚めていることです。エピメイア様に与するということは、『魔族の祖』たるアルケー・クロウ様に敵対すること。仮にジン・クロウを討てたとしても、『魔族の掟』により私たちはアルケー・クロウ様に族滅させられる恐れがあります。そしてエピメイア様は、アルケー・クロウ様のその決断を止めることができません。


 以上が、私が今ここでジン・クロウと剣を交えることを不利だと思う理由です」


「むむむ……」


 カザリンの意見を聞いて唸るランズロウだったが、そんな彼が抗戦の意志を放棄したのは、不意に現れた二人の人物によってだった。


「なるほど、それでシュバルツユニコーン族の軍がこんな所に展開していたんだね?」


 そう言って現れたのは、亜麻色の髪に碧眼を光らせた男性と、金髪に翠の瞳を持ち、緋色のメイド服に身を包んだ女性だった。


「賢者マーリン様!? どうしてここへ?」


 両大陸でも屈指の魔法使いであり、錬金術師であり、そして占星術師でもある賢者マーリン様の名は、人間や魔族の隔てなく知れ渡っていた。そのマーリン様の姿を見て、びっくりした声を上げたのも、外ならぬランズロウだったのだ。


 マーリン様は、ランズロウの眼を見て、薄く笑いながら言う。


「おや、知らなかったんだね? 僕は古い友人である精霊覇王エレクラの頼みを受けて、ジン・ライムの守護に回っているんだ。


 今日は、彼から頼まれた自律的魔人形エランドールの調整が終わったので、彼女を連れて来たんだ。ランズロウ、ずいぶんと大掛かりな罠を仕掛けていたようだが、ガラティアもテレットも、すでに精霊王マロン・デヴァステータの手で武装解除されているよ」


 マーリン様がそう言うと、ランズロウは呆けたように、


「嘘だろう……そんなことが……」


 そうつぶやいたが、マーリン様が少し強面で、


「現実を直視したまえ! それでもなお、ジン・ライムに何かしようというなら、僕がこの場で君の相手をしてもいいんだよ?」


 そう言いながら緑青色の魔力を開放する。それを見てランズロウは当惑した顔で、


「……分かりました。我らは『瘴気の密林』に戻ります」


 ついにそう言った。その顔は恐れと疑いで歪んでいた。


 マーリン様はワインを見て、ニコッと笑いながら言った。


「……だ、そうだ。ワインくん、ランズロウに条件を付したまえ。僕が証人になろう」


   ★ ★ ★ ★ ★


 ランズロウ率いるシュバルツユニコーン族は、即刻兵を引いた。


 僕とワインが出した条件は、『これ以上僕たちに手を出さないこと』ただ一つだった。


 そして、マロンさんが虜にしていた副将のテレット、ガラティア両名とも、その率いていた部隊と共にランズロウに返還した。


「……よし、これで『瘴気の密林』で最も大きな障害はなくなった。しかし、毒を持つ生物や魔物もわんさといるし、瘴気に満ちた森林地帯を越えねばならない。

 ジン・ライム、決して気を抜くんじゃないぞ?」


 引き上げていくシュバルツユニコーン族部隊を見送った賢者マーリン様は、僕を見てそう言う。僕はうなずきながらお礼を言った。


「ありがとうございました。ランズロウのような戦士を討たねばならないかと、ちょっと残念に思っていたところです。おかげで無益な戦いを避けることが出来ました。


 それに、アイリスさんについても、お世話になりました。これで彼女も、人の目を気にすることなく行動できるでしょう」


 僕は、マーリン様の後ろで、恥ずかしそうにしているメイド服の少女を見て微笑んで言う。アイリスさんは


「せっかく僕が君を本来の姿にしてあげたんだ。ジン・ライムにもしっかり見てもらって、君の可愛らしさを褒めてもらうといい」


 というマーリン様の言葉に後押しされたように、おずおずと前に出てきて、


「あの、ご主人様。うち、一生懸命にご主人様を守りますので、どうぞよろしくお願いいたします」


 そう挨拶する。僕は彼女の見た目がかなり変わっているのに驚いた。白髪は金髪に、瞳色はアンバーから翠に変わり、なにより皮膚のテクスチャを与えられた彼女は、今は散ってしまったウォーラさんやガイアさんにそっくりだったのだ。


「君本来の姿に戻れてよかった。とても可愛らしいし、頼りにしているよ」


「あ、はい! お任せください、ご主人様」


 輝くような笑顔を見せるアイリスさんを見ながら、マーリン様は微笑んで教えてくれた。


「与えられた魔力の属性は髪の毛と瞳に現れるようにしておいた。彼女の場合は『土』が髪に、『風』が瞳に現れている。


 それと、戦闘パターンはウォーラさんやガイアさんのものをそのままコピーしておいた。だからすぐにどんな戦いにでも参加できるだろう」


 そう言った後、僕に顔を近づけて、


「それと、忠誠心を少し下げたが、君への『恋心』というパラメータを作っておいた。これで盲目的な自己犠牲を抑えやすくしたつもりだ。今の君になら、彼女を傷つけることなく上手くやれるはずだ。健闘を祈るよ」


 そうささやいて、転移魔法陣で消えていった。


「? ご主人様、最後、何をマーリン様とお話されていたのですか?」


 マーリン様を見送った僕に、アイリスさんが不思議そうな顔をして聞いて来る。その仕草や表情は、在りし日のウォーラさんそっくりだった。


 僕は少し切ない気分になりながらも、明るく答えた。


「君はきっと、自分を大事にしながら活躍してくれるだろうって仰っていたんだ。何か判断に迷うことがあったら、僕や団員を頼ってくれ」


 こうして、僕はワインやラムさん、アイリスさんとともに、『ドラゴン・シン』の物資集積所に引き返した。

 『勇士の軍団』は、あと10日余りでここに到着する予定である。



 一方で、ジンから手を引き、『瘴気の密林』の本拠地に引き上げつつあったシュバルツユニコーン族の部隊では、


「……手を出すべきではない人物に手を出し、危うく四神の怒りを買ってしまうところだった。3千の軍が10人に満たぬジン・クロウの騎士団を圧倒できなかったのは残念だが、相手には賢者マーリン様や精霊王までついているのであれば、仕方のないことだ」


