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キャバリア・スラップスティック  作者: シベリウスP
暗黒領域・魔王決戦編
152/171

Tournament152 The Death hunting:1(死神を狩ろう!その1)

ジンは『騎士団』の損害が思いのほか大きいことを知り、ド・ヴァンの補給処までいったん下がる。

そこで進むか『勇士の軍団』の到着を待つかを悩むジンたちのところに、アルケー・クロウから会談の話が持ち込まれる。

【前回のあらすじ】


ジンは『ドール』に圧倒されながらも、ジンジャーや賢者スナイプの活躍で復活する。

最終的には『ドール』を鹵獲し、『アイリス』として仲間に加えたジンだったが……。


     ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★


「そんなこと……嘘だろワイン。嘘だと言ってくれ!」


 『テモフモフの遺産』たちとの決戦で、僕の『騎士団』は予想外の損害を被っていた。


 僕は新たに仲間になったPTD10『ドール』改め『アイリス・ララ』さんを連れて、まずジンジャーさんの許に駆け付けた。


 『ドール』から深手を与えられていたジンジャーさんは、何とか気力で持ち堪えていてくれたので、僕の『大地の慈愛(ホルストカリタス)』が何とか間に合った。


「……大丈夫ですか、ジンジャーさん?」


 目を開けたジンジャーさんに僕が問いかけると、ジンジャーさんは気怠そうに身体を起こしながら首を振り、


「……何とか大丈夫です」


 そう言った後、僕の後ろに立つアイリスさんを見て眉を顰め、


「……団長さん、そっちの子は? まさか『ドール』ですか?」


 そう言いながら魔力を開放する。僕は慌てて説明した。


「今魔力を開放したら傷に障る。『ドール』は僕のマナで再起動したんです。今は『アイリス』と名乗っています。彼女が癒し系エランドールとして完成した暁に与えられるはずだった名前だそうです」


 するとアイリスさんはマントを脱ぎ捨て、


「……ジンジャーさんにはひどいことをしてしまって、何も申し開きは出来ません。

 皆さんから信用していただけないのは理解していますが、私はご主人様にこの身を捧げるつもりでいます。

 どうか、団に入ることだけでも許してください」


 そう頭を深く垂れて言う。


 その様子をじっと見ていたジンジャーさんは、深いため息をつき、


「……わたしも同じ経緯で団長さんから入団を許されたクチだから、他人ひとのことは言えないけれど、『ドール』としての記憶が残っていて、それに引っ張られるようなら、絶対に許さないから。覚悟しておいてね?」


 そう真剣な顔で言った後、ニコッと笑って、


「でもまあ、団長さんが入団を許可したのなら、歓迎するわ。よろしく、アイリスさん」


 そう言いゆっくりと立ち上がる。アイリスさんはホッとした様子で再びマントを羽織った。


 僕は、戦場一帯を見渡して暗然とする。どこにも団員の姿がない。シェリーも、ワインも、スナイプ様も、ウォーラさんやガイアさんの姿も見えない。


 ただ、戦闘の最中にちょっと見かけたレイラさんが、倒れたままの恰好でまったく動かないでいるし、遠くで黒い煙が立ち上っているのも気になった。


「そう言えばスナイプ様は、レイラさんが相討ちになったって言っていた」


 僕はその言葉を確かめるため、倒れているレイラさんへと歩き出す。そして近付くにつれ、レイラさんの姿がおかしいことに気が付いた。どう見ても、首から上がない。


「……団長さん……」


 頭を吹き飛ばされ、心臓に剣が突き立った無残なレイラさんの姿を見て、ジンジャーさんが声を詰まらせる。そこに、アイリスさんがやって来て言った。


「……戦闘中『学生』から、『法律家』を倒したレイラに止めを刺せって指令が下りました。『道化』がそれに反応したみたいです」


 『道化』という名を聞いて、僕はスナイプ様の安否が心配になった。スナイプ様が滅多なことで後れを取るはずはないという気持ちと、『道化』を倒したのなら必ず僕の所にやってくるはずだという確信がせめぎあって、僕を不安にさせていた。


 その時、向こうから葡萄酒色の髪をなびかせた人物が歩いて来るのが見えた。長大な穂を持つ手槍を抱えている。ワインに違いない、生きていてくれたんだ!


「ワイン! 大丈夫だったか!? 生きていてくれたんだな」


 僕はそう言いながらワインに駆け寄る。シェリーの姿が見えない今、ワインが生き残っていたことで、僕はすごく安心した。


「やあ、ジン。無事だったんだね? まぁ、君がいなくなったらこの(キャバリア・)物語(スラップスティック)も終わりだけどね?」


 ワインは疲れ切った顔で僕を迎えるとそう言い、ジンジャーさんやアイリスさんを見て、片方の眉だけを器用に上げて見せた。


「ジンジャーさんも生き残っていてくれたんだね? それに、そちらは? ジンお得意の敵を味方にしたって寸法かな?」


「……私はアイリス・ララ。PTD10『ドール』と名乗っていた者です。ご主人様のマナで再起動していただきました。スクラップにもできたところをお助けいただき、ご主人様には感謝しています」


 アイリスさんの挨拶を聞き、ワインはほろ苦い笑みを浮かべて僕に言った。


「……ジン、報告がある。かなりショッキングなものだ。落ち着いて聞いてくれ」


 ワインの疲れた顔に陰鬱な翳が浮かぶ。これは『騎士団』の損害がかなり大きいんだろう……僕はそう覚悟してうなずいた。


 ワインは一つため息をつくと、衝撃的な報告をした。


「……レイラさん、ウォーラさん、ガイアさん、そしてスナイプ様が犠牲になった」



 僕は一瞬、耳を疑った。4人もいっぺんに? それにスナイプ様まで?


 僕は一度空を振り仰いだ。赤い空には砂塵が舞い、太陽をおぼろげなものにしている。


「……スナイプ様もか?」


 その言葉は、僕自身が発したものじゃないように聞こえた。頭がその言葉を理解するのを拒んでいるようだった。


 ワインもまた、沈痛な表情でうなずき、静かに言う。


「近くに『道化』が斃れていた。胸と腰を破壊されていたので、再起不能だとは思ったが、念のため完全に破壊しておいた。

 スナイプ様はきっと、『道化』の悪あがきにやられたんだろうね。瘴気で身体が完全に崩れ果てていた。とてもキミに見せられるようなお姿じゃなかったから、ボクが埋葬しておいたよ」


 そう言いながら何かを差し出す。僕が受け取ってみると、それはスナイプ様がいつもはめていた指輪だった。


「その指輪がはまっていた左手薬指だけが、元の状態を保っていた。キミへの形見にするために外して持ち帰って来たよ」


「……分かった、ありがとう。君にばかり辛い思いをさせたね」


 僕はそう言ってスナイプ様形見の指輪を握りしめる。


「ウォーラさんは『戦士』と相討ちになったようだ。全身が焼け焦げていたから、復旧は不可能だろう」


 では、あの黒煙はウォーラさんの墓標だったのか……。僕はウォーラさんと初めて会った日を思い出していた。


『私は自律的魔人形エランドールです。ご主人様にはこの身が壊れるまでご奉仕申し上げます!』


 目をキラキラさせて、元気な声でそう言っていた彼女を思い出すと、ワインの報告がにわかには信じ難かった。


「……ガイアさんも『学生』と相討ちになっていた。彼女は胸に大穴が開いていたが、火を発していなかったから、ひょっとしたら復旧が可能かもしれない」


 ガイアさんは、最初僕を狙い、マロン様によって団に加わった経緯がある。妹機に当たるウォーラさんをいつも気にかけ、力にもなってくれていた。復旧できるのなら復旧したい……そんな思いで、僕はワインに頼んだ。


