Tournament153 The Death hunting:2(死神を狩ろう!その2)
多くの団員を失ったジンたち『騎士団』だが、ラムが復帰した。
『勇士の軍団』が追従するにはまだ時間がかかることを知り、ジンは出発を延期する。
シュバルツユニコーン族がジンを狙って動き出す中、アルケー・クロウが会談を申し込んできた。
【前回のあらすじ】
ウォーラをはじめ優秀な団員を失ったジンたち『騎士団』は、とりあえず『ドラゴン・シン』の最前線補給処まで退いた。ド・ヴァンは『勇士の軍団』到着を待つよう勧めるが、マロンの情報により、ジンはアルケーと会うために前進することを決意する。
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
「えっ!? 前進するの?」
僕はマロン様の話を聞いて前進を決意したあと、すぐに『騎士団』に割り当てられた天幕に戻り、事情をみんなに告げる。
シェリーが最初に驚いたような声を上げ、
「それってきっとアルケーって奴の罠だよ。マロン様には悪いけれど、ここで『勇士の軍団』やラムを待っていた方が絶対にいいって!」
そう反対意見を言うと、チャチャちゃんも
「……団長さんの決定には従います。ただ、シェリーお姉さまの体調はまだ万全じゃないってことだけは伝えておきます」
そう言って暗に反対の意を表明する。
「……アルケー・クロウがどういった人物かは知りませんが、ご主人様の記憶をスキャンするとかなりの遣い手で、智謀もある戦士のようですね。
皆さんの仰るとおり、『勇士の軍団』を待った方が勝利する確率は上がると思いますが?」
元『テモフモフの遺産』の一人で、PTD10『ドール』と名乗っていた自律的魔人形の戦士、アイリス・ララさんも、冷静な判断を下している。
「……『勇士の軍団』を連れて行ったとしても、絶対にアルケーと戦わなきゃいけないわけじゃないわ。会談日時を遅らせるわけにはいかないのかしら?」
ジンジャーさんが右ひじを掴みながら言う。『テモフモフの遺産』との戦いで、彼女とシェリーが最も重い傷を負っていたので、やはり即時の出発には難色を示しているようだ。
「……ジン、ボクも即時の出発には反対だ。ジンジャーさんの言うとおり、『勇士の軍団』を待って、こちらには万全の備えがあることをアルケーに見せつけてやればいい。
軍を率いて行くからって、戦闘をしなくちゃいけないって法はない。話し合いの意思表示は出来るはずだよ。まずはマロン様にボクたちの意見を伝えてみてくれないか?」
ワインもそう言う。僕たち『騎士団』の頭脳として活躍しているワインは、至極真っ当な判断をしているのだろう。
だが、ジンジャーさんを除く他の3人は、初めて人的被害が出たため、『暗黒領域』の厳しさと戦いの非情さを改めて思い知った形になった……そのことが、多少なりとも影響しているに違いない。
僕は腕を組んで考える。みんなが僕を見ていた。
特にシェリーとワイン……僕が『騎士団』を立ち上げた時分からのメンバーで、幼馴染でもある二人は、僕を信頼の眼で見ている。マロンさんの期待や気持ちも解るだけに、希望に満ちた眼差しで先遣隊に戻って行った彼女をがっかりさせるのも辛かった。
だが、無用な損害を局限するのも団長の役目だ。僕はうなずいて言った。
「分かった。マロン様に説明して、会談日を後にできないか確認しよう」
そう言っていた矢先、僕たちの天幕の入り口から、マロン様が入って来た。
「良かった、みんな揃っているわね?」
「マロン様? 先遣隊に戻られたんじゃ?」
僕がびっくりして訊くと、マロン様は難しい顔をして、
「それが、アルケーが急に『会談日を遅らせたい』って知らせて来たの。わたくしは本隊の状況を鑑みると、『勇士の軍団』の到着後、軍団を引き連れていた方がいいと思ったので、ジン様がせっかくああ言ってくれたけど独断で会談日を3日後から1週間後に遅らせたの。そのことを伝えたくて戻って来たのよ」
そう言って笑う。その笑顔がちょっと複雑だったのは、急に延期を言い出してきたアルケーに対して、疑念が生じたからだろう。
「ほらやっぱり! きっと罠がまだ完全じゃないから、会談日を伸ばしてきたのよ」
シェリーがぷりぷりして言う。それに、マロン様が悲しそうな顔をして、
「わたくしも急なことでアルケーに疑念を抱いたわ。だからアルケーに確認したの、
『会談日が遅れた場合、わたくしたちは『勇士の軍団』と前進することになるけれど、それでもいいのか?』って。
そしたらアルケーは、『勇士の軍団』を連れて来ても構わない。どうせ今はまだ戦う時期じゃないからって答えた……。
みんながアルケーのことを信じられないのは解りますが、せっかく向こうから話し合うチャンスを作ってくれたのをフイにしたくないの」
そう言いながら僕の顔を見る。僕はうなずいて答えた。
「アルケーが『勇士の軍団』を連れて来ても構わないって言ってるんだったら、こちらは遠慮なくそうさせてもらおう。
約束の日時は1週間後ですね? 詳しい時間や場所が分かったら教えてくださいませんか?」
「ちょっとジン! 好き好んで罠に飛び込むバカがどこにいるのよ!?」
シェリーが怒って叫ぶが、僕はワインやジンジャーさんを見て、
「……罠かもしれない。でも、その場合は魔王より先にアルケーを倒す。みんなそのつもりでいてほしい」
そう言うと、ワインは片方の眉だけを器用に上げて、
「……ま、魔王もアルケーも、それから『運命の背反者』も、いずれは倒さなきゃいけない相手だからね。順番が前後するだけだね」
そう答え、シェリーを微笑みながらなだめてくれた。
「シェリーちゃん、マロン様はジンとアルケーを戦わせたいんじゃない。むしろ二人が協力できないかってずっと仰ってた。
ここはマロン様を信じてみるべきじゃないかな? もしもアルケーがあくまでジンを目の敵にするのなら、マロン様だって考えるところはあるだろう」
マロン様は全員を等しく見回してうなずくと、
「……団長さんの安全は、わたくしがこの身に代えても保証するわ。だから一度でいいから、わたくしやアルケーを信じてほしいの」
元精霊王だった方が、頭を下げんばかりに頼んで来る。それを見ては、シェリーやジンジャーさんも表立っての反対はしにくかったのだろう、二人とも押し黙ってしまった。
「マロン様がああ言っておられるんだ。それにボクたちも無為無策で彼と会うわけでもない。話してみたら思わぬ情報が手に入らないとも限らない。ボクたちは、とにかくジンをしっかり守ることだけを考えよう」
ワインがそう言うと、シェリーもジンジャーさんもうなずく。それを見て、マロン様はパッと表情を明るくして、
