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キャバリア・スラップスティック  作者: シベリウスP
暗黒領域・魔王決戦編
150/171

Tournament150 The Themofumov’s souvenir hunting:6(『テモフモフの遺産』を狩ろう!その6『PTD3道化』)

賢者スナイプはPTD3『道化』と相対することになった。

相手が強いほど燃える『戦闘狂』ともいうべき『道化』に、スナイプはどんな戦いを繰り広げるのか?

【前回のあらすじ】


ワインはPTD6『ナルシスト』と対峙した。PTD7『淑女』の協力もあり、『ナルシスト』を倒したワインだったが、『淑女』は『ナルシスト』に倒されてしまった。


     ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★


「私はPTD5『法律家』。エピメイア様のご命令であなた方を裁きます!」


「ボクはPTD3『道化』☆ よろしく、ドッカーノ村騎士団の皆さん♪」


 『法律家』と『道化』が、ジンに向かって突っ込んで来る。『法律家』はわき目も振らずにレイラにかかったが、『道化』はコインを取り出し、ジンに向けて凄い速度で撃ち出してきた。


 ドシュシュッ!

「はっ!」

 グワンッ!


 ジンはとっさに避けたが、コインは彼の背後20ヤードの所にある岩を粉砕する。恐るべき威力だった。


 ピエロの格好をしたふざけた野郎、『道化』にジンが『払暁の神剣』を向けた時、『道化』はにたりと笑い、


「ざーんねん☆ ボクはキミを割り当てられなかったんだ♧」


 そう言って、いきなり賢者スナイプに跳びかかった。


「待て!」


 ジンは『道化』を追いかけようとしたが、『道化』の後ろに隠れるようにして接近していた『ドール』が、ものも言わずにジンに襲い掛かった。


「……なかなかいいコンビみたいね、あなた方」


 『道化』と『ドール』の連係プレーを見ていた賢者スナイプは、腕を組んで『道化』に話しかける。

 スナイプは金色の髪をなびかせ、青い瞳でじっと『道化』を見ている。上は白いブラウスに薄い翠のジャケットを着込み、ジャケットと同色の巻きスカートの下に濃い緑の綿パンを履き、裾は革ブーツの中にたくし込んでいる。


「お褒めに与って光栄です、元四方賢者のスナイプ閣下☆ ぼくはPTD3『道化』、楽しいひと時を過ごしましょう♪」


 『道化』はスナイプに膝を曲げてお辞儀をし名乗ると、早速ポケットからカードを取り出してシャッフルする。


「……戦いの前の占い? それがあなたのルール?」


 『道化』は薄い唇を歪めてうなずき、


「ええ♧ こう見えてぼくって結構ゲンを担ぐんですよ♤」


 そう言うと3枚のカードを選び出す。『道化』は複雑な表情をした。


「どうしたの? 悪いカードが出たなら帰ってもいいのよ? 私は本来、戦いなんてまっぴらごめんって性分だから」


 スナイプが背伸びしながら言うと、『道化』は困ったような顔で笑い、スナイプにカードを提示した。


「……女帝の逆位置、隠者の逆位置、そして死神の正位置ねぇ……結果を相手に知らせてもいいものなの?」


 スナイプが訊くと、『道化』は緑色の髪の毛を触りながら笑って言う。


「まぁ、他人の運命じゃないですからね♪ で、ぼくは迷っているんですよ♢」


「迷ったなら、戻るのが一番♪ 登山でも人生でもそれは同じ。綺麗なお姉さんからの忠告は聞いた方が良くてよ?」


 スナイプは腰に両手を当て微笑んで言う。『道化』も笑い顔のまま答えた。


「あなたが綺麗なお姉さんなのは認めますが、ぼくが迷っているのは戦うか否かじゃなくて、誰と戦うかってことです☆ 今からでも『ドール』と交渉して、ジンを譲ってもらおうかなぁ♡」


 するとスナイプは再び腕を胸の前で組み、


「あら、誰が誰と勝負するのかって、あなた方は事前に決めていたんじゃなくて?

 せーっかく私に当たったんですもの、あなただって相当出来るんでしょ? じゃあ、決まり事を破るのは良くないわ♪」


 弟に注意するような表情で言うのだった。


 それでも何か迷っている『道化』に、スナイプは止めの一言を放つ。


「ジンくんが気になるなら、私を倒してから行きなさいな。大丈夫、ジンくんはあの程度の敵にやられるような子じゃないから」


 それを聞いて、『道化』はにまぁっと薄気味悪い笑顔をして、上機嫌で言った。


「それは、ぼくの方が『ドール』より強いだろうってことですか? 嬉しいなぁ♪ そんなこと言われちゃうと、あなたと一戦交えたくなっちゃいましたよ♡」


 スナイプは『道化』の笑顔から彼の性格と実力を正確に見抜いた。そして笑顔を収めると、ゆっくりと腕組みをほどき、静かな闘志を湛えて言う。


「……じゃ、おいでなさいな。お姉さんを楽しませてね?」


 この瞬間、賢者スナイプと『道化』の激闘の火ぶたが切られた。



 ドムドムドムッ!


 『道化』が先制のコイン射撃を放つが、


「……魔弾の核にコインを使っているのね。いい工夫だわ」


 パ・パ・パ・パンッ!


 スナイプは翠の魔力を燃え立たせ、左手を前に伸ばす。すると、魔弾コインはスナイプの前面5ヤードほどの所ですべてストップする。


 スナイプは目を細め、前を向いたまま右手の指を鳴らす。


 パチンッ!

 ジャンッ!

「チッ!」


 いつの間にか後ろに回っていた『道化』は、カードで斬り付けようとしてスナイプの魔力に阻まれる。


「……カードをガードするなんて、スマートなやり方だね?」


 『道化』はそう言った途端に総毛だった。スナイプの魔力が膨れ上がり、陣風となって襲ってきたのだ。


「くっ!『全反射フルカウンター』っ!」

 パチンッ!


 『道化』はスナイプの魔力の陣風をカウンター魔法で打ち返したが、スナイプはそれを予期していたかのように指を鳴らし、魔力の陣風を途中で解除した。


 そして、


「あなたが預けたコイン、利子をつけてお返しするわね?」


 左手を魔力の壁から離し、


 パンッ! と両手を打ち鳴らす。その途端、コインは一直線に『道化』に向かって飛んで行った。


「おやぁ♪」


 『道化』は舌なめずりして、コインで迎え撃つ。


 ドムドムドムドムッ!

 バン、パンッ、バションッ、パインッ!