「その場所に案内してくれ。ウォーラさんにありがとうと伝えたい」


 ワインは快くうなずいて言った。


「分かった。その前にレイラさんを埋葬してあげよう」


 僕たちはワインの言葉に従って、レイラさんを戦士の礼で葬った。


 僕たちがウォーラさんの所に着くと、火はすっかり消えていた。燃えるものが何もなくなっているウォーラさんに、僕たちは長い間黙祷を捧げる。


「ウォーラさんはキミのことが、ご主人としてでなく異性として好きだった。好きな男性に変わり果てた姿を見られたくはないだろう」


 ワインはそう言ってアイリスさんと共に、ウォーラさんを地中深く埋葬する。その場所には、愛用の大剣を墓標代わりに突き立てた。


「動く間は主人に尽くし、壊れて後に戦士の作法で葬られる……エランドール冥利に尽きます。私も、願わくばウォーラさんのようなエランドールとして生きたいです」


 潤んだ瞳で言うアイリスさんに、僕は強く言い聞かせた。


「君は生きるんだ。主人を悲しませないのも、エランドールの使命だよ」


 そう言って歩き出す僕を見て、アイリスさんは雷に打たれたように、ハッと姿勢を正してワインに言った。


「ご主人様は『摂理の超越者(エピメイア)』と違います。エピメイアは私たちエランドールに死を以て仕えることを要求していました。『生きろ』というご命令は初めてです」


 するとワインが真剣な顔で言う。


「ジンは種族や性別を気にしない。たとえ魔族や魔物、あるいはエランドールでも、その者が何を考えてどう生きているのか、そこにしか善悪の基準がないみたいなんだ。

 だからこそ、ドッカーノ村騎士団にはボクたちエルフやシェリーちゃんのようなシルフ、ラムさんのようなユニコーン族まで加わっているんだ」


「……そうなんですね。私たちもエピメイアに会う前にご主人様と出会えていたらよかったのに……」


 アイリスさんはそう言いながら、前を歩く僕の後姿を見つめていたそうだ。



 ワインが言ったとおり、ガイアさんはバラバラになった『学生』の残骸を前に、ペタリと座り込んでいた。その姿は、最初ウォーラさんと会った時、マナ切れで機能停止した彼女とそっくりだった。


 ただ違うのは、胸部に開いた大きな穴の存在だ。直接防御を重視して、他のエランドールより厚くて硬い装甲板を与えられていたはずのガイアさんだったが、よほどの魔力を一気に受けたのだろう。


「……治せそうか?」


 一心にガイアさんを調べているワインとアイリスさんに訊く。この損傷なら頭部の思考回路や記憶回路、統合制御システムが生き残っていれば、十分に修理が可能じゃないか?……僕は一縷の望みをかけていた。


 しかし、案に相違してアイリスさんが首を振る。


「感情バーストの影響で、頭部の諸機器に負荷制限以上の魔力がかかったようです。見た目には損傷を確認できませんが、内部の回路がすべて焼き切れています」


「そうか……」


 僕はがっくりと肩を落としたが、ワインが僕に手招きする。


「ジン、ちょっと見てごらん」


 ワインはガイアさんの顔を覗き込んでいる。僕はいぶかしく思いながらワインの隣に座り、同じようにガイアさんの顔を覗き込んだ。


 ……彼女は、うっすらと笑みを浮かべていた。目を閉じて、もう物言わぬ抜け殻と化してはいたが、その笑顔に僕は、心が温かくなるような安らぎと、そんな彼女を失ってしまったという喪失感を覚え、思わず目頭が熱くなる。


「……ジン、ガイアさんは満足して逝った。そう思わないかい?

 ボクは、彼女にはこのままウォーラさんの隣で眠ってもらう方がいいと思うが?」


 その言葉に、僕は涙を拭いてうなずいた。


 四人でガイアさんを埋葬した後、墓標代わりの槍に額づいた僕に、ワインは肩の荷を卸したような顔で言う。


「……そう言えば言い忘れていたが、シェリーちゃんとチャチャちゃんは無事だ。テキーラさんが『ドラゴン・シン』の補給処に搬送して手当てをしてくれている」


 僕はそれを聞いて、心からホッとした。シェリーを『乙女』として悲惨な最期を迎えさせたくはなかったし、チャチャちゃんだって団の最年少だ。死なせるわけにはいかない。


「……ということは、『淑女』は倒したのか? 彼女は君を助けて『ナルシスト』と戦っていたように見えたけど?」


 僕が訊くと、ワインは首を振って、またもや沈痛な面持ちになって言う。


「彼女は、シェリーちゃんと心を通わせていた。だからシェリーちゃんを傷つけた罪滅ぼしに『ナルシスト』と戦ってくれたんだ。彼女がいなければ、ボクがこうしてキミに報告することはできなかった可能性が高いよ」


「じゃ、『淑女』はどこに? 仲間になったんだろう?」


 僕が訊くと、ワインはため息とともに告げた。


「彼女は『ナルシスト』に斃された。そのおかげで『ナルシスト』の隙を衝くことができた。もともと二人は恋人同士という設定だったらしい。自分を壊す相手が『ナルシスト』だったことを喜んでいたよ」


 それを聞いて絶句する僕に、ワインはいつもどおりの声で訊いてきた。


「ジン、ボクたちの取れる行動は一つしかない。『ドラゴン・シン』の補給処に退いて、物資の補給とケガ人の手当てを優先すべきだ。

 『瘴気の密林』に挑むのは、シェリーちゃんやジンジャーさんの怪我が治るか、ラムさんが合流した時点でということにすべきだ」


 僕はその意見にうなずいた。


   ★ ★ ★ ★ ★


 団員の埋葬を終えてどこかに退いて行く『騎士団』を、白髪で緋色の瞳の男が眺めていた。彼は凄惨な有様の戦場を、薄ら笑いを浮かべて見ていたが、ジンがほぼ無傷であることを知り、あごに手を当てて考え込む風になる。


「……ジンはスナイプから『風の宝玉の欠片』を譲られた。つまりは大賢人スリングの力も受け取ったということになる。魔王がマイティ・クロウやスリングを完全に取り込むのにどのくらいの時間がかかるかは分からないが……」


 そうつぶやく男の言葉を、不意に現れた少女が引き取って続ける。


「……魔王としては、ジン・クロウが新たな力を手に入れたからには、その能力を完全に理解する前に息の根を止めたいところよね?