「みんな、ありがとう。では団長さん、アルケーと調整して、詳しい時間と場所をお知らせいたしますね?」
すうっとその場で虚空に消えて行った。
「ちょっとジン、本当にアルケーって奴と会うつもりなの?」
マロン様が消えた後、やはりというかシェリーが突っかかって来る。僕はワインを見た。彼はため息と共に両手を広げて肩をすくめて見せる。その顔は言外に、
『キミがシェリーちゃんを安心させてあげたまえ』
と言っていた。
僕がうなずいてシェリーに言葉をかけようとした時、天幕の外が騒がしくなった。人声の中にはド・ヴァンさんの他に、聞いたような声もある。
(……ラムさん? いや、『勇士の軍団』は『東の関門』を越えたばかりだと聞いている。
8千もの部隊が、3・4日でここまで来られるわけはない)
僕がそう思った時、シェリーが外を向いて言った。
「ラムの声だわ! やっと帰って来てくれたんだ!」
僕たちはそろって天幕の外へ出る。陣門から、ド・ヴァンさんたちに囲まれてラムさんが歩いて来るのが見えた。燃えるような赤い髪を後ろで大きく三つ編みにし、額には金属光沢がある白い角、緋色の瞳が僕たちを見つけた時、彼女は笑顔で僕に駆け寄ってきた。
「団長、お待たせいたしました。無事『勇士の軍団』は『暗黒領域』に入っています」
目を輝かせて報告するラムさんに、僕は笑顔でうなずくと、
「お疲れ様だったね。これで何の心配もなく『約束の地』に突進できるよ」
そう労いの言葉をかける。
ド・ヴァンさんが微笑んで言ってきた。
「これで駒はそろった。後は『勇士の軍団』の状況を報告してくれないか? ボクたち『ドラゴン・シン』も、こっちの任務が終わったら団長くんと行動を共にする予定だから」
ラムさんはうなずき、
「『左龍軍団』はオーガ侯スピリタス・イエスタデイ様が指揮を執る3千、『右鳳軍団』はユニコーン侯国のシール・レーズン戦士長が指揮を執る3千。
他に、スコッチ・カッパー殿が指揮を執る『遊撃軍団』1千5百に、マーターギ村首領ガン・スミス殿が指揮を執る『猟兵軍団』5百。総勢8千人の兵力です。
現在、オーガ侯総指揮の許、本集積所へと行軍中です。輜重は兵員と別途に、オーガ侯国のヴィザーヤ・ヤジュロフ殿が5千を指揮して兵站線を構築中です」
それを聞いて、ド・ヴァンさんの表情が曇った。
「……ラムさん、その状況をもう少し詳しく聞かせてもらってもいいかな? ウォッカ、君にも訊きたいことがあるから一緒に来てくれ。
団長くん、これは君にも大いに関係がある事項だから、ぜひ協議に加わってほしい」
ド・ヴァンさんの提案を受けて、僕たちはすぐに『ドラゴン・シン』の本部に集合する。すでにブルーさんとテキーラさんが待っていた。
僕は、テキーラさんに駆け寄って、シェリーとチャチャちゃんを離脱させてくれたことへのお礼を言う。
「テキーラさん、シェリーたちを助けていただいてありがとうございます」
テキーラさんは、ペストマスクでくぐもった声ながら、励ましてくれた。
「……礼には及ばない、仲間を助けただけだ。それよりジン殿が無事でよかった。
かなりの損害が出たそうだが、『勇士の軍団』と合流すれば、散って行った団員たちの仇も取れるだろう。気を落とさないことだな」
「テキーラさん。大丈夫です、僕は目的を達成するまで止まりません」
僕が言うと、テキーラさんは僕に視線を合わせてうなずく。マスクで見えないが、その下の顔は優しい表情をしているように思えた。
「さて、みんな揃ったな。ではまず、『勇士の軍団』の現状を知っておこうか。ウォッカ、ラムさん、頼むよ」
全員がテーブルを囲んで座ったことを確認したド・ヴァンさんは、そう言って会議を始めた。
最初、ウォッカさんとラムさんが、それぞれ『左龍軍団』や『右鳳軍団』の指揮官、兵力、装備について説明する。どちらもオーガ侯国やユニコーン侯国きっての指揮官と、精鋭たちで編成されているので、戦闘力には問題はない。ただ、
「21年前の『魔王の降臨』時、マイティ・クロウは各5千を率いていたと聞きますが、今回は3千しか編成できませんでした。
どちらの国にも魔物たちが出没し始めており、本国の防衛のため外征軍にこれ以上の兵力を割くことが出来なかったためです」
「それと、急いで編成したため、輜重隊の編成が完結していません。物資の手配も含め、補給が安定するまでしばらくかかりそうです」
その報告を聞いたド・ヴァンさんは、真剣な顔でうなずき、
「ラムさんの言うとおり、後方の連絡線が不安定なまま出撃したら、思わぬ問題が生じないとも限らないし、そもそも部隊の実力が発揮できない。
輜重の編成はどのくらいかかる見込みだ?」
そう訊くと、ウォッカさんが答えにくそうに言った。
「後方については、我が侯国のヴィザーヤ・ヤジュロフ将軍が責任を負っています。大陸から連れて来た輜重兵は5千。これでは補給船が伸び、補給所が増えるにつれて扱える物資が減ってしまいますし、早晩戦線の破綻を招くのは目に見えています。
マジツエー帝国でどのくらいの輜重輸卒を集められるか、そしてそもそも物資を不足なく集められるか……この二つが現状最も憂慮すべきことだと思います」
ド・ヴァンさんはうなずいてマディラさんを見る。マディラさんはド・ヴァンさんが何も言わないうちに首を振って言った。
「現状でも補給線にはやや負荷がかかっています。この他に6千もの将兵の補給を担当する余力はございません」
「進出を『瘴気の密林』の手前までとし、そこまで3百マイルだとすると、補給処の前進にはどのくらいかかる?」
「……20日いただければ、と思います」
マディラさんが言う。
これは『ドラゴン・シン』の能力をフルに使っての数字なのだろう。戦闘は戦術や個人の技量で何とかできても、作戦の成否は補給が決することの方が多い。『ドラゴン・シン』やド・ヴァンさんたちが精いっぱいやってくれていることに疑いはない。
「……ド・ヴァンさん、これ以上『ドラゴン・シン』のみんなにも負荷はかけられないと思います。『勇士の軍団』の補給について目途が立つまで、僕たちも前進を控えます」
僕がそう告げると、ド・ヴァンさんは気の毒そうに笑ってうなずいた。
★ ★ ★ ★ ★
『暗黒領域』の『瘴気の密林』……ここは毒々しい色の植物が繁茂し、毒の川が流れ、そして湿地帯には毒を持った魚や虫が生息する、自然環境で言えば『地獄の河原』に匹敵する生息不可能領域だった。
ただ、それは人間に対して言えるもので、魔族や魔物の中にはこの瘴気のもとで能力を十分な発揮するものもいる。
浅黒い肌と金属質の角を持ち、『闇』のエレメントでこの森を支配する『闇の種族』の一つ、シュバルツユニコーン族も、その『瘴気に適応した魔族』である。