 全弾を撃ち落とした『道化』だったが、自分がいつの間にか風の壁に包まれていることを知り、周囲を見回してヒュウ~♪ と口笛を吹く。


 そして感心した口ぶりで、


「……やはり四方賢者ともなると格が違うね♪ ぼくはまだ、きみをその場から一歩も動かせていない♤ それにきみのガードの堅さには驚くよ☆」


 そう微笑んで言う。


「私はそんなに安っぽい女じゃないのよ?……でも私に感心したからと言って、降参するような人じゃないみたいね? どこまで()()()()()すればいいかしら?」


 スナイプが目を細め、金髪を魔力の風に膨らませて言うと、『道化』はニヤリと笑って答えた。


「最期まで()()()()()してほしいなぁ♡ ぼくはどんなプレイでも受けてつよ♡」


「それは楽しみね。言っておくけど、私は早いのは嫌いじゃないわよ?」


 スナイプの言葉とともに、風の壁はぐんぐん縮小し、『道化』を圧迫するように迫って来る。『道化』はこの風の中には魔力の刃が仕込まれていて、たとえ機械であるエランドールといえど巻き込まれればただでは済まないことを知っていた。


「……やれやれ、『綺麗な花には棘がある』というのは真理だね♧」


 『道化』は肩をすくめてそう言うと、前かがみになって両手を地面につける。

 そして迫りくる風の壁をじっと見ていたが、壁が前髪に触れるか触れないかという所まで近寄った時、


「やっ!」

 ズガコンッ!


 魔力を地面に叩きつけて、自分が入れるくらいの縦穴を掘ると、虚空から細い管を取り出し、同じく取り出した伸び縮みする紐を管に通す。そして、


「はっ!」

 バシュンッ!


 その管を壁面から地面に顔を覗かせるように突き刺し、次の瞬間にはスナイプの前面10ヤードの所に立っていた。


 スナイプはパチパチと拍手をし、


「面白い演目だしものだったわ。まるでマジックを見ているみたいで興味深いわぁ。あなたがピエロの扮装をしているのも納得ね」


 微笑んで言う。ただ、その目は決して笑っていなかった。


 『道化』はお辞儀をすると、袖口から細いステッキを取り出して、


「いやぁ、こんな早い段階で『全反射フルカウンター』や『小道具紐ライフハック』を使うとは思っていなかったよ♤ やはりきみとのアヴァンチュールは最高だね♡」


 ステッキの先をスナイプに向けながら言う。


「気にしなくていいのよぉ? 私は早く終わった方が、たくさん眠れるからいいんだし♡」


 相変わらず、最初に立った位置から半歩も動いていないスナイプだった。


 『道化』は、にこりと笑うと、


「では、ぼくからのプレゼントだ☆」

 パチン!


 左手の指を鳴らすと、ステッキは一瞬でスカーフになり、右手の上にひらりとかぶさる。その瞬間、スナイプの瞳は翠色に光った。


 『道化』がそれを左手で外した途端、


 ズドォォォン!


 『道化』の掌に載っていた魔弾が炸裂し、閃光と爆炎が周囲を覆う。


 ジャンッ!

「わっ! マジかい!?」


 濛々と巻き上がる土煙の中から、金属が打ち合う甲高い音と、『道化』の焦ったような声が聞こえ、煙を巻いて『道化』が跳び下がる。彼の左腕は袖口とテクスチャが斬り裂かれ、光沢を放つ銀色の金属がむき出しになっていた。


「マジックは種を見透かされちゃいけないわ。ステッキをスカーフに変える段階で爆発させたら、私も攻撃は間に合わなかったかもね?」


 薄くなっていく土煙の向こうで、スナイプがレイピアを片手に鋭い目を向けていた。彼女の周りには翠色の風が渦巻いている。『風の護り(ウィンドシールド)』だった。


 『道化』は、いまだにスナイプが傷一つ負っていないどころか、最初に立った場所から少しも動いていないことに恐怖すら感じた。


(……これが大賢人マークスマンに危険視され、今の大賢人ライトから全幅の信頼を置かれている、最高峰の魔術師の実力の一端か♤ これでまだ『一端』というのが恐ろしいところだね♢)


 通常の魔戦士や魔導士なら、ここで勝負を投げているところだ。


 しかし、『道化』というエランドールは、『相手が強ければ強いほど興奮する』という厄介な性格をしていた。


 『道化』は、邪魔になる左の袖を肩口から引き千切ると、それをズボンのポケットに押し込む。そして尻のポケットから櫛を取り出すと、乱れた緑色の髪をサッと整えた。


 『道化』が何も言わずに櫛を胸ポケットにしまうのを見ていたスナイプは、


「……あくまでも最期まで付き合わせるつもりなのね? 私はジンくんの援護をしたいから、もう勝負を諦めたら? しつこい男って嫌われるわよ?」


 冷たい声でそう言うが、『道化』はニタニタと笑いながら白い紐を取り出して言った。


「諦める? とんでもない! きみみたいにぼくを興奮させてくれる相手を、そう簡単に手放していいものか! ぼくがイッちゃうまで相手してもらうよ」


 その時、『道化』の頭の中に、『学生』からの緊急連絡が入った。


   ★ ★ ★ ★ ★


(誰か近くの者、レイラっていう少女に止めを刺せ。『法律家』の仇を取るんだ!)


 『学生』が全員の超感覚制御装置に呼びかけてきた。『道化』はそれにいち早く反応する。


「ふん♤ ひよっこにやられるなんて、『法律家』のヤツ、どんなヘマをしたのかな?」


 『道化』はレイラがどこにいるかをサッと探す。百ヤードほど先に、氷の鎖に包まれた何かが見えた。生命反応はかなり微弱だったが、魔力はまだ十分に強かった。


(ふん、死なないように工夫しているんだな♧ ジン・クロウは強力な治癒魔法を持つと聞く☆ 復活されたらイヤだね♪)


「……そう、じゃ、早いとこ終わらせてあげましょうか」


 スナイプはそう言うと、初めてその場を動いた。翠の光をまといながらこちらに向かってくるスナイプが、『道化』には女神か何かに見えた。


(ふん、女神だとしても、仲間を目の前でやられたら怒るに決まっている。そして怒りは平常心を乱す。やっぱりこの手でレイラって子に止めを刺して、スナイプを怒らせるか)


 『道化』は何食わぬ顔で、スナイプに攻撃を仕掛けた。


「そぉれ、『小道具紐ライフハック』を使ったマジックだ☆ 楽しんでくれ♪」


 『道化』が細長い紐をスナイプに向けて投げつける。スナイプはそれをレイピアで斬り捨てようとして、何に気付いたのか横に跳んで避ける。紐の先がいくつにも分かれ、その一つ一つは猛毒を持つ蛇になっていた。


「さすがに引っ掛からなかったか♧」


 『道化』はそう言うと、今度はコインを取り出してポーンと放り投げる。スナイプはそれを見て『道化』に向かってダッシュしてきた。


「おっと、それは想定Dだった♤」

 ドムドムドムドムッ!


 『道化』は続けざまにコインを打ち出す。スナイプはそれを華麗に避け、


「やっ!」

 ヒョンッ!


 裂ぱくの気合と共に突きを放つ。


「さて、もうちょっとだねぇ♪」


 『道化』はそう言いながらスナイプに再び『小道具紐』で牽制攻撃を放つ。スナイプが自分とレイラを結ぶ直線上に来た。


「よしっ☆」


 その瞬間『道化』は、スナイプに魔弾を放った。


 バシュンッ!