 あなたが魔王に知恵を付けてあげたら、アルケー・クロウ? 魔王は『魔族の祖』であるあなたの子どもみたいなものでしょ?」


 アルケーは、少女の方を振り向きもせずに答える。


「……まぁ、そうなんですけどね? ただ、ジンが『深淵の魔力』を持っていることが気にはなりますね。そう思いませんか、『運命の背反者(エピメイア)』?」


 少女は白い髪の下に光るラピスラズリのような瞳をアルケーに当てて、冷たい声で訊き返した。


「ジン・クロウはあなたの直系の子孫だもの、あなたと同じ『深淵の魔力』を持っていても不思議じゃないでしょ? 何を気にしているのかしら?」


 そう言いながら、エピメイアも不審なものを感じていた。アルケーには話していないが、エピメイアがアルケーを錬成した時の素材は、ジンから採られているのだ。


 アルケー自身は、自分が持つ『深淵の魔力』はたとえ血族とは言っても誰にも引き継いだ覚えがないので、ジンの『深淵の魔力』がどこから来たのか不気味だろう。


(……ふふ、自身こそジンから『深淵の魔力』を受け継いだとも知らずに、やはりアルケー・クロウも『井の中の蛙』だわね)


 エピメイアはそうほくそ笑むが、それと同時に、


(でも、私が彼から素材を搾り取った時、『深淵の魔力』は感じなかった……ではあの後ジンは『深淵の魔力』を手に入れた?……いや、現にアルケーに『深淵の魔力』が発現しているからには、ジンは最初から『深淵の魔力』を持っていたと考えるべき……ではなぜあの時魔力を感じ取れなかったのか、そしてジンの魔力の根源はどこなのか……)


 そう考えると、何かジンが得体の知れない存在のように思えて来たエピメイアだった。


「……そうね、ジン・クロウの『深淵の魔力』がどこに由来するのかは調べてみる価値がありそうだわね? で、この間の話なんだけれど、決心はついた?」


 エピメイアはわざとジンの魔力についてはあまり興味がないような風を装う。


 しかしアルケー・クロウは、エピメイアが一瞬、眉を顰めたのを見逃さなかった。


「……今のところ、魔王という共通の敵もあるし、ジンに対して並々ならぬ興味を持っているのも同じですね。

 いいでしょう。魔王を倒し、ジンが何者なのか判明するまで、暫定的に手を結びましょうか。その方がお互いにメリットが大きそうだ」


 アルケー・クロウがあごに手を当てたまま答えると、エピメイアはニコリと笑い、


「……『暫定的』ってのがあなたらしいわね? でもまあ、『今は』手を結んだ方が得るものが多いというのは同意見よ。

 私はこの後、ジンたちにもう一回攻勢を仕掛ける予定だけど、あなたはどうするの?」


 エピメイアが訊くと、アルケー・クロウは赤い瞳に真剣な光を浮かべて答えた。


「魔王とマイティ・クロウやスリングのその後が気になる。しばらくは『約束の地』でいろいろな仕掛けを準備することになるだろう」


 それを聞いてエピメイアは、片方の口角を上げて、


「そう。じゃ、あなたのお手並みを拝見するわね? 私の攻勢はジンが『地獄の河原』を渡りきった所で発動するわ」


 そう言いながら虚空に消えた。


 エピメイアが消えた空間を眺めながら、アルケー・クロウはふと、今まで考えてもいなかったことを口にする。


「……そう言えば、エピメイアはどんな素材で俺を錬成したんだ? 単なる人体錬成で『摂理』の外にいる存在を錬成できるものなのか?」


 そうつぶやいたアルケー・クロウは、


(……不本意だが、一度マロンに確認する必要があるな……)


 そう決心したアルケーは、転移魔法陣を発動してマロンの魔力をたどり始めた。



 一方でエピメイアの方も、『暗黒領域』にある自身の拠点に戻ると、実験室にある何冊もの魔導書や研究ノートを片っ端から見返す。


「……やはり、あの時のジンからは異質な魔力は感じ取れなかった」


 そうつぶやくが、ノートのある記述に目を止める。


『ジン・クロウの素材からは土の魔力だけでなく、風の魔力や魔族としての魔力を感じる。

 これほどの上質で希少な素材なら、きっと今回は錬成に成功するだろう』


 エピメイアの期待がよく表れた、嬉々とした文字だった。しかしそれをよくよく読んで、エピメイアは愕然とした表情になる。


「……『魔族としての魔力』? まだ魔族すら生まれていない7千年前の実験段階で、なぜ私はジンの魔力に『魔族としての魔力』が含まれていることを知っていたんだろう?」


 このノートが、記録の保存のために複写されたものなら、書き写す段階で『魔族としての魔力』と書いても不思議ではない。その頃にはすでにアルケーも生まれ、魔族も実際に存在していたのだから。


 しかし、『魔族の祖』を錬成する段階でのノートに、まだ存在しない『魔族』という用語を使ったのは……それが無意識ならなおさら……不気味に感じられるのだった。


(……これは、アルケーのことをよく知るマロン・デヴァステータと、一度話をしたほうがいいのかもしれない。善は急げ、ジンに攻撃を仕掛ける前に彼女を探し出し、情報を仕入れておくべきだわね)


 そう考えたエピメイアは、実験室の隅に置いてあったビンを手に取ると、その中に保存されている丸薬を1錠取り出し、ごくりと飲み下す。


(……これで、私からは誰も魔力を感じ取れない。そして誰も私の正体に気付かない)


 エピメイアはほくそ笑むと、マロンの所在を感知するため、深い瞑想に入った。



 その頃マロンは、ダイ・アクーニンをはじめとする仲間たち5人を連れて、やっと『虚無の平原』を踏破したところだった。


「……さすがに何もない所は精神に堪えたよ。これからは魔物がわんさか湧いてくるから、少なくとも退屈はしないね」


 ダイの仲間で元傭兵隊長の大剣使い、コア・クトーが背伸びをしながら言うと、その横に立っている15・6歳の少女に見えるシロヴィン・ボルドーも、コアの真似をして背伸びしながら訊く。


「そうだねぇ~。ところでダイちゃん、これからどうするのぉ~?」


 シロヴィンから訊かれた、ひょろりとした金髪碧眼の男性は、隣にいるどう見ても12・3歳にしか見えない翠の髪の毛をした少女に、その質問をそのまま放り投げる。


「……ぼくたちの目的は、ジン団長と共に魔王を倒すことだ。

 まずはジン団長と合流しなければならないが、『地獄の河原』に向かうか、『瘴気の密林』を目指すか、はたまたここでドッカーノ村騎士団の本隊を待つかの3択だ。

 マロン様、どうされますか?」


 すると、マロンはにこりと笑って言う。


「うふふ。ちゃんと『この場で待つ』って選択肢を入れるのはダイらしいわね?

 アントンとドーラ、あなた方はどうする? ジン団長の現在位置は、賢者スナイプからの定時連絡が来たらはっきりするけれど、恐らくもう『地獄の河原』は越えたと思うわ」


 すると、鉄の胸当てを付けた堂々たる体躯の男性は、隣に立つほんわかした雰囲気の女性を見て訊く。


「ジン殿が近くに来られているのなら、俺たちはマロン様の動向に関わらず一刻も早くドッカーノ村騎士団に合流すべきだと思う。ドーラはどう思う?」


 女性はにこりと笑ってうなずいた。


「賢者マーリンもそれを望んでいるでしょう。お兄様の仰ることに同意します」


 それを聞いて、マロンも笑顔でダイに答えた。


「わたくしたちは、ジン様の所在が確認でき次第、アントンとドーラを分離して『瘴気の密林』に分け入るわ。心の準備をしておいてね♪」


 ダイは少し考えてマロンに意見する。


「……マロン様、『伝説の英雄』は『勇士の軍団』を率いてくるという伝承がありますが、今まで『勇士の軍団』の影も形も見えません。

 ジン団長が軍を率いて来るのなら、ぼくたちが尖兵となって先を進む意義もありますが、その場合アントンさんたちと同一行動が望ましいです。もし、『勇士の軍団』がいないのなら、ぼくたちも本隊に加わって行動した方がいいのでは?」


 すると、マロンはニコニコしながらその疑問に答えた。


「ラム・レーズンさんがユニコーン侯国へ『勇士の軍団』編成を乞いに行っているそうだけれど、もうそろそろ『暗黒領域』に姿を現すはずよ。

 それと、ダイの智謀は団長さんとは別の所で発揮して、ダイらしい活躍をした方が団長さんのためにもなると思うの」


「だがさぁ、ダイの智謀があったって、それを実現する部隊がなきゃぁなぁ」


 話を聞いていたコアが、背中の大剣の鞘を撫でながら言う。確かに、ダイという智謀の士やコアという指揮官、シロヴィンという情報担当がいても、手足となる部隊がいなければ、その実力を発揮しようがない。