その王、ランズロウ・ミステイルは、ジンの『騎士団』を見張っていた者から
「ジン・クロウの騎士団は重大な損害を受け、一旦『ドラゴン・シン』の補給所まで撤退しています」
という報告を受け、腹心の部下を呼び出した。
「ランズロウ様、お呼びですか?」
「いよいよ『伝説の英雄』との戦いですか?」
「でも、ジンはいったん撤退したって聞いたけど?」
そう言いながら入ってきたのは、副官のカザリン・マザラン、副将のテレット・アンガウル、ガラティア・オマーロンだった。
「三人とも、座ってくれ」
ランズロウの言葉に、三人はぴたりと私語をやめ、勧められた長椅子に腰かける。
「……さて、我は以前、ジン・クロウを亡き者にするという命令を下したと思うが、そのジン・ライムは今、騎士団員の半数近くを失い、『ドラゴン・シン』の補給所まで撤退している。
恐らく、『勇士の軍団』との合流を図っているのだろうが、そうなると我の作戦に大きな齟齬が生まれる。そのため、作戦の一部変更をお前たちと協議したいと思ったのだ」
ランズロウがそう言うと、カザリンが、
「そうなってしまうと厄介ですね。やはりここは、ジンたちだけを誘き出す必要がございませんか?」
そう訊く。
「簡単に『ジンたちだけを誘き出す』というけれど、それができたら苦労はしないわよ。
カザリンに、何か妙案があるのですか?」
金髪碧眼の副将ガラティアが訊くと、カザリンはクスリと笑って、
「もちろん。それにはガラティアの協力が必要ですが……」
意味ありげにガラティアを見て言う。
「……何? あたしに『ドラゴン・シン』の集積所を襲えとでも言うのですか?」
ガラティアが、唇の端を引き上げて訊く。カザリンが何か考えているのか、お見通しといった表情だ。
「そう、私が考えていること、分かっちゃった?」
カザリンが悪戯を見つけられた子どものような表情で訊き返すと、ガラティアはホッとため息をついてうなずく。
「ふう、何年も付き合っていると、自然とあなたの考えは読めて来ますよ。
で、主戦場はどこにするんです?」
ガラティアの言葉に、カザリンはもう一人の副将、テレット・アンガウルを見て言った。
「テレット、『テモフモフの遺産』たちは、最初どこでジンたちを襲う計画だったか知ってる?」
「……いや。最初っから『地獄の河原』には一歩も足を踏み入れさせないつもりじゃなかったのか?」
テレットが不思議そうに訊くと、カザリンは首を振り、ランズロウを見る。
ランズロウは、カザリンの考えを読み、うなずきながら言った。
「カザリン、お前の作戦を聞かせてもらおうじゃないか」
カザリンは、にこりと笑って答えた。
「分かりました。私の作戦をご説明いたします」
「ジン、何を考えているんだい?」
僕が『ドラゴン・シン』の物資集積所の櫓の上で、今後のことを考えていると、ワインとシェリーがやってきて訊いた。
先の『テモフモフの遺産』たちとの戦いで、僕の『騎士団』はこれまでにない損害を被っていた。ガイアさんとウォーラさんの自律的魔人形姉妹、レイラさん。そして、何よりも痛かったのは賢者スナイプ様の喪失だった。
スナイプ様は、僕が『ドール』から瀕死の重傷を負わされたときに駆けつけてくれて、僕を救ってくれた。その時だけじゃなく、『組織』の枢機卿ヴィンテルとの戦いの後も、いったん死んでしまった僕を生き返らせるため、畢生の魔力を使ってくれた。
考えてみれば、スナイプ様……いや、僕の母エレノアの妹であるエレーナ・ライムには、この旅の最初から助けてもらってばっかりだった。
そして、彼女は僕に『風の宝玉の欠片』を渡し、自身の秘密を打ち明けていなくなってしまった。今思うと、エレーナさんのキスには、叔母、いや姉以上の深く、複雑な思いが籠っていたように思う。
『私は、エウルア姉様がある目的のために、バーボン・クロウとエレノア姉さまの素材を使って創り上げた人工生命体なの。
私の役目は、ジンくんを守り、魔族と人間の断絶を防いで『摂理の最後の1ピース』を完成させること……ジンくんがその『最後の1ピース』なの。だからあなたは簡単に死んじゃダメ。覚えていてね?』
エレーナさんが遺してくれた言葉は、はっきり言って今の僕にはよく分からないこともあるし、過大な期待だとも思える。けれど、僕が行く道に、重大な岐路があるとしたら、この言葉は僕にとって貴重な羅針盤たり得るだろう。
「……いや、ちょっとスナイプ様の言葉を思い出していたんだ。『どれだけ仲間を失っても、やるべきことから目を逸らすな』って」
北の空を見つめながら言う僕に、ワインもシェリーも何も言えないでいる。
僕の一番気心の知れた親友でもあるワイン。そしていつも僕のことを考え、幼馴染以上の感情を僕にぶつけて来てくれたシェリー……この二人がいなければ、僕は『騎士団』を作れなかったし、ここまで旅を続けるのも難しかっただろう。
「……あ、あのさ、ジン……」
沈黙に耐えかねたのか、シェリーが顔を赤くして僕を見つめて言葉を発する。僕は彼女の悲しみに満ちた瞳を見つめた。
「……アタシはさ、ジンに『悲しまないで』なんて言わないし言えない。だってジンが5千年前の時代に行って、どんな悲しい目に遭っているか、解ってるから。
だから、今のうちに悲しんで。戦いの中で悲しみに囚われると、ジンまでいなくなっちゃいそうで怖いんだ。だから、悲しむななんて言えない。
でも、伝えたいことがあるんだ。聞いてくれる?」
うつむいたまま、ぽつぽつと言うシェリーに、僕は優しい顔でうなずいた。
するとシェリーは、サッと顔を上げた。真剣で、ひたむきな目をしている。
「アタシ、絶対にジンの許可なしに、ジンより先に死なないから! アタシが死ぬのは、ジンと同じ時か、ジンの命令があった時だけだから!
だから、ジンも約束して!? 絶対アタシより先に死なないって、アタシを置いて行かないって!」
「……シェリー……」
シェリーは、真っ直ぐ僕を見て、その琥珀色した瞳を持つ目から涙をぽろぽろとこぼしている。その後ろでは、ワインがいつになく神妙な表情で僕たちを見つめている。こんな時、ワインはいつも軽妙な話術でシェリーを落ち着かせ、深刻な雰囲気になるのを防いでくれていたものだったが……。
「……アタシ、本当はジンが『伝説の英雄』なんかにならなければよかったのにって思ってる。アタシはただ、ジンの側にいて、ジンのお嫁さんになって、ジンと一緒に笑って、ジンと幸せに暮らしていければ、それでよかったんだ。
『騎士団』に入ったのだって、ジンから一時も離れたくなかったからだし、ラムやウォーラに嫉妬していたのだって、ジンを独り占めしたかったからだよ?