「気の抜けた攻撃は止めなさいな」


 それまで、『道化』の変幻自在な攻撃を経験していたスナイプは、


(やけに素直な攻撃ね。あいつに似合わないけど、何を考えているのかしら?)


 簡単に魔弾を避けた。


 そして次の瞬間スナイプは、『道化』の目標が自分ではなく、自分の後方50ヤードの所で氷の鎖に包まれているレイラだと悟った。



「しまった!」

 グジャッ!


 耳を塞ぎたいような嫌な音が響く。スナイプの耳に、戦場の喧騒の中でひときわ大きく聞こえたのは、彼女の後悔のせいだったかもしれない。


「レイラさん!」


 スナイプは『道化』をほっぽり出してレイラの所に駆けつける。魔弾は頭を直撃したのだろう、レイラの首から上は、熟れたスイカのように原形を留めていなかった。


 よく見ると心臓に剣が刺さっている。レイラはレイラなりに考えて、自分の命を救うために仮死状態になっていたものと思われた。


「酷いなぁ☆彡 死んだ仲間の方がぼくより魅力的なのかい?」


 『道化』がやって来て、スナイプを煽るように言う。スナイプは薄い唇を歪めて笑うと、物凄い目で『道化』を見て言った。


「……そうね。でも今はあなたの方が素敵よ。あなたがどんな声で、私に命乞いするか楽しみだわぁ」


 スナイプはゆらりと立ち上がり、翠の魔力を燃え立たせる。『道化』はそれを見て、楽しそうに笑って言った。


「それはぼくも楽しみだね☆ きみの美しい顔が歪んだ様を想像すると、ぼくはイっちゃいそうになるよ♡」


「じゃ、逝っちゃいなさいな」


 スナイプが冷たく言うと、『道化』はポケットからカードを取り出した。カードにはすでに『道化』の魔力が込められていて、一枚一枚から赤い瘴気のような魔力がにじみ出ている。


「カードには運命を告げる力がある……」


 『道化』はカードをシャッフルしながらいきなりそう語りだす。そしてスナイプに、


「きみとジン・クロウの運命を占ってあげよう☆ ぼくはこれでも占いや喜劇のために造られた自律的魔人形エランドールだ♧ 占いに私情は挟まないよ♪」


 そう言いながら片方の口角だけを上げた。


「……余裕じゃない。いいカードが出ちゃったらあなたも戦意喪失しちゃわない?」


「さぁてね? ま、占いは占い、勝負は勝負ってことで♢」


 シャッフルを続けながら『道化』は首をかしげて見せる。


 スナイプは瞳を翠に光らせながら、レイピアに魔力を集め始める。風が渦を巻いてスナイプに集まり始めた。


「ストップ! そこよ。4枚目と13枚目が私とジンくんのカードね」


 スナイプの声に『道化』はぴたりと手を止め、言われたとおりのカードを取り出す。そして面白そうにその2枚を左手に持ち、右手の残ったカードを


「やっ☆」


 スナイプに向けて投げつける。


 シュンッ、シャラアアンッ!


 スナイプはレイピアを左右に振るだけで、襲い来るカードを叩き落とした。そこに、


「これがきみのカード!」

 シュンッ!


 『道化』がスナイプのカードを投げて寄越す。スナイプは左手を前に向けて突き出し、魔力の壁でそれを止めた。『吊られ人』の逆位置だった。


「そしてこれがジン・クロウのカード!」

 シュッ! パアンッ!


 魔力の壁にジンのカードが止まる。『皇帝』の正位置だった。


 スナイプは薄く笑って言う。


「……あなたの最期は『死神』の正位置だったわね? 占いが当たるといいわね」


 『道化』は三度『小道具紐ライフハック』を取り出して笑った。


「当たりますよ☆ ぼくのカードは運命を引き寄せるからね♤」


 そう言うと、紐に魔力を込めて槍にする。


「やあっ!」


 『道化』が突いて来る。スナイプは剣で弾こうとして気が付いた。あの槍は魔力で形作られているだけで、物理的な防御は出来ない。それに攻撃途中で様々な武器に変化させられることを。


(きっと『道化』も、私が『小道具紐』のカラクリに気付いていることは想定しているでしょうね)


 スナイプはクスリと悪魔的な笑みを浮かべると、魔力のレイピアで『道化』の槍をぶっ叩いて弾いた。


 バシュンッ!


 『道化』は、槍を弾かれて「えっ?」という顔をしながら時計回りに回転する。


 ドシュッ!


 スナイプは、体が開いた『道化』の胸元を横一文字に斬り裂いた。



「たわあっ!?」


 『道化』は武器の形態をナインテールに変え、スナイプの頭を狙って振り下ろす。


 ビュワンッ!

 バスンッ!


 だが、スナイプは『道化』が鞭を振り下ろす動作にかかった時、すでに彼の懐に飛び込んで剣を深々と突き立てていた。


風の発散(アウスストレメン)……」


 スナイプは一瞬、『道化』の横でそうささやき、サッと間合いを開ける。その瞬間に


 バフンッ!

「がをっ!?」


 くぐもった破裂音と『道化』の声が響く。


 スナイプの剣は、風の魔力で創られたものだ。相手に差し込んで拡散魔法を使えば、その爆風だけで被害を与えられる。それに相手の魔力が加わったら、被害はより拡大する。


 『道化』は、風穴が開いた鳩尾の部分を押さえていたが、


「……ぼくがテモフモフ博士の遊び心に助けられる日が来ようとは、夢にも思わなかったよ☆ 別の場所を斬り割られていたら一巻の終わり(ジ・エンド)だった♪」


 そう言いながらスナイプの方に身体を向ける。自慢のピエロの服はズタズタになって酷い有様だったが、なぜか『道化』は楽しそうだった。


「楽しそうね? 私はあなたを最初見た時、ヤバい戦闘狂だと思ったけれど、外れちゃいないみたいね?」


 スナイプは再び剣を現出させて言う。


 『道化』はひとしきり哄笑すると、


「アハハハハ★ 外れちゃいないどころか大当たりだよ♪

 ぼくは最初っから一方的に蹂躙するのはシュミじゃない♤ ぼくが敵わなそうな相手に逆転して、相手の表情が驚愕から戸惑い、そして絶望へと変わる光景に堪らなく興奮する☆

 そんな相手の命乞いを一切無視して相手の命を奪う♢……あぁ、最高だぁ♡……」


 現状を無視して、スナイプのそんな情景を想像しているのか、『道化』は恍惚とした表情すら浮かべていた。


(やはりかなりの危険人物だったわね。ジンくんの相手がこんな奴でなくて良かったわ)


 スナイプはそう考えながら、油断なく『道化』を見ていたが、彼はニヤニヤしながらズボンのポケットからカードを取り出した。そしてそのままシャッフルしだす。


「……さっきも言ったけど、ずいぶんと余裕ね? 運命は何度も占うものじゃなくてよ?」


 スナイプが言うと、『道化』はニヤニヤ笑いを消さずに答える。


「まあ、占いならそうなんですけどね☆ ぼくがこれからやるのは『可変の未来(うんめいのひきよせ)』って魔法なんですよ♤

 だから、占いとしてはノーカンってことで♪」


 そう言うと、カードを1枚選んでスナイプに表が見えないよう提示する。


「ぼくが選んだきみの未来だ☆ これを受け入れるかい? それともチェンジするかい?」


 スナイプは翠の魔力を燃え立たせて答えた。


「……さっきと変わらない未来なんじゃなくて?『死神』とか『悪魔』とかが出ても嫌だから、そのままでいいわ」


 すると『道化』は、困ったような顔をして頭をかく。


「ははっ☆ きみには小手先の技なんて効かないってことがよく解ったよ♧

 それにしても、よくこのカードが『吊られ人』だって判ったね?」


 『道化』が見せたカードは、スナイプが指摘したとおり『吊られ人』……最初に彼女が選んだカードだった。


 スナイプは種明かしの答え合わせをするように言う。


「あなたの魔法って、カードで相手にそのとおりの運命を付与するんでしょ?