 ランズロウが首元を撫でながらそう言っていた。


「……仕方ありません。あたしなんかあっという間に兵員の8割を動けなくされて、あっさり負けてしまったんです。相手が精霊王だと知っていたら、あんな無茶な突進は控えたでしょうが、いずれにしても勝ちを制することは非常に困難だったでしょう」


 ガラティアが金髪をかき上げながら、さばさばした表情で言うと、もう一人の伏兵を指揮していたテレットも、


「まったくだ。俺なんか最初っから位置を特定されていたみたいだしな。いきなり木々の魔力で全員が縛り上げられるなんて、想像もしていなかったぜ。

 まったくもって、()()()()って言ったところだ。ランズロウ様の英断のおかげで、生きて帰ることができたが、できるならもう二度とクロウ一族には手を出してほしくないぜ」


 そう言いながら、ランズロウに笑いかける。


「……それはカザリンに礼を言うべきだな。我にジン・クロウと敵対する愚を説いて、彼と盟約を結ばせてくれたのはカザリンだからな」


 ランズロウは静かに言う。彼はその時、


(ジン・クロウ……彼の魔力は『深淵の魔力』だった。これは間違いない。しかし、アルケー・クロウが自分以外の誰かに『深淵の魔力』を分け与えていたとは予想外だ。一体いつ、何故、アルケー・クロウは自身の秘密でもある『深淵の魔力』をジンに?)


 それを考えていた。


「ランズロウ様、何か気になることでもございますか? ジンたちは物資集積所に引いたようです。万が一にも後ろから追い討たれることはございませんが?」


 物思いにふけるランズロウを心配して、カザリンが声をかけると、ランズロウは遠くの空を見ながら彼女に訊いた。


「カザリン、アルケー・クロウ以外に『深淵の魔力』を持つ者を知っているか?」


「えっ!? いえ、まったく知りません。そもそも『深淵の魔力』は、アルケー・クロウ様の源になる魔力で、『虚空ヌル」に由来する魔力だと聞いていますが?

 仮にアルケー・クロウ様が誰かに分け与えていたとしても、その者は持て余すか、強大な魔力に圧し潰されてしまうでしょう」


 突然の質問に当惑しつつも、カザリンはそう答える。


「……ふむ、そうだな……」


 カザリンの答えを聞いて、煮え切らぬ返事をするランズロウに、変な胸騒ぎを感じたカザリンは、


「ランズロウ様、今のはどういった趣旨のご質問でしょうか?

 まさか、ジン・ライムは『深淵の魔力』を使っていたということでしょうか?」


 恐ろしいことを訊くように声を潜める。


 ランズロウはうなずくと、


「我は何度かアルケー・クロウと会ったことがあるから分かる。あれは紛うことなき『深淵の魔力』だった。それも、アルケー・クロウと質も量も伯仲していた。

 この一事をもってしても、ジン・クロウがただのクロウ一族ではないことが分かる。あるいは彼は、アルケー・クロウやエピメイア様さえも超える者かもしれぬ」



 ホッカノ大陸の南西部には、人間が開拓し、建国したマジツエー帝国があるが、その版図はホッカノ大陸の一部に過ぎない。そして帝国の北と東に続く『暗黒領域』は、どこまで続いているのか、人間たちはまだ知らない。


 『暗黒領域』の『決戦の荒野』を見下ろす台地に、白髪で緋色の瞳をした男が立っている。彼は薄い唇を歪め、遥か彼方に天空へと立ち昇る風の障壁を眺めてつぶやいた。


「……ジン・クロウはまだ『瘴気の密林』に入っていない。ジンの息の根を確実に止めるなら、『決戦の荒野』で種明かしをした方がいい。

 しかし、魔王は早く実体化を望んでいるようだな。さて、どうするかだが……」


 一人つぶやいて腕を組んだ男は、振り返りもせずに後ろに問いかける。


「……君はどう思う? 『運命の背反者(エピメイア)』?」


 すると、青年の背後、10ヤードの所で空間が歪み、白髪セミロングでラピスラズリのような瞳をした少女が現れる。


「……アルケー、まだ魔王を復活させないの? 『暗黒領域』内でジン・クロウを待つより、マジツエー帝国に攻め込んだ方がいいんじゃないかしら?」


 エピメイアがじれったそうに言うと、アルケー・クロウは振り向きもせず、


「エピメイア、魔物や魔族も万能じゃない。みんながみんな、君と同じことができるとは思わないことだ。どんな魔物だって、『暗黒領域』では街道を外れて行動すると、身体や精神に無理が来る。


 だから攻め込むなら、ジンが『地獄の河原』を超える前にこちらが『地獄の河原』を抑える必要がある。その方が街道を外れずに進撃できるし、補給の便もいい。


 が、軍を編成して『地獄の河原』を目指すには、若干時間が足りない。

 今魔王を実体化させても、『地獄の河原』と『瘴気の密林』の間で会敵する可能性が大きい。『勇士の軍団』を連れたジンに、『決戦の荒野』とは違い人間に有利な場所で総力戦を行うことになるぞ」


 冷静な声でそう説明する。


「アルケー、あなたが生き残っても、私が生き残っても、『完全な摂理が支配する世界』を創るには、いったんこの世界を壊す必要があるわ。だとしたら、被害の大きさとかを考慮する必要なんてないと思うけれど?