だってジンは、アタシのすべてだもん! 小さい時から、アタシを守ってくれて、何でも教えてくれて……だから、アタシと約束して!」
僕はワインを見る。ワインは困ったような表情ながらも、優しい微笑を浮かべていた。ああ、これはきっと、
『キミがシェリーちゃんを落ち着かせたまえ』
そう言っているに違いない。
僕は何も言わず、シェリーを抱きしめる。頭をなでてやると、シェリーは僕の胸に顔をうずめ、くぐもった声で言う。悲しみがあふれ出したような声だった。
「……どうして約束してくれないの? ジン、アタシを置いて逝っちゃうつもりなの?」
僕はゆっくり頭を横に振ると、しっかりと彼女の耳元で言った。
「……約束する。僕はシェリーやワインを置いて行ったりはしない」
「……寝てしまったな……」
僕とワインは、シェリーを僕たちに宛がわれた部屋に運ぶと、そっと寝台に寝かせた。目の下に隈を作っているシェリーは、安心したような顔ですうすうと寝息を立てている。
「……あの戦い以降、ほとんど寝ていないようだからね。チャチャちゃんの前では強がっているが、『騎士団』に損害が出るのは初めてだから、ショックも大きかったんだろう。
ボクだって眠れるようになったのはここ数日のことだからね。やはり、ラムさんが復帰してくれたのは大きかった」
ため息と共にワインが言う。彼だって、スナイプ様がいなくなってからこの方、かなりふさぎ込んでいたので心配していた。
11人いたドッカーノ村騎士団も、今は僕とシェリー、ワイン、ラムさん、チャチャちゃん、そして負傷したジンジャーさんの6人しかここにはいない。
もう一人、元木々の精霊王であるマロンさんは、別動隊を指揮して分離している。『瘴気の密林』入口で落ち合う予定だが、彼女やダイ・アクーニンとその仲間たちと合流できれば、『暗黒領域』を進むのに多少不安は軽減する。
さらに、僕が戦ったエランドール、PTD10『ドール』も、今はアイリスさんと名乗って僕の『騎士団』に加わってくれている。ただ、彼女は戦闘であちこちに小さな故障が生じていたため、整備や修理を兼ねて賢者マーリン様のところに行ってもらっていた。
「……とにかく、『勇士の軍団』がここに着くまで、もうしばらくの時間が必要みたいだ。アイリスさんが戻って来たら、『瘴気の密林』まで行くか、それともマロンさんたちを呼び返すかを決めないといけないな。別動隊だけを、連絡もなしに前に出して放置するわけにもいかないからね」
ワインの言葉に僕はうなずく。失った団員は、みんな優秀でかけがえのない人物ばかりだったが、再編成すれば戦闘力は維持できるだろう。
「……そうだね。じゃ、ラムさんやジンジャーさんとも話をしてみないとね。特にジンジャーさんはあれだけの怪我をしているんだ。場合によっては『勇士の軍団』を待ってもらって、一緒に進出してもらった方がいいかもしれないしね?」
僕がそう言って立ち上がろうとした時、何かに引っ張られたような感じがしてまた座り込む。よく見ると、シェリーが僕の服の端をしっかりと握っていた。
「あ、シェリーのヤツ……」
呆れたように僕が言うと、ワインは笑って首を振る。
「どうやら元気なキミが、シェリーちゃんの一番の精神安定剤のようだね。
シェリーちゃんの安眠のために、彼女が目覚めるまで側にいてあげたまえ。ラムさんやジンジャーさんとは、ボクが話をしておこう」
そう言って、ワインは部屋を出て行った。
ワインは、ジンとシェリーを二人きりにすると、その足で野戦病院に向かう。『幽霊』との戦闘で右腕をひじから失い、『ドール』から胸に重傷を受けていたジンジャーは、ジンの『大地の慈愛』で何とか命をつないだが、その後の治療と回復のためにここに運び込まれていたのだ。
ワインがジンジャーのいるテントの天幕を潜ろうとした時、中から灰色のフード付きマントに身を包み、ペストマスクをかぶった男とばったり出会った。
「おや、ワインの坊やじゃないか」
「テキーラさん。どうしてここに?」
ワインが不思議そうに訊くと、テキーラは静かな声で答える。
「君たちの副団長は、ジンジャー殿と私でここに運んだ。そのジンジャー殿が負傷したと聞いたので、見舞いがてら後学のために相手がどんな奴だったかを聞きに来たのだ」
そう言うと、彼にしては優しい声で、
「胸の傷もかなり良くなってきている。心配には及ばないようだ」
そう言うと、
「お気遣い、ありがとうございます」
「私は同盟者だ、礼には及ばない」
ワインのお礼にそう言って立ち去ろうとして、ふと足を止める。
「そうだ、これは君たちにも知らせておいた方がいいだろう」
そうつぶやくと、ワインに向き直って言った。
「『地獄の河原』に、『テモフモフの遺産』たちが造った陣地が残されているようだ。ジン団長はじめ君たちを引き込んで戦う予定だった陣地だ、どんな罠が仕掛けられているかも判らんし、他の魔物たちが入ってしまったら厄介なことになる。だから、我が団長自らがそれを排除しに行ったが、猛烈な暑さで行きつけなかったようだ」
「そうですか、でも仕方ありませんね。情報提供とご協力に関して感謝します。ド・ヴァン君にもよろしくお伝えください」
テキーラを見送りながら言うワインの心に、一瞬悪い予感が走った。
(……『テモフモフの遺産』たちの陣地か。考えてみれば、火の精霊王アリスの部下、エランドール執事の話では、『絶対不敗の陣地』を準備しているという話だったな。くそっ、スナイプ様さえいらっしゃったら、戦闘後に素早く破壊していたんだが……)
ワインはそう考えながら、ジンジャーに会うためにテントの中に入った。
★ ★ ★ ★ ★
『瘴気の密林』にあるシュバルツユニコーン族の集落では、数千人の若者たちが鎧に身を包み、手に手に武器を持って集合していた。
彼らの前に、身長2メートル近い、漆黒の軍装に身を包んだ男が進み出て、全員を緋色の瞳で眺める。数千の部隊は、それだけで水を打ったように静まり返った。
「その昔、我がシュバルツユニコーン族はホッカノ大陸の長であった。ダークエルフやアビスオーガ、ルナティックシルフなどの輩とともに、大陸を跋扈し、人間たちにとって不可侵の領域を支配していた。その栄光の歴史を忘れた者はいるか!?」
若者たちは、指揮官然とした男……シュバルツユニコーン族の王であるランズロウ・ミステイルの言葉を聞き、らんらんと目を輝かせている。
「だが、生意気にもこの不可侵の領域に手を伸ばすものが現れた。ほかでもない、マジツエー帝国だ。奴らは5百年にわたって我が領土を侵食してきた。
さらに、『伝説の英雄』までもが魔王様に牙を剝いて領域の安穏を乱している。これは許されざる行為であり、思い上がった所業だ。我らはそんな奴らに鉄槌を下し、二度と我が領土が侵犯されないようにせねばならない!」
ランズロウの声がだんだんと熱を帯びてくる。それに合わせるように、若者たちの角にぼうっとした光が宿ってくる。
「私は『摂理の超越者』様の依頼を受け、今日ここに『伝説の英雄』討伐の軍を興す。憎きジン・クロウを倒し、我がシュバルツユニコーン族の武名を天下にとどろかせ、人間どもをホッカノ大陸から叩き出すのだ!」
ランズロウの咆哮と共に、若者たちは一斉に武器を振り上げ、歓声を上げる。
「静まれい!」
ランズロウが叫ぶと、喧騒が一気に収まる。若者たちの視線は、再びランズロウに向けられた。
ランズロウは重々しくうなずくと、傍らに控えた黒髪の美女に命令する。
「カザリン、作戦を伝達せよ!」
「はい!」
カザリンは命を受けて前に進み出て、各部隊の行動を指示した。
「今回の作戦目標は『伝説の英雄』ジン・クロウを討伐すること。『地獄の河原』南50マイルに、『ドラゴン・シン』という騎士団の物資集積所がありますが、ジンは自分の騎士団を率いてそこに居ます。
まずは、ジンを誘いだす必要がありますので、ガラティアが率いる1千は、ユニコーン族の部隊に偽装して南側から集積所に近付き、相手が陣門を開いたら突入してください。
突入後は、主に相手の資材を狙って焼き払うか、可能なら鹵獲してください。相手が陣門を開かなかった場合は、テレットの部隊と行動を共にしてください」
ガラティアがうなずくのを見たカザリンは、続いてテレットを見て、
「テレットは、1千を率いて北側から集積所に近付いてください。相手が陣門を開いたら、ガラティアと共に集積所に突入し、ジンを狙ってください。
陣門を開かなかった場合は、ガラティアと共に集積所を包囲攻撃してください。毒を使っても構いません。ジンが脱出してきたら、討ち取れるようなら討ち取り、難しければ北に進ませてください」
テレットもうなずく。最後にカザリンはランズロウに言った。
「私は5百を率いて、『テモフモフの遺産』たちが準備した陣地を占領します。ランズロウ様は5百を率いて後から陣地にお入りください。そこを本陣といたしますので」
カザリンが説明し終えると、ランズロウは大声で全軍に命令を下した。
「シュバルツユニコーン族の誇りと意地を見せつけよ。出陣だ!」
その頃、一人の男が、『テモフモフの遺産』たちがジンを罠にはめるために作った陣地のあちこちを動き回って何か作業していた。
男は黒髪でタキシードに身を包んでいるが、左のひじから先がない。しかし、彼はそんなことは全く頓着しない様子で、ひたすら陣地内に魔法石を置いて回っていた。
(……この陣地は邪魔だ。アリスお嬢様が来てくださるなら、火の眷属でここを守ることもできるだろうが、それは誓約によりかなわない。
だとすると、他の魔物がここを占拠しないように完全に破壊すべきだ。さもないとジン殿の『約束の地』入りが遅くなるばかりでなく、さらにドッカーノ村騎士団に犠牲者が出るかもしれない)
男の名は、ヴォルフガング・ガイウス・フォン・ローゼンバッハ・ヨハン・ダヴィデ・フォン・ヘーゼルブルク0号。鬼才アイザック・テモフモフ魔法博士が造り上げた自律的魔人形の1体であり、正式型番はPTD8、コードネーム『執事』である。
火の精霊王アリス・ヴェルファイアの部下であり、同じくアリスに仕えるPTD9『踊り子』と共にジンに味方し、ジンをこの陣地で迎撃するという作戦を放棄させ、『テモフモフの遺産』たちを陣地から引きずり出すという功績を立てていた。
「……よし、後は魔石を一度に発動すれば、この陣地は跡形もなく吹き飛ぶはずだ」
ヴォルフはそうつぶやくと、坂道を登って氷の要塞までやってきた。ここからなら、陣地の全貌が見渡せる。
「……何とか、別の魔物が来ないうちに処置が出来てよかった。一時はお嬢様のところに戻れぬだろうと覚悟したが……」
そう言いながら、ヴォルフは陣地の真ん中に置いたひときわ大きい水晶に向けて魔弾を放った。
バシュンッ!