 でも、私が選ばなきゃ私の運命としては発動しない……そんな制約があるんじゃない?

 だから私の未来があなたにとって不都合なので、さっき選んだカードから、私に新たなカードを選ばせて運命を変えようとした……どうかしら?」


 『道化』は苦笑して拍手する。


「ははは♪ やはり種を明かされるとマジックは成立しないね☆

 それにしてもきみは、頭も切れるし口も回る♢ ワイン・レッドと同様、ジンの側に置いておくわけにはいかない団員だね♡」


 そう言いながら、カードを胸のポケットにしまい込む。


 そしてパンパンと両手を打ち合わせて、腰に手を当てると、


「……仕方ない♧ ぼくだって自分で選んだ未来だからね♤

 じゃ、続きをお願いしましょうか、スナイプ様♡」


 そう言いながらポケットから引きちぎった左袖を取り出すと、それを宙に放り投げる。左袖はポン! という音と共に弾け、煙幕を張り巡らせた。


 その瞬間、スナイプ目がけて後ろから魔弾が飛来し、


 ドムッ!

「がっ!?」


 スナイプの背中から胸にかけて魔弾が貫通した。


   ★ ★ ★ ★ ★


「やった☆ おわっ!?」

 ジャンッ!


 煙幕の中で『道化』の嬉しそうな声が響いたと思ったら、間髪入れずに金属が擦れあう音とともに火花が散り、『道化』は煙幕の中から後ろ向きに飛び出てくる。


 それを追って、口の端から血を垂らしたスナイプが斬りかかる。


「だっ!」

 ジャランッ!


 『道化』は『小細工紐ライフハック』を取り出してスナイプの斬撃を受け止めると、魔力で身体を覆った。


 その瞬間、スナイプの身体が爆裂する。


 ズドゥムッ!

「『全反射フルカウンター』っ!」


 『道化』はスナイプの爆風を、煙幕の向こうに反射スキルで撃ち返す。


 ボグァアアンッ!


 魔力が爆ぜると共に、煙幕が吹き払われたが、そこには『道化』が想定したスナイプの姿はなかった。


「むっ!?」


 『道化』は身体を覆う魔力はそのままに、急いで周囲を魔力探知機を使いながら見回す。


(スナイプのことだ、ぼくの攻撃パターンを完全に読み切っている♧ そして彼女の性格からすると、ぼくと同じような方法で反撃してくるはずだ☆)


 『道化』はそう読み、スナイプを探しながら、どんな攻撃がどこから来るのかを期待している自分に気が付いて苦笑する。


(ははっ☆ ぼくも大概な性格をしているな♪ でも、これだけ強い相手なら、戦っていて楽しいよ♡)


 一方でスナイプの方も、『超乱反射アルベドコントロール』という隠形技を使いながら『道化』の様子を観察していた。


(私の剣は、確かにあいつの胸を斬り裂いた。けれど、あいつには致命的な攻撃ではなかったみたいね。

 ということは、あいつのバイタルパートは、人間の構造とは違った部位に収納されていると思わないとね)


 そう考えた時、スナイプは『道化』の何気ない一言を思い出した。


『……ぼくがテモフモフ博士の遊び心に助けられる日が来ようとは、夢にも思わなかったよ☆ 別の場所を斬り割られていたら一巻の終わり(ジ・エンド)だった♪』


(テモフモフ博士の『遊び心』?……そして『道化』はそもそもがマジシャン、そして今はトリックスター……そうか、なら試してみなくちゃ)


 スナイプはそう考えながら、『風の通い路(ウィンドコリドー)』を発動し、『道化』の真後ろに姿を現した。


「おっ☆」

「はっ!」

 ズシャッ! パアンッ!


 スナイプの剣は『道化』の頭を眉間縦割りにしたが、『道化』は『小細工紐』で剣を打ち折って、


「……やっぱりどこかに隠れていたんだね? でも凄いなぁ、何処にいるのかちっとも判らなかった。『賢者会議』のヤツらって、みんなきみみたいに強いのかい?」


 そう言いながら剣先を頭から外す。サッとオイルが流れ出たが、『道化』は慌てもせず右手薬指の先を光らせ、完全に破断している頭部の蓋板をあっという間に修理した。


「……ずいぶんと便利な能力ね? その能力があれば、見た目の傷は自分で修理できるってことね」


 スナイプが両腕を組んで言うと、『道化』はニヤニヤ笑いながら、


「そうでもないですよ? 内部の機器の修理なんて、ぼくたち自律的魔人形エランドールでもできる奴は決まってますからね★

 だから『学生』や『淑女』は重宝されるんですよ♪」


 『道化』の性格なのか、それとも戦闘以外のことは何も考えていないのか、普通なら機密事項に当たることを簡単にしゃべる。スナイプはそれを、彼の自信の表れだと受け取った。秘密をしゃべっても、相手が死んだらしゃべっていないのと同じだ。


(……つまり『道化』は、たとえ相討ちでも必ず私を倒すって決めているんでしょうね。

 でも残念☆ あなたのバイタルパートがどこなのか、今の攻撃で大体判ったわ)


 『道化』の急所が判ったのなら、あとは倒すだけ……スナイプはそんな思いで『道化』を煽った。


「あなた今、仲間の秘密を私にしゃべったわよ? エランドールの修理ができるのは、仲間内では『学生』と『淑女』だけって。

 私があなたを倒したら、次に狙うのは『学生』や『淑女』に決まりね♪」


 すると『道化』は、気味の悪い笑みを浮かべながら、目を据えてスナイプを見る。


「……確かにあなたは強いですが、ぼくを侮るとろくな目にあいませんよ?」


 『道化』の身体を包む魔力がだんだんと大きくなっていく。それまではまとわりつくようなねっとりとした炎だったものが、暗黒の炎となって燃え上がるのをみて、


「あら、今まで手加減してくれていたのね? あなたって見かけによらず紳士じゃない♪

 でも、これでやっと私も心置きなく全力が出せるってものだわ♡」


 スナイプもまた、魔力の開放度を引き上げる。翠の魔力は風を集め、スナイプの金髪を噴き上げながら風の柱を出現させた。



「……これは凄いな☆ ぼくもちょっときみを見くびっていたみたいだ。がはっ!」

 バシュンッ!