 できるだけ早く魔王を復活させて、できるだけ早くジン・クロウを倒すのが一番の目標なんじゃない?」


 エピメイアも自分の意見を曲げない。腕を組んで、アルケー・クロウを見下すようにしてそう言い張る。


 アルケー・クロウは、くすくすと笑うと、


「何がおかしいの!?」


 と叫ぶエピメイアに、背中を向けたままで言う。


「エピメイア、焦ってはいけない。焦ると、誰かさんがジン・クロウに差し向けた『テモフモフの遺産』のように、思わぬ落とし穴にハマるぞ。

 ジン・クロウを確実に仕留めたいなら、『決戦の荒野』が一番だ。俺は魔王親衛隊の三人を復活させているから、『決戦の荒野』で『勇士の軍団』を足止めし、奴を一人にする。そうすれば、魔王と親衛隊で確実に命を奪える」


「……『テモフモフの遺産』たちは犬死じゃないわ。ジン・クロウの団員を4人も始末した。『勇士の軍団』がジンに追い付く前に、魔王に魔軍を率いらせて戦いを挑めばいいじゃない」


「エランドールの二人と、変わった魔法を使う少女、そして賢者スナイプを仕留めたらしいが、その代わり精霊王マロン・デヴァステータや賢者マーリンがジンに味方した。

 奴は団員を失っても、すぐにそれ以上の団員を補充できるようだ。だとすると、これ以上途中で奴に挑まない方がいい。団員を削るのは『決戦の荒野』であるべきだ。

 下手なことをして、精霊覇王エレクラが精霊王たちを連れてジンの陣営に公然と加わったらどうなると思う?」


 アルケー・クロウは初めてゆっくりと振り返り、エピメイアの眼を真っ直ぐ見ながらそう言う。その瞳には己への絶対的な自信が覗いていた。


 だが、エピメイアは可愛らしい顔を憤怒で歪めて、叫ぶように言う。


「四神が何よ!? 奴らが出てきたら私が相手になるわ!

 あなたは私と同盟を結んでいるんでしょう? 私の言うことを聞いて、早く魔王を実体化し、魔軍を大陸に解き放ちなさい!」


 アルケー・クロウは、しばらくエピメイアとにらみ合っていたが、不意にため息をついて言った。


「……分かりましたよ。では、早速実体化の残りを進めましょう」


「魔軍の進発は、いつ頃になる予定なの?」


「……3日後と考えていただければ……」


 アルケーの答えに、エピメイアは満足そうに言って姿を消す。


「3日後ね? では私は魔族たちに、3日後に魔王が顕現し、マジツエー帝国への侵攻を開始すると伝えるわ」


 アルケーは、再び彼方の『風の魔障壁』を見つめ、含み笑いと共に言った。


「ふふふ、エピメイアの運命も、これで決まったようなものだな」


   ★ ★ ★ ★ ★


 僕たち『騎士団』が、『ドラゴン・シン』の物資集積所で体調を整えながら待つこと10日、遂に待ち焦がれた『勇士の軍団』が到着した。


 知らせは前日の夕方に届いていた。そのため、ド・ヴァンさんは僕たちを夜の宴に招待して、今後の健闘を祈ってくれていた。


「お久しぶりです、スピリタス侯、シール戦士長」


 『勇士の軍団』6千の到着を見て、僕は凄く心強いものを覚えた。それとともに、『テモフモフの遺産』たちと戦って散ったみんながここに居れば、と改めて思う。


「久しぶりだね、ジン・ライム団長。ホッカノ大陸に渡ってからの活躍はウォッカから聞いている。余らも20年ぶりの出陣となるが、生涯に2度も『伝説の英雄』と共に戦う機会が訪れたことは、戦士として望外の喜びだ。


 余の率いる『左龍軍団』、シール戦士長の率いる『右鳳軍団』、みな、『伝説の英雄』と共に戦場に出られることを楽しみにしていた。

 さあ、『約束の地』までひた走ろうではないか! 出発の合図を!」


 赤い鎧に身を包み、マントを翻した偉丈夫、オーガ侯国の国主スピリタス様が豪快に笑って僕にそう呼びかけてくれる。


「ジン殿、賢者スナイプ様の訃報はお聞きしました。だが、これもすべて戦のならい。あまり気を落とされぬように」


 シール戦士長は、労りの眼で僕を見てそう言ってくれた。


 話をしている僕たち3人のところにド・ヴァンさんが寄って来て、


「お久しぶりです、スピリタス侯、シール戦士長。今回ボクたち『ドラゴン・シン』も、この戦いに参加いたします。よろしくお願いいたします」


 そう挨拶すると、シール戦士長は厳しい顔でド・ヴァンさんに言った。


「ふむ、騎士団『ドラゴン・シン』と、それを率いるオー・ド・ヴィー・ド・ヴァン団長の噂は聞いている。かなり優秀な騎士団だということも含めてな。

 だが、『魔王の降臨』は、並大抵の災厄ではない。それに今回は、数千年に1度の『摂理の黄昏』という災厄まで重なっているとラムから聞いている。


 我ら『勇士の軍団』は、もちろん勝算のない戦いなど挑むつもりはないが、それでもかなりの犠牲を覚悟してホッカノ大陸にやってきた。

 そういった戦いになるということは、覚悟しておいてくれ」


「ええ、それは無論のことです。ボクたちも、最初は団長くんやスナイプ様からアルクニー公国の守備を固めてくれと頼まれていたんですがね? 皇帝陛下からの御依頼もありましたし、団員たちも『魔王の降臨』に立ち向かいたいという者が多かったものでして、団の総意としてこの戦いに参加することにいたしました。


 ボクとしては、これほどの危難に立ち向かうことは騎士としての義務だと思いますし、この戦いで斃れるのは戦士として本望です。もちろん、ボクも自分や団員が犬死するような下手な指揮をするつもりもありませんがね?」


「うむ、立派な覚悟だ。ド・ヴァン君、余たちは君の騎士団が『伝説の英雄』の止めの槍、最後の盾になってくれることを期待しているよ」


 スピリタス様はそう言って笑うと、笑顔のまま僕に言った。


「では、参りますか。『約束の地』へ」



 僕たちは、その日のうちに物資集積所から『約束の地』へと進発した。集積所には『ドラゴン・シン』からは管運糧というよく分からない役職のメアリー・ブラッドレイさんが駆け付け、以後はこの場所を兵站本部として活動することになった。