すると、水晶はその魔力を陣地内に置かれたすべての魔法石に転送する。あちこちに置かれた魔法石は、新たな魔力の流入を受けて起動し、凄まじい魔力を拡散し始めた。
ズン、ズドン、ズズンッ!
陣地のあちこちで、爆発とそれに伴う破壊音が響き始める。そして、陣地に火の手が上がり始めた。
ズドーン、ズバアンッ、ドーンッ!
『テモフモフの遺産』たちは狡猾だった。陣地は目に見える杭や木材だけでなく、魔力によって造られており、中に入ったが最後、陣地中央に誘引され、二度と外には出られなくするような仕掛けが施してあった。それも地上だけでなく地下や空中にもだ。
(『テモフモフの遺産』たちが、あくまでここでの決戦に固執していたなら、ジン殿はもっと苦戦したことだろう。あるいはここから出られなくなったかもしれない)
ヴォルフは、燃え上がる陣地と、まだ空中を漂う魔力の残滓を見てそう考え、
「……よし、後はお嬢様の許に帰って報告するだけだ」
マジツエー帝国にいるアリスのもとに戻るため踵を返した時だった。
「待て。我が座所にする予定だった陣地を、よくも破壊してくれたな?」
そう言いながら、黒髪で緋色の瞳を持つ軍装の男が現れた。その後ろには数百の兵が付き従い、燃え盛る陣地の方には同じく数百の軍勢が現れて消火にかかっている。
ヴォルフは、現れた軍勢がシュバルツユニコーン族のものであることを見抜くと、
(……シュバルツユニコーン族は『黒の種族』では唯一、人間とは和解していない。魔王の側で参戦したのか。これはお嬢様にお知らせせねば……)
冷静に周囲の状況を確認する。陣地の消火に当たっているのは5百ほどの部隊である。陣地の中核である中央部は、最初に爆発が起こった場所のため完全に破壊されていたが、周辺の柵などは破壊の程度としては不十分だ。
それでも、この陣地を元のような罠があちこちにある『死地』にするには、かなりの努力が必要だろう。ヴォルフは陣地破壊の程度を8割、満足すべき結果だと判定した。
(……となると、後はここから逃げ出して、シュバルツユニコーンが魔王側で起ったことをお知らせするのが、私の任務だ)
そう決意して、目の前の男とその後ろにいる軍勢の脅威度を判定する。ヴォルフを囲んでいるのは5百ほど、そして弓を持っている兵士はいない。全員が剣と盾、そして投槍で武装していた。
「我はシュバルツユニコーンの王、ランズロウ・ミステイル。お前もこのような場所で単独行動しているからには人間ではあるまい。
我らとともにエピメイア様の力になるなら、此度の無礼は見逃さんでもない。どうだ、仲間になってジン・クロウを討伐せぬか?」
(……『運命の背反者』がここまで手を回していたのか。これはいよいよお嬢様にお伝えせねばならない事態だな)
ヴォルフがそう考えているのを見て、逡巡しているものと勘違いしたのか、ランズロウはニヤリと笑うと再びヴォルフに言う。
「どうした? お前は今、我がシュバルツユニコーンの精鋭に囲まれているんだぞ? この先も生きていたいなら、お前が取るべき道は我と共に進むしかない。早く返事をした方が身のためだぞ?」
「……私は火の精霊王アリス・ヴェルファイア様にお仕えするヴォルフガング・ガイウス・フォン・ローゼンバッハ・ヨハン・ダヴィデ・フォン・ヘーゼルブルク。
音に聞くシュバルツユニコーンを率いる王、ランズロウ様にお目通りできて光栄にございます」
ヴォルフは丁寧にあいさつし、お辞儀をする。ランズロウはその落ち着いた所作をじっと見ていたが、感心したように口を開く。
「……お前、肝が据わっているな。ところで火の精霊王はフェン・レイという名ではなかったか? いつの間に代替わりした?」
「フェン・レイはアリスお嬢様がお戯れに名乗られていた名前。代替わりをされたわけではございません」
落ち着き払った様子で答えるヴォルフを見て、ランズロウはニヤニヤ笑いを大きくする。
「ほう、これだけの軍勢に囲まれ、しかも我を目の前にしてのその落ち着き。さすがは火の眷属だな。噂によるとアリス殿はマジツエー帝国と係争状態にあったとか。
お前が我に着けば、近い将来、我がシュバルツユニコーンはアリス殿に力を貸して、マジツエー帝国を滅ぼすことになるだろう。精霊王のためにどうしたらいいか、よく考えて返事をすることだな」
それを聞いて、ヴォルフは笑みをたたえたまま静かに答えた。
「お嬢様のことを第一に考えるのであれば、摂理に反することを行おうとするあなた様とは協力できない……としか答えられませんな」
ヴォルフの返事は、その場の空気を一瞬で凍り付かせた。ランズロウはもちろん、その周囲にいた兵士たちも、シュバルツユニコーンの王を相手にこれほどのことを言える者がいると想像もしていなかったようで、皆青い顔であんぐりと口を開けていた。
「……ほほう、我の聞き違いだったか? 我とは協力できないというふうに聞こえたが?」
ランズロウは、一つ深呼吸をした後、わざとゆっくりと訊く。王という立場の手前、いきなり怒るのは器の小ささを証明するようなものだ。ランズロウもそこを思って、部下の手前、行き違い、言い間違いという形で威厳を保とうとしているらしい。
しかし、ヴォルフは首を横に振り、はっきりと答える。
「いえ、王のお耳は正常でございますし、私も言い間違いをしてはおりません。私は確かに、『摂理に反することを行うお方とは協力関係は結べない』とお答え申し上げましてございます」
ランズロウの顔に赤みが差す。激情が彼を襲っているらしいが、ランズロウはやっとのことで怒りを抑え込み、震える声で訊いた。
「ふふ、我が実力を知らぬゆえ、そのような強がりが言えるのだ。
我は寛大な王だ。そなたを惜しむゆえ、重ねて我が軍と協力するよう勧告するぞ。いま一度よく……」
「いえ、何度お誘いされても、答えは変わりません。
もっとも、王が立場をお変えになり、お嬢様と共にエピメイアに敵対する道を選ばれるなら、話はぜんぜん違いますが」
ランズロウの言葉の途中で、食い気味にヴォルフが答える。そしてランズロウの『寛大さ』もここまでだった。
「こいつを八つ裂きにして、首をアリスのもとに送り付けろ!」
応ッ!