 『道化』が呆気にとられた一瞬を突いて、スナイプが矢を放つ。『道化』は間一髪で矢を払い落とすと、


「きみはどんな武器でも使えるんだね☆『器用貧乏』って言われないようにね♪」


 そう言いながら、『小細工紐ライフハック』を取り出して、一方の端を空中に投げ上げる。それはどういった原理かは判らないが空中で留まり、


「やっ!」


 『道化』はその反対側の端を使って空中に跳びあがる。そして、


「この弾幕、避けられるかな!?」


 空中を移動しながら、右手でコインを次々と撃ち出す。


 ドム、ドム、ドム、ドムッ!


 スナイプは面倒くさそうに、


「『風の螺旋刃(ヴィルヴェルヴィンド)』!」

 ゴゴウウッ! パパパパーン!


 苦も無く魔弾を撃ち落とす。そしてそのまま、竜巻を移動させて『道化』をその中に捕えようとする。


「やべ☆ 風の刃でズタズタにされたら、せっかくの洋服が台無しになっちゃう♧」


 『道化』はそう言うと、魔力を集めた『小細工紐』で、竜巻を縦に斬り裂いた。


 バシュウウンッ!


 その時、『道化』は背筋に寒気を感じ、


「だあっ!」

 バシュンッ!

「ぐぁっ!?」


 竜巻を斬り裂いた動きのまま縦に回転して、後ろを取って攻撃しようとしていたスナイプを、下腹部から縦に斬り裂く。


「今度はやったか!?」


 『道化』は、しっかりとした手応えを感じ、そうつぶやく。スナイプはお腹から上が二つに避けたまま、血と魔力を噴き出しながら地面へと落下していった。


 『道化』は、しばらく空中で『小細工紐』につかまって、地面に叩きつけられたスナイプを見ていたが、


「……あれがダミーだったら、ぼくはいい標的じゃないか♧」


 そう気づいて、地面に降り立つ。もちろん、身体中を覆った魔力は消していない。


(……ぼくをこれだけキリキリ舞いさせたスナイプだ♤ 一瞬の油断があったとは言っても、こんなに簡単に勝てる相手じゃないはずだ♢……)


 『道化』はゆっくりとスナイプの死体(?)に近付く。巻きスカートは斬り裂かれてどこかに行っており、深い緑色のズボンと薄い翠色のジャケットを着ていた。


 白いブラウスは縦に斬り裂かれ、内臓や肋骨も見えている。頭部は完全に左右に分かれ脳漿が流れ出て、光を失った両眼はぜんぜん違う方向を向いていた。


(……これが魔力で作ったダミーだとしたら、すごい再現力だな☆ だが、ダミーならもうすぐ消えるはずだ♧……)


 『道化』は微塵も油断していない。自分が『勝った』と実感できない限り、それは勝利ではない……そんな彼の姿勢が、彼を今まで激烈な任務の中で命永らえさせて来たのだ。


 ビュンッ! グシャッ!


 『道化』はスナイプの頭に、ナインテールに形を変えた『小細工紐』を振り下ろす。魔力でできた武器で攻撃したら、ダミーなら消えるはずだった。


 しかし、ナインテールはスナイプの頭を粉砕し、辺りに血と脳漿と骨片を巻き散らす。


「……はは、はははは♪……」


 『道化』は意味もなく笑った。彼の中では、こんな勝利は認めないという気持ちが大きかったのだ。


 『道化』は魔力を収めた。こうすればスナイプは、勝ったと思い込んだ自分を攻撃してくるだろう……そんな誘いを込めてわざと隙を見せた『道化』だったが、案に相違して何も起こらない……どころかスナイプの魔力の端っこさえつかめない。


(そういえば、さっきもスナイプは完全に気配を消していた♧ これは危ない♢)


 『道化』は慌てて身体を魔力で包むと、ハッと気が付いた。


「……自由奔放の噂があるスナイプのことだ、ぼくをここで疑心暗鬼にさせて、ジン・クロウの加勢に回ったりしていないよな?」


 そんな疑問が思わず口を突いて出た時、


「あら、私はそれほど人間が小狡くできていないわよ? ここまでやっても気を抜かないなんてさすがね?」


 スナイプがそう言いながら姿を現した時、『道化』は変な話だがホッとしている自分を感じた。


「素晴らしいよスナイプ☆ さすがは『賢者会議』に名を連ね、大賢人ライトの信頼も厚い魔術師だ♡ このダミーなんか完全に本物だと信じてしまうところだったよ♪」


 そう言う『道化』に、スナイプは笑って答える。


「ありがとう♡ でもそれが私の『実体ザイン』じゃなくてホッとしているみたいね? これだけ力の差を見せつけても、まだ諦めないのかしら?」


 『道化』はさらに魔力を開放しながら、ナインテールを構えて言う。


「もちろんですよ♪ だってあなたほどぼくをコーフンさせてくれる敵なんてめったにいないですからね☆」


(……場数を踏んでいるから、なかなか隙を見せないわね。私が弱点に気付いていると悟られたら面倒だから、一撃必殺で行かないといけないけれど、なかなか隙を見せない……困ったわね)


 スナイプはそう考えながら、油断なく『道化』を見ていたが、『道化』はふと思い出したようにあごをしゃくって言った。


「賢者スナイプ、きみの大事なジン・クロウが『ドール』にやられかけているよ?

 ぼくはきみが、ジンは『ドール』ごときには負けない子だって言ったから君と遊んでいたのに、話が違うじゃないか?」


 それを聞いて、スナイプは驚いて『風の護り(ウィンドシールド)』を発動させつつ、『道化』が指さす方を見る。ちょうどジンのお腹に『ドール』の左腕がめり込むところだった。


「がはあああっ!?」


 ジンの悲鳴がここまで聞こえる。スナイプにはその声がジンの断末魔に聞こえた。


「ジンくんっ!」


 真っ青になって駈け出そうとするスナイプの前に、『道化』が立ちはだかる。


「おやおやぁ? どこに行くのかなぁ?」


 唇の端から赤いオイルを流しながら『道化』が訊く。そのからかっているような口調がスナイプの癇に障った。


「退きなさい! 邪魔すると叩き潰すわよ!?」


 スナイプの魔力が極大まで解放される。それを見て『道化』は数メートルも跳び下がりながら言った。その顔は青ざめている。スナイプの魔力がこれほどのものとは思っていなかったのだろう。


「ジンを助けに行くつもりかい?」


 『道化』は、動揺を隠すように笑いながら言うが、その声は少し震えていた。


「それ以外の何があるって言うの!? そこを退くの、退かないの!?」


 ずいっと足を踏み出すスナイプの気迫に押され、『道化』は一歩下がりながら答える。


「イヤだなぁ、ぼくだってジン・クロウとは一戦交えてみたいんだ☆ それも、今みたいにボロボロな状態じゃない彼とね♤

 『ドール』に美味しいところを持って行かれるのも癪だから、きみにジンを助けて来てもらいたいんだ♪ きみの気を逸らすことが無くなった後、真剣勝負を再開しようじゃないか♡」


