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第3話 奪われたもの
最初に奪われたのは、“信頼”だった。
「この企画、美咲に任せる」
父の一言で終わる。
(私の仕事なのに)
声は出ない。意味がない。
「お姉様のおかげです」
笑顔で言う。目は合わない。
(嘘だ)
構成も、戦略も、全部私だ。
「結果がすべてだ」
父は言う。
「誰がやったかは関係ない」
(違う)
母は違った。
でも——もういない。
最後の希望。婚約者。
「美咲はいい子だぞ」
それで終わる。
「考えすぎだ」
(そう)
誰も信じない。
帰り際、見てしまう。
並ぶ二人。自然に、近い。
(終わった)
夜。
何も残っていない。
居場所も、信頼も、未来も。
全部、奪われた。
(……もういい)
終わらせれば楽だ。
でも、どこかが引っかかる。
(本当に、それでいい?)
答えは出ない。
ただ一つ。
これは喪失じゃない。事故でもない。
——“意図的に奪われた”ものだ。