5百の兵が猛然と返事をして、ヴォルフに襲い掛かって来る。しかしヴォルフは、四方に魔弾を放ちながらいきなりランズロウに飛び掛かった。
「やっ!」
「むっ!?」
バッ!
不意を突かれたランズロウは、右手に魔力を溜めて殴りかかって来るヴォルフの攻撃を、間一髪で避けることしかできなかった。そしてヴォルフは、ランズロウに飛び掛かった勢いのまま、5百の兵の重囲を突破する。
「追え、逃がすな!」
ランズロウが怒号を放った時、陣地の消火に当たっていたカザリンがやって来て言う。
「ランズロウ様、今はあの程度の者に関わっている場合ではありません。まずは陣地をできる限り修理し、ジンをおびき寄せることが先決。
それに奴は精霊王アリスの執事、この段階で四神を敵に回してはいけません。精霊覇王エレクラが出て来ては、エピメイア様も困られることでしょう」
「むむ……」
その言葉で、ヴォルフの追撃を思い止まったランズロウは、
「……よし、追撃している者たちを呼び戻せ! それとカザリン、テレットとガラティアたちの部隊はどうしている?」
カザリンに状況の進展を訊く。
「テレットは埋伏地点に到着しました。まだ敵には見つかっていません。
ガラティアの方は、南への迂回に手間取っているようですが、彼女のことですから上手くやるでしょう」
「……状況開始は1時(2時間)後だったな。状況開始後は逐一変化を報告するよう頼んだぞ」
「分かりました。それまでランズロウ様はゆっくりお休みくださいませ」
カザリンからそう勧められたランズロウは、陣地修復にかかったカザリン部隊を眺めながら、接収した氷の砦へと足を向けた。
★ ★ ★ ★ ★
「……ド・ヴァン様、ちょっといいでしょうか?」
ジンたちが一時撤退してきて10日が過ぎた。ド・ヴァンは、初めて団員を失ったジンの気持ちを慮って、必要以外のことではあまり連絡を取らないでいたが、マディラが極めて重大な状況の変化を報告してきたのは、そんな日のことだった。
「何だマディラ?『勇士の軍団』の行軍状況か? 問題が起こったって言うんじゃないだろうね?」
いつもどおり優雅な紅茶の時間を楽しんでいたド・ヴァンだったが、これもいつもどおり、楽しみを中断させられたことに気を悪くするでもなくマディラに向き直る。
「いえ、『勇士の軍団』については、若干遅れ気味ではありますが補給線の問題も目途が立ちましたので、あと1週間か10日もすればこの集積所に到着することと思います。
ですが、報告したいのはそのことではございません」
一見エルフの美少年のように見えるマディラは、表情を動かさずにそう言う。そんなマディラにド・ヴァンは優しく席を勧める。
「まあ君も座りたまえ。そうか、『勇士の軍団』の到着予定がはっきりしただけでもいいことだ。それで、それ以外の報告とは何だい、マディラ?」
マディラは一礼して、ド・ヴァンの斜め右の位置に腰かけると、はっきりと緊張した表情になって言った。
「……味方よりも先に、新たな敵が現れたようです。私の配下がパトロール中、所属不明の部隊が南に向かっているのを発見しました」
「……南に? この集積所の連絡線を断とうとでもいうのかな?」
ド・ヴァンが細いあごに手を当てて言うと、マディラはそれを半分肯定して言う。
「はい、その可能性は高いです。ですが、その部隊はユニコーン族の軍を真似た軍装をしていたとのこと。先ずは拠点との連絡を遮断しつつ、この集積所に攻撃を仕掛けてくるのではないでしょうか?」
「……ふむ。それは、味方のユニコーン族軍に偽装して、ということだね? 兵力は判るかい?」
ド・ヴァンの瞳に鋭い光が宿る。マディラはそれを見ながら、
「約1千です。この砦には今、ワタシとソルティ、テキーラの部隊しかいませんから、戦闘要員は3百です」
そう答える。『攻者3倍の原則』で言えば、その偽装部隊がこの集積所を襲撃する可能性は十分にある。
「……輜重も含めて1千3百か。ちょっと厳しい戦いになりそうだな。それに、そいつらも奇襲が失敗することは当然考慮に入れているはずだから、どこかに別の部隊が埋伏している可能性が極めて大きい」
ド・ヴァンは案外冷静に状況を分析している。
「……マディラ、奴らの狙いはこの集積所だろうか? それとも団長くんたちだろうか?」
しばらくの黙考の後、ド・ヴァンがそうマディラに尋ねる。マディラはうなずいて、
「その可能性もあります。先の『テモフモフの遺産』たちとの戦いが終わってすでに10日、奴らをけしかけた者の耳には、ジン殿を討ち漏らしたこと、ドッカーノ村騎士団に大きな損害が出たこと、そしてこの集積所に一時退避していること……これらすべてが入っていることでしょう。次の手を打って来るには十分な時間がありますから、偽装ユニコーン族部隊はその『次の手』の一つだと考えても、大きな間違いではないと思います」
そう自分の考えを述べる。ド・ヴァンは肩をすくめて、
「ボクもその考えに賛成する。団長くんを狙うついでに、この集積所も焼き払ってしまおうって魂胆だろうね。奴らにとっちゃ、こんなところにある集積所なんて目障りでしょうがないだろうからね」
そう言うと、真面目な顔に戻り、
「で、問題はボクたちの対応だ。ここで籠城するのはもっとも安牌だ。食料は『勇士の軍団』がやって来るのを2週間後だと見積もっても十分にある。
相手の兵力は、伏兵を含めても2千かそこら。1千3百ならなんとか耐え抜けないこともない。最悪、ここを放棄するにしても、南に20マイルいけばブルーが詰めている中継所がある」
そう言うド・ヴァンの言葉を、マディラが引き継ぐ。
「……でも、それじゃ『ドラゴン・シン』らしくない、ですよね? 団長の性格なら、この状況でその2千を撃破するか、少なくとも長期間拘束する戦いをしたいって考えるでしょうからね?」
ド・ヴァンは破顔一笑してうなずき、上機嫌で言った。
「さすがはマディラだ。では、作戦を聞かせてくれるかい?」
その頃、偽装襲撃部隊を率いたガラティアは、ジンたちがいる集積所を南に5マイルほど通り過ぎた場所で一時休止していた。
隊長のガラティア・オマーロンは、金髪碧眼と見た目は普通のユニコーン族の娘だ。だが、彼女は生粋のシュバルツユニコーン族であり、幼少期にはその見た目でいわれなき差別を受けていた。
いわく、『ユニコーン族との浮気でできた子ども』、『シュバルツユニコーン族の神に嫌われた子ども』……等々だ。
そのため、彼女はシュバルツユニコーン族の中でも高貴な身分にあるにもかかわらず、孤独な少女時代を過ごした。本や剣が彼女の友人であり、読書や武術の鍛錬の時間が、彼女にとって唯一の楽しみとなっていたのだ。
もちろん、武術の方はあまり他人に見せびらかすものではなかったため、彼女は他人から見たら、お淑やかで物静か、だが知識は豊富で頭脳明晰……が定評だった。少し冷たい印象を与える顔立ちと仕草が、それを助長したのだろう。
だが、彼女のことを正確に理解している者も、少数ではあるが確実に存在する。
当時王太子だったランズロウがその一人で、彼は13歳になって王宮に出仕してきたガラティアを一目見てその適性を見抜き、後宮入りするはずだった彼女を部屋に招くと、
『ガラティア殿、君は本当に君の意志で後宮に入ってくれるのかい?』
いきなりそう訊いた。
ガラティアは、家の者から『王太子の心を捉えよ』と言い聞かされて、しぶしぶと後宮入りしたことを思い出した。
(でも、王太子様に対してそんな失礼なこと言ったら、父様や母様に罰が下るかも……)
そう考えて言い渋っていたガラティアの顔を見て、ランズロウはにこりと微笑み、
『いや、君の口からは言いにくいことだったな? すまん、質問を変えよう。君は僕の親衛隊に入るつもりはないか?』
そう訊き直してきた。その質問で、ガラティアはこの王太子に恋をし、そして永遠の忠誠を誓うことになる。
(へ?……親衛隊に? 王太子様はまさか、私が後宮入りを嫌っていることに気付かれたのかしら?)