 『勇士の軍団』の方は、オーガ侯国のヴィザーヤ・ヤジュロフさんが後方参謀として兵站業務を取り仕切ることになっていた。


「『地獄の河原』は出口まで2百マイル(この世界で約370キロ)あります。本来なら20マイルごとに中継所を置きたいところですが、御覧のとおり休息には程遠い場所ですし、火山もいつ噴火するか分かりません。


 ですから、出口より先に、前進拠点を作り、早めにある程度の物資を運びこんでおくことをお勧めします」


 一度、『地獄の河原』の向こう、『瘴気の密林』との間まで行ったことがある僕たちは、メアリーさんやヴィザーヤさんに、そう伝えていた。


 そのため、『瘴気の密林』の入口まで、『勇士の軍団』の兵站部隊は前進することにして、僕たちの後を付いて来ることになった。


 僕たちは、『左龍軍団』『ドラゴン・シン』『ドッカーノ村騎士団』『右鳳軍団』『勇士の軍団兵站部隊』の順で、灼熱の『地獄の河原』を行進する。戦いの時にはあまり気にならなかったが、さすがに溶岩の川を見ながらの行軍は、暑くてやりきれなかった。


「……『テモフモフの遺産』たち、こんな場所に陣地を造ってジンを待ち受けるつもりだったんだね。ここでやり合っていたら、被害は今のようなもんじゃ済まなかったかも」


 『騎士団』ではチャチャちゃんと共に先頭を行くシェリーが、破壊された陣地帯を見て身体を震わせる。確かに、こんな罠に飛び込んでいたら、下手をすると全滅していたかもしれない。


「ヴォルフさんたちのおかげで、奴らを引きずり出すことができたんだ。今度会ったらお礼を言わないといけないな」


 僕が言うと、すぐ前を歩くラムさんとアイリスさんが、


「しかし、これから先は個人的武勇よりも作戦や指揮能力が問われることになりそうですね? 私たちは部隊を編成できるほど人数はいませんが、他の騎士団に頼りっぱなしってのも心許ないものがありますね」


「……テモフモフ博士が造っていた量産型エランドールがあれば、50や百の部隊は作れたんですが……」


 そう、残念そうに言う。


「ないものねだりをしていても仕方ないさ。それに、作戦は万能の魔法じゃない。結局は個人の敢闘精神と信念が勝負を決する場面を、ボクは何度も見て来たからね。

 だから、マロン様たちが合流するまではボクたちで頑張るしかないんだ」


 僕の後ろを、ジンジャーさんとともに歩くワインがそう言う。


(……本来なら、ここにあと4人いたはずだったんだ。ひょっとしたら『淑女』も含めて5人……)


 僕はやはり、打たれ弱いのかもしれない。どうしても、いなくなった仲間のことを考えてしまう。そんな僕に、ワインは静かに言った。


「優しさはジンの大きな魅力の一つさ。でも、キミは失ってばかりじゃないんだ。誰かを失うたびに、何かを手に入れて強くなってきたじゃないか。

 ボクはそんなキミを見て来たから分かる。きっとキミは、『魔王の降臨』を止め、『摂理の黄昏』に決着を付けてくれるだろうってね?」


 その時、僕の胸の奥が温かくなり、ポウッと淡い翠の光が胸に灯る。これは、賢者スナイプ様……いや、エレーナ・ライムが僕にくれた『風の宝玉の欠片』だ。


 その時僕は、エレーナが言ってくれた言葉を思い出した。


『私の役目は、ジンくんを守り、魔族と人間の断絶を防いで『摂理の最後の1ピース』を完成させること……ジンくんがその『最後の1ピース』なの。だからあなたは簡単に死んじゃダメ。覚えていてね?』


「……僕が『最後の1ピース』……」


 そうつぶやいた時には、僕の中の悲しみはすっかり吹き払われていた。


 過ぎて来た悲しみに心を奪われている時じゃない。こうしている間にも、父さん……マイティ・クロウや賢者スリング様、そして母様は『魔王』と戦っているはずだから……。


(一刻も早く、『約束の地』に行くぞ。今ならそれは叶う!)


 僕は心の中で自分をそう叱咤すると、紅蓮の炎に似た空を見つめた。



 マジツエー帝国領の北部に、アルカディア・イム・オルフェという村がある。帝国領の北の境界であるギュンター山脈。その主峰ポリフラン山南麓に広がる耕地と牧草地を一望できる場所に、その小屋はあった。


 この小屋には、『賢者会議』が置かれており、大賢人ライトと彼女を扶ける四方賢者たちが詰めている。


「……大賢人様、お呼びでしょうか?」


 大賢人の部屋を訪れたのは、四方賢者の中では最も若い賢者ライフルだった。16歳で賢者スナイプの代わりに四方賢者見習いとなり、スナイプが抜けた後はそのまま四方賢者を務めている才気あふれる少女だった。


「入ってください、賢者ライフル」


 大賢人ライトの促しに、ライフルはおずおずと部屋に入る。もう1年になろうとしているが、やはり緊張はするものらしい。


 いや、ライフルの態度がぎこちなかったのは、緊張のためではない。彼女には、他人の心象風景を覗き、思考を読むという能力があった。前の大賢人だったマークスマンがライフルを四方賢者に抜擢したのも、その能力ゆえだったのだ。


 ライフルは、自分がライトに呼ばれた瞬間から、ライトの激しい動揺や深い悲しみを感じっていた。それは大賢人の部屋に向かうに連れて強く感じられるようになり、ドアの前に立った時には、ライフル自身が悲しみに押し潰されそうになっていたのだ。