 しかし、マロンは三人のボヤキに、くすくす笑いながら答える。


「そこは大丈夫よ。ダイには『勇士の軍団』のうち、スコッチ・カッパーが集めてくる『遊撃軍団』の指揮をお願いするって、賢者スナイプと話はついているわ。

 だからそれまでに、『瘴気の密林』の兵要地誌をしっかりと調べ上げておく必要があるの。わたくしの知識だって、『暗黒領域』のほんの一部に過ぎないんだから」


 その話を聞いて、コアやシロヴィンは目を輝かせた。


「へっ!? ダイが『遊撃軍団』を指揮することになるってかい? それは適材適所ってやつじゃないか! さすがは賢者スナイプ様だね、見る目があるよ」


「ダイちゃんが率いる部隊は、連戦連勝だもん! ジン団長さんの出番もなくなっちゃうんじゃない?」


 だが、ダイは碧眼を細めながら、


「……ぼくをそこまで評価してくれるんなら、きっと魔王討伐を成功させてやるさ。だが、スコッチ・カッパーと言えばマイティ・クロウの副官だった人物だ。唯々諾々とぼくの策を受け入れてくれるだろうか?」


 そう、まだ見ぬ軍団の統率について考えを巡らし始める。


 アントンは、そんなダイを豪快に笑って言った。


「うはははは♪ 長らく『暗黒領域』にいた俺たちにすら、ダイ・アクーニンの名は聞こえていた。恐らく、スコッチ殿もお前さんの噂は聞き知っているだろう。

 『案ずるより産むがやすし』と言う。今から取り越し苦労はしないことだな」


 ドーラも、ダイに微笑みながら言った。この言葉は、ダイを迷わせ、そしてダイの活躍を引き出すことになる。


「ダイ、今後あなたに必要なのは『仲間を信じる心』じゃないかしら?

 もちろん、コアやシロヴィンに対する信頼は感じられるけれど、あなたの心の奥底には『自分自身も含めて誰も信じない』という考えがあるみたいに思えるの。


 作戦は机の上で展開するものじゃないし、兵士だって感情を持っているわ。作戦が崩壊し、陣形が乱れに乱れた時、決して数字じゃ測れない何かが勝敗を決することもある……それを覚えておいてほしいわ」


 それを聞いてダイは視線を泳がせる。ドーラはそんなダイに優しく微笑みかけると、アントンと共にビバーク準備を始める。


(……人を信じる心……か。いつかマロン様に言われたことと同じだな。ぼくはそんなに、世を拗ねているように見えるんだろうか?)


 ダイは衝撃を受けながらも、コアやシロヴィンと共にこちらも野営の準備を始めるのだった。


 その夜、夕飯を終えたアントンとドーラは、早々に自分たちの寝床に引っ込んだが、ダイは揺れる炎を見つめながら物思いに浸っていた。


(……父上は『賢者会議』の決定に反して、『暗黒領域』でのスリング様探索を止めなかった。その父が『瘴気の密林』で命を落としたとの連絡が入った時、母さんはぼくを捨てて家令と共に財産を持ち逃げした……ぼくを生んだ母さんですら、ぼくを裏切れるんだ)


 ダイは唇を歪めて、焚火に細い枝を放り込む。パチパチッという音と、火の粉を巻き上げながら炎が揺らめいた。


 ダイはそんな炎を、膝を抱えて見つめている。青い瞳の中に、炎が揺れていた。


(どんなに親しい仲になろうが、他人はしょせん他人だ。信じるだけバカを見るのは自分だけ。人を信じて破滅した事例を、ぼくはあまりにたくさん見すぎたのかもしれない)


 そう考えていた時、


「あら、ダイ。まだ起きていたの? 火の番はわたくしがするから、あなたは明日に備えて眠りなさいな」


 そう言いながら、マロンが歩いて来る。その顔には少し疲れが見えた。


「……マロン様、どうかされましたか? お疲れのようですが」


 ダイはマロンの表情にある翳を正確に見抜いて訊く。マロンはうっすらと笑いながら答えた。その声には少しの焦燥と心配が含まれている。


「賢者スナイプからの定時連絡がなかったの。今までどんなに遅くなっても、日が変わるまでには連絡があったのに。

 それにわたくしからの問いかけにも、スナイプはぜんぜん反応しないのよ。こんなことは初めてだわ」


「……戦闘が長引いているとか? エレーナはひょうきん者だが、実力は『賢者会議』の折り紙付きだし、やられたってことは考えにくいですが」


 ダイがマロンの心配を消すように笑顔で言うが、次のマロンの言葉はダイの笑顔を凍り付かせた。


「……仕方ないから、団長さんに連絡を取ってみようと思ったけれど、団長さんたちは進むどころか後退しているの。恐らく戦闘でケガ人が出たり、武器が壊れたりしたから『ドラゴン・シン』の補給処にいるのだと思うけれど……」


「……ジン団長の団員は、それぞれに個性的で実力もある者ばかりだ。物資が尽きての後退だったら当たり前の行動だから気にする必要はないが、団員のケガが大きな理由だったら今後の行動にも関わるな……」


 ダイがつぶやくと、マロンはすっと立ち上がり、


「……わたくしがジン様の所に行ってみるわ。その間、ダイがパーティーをまとめておいてくれるかしら? アントンとドーラには、わたくしが帰ってくるまで動かないでと伝えてね?」


 そう言うとマロンは、ダイが何か言うより早く虚空に消えた。


   ★ ★ ★ ★ ★


 僕たち『騎士団』は、あの凄惨な戦闘が行われた場所から南に50マイル(この世界で約93キロ)にある『ドラゴン・シン』の最前線補給処にたどり着いた。


「……団長くん、君が生き残ってくれて良かった」


 僕たち……僕、ワイン、ジンジャーさん、そしてPTD10『ドール』改めアイリスさんの4人……を迎えた時、ド・ヴァンさんは秀麗な顔に哀しみを湛えながらも、そう言って出迎えてくれた。


「シェリーとチャチャちゃんを助けていただいて感謝します。補給の面ではお世話になります」


 僕は疲れ切っていたが、とにかくド・ヴァンさんにはこの上ないほどお世話になったし、そのお礼を言うまでと、シェリーの無事をこの目で見ないうちは、気を抜くわけにはいかなかったのだ。


 ド・ヴァンさんは僕の肩を抱きながら、


「お互いに大きな目標を持つ騎士団だ。協力するのは当たり前のことだよ。それより団長くんも酷く顔色が悪い。先に少し休むといい、テントを用意している」


 そう言うと、ふと気が付いたようにアイリスさんを見て僕に訊く。


「そちらのお嬢さんは? ウォーラさんともガイアさんとも違うみたいだが?」


「……アイリスさんです。僕たちの仲間になってくれました」


 僕の答えを聞き、ド・ヴァンさんはじっとアイリスさんの眼を見る。虹彩がアンバーに光っているのを見てうなずくと、


「……確かに団長くんの魔力のようだね。何にせよ、まずは君自身の体調を整えるべきだ。精神面も含めてね?」


 そう申し出てくれたが、これ以上お世話になるわけにもいかない。


「……シェリーとチャチャちゃんの無事を確認したら、すぐに『瘴気の密林』に向かいます。『テモフモフの遺産』たちはもういませんが、どんな魔物が行く手を阻むか分かりませんから、少しでも先に進んでおかないと……」


 僕がそう言うと、ド・ヴァンさんは真剣な顔で僕を見て、キッパリと言う。


「団長くんの気持ちは解る。だが、今君たちが前進することは、同盟を結んでいる騎士団長として受け入れ難い。

 団員に損害が生じ、完調な団員は君とワインとアイリスさんだけだ。これでどうやって魔物を排除するんだ?