動揺するガラティアを見て、ランズロウは笑顔を絶やさずに、驚くべきことを話した。
『君は僕の隣で花を添えるだけの存在ではなく、僕を守って剣を揮う方が輝けるようだ。
知っているかい、昨年後宮入りしたカザリン・マザランのことを?』
『え? マザラン卿の長女様ですよね? 存じ上げておりますが』
『彼女には、僕の副官兼親衛隊長を務めてもらっている。彼女も、ただ花を添えるだけの存在にしては惜しい逸材だ。だから後宮に入っても、彼女が求めない限り、僕は彼女の部屋には入らない……その約束で今の任務を引き受けてもらった』
そう言うと、ランズロウはガラティアの髪を優しくなでて、
『君には、天賦の軍才があると見た。そんな子を宮殿の奥深くに閉じ込めておくのは、シュバルツユニコーン族にとっても損失だ。
だから君の気持を聞いているんだ。もちろん、僕のことを愛してくれているのなら、そのまま後宮に入ってもらって構わない』
それを聞いて、ガラティアは自分の気持ちがどうなのかを悟った。女性として王太子の気を惹くよりも、仲間として王太子の役に立ちたい……それを自覚したガラティアは、親衛隊入りを喜んで受け入れた。
なお、この時19歳だったランズロウは、翌年、腹心の部下カザリン、テレット、ガラティアの協力を得てクーデターを起こし、自身を害そうとしていた継母の王妃と、王妃に傾倒して国事を蔑ろにしていた父王を排除して自ら王位に就いた。
その後の10年は、政治的な部分はカザリンが、民生の部分はテレットが、そして軍事的な部分はガラティアが、それぞれランズロウの相談相手として国を運営してきたのだ。
(今回の件、カザリン様はどう考えてエピメイア様につくと決められたんだろう?)
作戦自体は簡単なものだった。事前に入手した情報では、集積所にいる『ドラゴン・シン』の部隊は戦闘要員3百、輜重が1千。
高級指揮官は団長のド・ヴァン、副官のマディラ、先鋒隊長ソルティ、そしてテキーラという正体不明の団員。この中で、ガラティアが最も警戒していたのがテキーラである。
また、本当の『目標』であるジン・クロウの側には、副団長シェリー・シュガー、事務総長ワイン・レッド、突撃隊長ラム・レーズン、狙撃手チャチャ・フォーク、負傷してはいるが時々存在がつかめなくなるジャンジャー・エイル、そしてなぜか裏切ったPTD10『ドール』……。
「……はっきり言って、『ドラゴン・シン』よりも、ジン・クロウの方が不気味だな。団員もどことなく掴みどころがないものも多いし、絶対的忠誠心を持つ自律的魔人形である『ドール』を寝返らせるという手腕も……」
そんなことをぶつぶつとつぶやきながら、彼女は5マイル北にある集積所を落とすことよりも、どうやってジンを誘き出すかについて考えていた。
(集積所は、正直どうでもいい。こちらは2千もいるのだから、無理押しすれば落とせる。
でも、ド・ヴァンのこれまでの戦歴を見る限り、彼はあんな場所を死守するより、さっさと撤退を選ぶだろう。どうせあそこを放棄しても、中継所が生きている限り何度でも侵攻は可能だから。
だからこちらとしても、無駄な軍事行動で無駄な損害を出すよりも、あそこからジン・クロウを引きずり出せればそれに越したことはない)
「……ジン・クロウを誘き出したいのなら、俺が力を貸してやろうか?」
考え事をしていたガラティアは、ふいに後ろから声をかけられ、飛び上がって驚く。
「きゃっ! えっ?……」
振り向いたガラティアの前にいたのは、白髪で緋色の瞳を持ち、灰色のマントをまとった男だった。
(……誰、この男? どことなくエピメイア様にも、ジン・クロウにも似ている……)
その恐怖にも似た感情が、ガラティアから声を奪った。
その男は、薄い唇の端をつり上げて笑うと、ガラティアの眼を見て言う。
「お前の考えるとおり、ジン・クロウを誘き出せば、無駄な損害を受けずに済む。
俺も奴と話をしたいことがあってな? あいつに襲い掛かるのは、その後にしないか?」
うなずいたガラティアは、ようやく声を出すことができるようになった。
「……それは構いません。しかし、あなたは何者です?」
男はニヤリと笑い、冷たい目でガラティアを見て名乗ると、虚空に消えた。
「俺はアルケー・クロウ。『魔族の祖』だ」
「……私がいない間にそんなことが。もう少し早く帰って来られれば、くそっ!」
僕たち『騎士団』は、故国から『勇士の軍団』を連れて帰ってきたラムさんに、彼女がいない間に起こった出来事を説明していた。
『右鳳軍団』の指揮官であるラムさんの御父上、シール・レーズン戦士長は、軍団と一緒に僕たちの許へ行くことを勧められたそうだが、彼女は一刻も早い戦線復帰を願ったため、ウォッカさんと共にここに戻ってくれたのだ。
「……残念だし、悲しくもあるけれど、みんな精いっぱい戦った結果だ。ボクたちは彼女たちの戦いを無駄にしないよう頑張らないと。なあジン?」
ワインがいつもに似合わず神妙な顔で言う。もっともワインは、こんな場面でおちゃらけたことは一度だってない。それに彼も、これまで自分が僕に与えて来た助言について、とてつもない責任を感じていることも判っていた。
「……そうだね。ワインの言うとおりだ。だがワイン、間違えないでほしいが、ドッカーノ村騎士団の団長は僕だ。君の策が当たれば誇っていいが、外れた場合の責任を取るのは君じゃない、僕が取るんだ。君は何も気にせず、最善だと思う策を僕に出し続けてくれ」
ワインは何か言おうと口を開いた。だがそれは、シェリーの声で抑えられてしまう。
「ワイン、あんたが責任感じることなんてない。大丈夫、ジン一人で担うのが重たいなら、そのために副団長たるアタシがいるんだよ? アタシの役割まで取らないでほしいなぁ」
シェリーは満面の笑みで言った。ワインはそれで救われたような顔になり、
「……解ったよジン」
ただ一言、そう言って笑った。
ラムさんも、ウォーラさんやガイアさん、レイラさんの戦死をとても嘆いてくれたが、賢者スナイプ様まで犠牲になったことを知ると、一瞬顔色を変えた。
「嘘だろう、あのスナイプ様まで!?」
「……いや、ワインが確認してくれている。それに、形見まで持ってきてくれた」
僕はそう言いながら、形見の指輪が入っている胸ポケットを触る。スナイプ様の指は思ったより細く、僕の指には合わなかった。
けれど、シェリーは
『スナイプ様はジンの叔母さんだったわよね? だったら、ジンが持っていてあげた方がスナイプ様は喜ぶんじゃないかしら?』
そう言って、僕の胸ポケットに入れてくれた。
ラムさんは、その指輪を見てハッとした様子だったが、すぐに僕に指輪を返すと、