 そう言いながら道を開ける。スナイプは先ほどまでの表情とは打って変わってにこりと笑い、


「分かってくれればいいのよ♡ じゃ、少し休憩しておきなさい♪」


 一散にジンのところへ駆けて行った。


 その後ろ姿を見送る『道化』は、ペタリと座り込んで自分の手を見てつぶやく。


「……ハハッ、『井の中の蛙』ってぼくのことだな♧ あんな人間がいるなんて思ってもいなかった……戦い方を変えないと、絶対にスナイプには勝てないや♤」


   ★ ★ ★ ★ ★


 それからどのくらい経ったのだろう? 膝を抱えて座り込んでいる『道化』は、背後にスナイプの気配を感じて、ゆっくりと立ち上がった。『道化』はまだスナイプの攻略法を考えついていないため、どうしても動作が鈍くなる。


「……その様子じゃ、まだ考え中ってところかしら?」


 スナイプの声に、『道化』は頭を振って肩をすくめながら振り向く。


「イヤだなぁ、きみは本当にひとが悪い♧ 困っている敵を見てなぶるなんて、本当に四方賢者だったのか……」


 首を振りながらそこまで言って、『道化』はスナイプを二度見する。スナイプは相変わらず金髪を戦場の風に揺らし、両手を腰に当ててイタズラっ子のような碧眼で『道化』を見ているが、ジンを助けに行く前のスナイプと何かが違う気がしたのだ。


 スナイプは『道化』が言葉を切ったのを見て、薄く笑って言う。


「……あなたが考えていること、当ててみましょうか?『今ならスナイプに勝てる』……そう思っているんじゃなくて?」


 すると『道化』は、薄い唇を歪め、不気味な笑いを浮かべて答える。


「きみは自分が不利になることを承知で、ジン・クロウを救ったんだね? やれやれ☆ これじゃ、『ドール』に勝ち目はないし、ぼくだってジンと戦って勝てる確率はゼロに近いんじゃないか?」


「まぁ、ジンくんには本来彼が持つべきものを返しただけよ。だからと言って私がその分弱くなったと思ったら大やけどするわよ?」


 スナイプは腕を組んでそう言うと、ニコッと笑った。邪気のない、透き通るような微笑だった。


 『道化』はその笑顔を見て背中がゾクリとした。決して威嚇するような顔ではなく、むしろ平和な時に母が子どもに対して見せる微笑……無償の愛が籠った、満足の中の微笑。


 『道化』には、スナイプの微笑が持つ崇高さが解らなかったが、戦闘狂であるからこそ、そんな微笑ができる者の『強さ』や『恐ろしさ』を感じ取ったのだろう。


 『道化』は、『小道具紐ライフハック』を虚空から取り出しながら、


「……そのようだね♤ では、もっと苦戦を楽しませてもらおうかな♪」


 そう言うと、一瞬でスナイプの後ろに回り込み、細くて白い首に『小細工紐』を巻き付ける。


 その瞬間、『道化』は背後に物凄い殺気を感じて、スナイプを締め上げずに横へ跳ぶ。『小細工紐』はスナイプの首をねじ切るはずだった。


 だが、スナイプの身体は、まるで重さがないように『道化』の動きに合わせて移動する。


 それだけではない、いつの間にか目の前のスナイプはこちらを向いていて、輝くような笑みで『道化』に問いかける。


「あなた、自律的魔人形エランドールとして生まれて、何に一番心が安らいだ?」


 『道化』は目を細める。


(スナイプも戦い方を変えた!? これはスナイプの罠だ♤……何も考えるんじゃない♢ ぼくは……)


 『道化』がそう思った時、不意にスナイプの声が彼の統制システムに割り込んできた。


『あなたは自分で『ぼくはこれでも占いや喜劇のために造られた自律的魔人形エランドールだ』と言ったわよね? 決して戦うために造られたわけじゃないあなたが、戦いしか思い出がないなんて寂しいと思わない?

 『風の憧憬(ヴィンドゼーンズフト)』で思い出させてあげるわ』


 その時、『道化』の記憶媒体の下層トラックにしまわれていた記憶が蘇って来た。


 ………………


 ぼくたちが造られた当初、ぼくたちはテモフモフ博士が想定した役割を与えられていた。


 例えば、『学生』なら知識の吸収を、『戦士』は騎士団での修行を、『幽霊』はいろんな情報収集をとね。


 『法律家』は法律の実務を学ぶため、いろいろな国でそれぞれの法律を学んでいたし、『ナルシスト』と『淑女』は最初っからイチャイチャしていた。


 ちなみに『執事』と『踊り子』は、研究資金が枯渇したテモフモフ博士が、フェン・レイと名乗る女にかなりの額で売り払っていたため、彼らがどう過ごしていたのかは分からない。

 ただ、それを境にテモフモフ博士の羽振りがよくなり、シュガーレイクシティに研究室を構えたり、『ドール』のようなエランドールを製作し始めたりしたのは確かだ。


 そしてぼくは孤児院など子どもたちのための施設で、マジックや占いをする毎日を送っていた。


 子どもたちは、ぼくが何もない所から鳩を出して見せたり、ステッキを一瞬でハンカチーフに変化させたりするのを見て、目を輝かせて歓声を上げていた。


 それに、たまに悩みを相談する子もいた。そんな子には、得意のタロットで占ってアドバイスを与えたりしていた。


 誰もぼくが自律的魔人形エランドールであることを気にする子はいなかったし、そのことで嫌な思いをしたことは一度もない。『テモフモフ博士宅の道化』といえば、シュガーレイクシティでは子どもたちの人気者だったんだ。


 だが、ある日ぼくたちは、テモフモフ博士から改修を受けることになった。何でも博士の新たなパトロンの依頼で大きな仕事を請け負ったが、それが軌道に乗るまでぼくたちをその代わりに使用させるとのことだった。


 ぼくたちはしばしの眠りにつき、次に目覚めた時に目の前にいたのは、赤い髪をした女だった。


 その女はバーディー・パーと名乗り、ぼくたちに『魔力マナ』を与えてくれた『指揮官』だった。そしてぼくは、博士の改修で与えられたのが戦闘に関する能力だと知った。


 そしてぼくは、それまでの記憶が一切消されていることを知った。ぼくが楽しませた子供たちの笑顔や喜びの声を思い出すことはなく、いや、そもそもぼくが子どもたちを楽しませる役割を持っていたことすら忘れてしまっていたんだ。


 昔の記憶を保っていたのは、『学生』『戦士』『幽霊』そして『法律家』で、『ナルシスト』と『淑女』はぼくと同様、それまで自分たちが何のために、どんなことをしていたのか忘れさせられていた。


 だが、『法律家』が『ナルシスト』と『淑女』に昔のことを教えていたように、ぼくにも『戦士』が改修前のぼくのことを教えてくれた。


 けれど実際、記憶がないのに昔のことを聞かされても、ぼくは戸惑うばかりだった。子どもたちの笑顔など、想像することもできなかった。

 ぼくはただ、バーディーが下す命令に従って任務を遂行すること……それはしばしば殺人を伴った……に無上の歓びを覚え、そして強い敵と戦いたいと常に望んでいた。


 それはもしかして、ぼく自身無意識のうちに壊れることを望んでいたのかもしれない。


 ………………


「どぉお、何か思い出した?」


 スナイプの声に、『道化』はハッと我に返った。それはわずか4・5秒のことだったが、戦闘中に別のことを考えていたことを自覚した『道化』は、思わず身震いした。


 スナイプはいつの間にか『小道具紐ライフハック』の呪縛から抜け出ている。そして魔力で創り上げた剣で鋭い斬撃を放ってきた。


 ビュンッ!