 ボクとしては、『勇士の軍団』を待って合流したうえで先に進むか、少なくとも分離しているマロン様たちを呼び戻すべきじゃないか? ワインやジンジャーさんはどう思う?」


 するとワインは、難しい表情をしたまま答えた。


「……ジンジャーさんも右ひじを失っているし、シェリーちゃんやチャチャちゃんの精神面も心配だ。少なくとも、三人の回復を待って前進すべきだと思うな」


「……スナイプ様を失ってしまったのが痛いわ。わたしは万全を期して、『勇士の軍団』の到着を待ち、ラムさんも加えたうえで前進すべきだと思う」


 ワインもジンジャーさんも、即時の前進には難色を示した。


「マディラ、『勇士の軍団』がどこまで来ている? ウォッカから何か報告はないか?」


 ド・ヴァンさんが、ちょっと見少年のようなエルフの女性に訊く。マディラさんはすぐに答えた。


「昨日、『風の耳』で『東の関門を抜けた』と連絡が入りました」


「……すると、ボクたちがいるここまでは早くて1週間か。団長くん、それだけあればシェリーさんたちもジンジャーさんも、何より君の心の傷もいくらかは癒えるだろう。

 ぜひ、ここで英気を養いたまえ。『尺蠖の縮むは伸びんがため』だ」


 ド・ヴァンさんの言葉に続いて、ワインが言った。


「シェリーちゃんの様子を見てみよう。そのうえで判断すればいいさ」



 僕がシェリーの所に行くと、彼女は寝台の上に横になって目を閉じていた。厳しい顔つきをしているが、薄い胸は規則的に上下している。


 それを見て安心したように、


「シェリーちゃんを起こすのも悪い。キミだけここに居たまえ。ボクたちはチャチャちゃんを見て来よう」


 ワインとジンジャーさんは、シェリーを起こさないように静かに天幕を出て行った。


 僕は椅子を寝台の横に音を立てないように置いて腰かける。シェリーは相変わらず軽い寝息を立てている。眉がぴくぴくと動くのは、何かイヤな夢でも見ているのだろうか?


「う、う~ん……」


 やがて、シェリーは軽くうなされだした。眉を寄せ、嫌々をするように首を緩く左右に動かす。


「……シェリー、大丈夫だ」


 僕は思わずそう小さな声で言って、彼女の手を両手で包み込む。その瞬間、シェリーはふぅと息を付き、


「ジン……愛してる」


 そう言った後、ゆっくりと目を開けた。


 シェリーは、最初、夢現のようで僕が判らなかったようだ。だが、自分の手のぬくもりに気付いた時、はっきりと夢から覚めて、ガバッと起き上がり、僕に抱き着いてきた。


「ジン、よかった! 生きていてくれたんだね?」


 シェリーは、夢じゃないと確かめるように、僕の身体のあちこちを撫でまわしている。


「君を守るって約束したんだ。剣に誓って約束は守るよ」


 僕が言うと、シェリーは安どのため息をついて僕の顔を見上げ、目を閉じる。僕はそのくちびるにゆっくりとキスをした。


 シェリーは、僕の胸に頭をもたれさせたまま、哀しそうな声で言う。


「ド・ヴァンさんから聞いた。レイラもウォーラも、ガイアさんも相討ちになっちゃったんだってね? それに『淑女』も。せっかく友だちになれたと思ったのに……」


 僕は、それに沈痛な声で付け加えなければならなかった。


「……それに、賢者スナイプ様もだ……」

「えっ!?」


 シェリーは驚きのあまり僕の胸から頭を離し、右目を大きく見開いて僕を見ている。彼女は呆けたようにつぶやく。


「うそ……どうしてスナイプ様まで?」


 僕は目をつぶって深呼吸すると、静かな声で言った。


「……ワインが教えてくれた。『道化』の悪あがきにやられたみたいだ。瘴気で身体が完全に崩れ果てていたらしい」


「……ジン、見たの?」


 シェリーが訊いて来る。心配してくれているのだろう。その証拠に僕が首を振ると、悲痛な中にもホッとした様子がうかがえた。


「……いや、ワインも気を利かせてくれたのだろう。遺体は彼が埋葬し、スナイプ様の形見だけを渡してくれたよ」


「……こう言っちゃなんだけど、良かった。バーボンおじ様やエレノアおば様のこともあるのに、スナイプ様のそんな姿をジンが見たら、きっとジン、しばらくは立ち直れないと思うもん。

 でも、これからどうするの? スナイプ様の代わりなんて、誰にもできないよ」


 シェリーが心配そうに言う。その点は、哀しさとはまた別に、僕が一番痛手だと思っているところだった。


 スナイプ様は、僕たちをその知識や魔力だけでなく、『賢者会議』にいた時に培った人脈や卓越した交渉能力で支えてくれていた。今、僕の『騎士団』には、総合的に彼女を超えるような人材はいないと言っていい。文字どおり『かけがえのない人物』だったのだ。


 だが、僕はスナイプ様が最期に言ってくれた言葉を思い出した。


『たとえ誰を失っても、その悲しみを乗り越えて進まなきゃいけないわ。すべてが終わってから、いっぱい泣いたらいいの』


 僕はシェリーの眼を見て、きっぱりと言った。


「確かにスナイプ様の代わりは誰にもできない。でも、みんなそれぞれに得意なことを持っている。力を合わせて乗り切るしかない。スナイプ様だって、それを望んでいるはずだ」


「ジン……」


 シェリーが目を潤ませている。僕も泣きたかったが、シェリーの涙を拭きながら言った。


「今後のことだけれど、『騎士団』の現状から『勇士の軍団』の到着を待った方がいいか、それともマロンさんたちと合流して先に進んだものかどうかを迷っている。シェリーの考えを聞かせてくれないか?」


 シェリーの答えは『勇士の軍団を待つ』だった。まとまった数の戦闘員がいれば、どれだけ魔物が群れても効果的な戦いができるからという理由の他に、やはりラムさんがいるからという理由が大きかった。ウォーラさん、ガイアさんという自律的魔人形エランドール姉妹を失った今、新たにアイリスさんが加入したとは言っても、猛将は複数いることが望ましい。


 しかし、間が悪いことに、僕たちが補給処に留まっていられなくなる事態が、すぐそこまで迫っていたのだ。



 その夜、僕は『しばらく補給処に留まる』という決断をド・ヴァンさんに伝えるため、事務所兼指揮所に顔を出した。


「ああ、ジン団長。ちょうど良かった。今、お呼びしようと思っていたところです」


 戸口に出て来たソルティさんが、僕を見て言う。かなり慌てているので、僕は嫌な予感がした。


「何かありましたか?」


 僕が訊くと、ソルティさんは困ったような顔で、


「団長にメロン・ソーダさんという少女が面会を求めて来たんですが、急にジン団長を呼ぶようにと言われたんです。内容は分かりませんが、とにかく急いでこちらに」


 そう言う。


「分かりました」


 僕は固い顔でそう言ってソルティさんに続く。ドッカーノ村騎士団の先遣隊として『北の関門』から一足早く『暗黒領域』に入っていたメロンさんが、仲間であるダイ・アクーニンたちをほったらかしにしたままここに来るなんて、悪い想像しか浮かばない。


「団長、ジン団長が見えました」


 ドアの外でソルティさんが言うと、中からド・ヴァンさんの声で、


「早かったじゃないか。お通ししてくれ」


 そんな返事がある。ド・ヴァンさんの声が心なしか緊張していると思ったのは、気のせいだろうか?


