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私を捨てたあなたたちへ——すべて終わりです。今さら戻れませんが、もう遅いです  作者: snow☆rabbit


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番外編③ 黒崎玲子——未来へ渡す光

すべては、選んだことの連なりでできている。


若い頃の私は、まだ何者でもなかった。


同じ教室。

同じ机。

同じ未来を語るはずだった人がいた。


放課後、窓際に差し込む光の中で。


「一緒にやろう」


そう言われたことがある。


真っ直ぐな目だった。


信じることに迷いがない、強い目。


私は、少しだけ目を逸らした。


「私は、別の道を行く」


その一言で、すべてが変わった。


彼は何も言わなかった。


ただ、静かに頷いた。


それが、最後だった。



企業するというのは、孤独だ。


何もないところから、何かを作る。


味方もいない。

保証もない。

正解もない。


あるのは、決断だけ。


(後悔はしない)


そう決めた。


何かを得るなら、何かを捨てる。


それが、現実だ。


私は、選んだ。


愛ではなく、“才”を。



倒れている少年を見つけたのは、雨の日だった。


路地裏。

濡れたアスファルト。


動かない身体。


通り過ぎることも、できた。


でも。


足が止まった。


(似ている)


何も持っていなかった頃の、自分に。



「立ちなさい」


声をかける。


反応はない。


それでも、続ける。


「ここで終わるつもり?」


わずかに、指が動いた。



「生きなさい」


それだけを言って、手を差し出す。


選ぶのは、本人だ。


でも。


選べる場所には、連れていける。



その手は、震えながらも——握り返された。


(いい)


それでいい。



人は、繋がっていく。


直接でなくても。


言葉で。

行動で。

選択で。


確かに、残る。



娘が生まれた。


小さな命。


柔らかい手。


泣き声。


(守る)


そう思った。


同時に、理解していた。


守りきれない日が、必ず来ることも。



だから、教える。


甘やかすのではなく。


立てるように。


選べるように。


「結果で示しなさい」


それは、突き放す言葉じゃない。


“自分で生きるための言葉”だ。



本当は。


もっと、抱きしめたかった。


もっと、笑っていたかった。


普通の母親みたいに。


でも。


それでは、足りない。


この世界では。



違和感は、あった。


少しずつ。


確実に。


体が重い。

思考が鈍る。


おかしい。


でも。


時間がない。



夫の視線。


どこか、遠い。


(変わった)


気づいていた。


すべて。


でも。


確かめる前に。


限界が来る。



夜。


一人で、窓の外を見る。


街の光。


変わらない景色。


(終わるかもしれない)


そう思った。



それでも。


不思議と、怖くはなかった。


一つだけ、確信があったから。



(あの子は、大丈夫)


強く育てた。


折れないように。


奪われても、立てるように。



「綾音」


呼ぶ。


もう、届かないかもしれない。


それでも。



(生きなさい)


心の中で、何度も繰り返す。



(あの子は、私より強い)


だから。


きっと。


大丈夫。



(愛を選べなかった私の代わりに)


どうか。


どうか。



未来を、選びなさい。



光は、消えない。


誰かに渡る。


形を変えて。


繋がっていく。



だから。


私は、後悔しない。


すべては。


未来へ、渡すためにあった。

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