「……スナイプ様ほどの魔導士でも、一瞬の油断が命取りになるのか……」
そう、真剣な顔でつぶやいた。
「……それで、ジン様たちはこのまま『勇士の軍団』の到着を待ち、『地獄の河原』から先は合流して進むんですね?」
ややあって、ラムさんが顔を上げそう僕に訊く。僕はうなずいて、今後のことを説明しようとしたが、
「待ちたまえ。君とは話し合いの約束をしていただろう? 忘れたのかい、ジン・クロウ」
そう言って、虚空から白髪で緋色の眼をした男が現れる。
「誰だっ!」
僕を除く、その場にいた全員が色めき立ってそれぞれの武器に手を伸ばす。だが僕はみんなに落ち着いた声で言った。
「ラムさん、シェリー、ワイン。チャチャちゃんも、手を出すんじゃない!」
それで四人は殺気を収める。僕は椅子から立ち上がると、四人とそいつの間に入り、静かに言った。
「悪かった、お前の言うとおり忘れていた。それで、いつ、どこで話し合いをすればいい? アルケー・クロウ」
するとアルケーは気を悪くした様子もなく、少し笑って答えた。
「いや、約束の日時は明日の8点(正午)だ。思い出してくれたのならいい。君もいることだし、マロンとは有意義な話ができるだろうと期待しているよ」
そう言うと、部屋の壁に魔法陣を描いて言う。
「明日、正午10分前にこの転移魔法陣は発動する。行き先はもう設定済みだから、発動したら亜空間に入ってくれるだけでいい。
それと、亜空間酔いがあるから、遅くとも5分前には約束の場所に来てくれ。正午ぴったりには話を始めたいから、それまでに亜空間酔いは醒ましておいてくれよ」
そしてシェリーやワイン、ラムさんたちを見て、
「……俺は一人で待っているが、君たちは何人来てくれても構わない。証人は多ければ多いほどいいからね。それではジン・クロウ、お待ちしているよ」
アルケー・クロウはそう言い残すと、不気味な笑顔を残して虚空に消えた。
(死神を狩ろう!3に続く)
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
やっとラムが『騎士団』に復帰しました。ウォーラたちを失いはしましたが、これで戦力的には一息つけるでしょう。
しかし、シュバルツユニコーン族やアルケー・クロウがまた動き出しています。これがどんな動きをするか、目が離せませんね。次回もお楽しみに。
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
【主な登場人物紹介】
■ドッカーノ村騎士団
♤ジン・ライム 18歳 ドッカーノ村騎士団の団長。典型的『鈍感系思わせぶり主人公』だったが、旅が彼を成長させている。いろんな人から好かれる『伝説の英雄』候補。
♤ワイン・レッド 18歳 ジンの幼馴染みでエルフ族。結構チャラい。水の槍使いで博学多才、智謀に長ける。『PTD7・淑女』と共に『PTD6・ナルシスト』を倒した。
♡シェリー・シュガー 18歳 ジンの幼馴染みでシルフの短剣使い。弓も使って長距離戦も受け持つ。ジン大好きっ子で負けフラグをへし折った『幼馴染ヒロイン』。
♡ラム・レーズン 19歳 ユニコーン族の娘で『伝説の英雄』を探す旅の途中、ジンのいる村に来た。魔力も強いし長剣の名手。シェリーのライバルである『正統派ヒロイン』。『右鳳軍団』に先行し、ジンと合流を果たした。
♡チャチャ・フォーク 14歳 マーターギ村出身の凄腕狙撃手。謎の組織から母を殺され、事件に関わったジンの騎士団に入団する。シェリーが大好きな『百合っ子ヒロイン』。
♡ジンジャー・エイル 21歳 他の騎士団に所属していたが、ジンにほれ込んで移籍してきた不思議な女性。闇魔法の使い手で、『PTD4・幽霊』を倒すも、右腕を失った。
♡メロン・ソーダ 年齢不詳 元は木々の精霊王マロン・デヴァステータだがその地位を剥奪された。『魔族の祖』アルケー・クロウの関係者で、彼を追っている。現在ジンたちとは別に『先遣隊』を率いて行動中。
♤ダイ・アクーニン 28歳 賢者ストックの息子で卓越した知力と魔法を誇る弓使い。魔王を目の敵にし、傭兵隊長だったコア・クトーや錬金術師のシロヴィン・ボルドーとともに先遣隊に加わった。現在、マロンと行動中。
♡アイリス・ララ 『PTD10・ドール』を名乗り、ジンを瀕死に追い込むほど善戦した自律的魔人形。ジンの魔力で再起動し、新たに仲間となった。
■トナーリマーチ騎士団『ドラゴン・シン』
♤オー・ド・ヴィー・ド・ヴァン 21歳 アルクニー公国随一の騎士団『ドラゴン・シン』のギルドマスター。大商人の御曹司で、頭も切れ双剣の腕も確かだが女好き。
♤ウォッカ・イエスタデイ 21歳 ド・ヴァンのギルド副官。オーガの一族出身である。無口で生真面目。戦闘が三度の飯より好き。オーガの戦士長、スピリタスの息子。現在、『左龍軍団』と共にジンとの合流を目指している。
♡マディラ・トゥデイ 20歳 ド・ヴァンのギルド事務長。金髪碧眼で美男子のような見た目の女の子。生真面目だが考えることはエグい。狙撃魔杖の2丁遣い。
♡ソルティ・ドッグ 21歳『ドラゴン・シン』の先鋒隊長である弓使い。黒髪と黒い瞳がエキゾチックな感じを醸し出している。調査・探索が得意。
♤テキーラ・トゥモロウ 年齢不詳 謎の組織から身分を隠して『ドラゴン・シン』に入団した謎の男。いつもマントに身を包み、ペストマスクをつけている。現在、ド・ヴァンの許可のもと、『暗黒領域』で単独行動をしている。
♤ブルー・ハワイ 25歳『ドラゴン・シン」の遊撃兼偵察隊長である槍使い。金髪碧眼で観察力と記憶力に優れる。変装に優れ、情報を分析する能力に長ける。
♡メアリー・ブラッドレイ 25歳『ドラゴン・シン』で物資調達を引き受けている槍使い。ド・ヴァンを詐欺ろうとして失敗、許されて彼に心酔し仲間になった。
■退場した仲間たち
♡レイラ・コパック:博識で氷魔法の使い手。スナイプのスカウトで加入した。『PTD5・法律家』を倒すも『PTD3・道化』に止めを刺された。享年17歳。
♡ウォーラ・ララ:ジンの魔力で再起動した自律的魔人形。彼に献身的に仕えたが、『PTD2・戦士』との戦いで相討ちとなった。
♡ガイア・ララ:謎の組織の依頼でマッドな博士が造ったエランドールでウォーラの姉。『PTD1・学生』と対峙したが、相討ちとなって果てた。
♡エレーナ・ライム(賢者スナイプ)28歳:『賢者会議』の一員だった才媛。ジンに自身が人工生命体であることを明かし『風の宝玉の欠片』を譲る。『PTD3・道化』を倒すも、『道化』が残した瘴気に侵されてしまった。