 ライトは、そんなライフルを灰色の瞳で見て、一つうなずくと、


「……かけなさいライフル。我の話を聞けば、あなたが卒倒するかもしれないから」


 そう、ソファを勧める。ライフルは悪い予感に怯えながら言われたとおりライトの前に腰かけた。

 ライトは、沈痛な面持ちでただ一言言った。


「賢者スナイプが死にました」


 それを聞いて、ライフルの胸が締め付けられるように痛み、目の前が暗くなった。


 しばらくして、ライフルが目を開けた時、彼女はソファに寝かされ、毛布を掛けられていた。


 ライトは、ゆっくりと目を開けたライフルに、静かに言う。悲しみが籠った声だった。


「……賢者マーリン様が知らせてくださいました。自律的魔人形エランドールとの戦いで不覚を取ったようです。スナイプには、次の大賢人を任せようと思っていましたが、残念でたまりません」


 それを聞いて、ライフルの眼から涙が零れ落ちる。『不覚を取った』という言い方であれば、スナイプは優勢裡に戦闘をしていたはずである。勝てば、あの輝くような笑顔と愛くるしい仕草で、ジンと旅を続けられるはずだった。


 ライフルは、スナイプがどんな想いをジンに向けていたのかを知っている。甥叔母とはいえ、スナイプがジンに向ける気持ちは、もはや一人の男性への愛と言っていいものだったと記憶している。


「……スナイプ様は、ジン・ライムさまを愛しておられました……」


 ポツリと言うライフルに、ライトはうなずいて、


「そうですね。我も気づいていました。だから彼女は、賢者会議に復帰してくれという我の誘いを蹴って、ジン・ライムの騎士団に戻ったのですから……。

 そして彼女は、大賢人スリング様から預かっていた『風の宝玉』をジン・ライムに返した。ライム一族として見事な働きでした。勝ちながらも斃れるとは、さぞ無念だったことでしょう」


 ライトの頬に、水滴がつぅーっと線を引く。だが、ライトはそれを拭きもせず、ライフルに命じた。


「スナイプは仮にも四方賢者だった人物です。その遺体はキミントンの風の精霊王の礼拝堂に収められるべきでしょう。

 ライフルには辛いことをお願いしますが、スナイプの遺体を探し、キミントンまで連れて行っていただけますか?」


 ライフルは神妙な顔をしていたが、涙を拭くと、


「分かりました。すぐに行って参ります」


 うなずいてそう答えると、即日『暗黒領域』へと旅立った。



 アルカディア・イム・オルフェを出た賢者ライフルだったが、


(そう言えば、わたしは賢者スナイプ様が命を落とされたという場所を知らない。『地獄の河原』入口付近の平原とは聞いたけれど、行ってすぐに判るものではないわよね。

 それに、ジン・ライムさまたちは騎士、きっとスナイプ様のご遺体だってそのままにしているはずはないわ。とすると……)


「……賢者マーリン様に聞いてみるしかないみたいね」


 スナイプの遺体を探すには情報が足りないことに気付き、マーリンの許を訪れることにしたのだった。


 賢者マーリンは、長らく……マジツエー帝国ができた当初から、ウンターシャーングリラという山の奥深い場所にある里に隠棲していた。その里はマーリンの魔力によって完全に秘匿され、里に通じる道も見つけ出すことは困難だ。


 しかし、幾度かウンターシャーングリラを訪れていたライフルは、難なくマーリンの結界の中に足を踏み入れた。


 ウンターシャーングリラは、ガリル川が作り出す渓谷を臨む位置にある。つり橋を渡ると細い道がつづら折りとなって森の中に消えていく。その森を抜けると、マーリンが作物や薬草を育てている段々畑に出る。


 道の途中には、古い小屋が何件かあるが、1軒を除いて残りの小屋は屋根が落ちたり、壁が崩れたりしている。ただ1軒だけマーリンが手を入れて残している小屋は、この里に迷い込んだ者やマーリンに師事するため里を訪れた者の宿泊所になっているのだ。


 そして、小道を登りきったところに、洋風の建物が建っている。マーリンの研究室を兼ねた屋敷だ。


 ライフルが屋敷の建っている場所にたどり着いた時、マーリンは玄関の前で待っていた。


「来たね、賢者ライフル。君が来ると思っていたよ。賢者スナイプ……エレーナ・ライムの件だろう?」


 そう言いながら玄関のドアを開ける。


「あの、わたしは急ぎますので、スナイプ様がお亡くなりになった場所さえ教えていただければ、それで結構です。今はあまり、人と話をしたくないですし……」


 沈んだ表情でライフルが言うと、賢者マーリンは寂しそうに微笑んで、


「まあ、そう言わずにお茶の1杯くらいいいだろう? 僕も本当のところ、まだ考えの整理がついていないんだ。彼女は僕が教えた中で、最も優秀な人物の一人だったからね」


 そう言いながら、ライフルの肩を抱いて部屋の中に招き入れる。ライフルは仕方なく、勧められるがままに椅子に腰かける。


「……あれから、本式に紅茶のセットを買ったんだ。いつまでもフラスコやビーカーで紅茶を淹れるのも、味気ないからね」


 マーリンはそう言いながら紅茶をティーカップに注ぐ。深いルビーのような光沢のあるお茶だった。


「砂糖とミルクはどうする? エレーナはそのままが好みだったが……」


「……では、わたしもそのままでいただきます」


「それは良かった。ちょうどミルクを切らしていたんだ……さて、と……」


 ライフルの前にカップを置いたマーリンは、ライフルと向かい合って座る。


「エレーナ……賢者スナイプの件だったね?

 彼女は『テモフモフの遺産』の一人、PTD3『道化』と『地獄の河原』の入口、具体的には『ドラゴン・シン』の物資集積所から北に50マイルの地点にある高地で戦った。

 『道化』はテモフモフ博士が遊び心を爆発させて造ったエランドールだ。その性格も、戦い方も、能力も、そして内部構造に至るまで非常にトリッキーだった。けれどさすがはエレーナだ、ちゃんと『道化』を破壊した。

 周囲の状況を見ると、恐らくエレーナが終始押し気味に戦いを進めていただろう……というのがワインくんの話だ。彼が瘴気に侵されたエレーナを見つけたらしいからね」


 マーリンが静かに話すと、ライフルが確認するように訊く。


「では、スナイプ様の最期を見届けたのは、ワイン・レッドただ一人だということですか? でも確か彼は、マーリン様直伝の万能薬『諸刃の韻律』を持っていたのでは?