 ドアが開いて中に通される。部屋の真ん中にはごついローテーブルがあり、ふかふかのソファが置いてある。その一つにド・ヴァンさんが腰かけて僕とソルティさんを見ており、その反対側……僕たちに背を向けて翠の髪をした少女がちょこんと座っていた。


「団長くん、急に呼び出して済まない。実は君にも大いに関係がある情報だと思ったんで来ていただいたんだ。

 ソルティ、悪いが君がお茶を準備して持ってきてくれないか? 機密事項なんだ、事務所のメイドじゃダメだからね」


「分かりました。事務員たちは帰しますか?」


 ソルティさんが訊くと、ド・ヴァンさんはうなずいて、


「頼む。それと、マディラとブルー、そしてテキーラも呼んでくれ」


 そう言うと、僕に席を勧めた。


「団長くんはマロン様の隣に座りたまえ。マロン様、先ほどの話、幹部がそろったら最初から聞かせていただいてもいいでしょうか?」


 するとマロン様は新緑のような瞳を細めてうなずく。


「構わないわ。まだ話の取っ掛かりだったから。それよりジン様を呼び出してくれてありがとう。この話はジン様の秘密にも関わることだから、その部分はぼかして説明させてもらうわね?」


 僕はマロン様に恐る恐る訊く。


「まさか、先遣隊にも大きな被害が出たわけじゃないですよね?」


 するとマロン様はちょっと悲しそうな顔をして、


「……スナイプのこと、聞いたわ。わたくしの問いかけに反応しなかったのは、その時すでにスナイプはこの世にいなかったからなのね。

 かけがえのない人物を失ってしまって、わたくしも今後どうしたらいいか迷っているわ。


 でも、先遣隊には被害はないし、賢者マーリンがアントン・シエイエス、ドーラ・シエイエスの二人を差し向けてくれたから、こちらは何も心配いらないわ」


 そう、微笑と共に現状を教えてくれた。


「賢者マーリン様が?」


 僕が驚いて訊くと、マロン様はうなずき、耳寄りな話をした。


「冒険者ドン・ペリー『提督』改め、初代賢者マーリンが造った人工生命体ホムンクルスよ。二人とも『約束の地』の向こう側まで探索を行ったことがある優秀な戦士なの」


 ……『約束の地』の向こう側まで足を延ばしたことがある人物だったら、かなりの腕を持っているに違いない。それに、『瘴気の密林』以遠の地理情報は白紙同然で、スナイプ様がいなくなった今、彼らの存在はかなりありがたかった。


 僕がそう考えて表情を明るくしたのを見て、マロン様は新緑の瞳を持つ目を細め、


「……それに、アルケー・クロウがわたくしにコンタクトを取って来たの。今日はスナイプの安否確認のつもりでここに来たんだけれど、思いがけずアルケーの情報をみんなに提供できることになったわ」


 と、驚くべきことを言った。


 僕はアルケーと直接対峙したことはない。けれど、7千年前に『運命の背反者(エピメイア)』が創り上げた存在で、その後マロン様の精霊王位はく奪の原因となったり、魔族の祖となり『魔王の降臨』の元凶となったり、5千年前の世界でウェカのカッツェガルテンを滅ぼしたりと、僕やマロン様にとって因縁が深い相手だ。


 それに、直接戦ったことはないにしても、アルケーの魔力を感じたことはしばしばあった。背筋が凍りつくような殺気と、具合が悪くなるほどの狂気に満ちた魔力で、正に『悪の帝王』と呼ぶに相応しいものだということは知っている。


(……そんなアルケーが、いったい何を?)


 僕だけでなく、ド・ヴァンさんはじめ『ドラゴン・シン』の幹部団員も、マロン様の言葉を固唾をのんで待った。


   ★ ★ ★ ★ ★


 『瘴気の密林』のちょうど中央に、『悪魔の世界樹』と呼ばれる大木がある。

 この毒樹は、高さ1万フィート(約3千メートル)になり、『瘴気の密林』を一望できる。それどころか、『地獄の河原』の出口さえ、条件によっては視界に入る。


 『世界樹』を名乗るにはスケールがしょぼいが、それでもこの木を超える大木は今のところ見つかっておらず、『暗黒領域』に住まう魔物たちが『世界樹』と呼んでもおかしくはなかった。


 この『悪魔の世界樹』には、ちょうど3千3百フィート辺りに、横に大きく伸びる太い枝がある。枝の長さは幹から3百フィート(百メートル弱)、太さは最大50フィート(15メートル)もあり、そこに細枝と葉で造られた屋敷がある。


 この屋敷は、『悪魔の世界樹』の番人で、『瘴気の密林』の実質的支配者であるシュバルツユニコルン族のランズロウ・ミステイルのものだった。


 その屋敷の前に、白髪でラピスラズリのような瞳を持つ少女が姿を現す。少女は薄青のシルクのような布地を無造作に身体に巻き付け、銀の太いベルトを腰に巻いている。


 少女は、すたすたと枝の上を歩きながら、両側に立ち並ぶ家々を眺めている。道を歩くシュバルツユニコルンの者たちには、少女の姿は見えないらしい。


 その時、前から歩いてきた金髪碧眼の女性が、つと立ち止まった。


「カザリン様、どうされました?」


 後ろを歩いていた従者が訊くと、カザリンと言われた戦士は躊躇なく剣を抜き、


「そこで隠形している者、姿を現せ! さすれば曲者としては取り扱わぬ!」


 そう叫んで、白髪の少女を睨みつけた。


 少女はクスリと笑うと隠形を解き、腕を組んだ尊大な態度でカザリンに言った。


「私の隠形程度に気付かないほどシュバルツユニコルンは鈍ったのかとがっかりしていたけれど、戦士長級はさすがに違うわね。

 私は『摂理の超越者(エピメイア)』、ランズロウに会いに来たわ」


 そう言うとエピメイアは漆黒の魔力を燃え立たせた。


 カザリンは碧眼を見開き、慌てて剣を鞘に戻してひざまずく。


「これはご無礼を……まさかエピメイア様があたしたち風情のところへ直々においでになられるとは思っておりませんでした」


 エピメイアは鷹揚にうなずいて、


「あのくらいの用心があって然るべきです。そなたの所作を無礼と咎めるつもりはありません。早くランズロウの許へ案内なさい」


 そう言うと、カザリンは汗を拭きながら立ち上がり、傍らの従者に、


「王のもとに行き、エピメイア様のご来駕だと伝えよ!」


 そう命令する。従者は王の屋敷にすっ飛んで行った。


「……先触れを遣わしましたので、あたしが屋敷まで露払いいたします」


 カザリンがそう言うと、エピメイアは満足そうにうなずいた。



「エピメイア様をお迎えするのも久しぶりですね。今回はどんなご用事で我が許においでいただいたのでしょうか?」


 シュバルツユニコルンの王、ランズロウ・ミステイルは、浅黒く苦み走った顔をほころばせて訊く。

長い黒髪、黒曜石のような瞳、そして額に生えた金属質の白い角。身体には無駄な筋肉はなく、それでいて威圧感を覚えさせるほど完成した、まさに『戦士の肉体』だった。


 対面の椅子に座したエピメイアは、そんなランズロウをほれぼれと眺めていたが、唇を歪めると真剣な声で訊いた。


「そなたは、マイティ・クロウが『約束の地』に入ったことは知っていますか?」


 すると、ランズロウはニヤリと笑って答える。


「もちろん。アルケー・クロウ殿が何やら小細工しておられることも、新たに『伝説の英雄』と言われているジン・クロウが『暗黒領域』に入り、『地獄の河原』で仲間の半数近くを失ったことも知っていますよ」