「おっと!」


 『道化』はそれをかわしながら、『小道具紐』で反撃する。『小道具紐』は、水面に広がる網のようにスナイプを包み込もうとした。


 だが、スナイプはそれを見越して距離を取り、魔弾を放って『道化』を牽制する。


 バシュンッ!


 『道化』は魔力の網で魔弾を絡め捕ると、『小道具紐』をナインテールに変化させてスナイプの突進に叩きつける。


 バシュンッ、パアアンッ!


 スナイプは蛇の頭になったナインテールを叩き斬ると、再び10ヤードほどの間合いを開けた。


「……きみは本当にひとが悪いな♤」


 『道化』が眉を寄せ、唇を歪めて言う。


 しかしスナイプが笑って、


「それはさっきも聞いたわ。私の質問に答えてくれない? ()()()()()()()()♡」


 そう言った時、『道化』の顔が驚愕と戸惑いに変わった。


(『ピエロのお兄さん』……ぼくはどこかでその言葉を聞いた……)


 『道化』の電子頭脳が記憶媒体を精査する。それは『道化』自身でも止めることのできない衝動に似ていた。


 ………………


「ありがとう、ピエロのお兄さん」


 それは12・3歳の少女だった。少女は泣きながら笑っていた。しかし、その表情には哀しみよりも切なさと安心、そして感謝があふれていた。


(……ぼくはこの子を知っている。ぼくはこの子の何を占ったんだったっけ?)


 ………………


 スナイプが斬りかかって来る。それをかわしながらも、『道化』は湧き上がってくる思い出に気持ちが向き、戦いに集中できない。


「これでも思い出せない?」


 バシュンッ! ジャンッ!

「うっ!?」


 スナイプの剣が、『道化』の右腕を肘から切り離す。右手は『小道具紐』を握ったまま地面に転がった。


 その時、『道化』は、思い出の中の少女に()()()()()()()ことを思い出した。


 ………………


「……もう生きていたくない」


 その子は、ぼくがマジックを披露した孤児院に入っていた。キラキラとした他の子どもたちの中で、彼女だけがぼくのマジックを見ても笑わず、どこか遠くを見る目をしていることが気になっていた。


 マジックショーを終えたぼくは、そのあと『占い相談』も行っていた。子どもたち一人ひとりの話を聞き、その子の未来をタロットで占う。そして何か問題を抱えた子については、その悩みや辛い気持ちに共感するとともに、施設の人にも情報共有していた。


 その子は、最後にぼくの前に座った。最初は何も話さなかった彼女は、ぼくが静かに微笑んでいるのを見ると、一言そう言ったのだ。


 その子は、金髪で青い目をしていた。整った顔立ちで、大きくなったら美人になることは間違いない。そしてその子の波動は優しさに満ちていた。


 ぼくは黙ってタロットをシャッフルする。少女はさっきの一言以降、うつろな目をした顔を伏せていた。


「いつまでシャッフルしようか? きみが止めるんだよ?」


 ぼくが言うと、少女はめんどくさそうに、


「……止めて……」


 そう小さくつぶやく。


 ぼくはカードを裏返しにして、テーブルの上にサッと並べて言った。


「きみの運命だ、ここから3枚、きみが選ぶといい☆ 誰もきみの生き方を決められないんだ♧ 君が決めなくちゃ♪」


 彼女はそれでも顔を上げなかった。


「ひょっとして、きみの未来には『死神』が出るかもしれない♤ 生きていたくないのなら、自分で確かめてみるといい。きみを待っている未来ってやつをさ☆」


 そう言うと、彼女は怯えたような眼をして顔を上げる。ぼくは優しくうなずいて彼女を促した。


「さ、どうぞ♪」


 彼女は左手を差し出し、震える手で3枚を選ぶ。ぼくはそのカードを1枚1枚、確かめながらひっくり返した。


「1枚目は『塔』の正位置。これは不慮の事故を表す。きみが経験した過去は、もう変えられないんだ」


 少女は左手で、右腕をぎゅっと掴む。身体が震えていた。


「2枚目は『隠者』の逆位置。君の現在だ。きみはみんなと仲良くしたいと思いながらも一人でいる。それはきみが、自分と同じ境遇にある友だちの心を慮っているからだ」


 彼女の眼に涙が浮かんでくる。そして小さな声で訊いてきた。


「あたし、誰も傷つけたくないし、自分も傷つきたくない。こんなあたしでも、みんなと仲良くしていいと思う?」


「傷つきたくないのはみんな同じさ☆ きみがつかみ取った未来を見てみようか♡」


 ぼくはそう言いながら、最後のカードをめくった。『運命の輪』の正位置だった。


「……カードは、きみが望むきみになれるってさ♪ 優しさを持ったまま、みんなと仲良くしてみるといい☆ きみはこれから大人になって、いろいろなことを経験するんだよ?生きて行かなきゃもったいないね♡」


 その子が初めて笑った瞬間を、ぼくは忘れていなかったんだ。


 ………………


「そうだ、ぼくはあの子の笑顔を覚えているんだ」


 『道化』がそう言った瞬間、スナイプの剣は『道化』の左わき腹から右の下腹部にかけてを存分に斬り裂いた。


 バシュンッ、バガアアンッ!

「ぐ!?」


 『道化』は目を見開いて呻く。しかし、さすがにスナイプの二の矢は、後ろに跳ぶことで回避した。


(……マナクリスタル大破、姿勢制御装置は無事だが動力制御盤と魔力制御盤が復旧不能な損害♧ どちらも予備装置起動☆……か♪)


 『道化』は自分に状態を正確に把握する。そしてペロリと唇を舐めると、右手を魔力で創り出し、コインを取り出してスナイプに撃ち出した。


 ドムッ、ドムッ、ドムッ!


 それと同時に、左手で胸ポケットのカードをつかむと、


「やっ☆」


 人差し指と中指に挟んだ1枚を除き、すべてをスナイプに向けて解き放った。


「……思い出したみたいね。いい思い出だった?」

 カキン、カーン、パシュンッ、カーンッ!