 それともワイン殿が見つけた時には、もう手遅れだったと?」


 マーリンは、優しい目でライフルを見つめて微笑んだ。


「ああ、僕はエレーナの遺体を確認したわけじゃない。彼女の死について、ワインくんは僕に何ら明言もしなかった。むしろ彼は何かを隠している。恐らく、エレーナの意志によって……」


「じゃ、じゃあ、スナイプ様は生きておられるんですか!?」


 思わず声が大きくなったライフルを落ち着かせるように、マーリンは苦笑して答える。


「いや、『賢者スナイプ』は()()()のだろう。ワインくんも言っていたしね、『賢者スナイプは死んだと思え』というのは、スナイプ様の遺言ですので……ってね?」


 ライフルはそれを聞いて思い出した。


(そう言えば、マーリン様はスナイプ様のことはずっと『エレーナ』と呼ばれている。このことが、今回の件と何か関係があるのだろうか?)


 そんな疑問が浮かんだライフルは、マーリンの心象風景がとても穏やかなことを視て取って、


(……スナイプ様のことは、あまり心配しなくてもいいのかもしれない。一度このことを大賢人様に御報告してみよう)


 そう決めて、スナイプの死が聞こえて以来初めて微笑んだ。


「分かりました。わたしは一度、『賢者会議』に戻ります」


   ★ ★ ★ ★ ★


 ライフルが帰った後、マーリンは一人、腕を組んで考え込んでいた。


(エレーナは、マイティ・クロウが魔王に勝てるか懐疑的だった。いや、敗北を前提に物事を考えていた。『賢者スナイプ』という名前と立場は、彼女にとってくびきでしかなかったんだ。今、その軛から解き放たれた彼女は、一体どこで、何を考えている?)


 長い間の沈思黙考だった。ふと気が付くと、窓からは夕日が差し込んでいる。目の前の紅茶はすっかり冷めていた。


「……とにかく、エレーナが生きているのなら、その居場所を早く特定すべきだな」


 そう言って、冷めて渋くなった紅茶をあおった時、玄関のドアを叩く音がした。


 トントントン……


「? 誰だ? この僕が里への侵入者に気付かなかっただなんて……」


 マーリンはいぶかし気に立ち上がると、魔力を開放してドアの外の気配を探る。

 人の気配は感じられるが、魔力は感じない。しかし、ただの人間がここに入って来られるとは思えないので、魔力を隠しているに違いない。


 マーリンは意を決して、ゆっくりとドアに近付くと、外の人物に声をかけた。


「変わったお客さんのようだね? 賢者マーリンに何か用かな?」


 すると、外から聞こえて来たのは、思いもよらぬ人物……いや、今のマーリンにとっては、心のどこかで半ば期待していた人物の声だった。


「賢者マーリン様、お久しぶりです。エレーナ・ライムです」


「エレーナだって!?」


 マーリンは慌ててドアを開ける。そこには金色の髪をなびかせた美女が立っていた。上は白いブラウスを着込み、濃い緑の綿パンを履き、裾は革ブーツの中にたくし込んでいが、どれも戦いの後らしく泥にまみれていた。


 しかし、マーリンが目を疑ったのは、エレーナが両目を包帯でぐるぐる巻きにしていたことだ。美しい碧眼を見ることはできなかった。


「……ワインくんが賢者スナイプの最期を看取ったと聞いていたので、君が死んだとは思っていなかったが、その目はどうした?……ああ、まずは部屋に入りたまえ。すぐに食事とお茶を準備する。人心地ついたら、詳細を話してくれないか?」


 そう言ってエレーナの手を取り、椅子に座らせた。


「私としたことが、ほんとにドジ踏んじゃいました。まさか『道化』が髪の毛に瘴気を含んでいて、髪を整える時、櫛に瘴気を込めていたなんて想像してもいませんでした。

 ワインくんが『諸刃の韻律』で助けてくれなかったら、今頃私はぐずぐずに崩れはて、ジンくん恋しさに墓穴から黒い煙を立てているところでした」


 お茶と食事を準備するマーリンに、エレーナは明るい顔で話す。やつれた顔を見るかぎり、疲れはかなり溜まっているようだが、マーリンに会えて元気が出たようだ。


 マーリンはお茶をエレーナの前に置き、手を取っ手に誘導して優しく言った。


「お茶はここにある。まだ熱いから気を付けて飲むといい」


「ありがとうございます。でも、わたしも四方賢者まで務めた魔法使いです。目が見えなくてもある程度周囲のことは分かります。ですから、お気遣いなく」


「分かった。だが、不便なことがあれば言ってくれれば、できる限り力になるよ」


 フライパンで卵焼きを作りながら言うマーリンに、エレーナは


「私がここに来たのは、私自身ではどうしようもない問題が起こったからです。マーリン様のお力をお借りするわけにはいけませんか?」


 そう紅茶をすすりながら言う。マーリンはうなずいて答えた。


「話してごらん。僕の手に負えるようなら、何とかしてみるから」


 すると、エレーナはカップをソーサーに戻し、神妙な表情で言う。


「……実は、私のエレメントが瘴気に侵されてしまっているんです。何とか浄化できないかと数日頑張ってみましたが、どうしても風の魔法に瘴気が混入して……。

 このままでは、魔法も満足に使えません。魔法を使うということは、瘴気を周囲にまき散らすことになりますから……」


 エレーナの告白を聞いて、マーリンは眉を顰める。魔力のエレメントが汚染されたのなら、魔法を使うと汚染物質に自らをさらすことになる。エレーナの場合には瘴気に包まれることになり、魔法を使うことは自らの命を縮めることと同義になる。