 エピメイアは一瞬満足そうな顔をして一つうなずく。しかしすぐに詰問口調で訊いた。


「マイティ・クロウたちが『魔王の心臓』に取り込まれたら、魔王が実態を持ってしまいます。それもかつてないほどの力を持って復活することになるでしょう。

 なのに何故そなたたちは、魔王の復活を座視しているのですか?」


 するとランズロウは、右手を伸ばして掌の上に円い鏡を出現させる。


 エピメイアが、何をするのかと見ていると、ランズロウは魔力を込めて『約束の地』を鏡に映し出す。轟々と音を立てて『風の魔障壁(グレート・ウォール)』が台風のように荒れ狂っている。


「魔王は、マイティ・クロウや賢者スリングを取り込もうとしていますが、なかなか思うように行っていないようです。恐らく、アルケー・クロウが何か企んでいるため、魔王の力を制限しているからでしょう」


 鏡を見つめたまま、ランズロウは片方の頬だけを歪ませて笑う。そしてエピメイアを見て、彼は自分の考えを述べた。


「……アルケー・クロウが何を考えているかは、大体想像がつきます。

 奴はマイティ・クロウやスリング、エレノアを取り込んだ魔王と、ジン・クロウを戦わせようとしているのでしょう。


 ジンが魔王を倒せば『同族殺し』の罪名でジンを処断し、ジンが負ければ魔王と組んでエピメイア様と対立する……どちらに転んでも、アルケーには都合がいいはずですから」


「……ジン・クロウが倒れれば、木々の精霊王だったマロン・デヴァステータが黙ってはいないでしょう。マロンはアルケーを目の敵にするに違いありません。それでもアルケーがそんなことをするメリットがあるのでしょうか?」


 ランズロウの見込みに、エピメイアが疑問をぶつける。


「いかに精霊王といえど、魔族が立てた『掟』を無視することはできません。よってジンが勝ってアルケーから処断された場合、マロンは表立って反対はできません。せいぜいアルケーに与しない中立の立場を取れるくらいでしょう。


 それに、マロンが仲間になるという条件で、『掟』を不問にするという手も考えているでしょう。そうすればアルケーは、ジン・クロウとマロン・デヴァステータという有力な仲間を二人も得ることができます。


 また、ジンが負けた場合、魔王を売り渡すことでマロンと手を握るという方法も残されています。この場合も、魔王とマロン、どちらを選ぶかはアルケー次第です」


 ランズロウはよどみなく答える。


「……ジンを倒し、かつマロンとアルケーに手を結ばせない方法はあるかしら?」


 エピメイアの問いに、ランズロウは笑いながら答えた。


「簡単です。エピメイア様が先にマロン・デヴァステータと手を結んでおけばいいのです。

 アルケーはあなたを最終的な敵と考えていますから、魔王と組んであなたとマロンに対抗することでしょう」


 ……ランズロウの予想は外れることになるが、それでもこの時点では至極正確な観測だった。エピメイアがゆくゆく敵として戦うことになるアルケー・クロウ、マロン、ジン、魔王のうち、最も厄介なのはアルケーとマロンが手を組んだ場合だというのは、誰が見ても分かることだったのだ。


(ジンを倒せば、アルケーは魔王を復活させる。そして魔王を操り、マロンと手を握って私に挑戦してくるだろう。

 だが、私が先にマロンと手を握り、ジンを支援する姿勢を見せながらジンを倒す……そうすれば私とマロンでアルケーを倒すという構図に持っていける……)


 そこまで考えたエピメイアは、にこりと笑ってランズロウに言った。


「……私はジンを支援しますが、そなたにジンを倒してもらいたいのです。『暗黒の死神』といわれているあなたなら、できますよね?」


 ランズロウは、エピメイアの笑みから彼女の真意を悟り、苦笑しながらうなずく。


「さてさて、我を悪者にしていい子ぶるわけですな? 戦士の名誉を傷つけかねない依頼ですので、報酬はお高くなりますよ?」


 エピメイアもうなずいて


「……報酬は『新時代の大陸の覇者』ではいかがかしら?」


 そう言いながら、右手を差し出す。魔力がほとばしり、その魔力は右手の中で一振りの剣になる。


「……魔剣パラグラム、次代の王を約束する剣です。その気があるなら剣を取り、私に忠誠を誓いなさい」


 エピメイアの言葉を聞き、ランズロウはゆっくりと手を伸ばして剣をその手に取る。そして彼はひざまずいて、エピメイアの右手にキスをした。



 マロンさんの話は、耳を疑うようなものだった。


「アルケー・クロウは、ジン様の魔王討伐に力を貸したいと申し出てきました」


 ……にわかには信じ難いことだった。だってアルケー・クロウは5千年前の世界で僕に『摂理の黄昏』を止められ、その報復として『乙女』であるウェカ・スクロルムを彼女の故郷カッツェガルテンの町もろとも滅ぼしているのだ。


 もちろん僕も、その瞬間から彼を不倶戴天の敵として、討伐する機会を窺っているのだ。


 だが、マロンさんはすごく嬉しそうだった。彼女は元木々の精霊王だったが、アルケーと過ごすうちに摂理の完全性に疑問を持ち、おかげで精霊王位をはく奪された。


 その後はアルケーやエピメイアと共に『暗黒領域』でそれぞれの持論を研究したらしいが、エピメイアとの間で意見の相違が起き、最終的には彼女とアルケーはその魔力と引き換えにエピメイアを封印したとのことだった。


 僕は、エピメイアとなら彼女の『偽存在ドッペル』と剣を交えたことがあるし、何なら彼女の錬金術の素材採取のために捕まったこともある。一時期は『摂理の調律者(プロノイア)』様と共に、『摂理の二柱』と並び称されたこの『堕ちた神』とは意外に接点があった。


 だが、アルケー・クロウとは、その部下や眷属となら幾度か争いもしたが、面と向かって話したことはない。まあ、その機会があったらほぼ確実に戦闘に入るだろうけれど。


「……アルケーは僕を嫌っていたんじゃないのか?」


 僕が率直に言うと、マロン様は悲しそうにうなずいて、


「ええ。彼がジン様を憎んでいるのは事実ですし、わたくしもアルケーが何を考えて今回わたくしと話をしに来たのかは解りません」


 そうはっきりと言った。


 けれど、彼女はすぐに僕を見て、


「でも、わたくしは5千年前からずっと、ジン様とアルケーを戦わせてはいけないと思っています。ジン様とアルケーは手を結ぶべき存在であり、それなしでは『摂理の黄昏』を乗り切ることは不可能だと信じているんです」


 そう、いつか僕に聞かせてくれた持論を説く。


「……ええと、マロン様。一つ質問があります。団長くんとアルケー・クロウが手を結ぶべき存在であるという根拠のようなものがあるんでしょうか?」


 ド・ヴァンさんが手を挙げて訊くと、マロン様はうなずいて、


「根拠はあります。でもそれは、まだ明らかにすべきことではないのです。今の段階ではただ、その根拠となる事実をアルケーはまだ知らないということだけお答えできます」


 そう言う。


「それで、アルケーは具体的にどういったことをマロン様と話したのでしょうか?」


 僕が訊くと、マロン様は


「今から詳しくお話しします。そのうえで、アルケーの本心についてジン様がどう判断するかを聞かせていただきたいのです」


 そう前置きをして話し出した。


 ……ざっくり言うと、アルケーが申し出たのは次のようなことだった。


 ・エピメイアの野望はジンや自分、マロンを倒し、四神やプロノイアまで始末して、自身が新たな『虚空』となり、摂理を規定することである。


 ・アルケーは現在、暫定的にエピメイアと同盟を結んでいるが、エピメイアの野望を考えると、同盟関係が長続きするとは思えない。


 ・だから、秘密裏にマロンと永続的な同盟を結び、いざとなったらマロンやジンと共に魔王やエピメイアを倒したい。


 ・同盟の証として、マロンが言っていたジンとの会談を行う用意がある。場所は『瘴気の密林』の入り口近く。ジンたちが『地獄の河原』を無傷で抜け出せるよう手配することは確約する。