 スナイプはコインを残らずレイピアで叩き落すと、魔力を燃え立たせながら訊く。


 『道化』は、にんまりと笑ってうなずくと、


「ああ、素敵な記憶を思い出させてもらった☆」


 そう言いながらスナイプに突進を開始する。


 スナイプは碧眼を細めて『道化』を見ていたが、


「『風の発散(アウスストレメン)』!」

 バフンッ!


 四方八方から攻撃してきた『道化』のカードを魔力で吹き飛ばし、斬り裂くと、ゆっくりと剣を構え直す。


「賢者スナイプ、きみは最高の敵だった! ぼくは悔いはないよ!」


 『道化』はそう叫ぶと、


「あはははははは!」


 狂気に支配されたかのように高笑いしながら、スナイプにカードで斬り付ける。


 ジャンッ!

 バスンッ!


 スナイプの剣は『道化』のカードを弾き、下腹部を真一文字に斬り裂く。スナイプが振り返った時、『道化』は


「あははは♪……最高だぁ♡……」


 笑いながら膝から崩れ落ち、うつぶせになってそのまま動かなくなった。


「……思ったより厄介な奴だったわね……」


 スナイプが魔力の剣を消してつぶやく。その途端、彼女の視界がぐらりと揺れた。


「え!?」


 スナイプははっとして髪に手を伸ばす。いつの間にか『道化』の櫛が髪に挿してあった。


「しまった。これは強い瘴気を含んでいるわ!」


 青くなったスナイプが櫛を取ろうとするが、髪に張り付いたように離れない。慌てるスナイプの鼻から、ツーッと赤い線が垂れて来た。


「……急がなきゃ、瘴気が身体中に影響を与える前に……」


 スナイプは風の魔力を発して瘴気を吹き飛ばそうとしたが、脳が侵されたのか視界は暗くなり、手も動かし辛くなっていく。


 スナイプは、暗くなっている視界の隅に、『道化』のカードを見つけた。スナイプはそれににじり寄る。


「あれは、結構鋭かった……」


 あえぐように手を伸ばしてカードを手に取ると、それで髪を切って櫛を外そうとした。もはや魔力の剣を創出するほどの力が出せなくなっていたのだ。


 だが、『道化』の魔力を失ったカードでは、髪を切ることは叶わなかった。


(……抜かったわ……ジンくんを最後まで見届けてあげたかったけれど……)


 スナイプは視力を奪われる寸前、手に持ったカードを見る。『吊られ人』のカードだった。


(……もうすぐ脳が完全に侵され、やがて身体が崩れ去る……醜い姿になる前に、あの世に行けるのだけが救いね……)


 スナイプはそう考えながら、大地にうつぶせに転がった。


   (『テモフモフの遺産』を狩ろう!:7に続く)

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

スナイプはちょっとした油断が元で倒れてしまいました。『道化』との真っ向勝負では終始押し気味に戦いを繰り広げていたので、まさかという思いです。

すでに3人が抜けた『騎士団』。これ以上の戦力低下は望ましくないのですが。

次回はいよいよ大詰め、ジンVS.PTD10『ドール』です。お楽しみに。

★ ★ ★ ★ ★ ★ ★

【主な登場人物紹介】

■ドッカーノ村騎士団

♤ジン・ライム 18歳 ドッカーノ村騎士団の団長。典型的『鈍感系思わせぶり主人公』だったが、旅が彼を成長させている。いろんな人から好かれる『伝説の英雄』候補。

♤ワイン・レッド 18歳 ジンの幼馴染みでエルフ族。結構チャラい。水の槍使いで博学多才、智謀に長ける。『PTD7・淑女』と共に『PTD6・ナルシスト』を倒した。

♡シェリー・シュガー 18歳 ジンの幼馴染みでシルフの短剣使い。弓も使って長距離戦も受け持つ。ジン大好きっ子で負けフラグをへし折った『幼馴染ヒロイン』。

♡ラム・レーズン 19歳 ユニコーン族の娘で『伝説の英雄』を探す旅の途中、ジンのいる村に来た。魔力も強いし長剣の名手。シェリーのライバルである『正統派ヒロイン』。現在、ジンと合流するため移動中。

♡チャチャ・フォーク 14歳 マーターギ村出身の凄腕狙撃手。謎の組織から母を殺され、事件に関わったジンの騎士団に入団する。シェリーが大好きな『百合っ子ヒロイン』。

♡ジンジャー・エイル 21歳 他の騎士団に所属していたが、ジンにほれ込んで移籍してきた不思議な女性。闇魔法の使い手で、『PTD4・幽霊』を倒すも、右腕を失った。

♡エレーナ・ライム(賢者スナイプ)28歳 四方賢者として『賢者会議』の一員だった才媛。ジンの姉に当たり、四方賢者を辞して『騎士団』に加わった『禁断のヒロイン』。

♡メロン・ソーダ 年齢不詳 元は木々の精霊王マロン・デヴァステータだがその地位を剥奪された。『魔族の祖』アルケー・クロウの関係者で、彼を追っている。現在ジンたちとは別に『暗黒領域』で行動中。

■トナーリマーチ騎士団『ドラゴン・シン』

♤オー・ド・ヴィー・ド・ヴァン 21歳 アルクニー公国随一の騎士団『ドラゴン・シン』のギルドマスター。大商人の御曹司で、頭も切れ双剣の腕も確かだが女好き。

♤ウォッカ・イエスタデイ 21歳 ド・ヴァンのギルド副官。オーガの一族出身である。無口で生真面目。戦闘が三度の飯より好き。オーガの戦士長、スピリタスの息子。

♡マディラ・トゥデイ 20歳 ド・ヴァンのギルド事務長。金髪碧眼で美男子のような見た目の女の子。生真面目だが考えることはエグい。狙撃魔杖の2丁遣い。

♡ソルティ・ドッグ 21歳 『ドラゴン・シン』の先鋒隊長である弓使い。黒髪と黒い瞳がエキゾチックな感じを醸し出している。調査・探索が得意。

♤テキーラ・トゥモロウ 年齢不詳 謎の組織から身分を隠して『ドラゴン・シン』に入団した謎の男。いつもマントに身を包み、ペストマスクをつけている。

♤ブルー・ハワイ 25歳『ドラゴン・シン」の遊撃兼偵察隊長である槍使い。金髪碧眼で観察力と記憶力に優れる。変装に優れ、情報を分析する能力に長ける。

♡メアリー・ブラッドレイ 25歳『ドラゴン・シン』で物資調達を引き受けている槍使い。ド・ヴァンを詐欺ろうとして失敗、許されて彼に心酔し仲間になった。

■退場した仲間たち

♡レイラ・コパック 博識で氷魔法の使い手。スナイプのスカウトで加入した。『PTD5・法律家』を倒すも『PTD3・道化』に止めを刺された。享年17歳。

♡ウォーラ・ララ ジンの魔力マナで再起動した自律的魔人形エランドール。彼に献身的に仕えたが、『PTD2・戦士』との戦いで相討ちとなった。

♡ガイア・ララ 謎の組織の依頼でマッドな博士が造ったエランドールでウォーラの姉。『PTD1・学生』と対峙したが、相討ちとなって果てた。

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