 マーリンは少し考えたが、


「……まず、食事を済ませたまえ。その後、瘴気がどのように、どのくらい君のエレメントを汚染しているかを見てみよう」


 そう言って、エレーナの前に料理を並べた。



 マーリンは、エレーナの状態を詳しく調べた。


「……言いにくいが、まず君の眼を見せてくれないか?」


 そう言われて、エレーナは包帯をほどく。輝いていた碧眼は、暗い海の底のように沈んだ色になり、光がなかった。


「まったく見えないのかい? 少しは光を感じるとかはないかい?」


 マーリンは試しにエレーナの目の前で『一盞の灯(シャインランタン)』を灯す。だが、エレーナは何も反応しなかった。完全に視力を失っているようだ。


「眼の他には、何か不調や異常を感じることはないかい?」


「いえ、瘴気で持って行かれたのは視力だけのようです」


 続いてマーリンは、エレーナの背中に手を当て、エレメントの状態を確認する。エレーナの言うとおり、分厚い瘴気が取り巻いているような、ぞわぞわとした感覚があった。


(……だが、エレメント自体が瘴気に染まっているのではなさそうだ。これなら何とかなるかもしれない)


 そう確信したマーリンは、落ち着いた声でエレーナに告げた。


「……瘴気を除去する薬を調合してみよう。それで何とかなるはずだ」


「本当ですか!?」


 エレーナが飛び上がるようにしてマーリンに尋ねる。マーリンはうなずいて、


「うん、君のエレメントはまだ瘴気に染まっているわけではない。その周りに瘴気が揺蕩っているだけだ。服薬で除去できると思うよ」


 そう答える。エレーナは見えない目でマーリンを見つめ、弾んだ声で言った。


「ありがとうございます! これでジンくんを助けに行けます」


 マーリンは首を振って、エレーナをたしなめる。


「エレーナ、そんなに急ぐべきじゃない。今、ジン・ライムは『勇士の軍団』と合流して『地獄の河原』を抜けつつあるはずだ。

 『瘴気の密林』で最も厄介な敵になるはずだったシュバルツユニコーン族の問題も解決している。君は彼らが『決戦の荒野』に降り立つときに合流すべきだよ」


 マーリンの言葉に、エレーナは急におとなしくなり、


「そ、そうですよね。少なくとも、戦闘に巻き込まれても一人で戦えるようになっておかないと、ジンくんのお荷物になっちゃいますよね……あはは、私ったらつい嬉しくて舞い上がっちゃいました」


「君が『賢者スナイプ』の名を捨てたのは、それなりの覚悟と考えがあってのことだろう? 君はエレーナ・ライムという個人に戻って、ジン・ライムを助けたいと思っている」


「!」


 マーリンが決めつけるように言うと、エレーナは身体を固くする。


 そんなエレーナの反応を見ながら、マーリンは続けた。


「大賢人ライトは、次の大賢人には君が相応しいと思っている。だが、君が『賢者スナイプ』の名を捨てれば、大賢人位は受けられなくなる。

 僕自身は、君が四方賢者に戻って、できれば大賢人となってジン・ライムと共に戦う方が、『摂理の黄昏』を止める賢いやり方だと思うが、何故君はそれほど、ジン・ライムの側で戦うことを選ぶんだい?」


 マーリンが優しく問うと、エレーナはうつむいて答えた。


「……私は、大賢人スリング……エウルア・ライムが、妹のエレノアとその恋人マイティ・クロウの素材を使って生み出した人工生命体ホムンクルスです。ジンくんと同じ父と母を持つ姉です」


「……そうだね」


「でも、私はエウルア姉様の()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。その意味では、本来なら産まれることがなかった存在です……」


「……そうかもしれない。けれど、平和な時代なら、君はジン・ライムの真正の姉としてこの世に生を享けていた可能性だってあるんじゃないかな?」


 マーリンが静かにそう言うと、エレーナはうなずいて、


「もちろん、そう言った世界線もあったでしょう。でも現実には、私はジンくんの叔母と言われ続けてきた姉です。『魔王の降臨』がなければ、私は一生、ジンくんの叔母であると信じていたでしょう」


 そう反論し、


「私はバーボン義兄にい様のことが好きでした。でも、義兄様はエレノア姉さまのものだから諦めました。


 ジンくんのことも好きです。義兄様よりも好きです。だって、私の愛する義兄様と、大好きな姉さまとの子どもだもの……。


 だから私はジンくんを愛してしまったんだと思います、愛しちゃいけないのに……。でも、報われない想い、諦める恋なんてもう嫌だったんです。それは、たとえ私の立場が姉だったとしても変わりません。もう、諦めるのは嫌なんです!」


 最後の言葉は、ほとんど絶叫だった。ずっと秘め続けた想い、抑え続けた想いが、ジンとのキスによって決壊してあふれ出してしまったようだった。



 マーリンは、そんなエレーナの様子を翠の瞳で見つめていたが、やがてエレーナが落ち着いたとみると、


「……君の気持ちは分かったよ。今は倫理的にどうとかいうつもりもない。君が『賢者スナイプ』の名を捨てたのは、君自身の行動によって『賢者会議』に責任が発生しないようにだね? もちろん、『賢者スナイプ死す』という噂を広めて、敵を欺く意図もあるだろうけれど」


 そう訊く。エレーナは顔を赤くして、


「す、すみません。つい我を忘れてしまいました。ただ、愛ゆえに生まれた存在ではなく、エウルアお姉様の意図によって生まれた存在であるということが、私を虚しくさせるのです。その虚しさをジンくんが埋めてくれた、ただ、それだけのことです」


 そう言うと、再び顔を伏せて黙り込む。


(エレーナは、ジン・ライムに『風の宝玉の欠片』を返したと聞いた。それが隻眼の賢者スリングからエレーナに与えられた一番の任務だったはずだ。

 それを果たした今、エレーナはライム一族としてですらなく、一個の女性としてジン・ライムと向き合うことを決めたのだろう。


 いずれにしても、彼女はまだ精神的にも肉体的にも完調ではない。精神の安定を取り戻し、体調を整えるまで、この里を出すわけにはいかないだろうな……)


 心の中でそう思うマーリンだったが、運命というものの非情さを解っている彼は、エレーナがそう長く自分の許に留まらないだろうことも、心のどこかで感じ取っていた。


   (死神を狩ろう! 終わり)

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

激闘が予想されたランズロウとの戦いでしたが、ランズロウはジンの魔力解放に何を見たのでしょうか? そして『深淵の魔力』とはどういったものなのでしょうか?