「……ということなの。あれだけジン様との話し合いを渋っていたアルケーが、どんな風の吹き回しかは判らないけれど、話をしてもいいって言ってるの。


 わたくしはこの機会を逃したくないの。これがアルケーの罠だったら、わたくしが命に代えてもジン様を守るから、わたくしを信じてアルケーと会ってみてくださらないかしら?」


 真剣な顔で言うマロンさんの気迫に、ド・ヴァンさんたちも言葉が出ない。


「……マロン様に三つ条件がある。それを受け入れてくれるなら、僕もアルケーは小一時間問い詰めてやりたいと思っていたから、『瘴気の密林』まで前進しよう」


 僕の言葉に、マロン様は意外そうな顔をする。


「わたくしに条件? アルケーにじゃなくて?」


 僕は真剣な顔でうなずき、マロン様に言った。


「マロン様には悪いけれど、僕はアルケーを信じちゃいない。だから条件を出してもムダだと思っている。それにアルケーがマロン様に約束したとおり、『地獄の河原』を無傷で通れるなら、とりあえずはそれで十分だ」


 マロン様は僕の言葉にうなずき、無言で先を促す。


「僕がマロン様に出す条件は、

1、会談場所にはマロン様も同席してくれること。

2、会談場所近くに、本隊と共に先遣隊を待機させておくこと。

3、アルケーと戦闘状態に陥ったら、僕と一緒に逃げること。

 この三点です」


 それを聞いたマロン様は、嬉しそうにニコリと笑ってうなずいた。


「ジン様はわたくしを信じてくれると思っていました。その条件、すべて飲みます」


   (『テモフモフの遺産』を狩ろう! 終わり)

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

アルケー・クロウとエピメイアは、暫定的に手を結びましたが、それぞれの思惑はちょっと違うようです。

木々の精霊王だったマロンや、エランドールのアイリス、そしてアントンとドーラ……失った団員の代わりに、何人かの仲間が増えたところですが、エピメイアもまた、ジンたちに挑むために孤立した『黒の種族』を引き出そうとしています。

魔王に会う前に、もうひと波乱ありそうですね。次回もお楽しみに。

★ ★ ★ ★ ★ ★ ★

【主な登場人物紹介】

■ドッカーノ村騎士団

♤ジン・ライム 18歳 ドッカーノ村騎士団の団長。典型的『鈍感系思わせぶり主人公』だったが、旅が彼を成長させている。いろんな人から好かれる『伝説の英雄』候補。

♤ワイン・レッド 18歳 ジンの幼馴染みでエルフ族。結構チャラい。水の槍使いで博学多才、智謀に長ける。『PTD7・淑女』と共に『PTD6・ナルシスト』を倒した。

♡シェリー・シュガー 18歳 ジンの幼馴染みでシルフの短剣使い。弓も使って長距離戦も受け持つ。ジン大好きっ子で負けフラグをへし折った『幼馴染ヒロイン』。

♡ラム・レーズン 19歳 ユニコーン族の娘で『伝説の英雄』を探す旅の途中、ジンのいる村に来た。魔力も強いし長剣の名手。シェリーのライバルである『正統派ヒロイン』。現在、『右鳳軍団』と共にジンと合流するため移動中。

♡チャチャ・フォーク 14歳 マーターギ村出身の凄腕狙撃手。謎の組織から母を殺され、事件に関わったジンの騎士団に入団する。シェリーが大好きな『百合っ子ヒロイン』。

♡ジンジャー・エイル 21歳 他の騎士団に所属していたが、ジンにほれ込んで移籍してきた不思議な女性。闇魔法の使い手で、『PTD4・幽霊』を倒すも、右腕を失った。

♡メロン・ソーダ 年齢不詳 元は木々の精霊王マロン・デヴァステータだがその地位を剥奪された。『魔族の祖』アルケー・クロウの関係者で、彼を追っている。現在ジンたちとは別に『先遣隊』を率いて行動中。

♤ダイ・アクーニン 28歳 賢者ストックの息子で卓越した知力と魔法を誇る弓使い。魔王を目の敵にし、傭兵隊長だったコア・クトーや錬金術師のシロヴィン・ボルドーとともに先遣隊に加わった。

♡アイリス・ララ 『PTD10・ドール』を名乗り、ジンを瀕死に追い込むほど善戦した自律的魔人形エランドール。ジンの魔力マナで再起動し仲間となった。

■トナーリマーチ騎士団『ドラゴン・シン』

♤オー・ド・ヴィー・ド・ヴァン 21歳 アルクニー公国随一の騎士団『ドラゴン・シン』のギルドマスター。大商人の御曹司で、頭も切れ双剣の腕も確かだが女好き。

♤ウォッカ・イエスタデイ 21歳 ド・ヴァンのギルド副官。オーガの一族出身である。無口で生真面目。戦闘が三度の飯より好き。オーガの戦士長、スピリタスの息子。現在、『左龍軍団』と共にジンとの合流を目指している。

♡マディラ・トゥデイ 20歳 ド・ヴァンのギルド事務長。金髪碧眼で美男子のような見た目の女の子。生真面目だが考えることはエグい。狙撃魔杖の2丁遣い。

♡ソルティ・ドッグ 21歳 『ドラゴン・シン』の先鋒隊長である弓使い。黒髪と黒い瞳がエキゾチックな感じを醸し出している。調査・探索が得意。

♤テキーラ・トゥモロウ 年齢不詳 謎の組織から身分を隠して『ドラゴン・シン』に入団した謎の男。いつもマントに身を包み、ペストマスクをつけている。現在、ド・ヴァンの許可のもと、『暗黒領域』で単独行動をしている。

♤ブルー・ハワイ 25歳『ドラゴン・シン」の遊撃兼偵察隊長である槍使い。金髪碧眼で観察力と記憶力に優れる。変装に優れ、情報を分析する能力に長ける。

♡メアリー・ブラッドレイ 25歳『ドラゴン・シン』で物資調達を引き受けている槍使い。ド・ヴァンを詐欺ろうとして失敗、許されて彼に心酔し仲間になった。

■退場した仲間たち

♡レイラ・コパック 博識で氷魔法の使い手。スナイプのスカウトで加入した。『PTD5・法律家』を倒すも『PTD3・道化』に止めを刺された。享年17歳。

♡ウォーラ・ララ ジンの魔力マナで再起動した自律的魔人形エランドール。彼に献身的に仕えたが、『PTD2・戦士』との戦いで相討ちとなった。

♡ガイア・ララ 謎の組織の依頼でマッドな博士が造ったエランドールでウォーラの姉。『PTD1・学生』と対峙したが、相討ちとなって果てた。

♡エレーナ・ライム(賢者スナイプ)28歳『賢者会議』の一員だった才媛。ジンに自身が人工生命体ホムンクルスであることを明かし『風の宝玉の欠片』を譲る。『PTD3・道化』を倒すも、『道化』が残した瘴気に侵されてしまった。

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