振り返ってみれば、今までジンが魔力をほぼ本気で覚醒させた時、必ず特殊な形態に変わっています。これが四神由来の魔力なのか、魔族由来の魔力なのか、はたまたまったく別の物なのか。

ここから先、『決戦の荒野』に近付くにつれ、いろいろなことが明らかになっていくはずです。では、次回もお楽しみに。

★ ★ ★ ★ ★ ★ ★

【主な登場人物紹介】

■ドッカーノ村騎士団

♤ジン・ライム 18歳 ドッカーノ村騎士団の団長。典型的『鈍感系思わせぶり主人公』だったが、旅が彼を成長させている。いろんな人から好かれる『伝説の英雄』候補。

♤ワイン・レッド 18歳 ジンの幼馴染みでエルフ族。結構チャラい。水の槍使いで博学多才、智謀に長ける。『PTD7・淑女』と共に『PTD6・ナルシスト』を倒した。

♡シェリー・シュガー 18歳 ジンの幼馴染みでシルフの短剣使い。弓も使って長距離戦も受け持つ。ジン大好きっ子で負けフラグをへし折った『幼馴染ヒロイン』。

♡ラム・レーズン 19歳 ユニコーン族の娘で『伝説の英雄』を探す旅の途中、ジンのいる村に来た。魔力も強いし長剣の名手。シェリーのライバルである『正統派ヒロイン』。『右鳳軍団』に先行し、ジンと合流を果たした。

♡チャチャ・フォーク 14歳 マーターギ村出身の凄腕狙撃手。謎の組織から母を殺され、事件に関わったジンの騎士団に入団する。シェリーが大好きな『百合っ子ヒロイン』。

♡ジンジャー・エイル 21歳 他の騎士団に所属していたが、ジンにほれ込んで移籍してきた不思議な女性。闇魔法の使い手で、『PTD4・幽霊』を倒すも、右腕を失った。

♡メロン・ソーダ 年齢不詳 元は木々の精霊王マロン・デヴァステータだがその地位を剥奪された。『魔族の祖』アルケー・クロウの関係者で、彼を追っている。現在ジンたちとは別に『先遣隊』を率いて行動中。

♤ダイ・アクーニン 28歳 賢者ストックの息子で卓越した知力と魔法を誇る弓使い。魔王を目の敵にし、傭兵隊長だったコア・クトーや錬金術師のシロヴィン・ボルドーとともに先遣隊に加わった。現在、マロンと行動中。

♡アイリス・ララ 『PTD10・ドール』を名乗り、ジンを瀕死に追い込むほど善戦した自律的魔人形エランドール。ジンの魔力マナで再起動し、新たに仲間となった。

■トナーリマーチ騎士団『ドラゴン・シン』

♤オー・ド・ヴィー・ド・ヴァン 21歳 アルクニー公国随一の騎士団『ドラゴン・シン』のギルドマスター。大商人の御曹司で、頭も切れ双剣の腕も確かだが女好き。

♤ウォッカ・イエスタデイ 21歳 ド・ヴァンのギルド副官。オーガの一族出身である。無口で生真面目。戦闘が三度の飯より好き。オーガの戦士長、スピリタスの息子。現在、『左龍軍団』と共にジンとの合流を目指している。

♡マディラ・トゥデイ 20歳 ド・ヴァンのギルド事務長。金髪碧眼で美男子のような見た目の女の子。生真面目だが考えることはエグい。狙撃魔杖の2丁遣い。

♡ソルティ・ドッグ 21歳 『ドラゴン・シン』の先鋒隊長である弓使い。黒髪と黒い瞳がエキゾチックな感じを醸し出している。調査・探索が得意。

♤テキーラ・トゥモロウ 年齢不詳 謎の組織から身分を隠して『ドラゴン・シン』に入団した謎の男。いつもマントに身を包み、ペストマスクをつけている。現在、ド・ヴァンの許可のもと、『暗黒領域』で単独行動をしている。

♤ブルー・ハワイ 25歳『ドラゴン・シン」の遊撃兼偵察隊長である槍使い。金髪碧眼で観察力と記憶力に優れる。変装に優れ、情報を分析する能力に長ける。

♡メアリー・ブラッドレイ 25歳『ドラゴン・シン』で物資調達を引き受けている槍使い。ド・ヴァンを詐欺ろうとして失敗、許されて彼に心酔し仲間になった。

■退場した仲間たち

♡レイラ・コパック 博識で氷魔法の使い手。スナイプのスカウトで加入した。『PTD5・法律家』を倒すも『PTD3・道化』に止めを刺された。享年17歳。

♡ウォーラ・ララ ジンの魔力マナで再起動した自律的魔人形エランドール。彼に献身的に仕えたが、『PTD2・戦士』との戦いで相討ちとなった。

♡ガイア・ララ 謎の組織の依頼でマッドな博士が造ったエランドールでウォーラの姉。『PTD1・学生』と対峙したが、相討ちとなって果てた。

♡エレーナ・ライム(賢者スナイプ)28歳『賢者会議』の一員だった才媛。ジンに自身が人工生命体ホムンクルスであることを明かし『風の宝玉の欠片』を譲る。『PTD3・道化』を倒すも、『道化』が残した瘴気に侵されてしまったが、マーリンの秘薬『諸刃の韻律』によって命は救われた。現在、視力を失いマーリンの許にいる。

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