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第19話:調停

 オーウェンことウィンクルのお陰で、大臣にイエス・ノーを迫れる状況に好転。


 僕ら「UN」の狙いは果たされる?

ー数分前ー


 オーウェンが船の入口で兵士たちを殺さない程度に追い返していたが、マーレア腹心の部下プレシオという女が弓を背中に背負って短剣で向かってくる。


「どけ、賊に用は無い。」


「人質いるのに強気ね…!」


 プレシオが左手首の腕輪を指さす。


「予め生徒たちはマーキングしていて、この程度の距離内なら私の守護範囲だ。」


(『天使の秘術』の中で最大出力の防御技『キャンセラ』。予め仕込んだマークを持つ人間に遠隔で結界を貼ることができる。私の出力、精度ならこんな賊共の攻撃では破られない。私たちを侮ったな?詰みだ…。)


 ヴィズが後ろから飛び出してきて、鋼鉄化させた右腕でプレシオを殴る。


「オーウェン、先にルナリスを連れて行け。ダラダラやっていては立て籠もる側の俺達が不利だ。」


「は?お前達、何を企んで…」


 オーウェンは高速移動してルナリスとパレーの元に向かう。


「ルナリスちゃん!ちょっと協力してもらえる?」


「何?」


 オーウェンは笑う。


「ちょっと、叔母への反抗期みたいな、ね?」


 ルナリスはキョトンとしている。


ー今ー


(意外とルナリスちゃんがすんなりついてきてくれて助かったわ。この状況なら、無理があったこの作戦に一気に勝利が舞い込む!)


 大臣が顔を赤くして声を上げる。


「えぇい、そんな学生1人どうでもいい!マーレア、プレシオ!さっさと殺せ!」


 マーレアの冷や汗が止まらない。プレシオも広場に飛び出してきたマーレアを見て苦しそうな顔をしている。


「ルナを…見捨てるなんて…」


 オーウェンも驚愕の顔をする。


(こんな若い子をあんなジジイが見捨てるなんて、本当に腐った国ね…。)


 ヴィズは分かりきったような顔をしていたが、僕の心に怒りが芽生える。


「どいつもこいつも、現場を見ないジジイ政治家はゴミクズばっかだ。」


 僕が高速で大臣の眼の前に現れる。頭を掴んで持ち上げる。


「離せ!貴様らのような賊の分際で…」


 僕がそのまま地面に叩きつけると、頭の中身が地面に飛び散って血が池のように広がる。周囲が静まり返った後、僕は塔を見上げる。


「オーウェン、良いよ。もう国からは情報を得られない、次の一手を探そう。今日は帰るよ。ヴィズも。」


 ヴィスが眼の前にいた兵士を殴り飛ばして僕のとなりに来る。オーウェンはルナリスの耳元に話す。


「協力ありがとね。もう私みたいな人間に会わないと良いわね。」


 オーウェンはルナリスのポケットからチョークを抜き取って、僕らの元に来る。


「じゃあ帰りましょうか。」


 一瞬で地面に魔法陣を描いて、僕は左手の小指と薬指を千切って魔法陣の上に投げ捨てる。


 血が渦巻状になって僕らを包む。


「ただで逃すか!」


 プレシオが弓を構える。が、マーレアが無言で遮る。


「聖女長…。」


 僕らは妨害無しでアジトに戻れた。ウィンクルの額、ヴィズの左肩に触れて傷を治し、僕は部屋に戻った。


「皆休憩。お疲れ様、また明日話し合うよ。とにかく今日はもう休憩。」


 アジトに残っていたキュロとリデーラが疲れ果てた僕らを見ている。


 僕はベッドに寝転がって目の上に手を当てる。


「あのジジイのせいで情報取れなかったなぁ。どうしよう、残ってる手段ってもうこの国ごと滅ぼして情報奪うしかないよね…。あ、本末転倒か。」


 大天使に与えられた使命を思い出した。


「あー、腹立つ。」


ー失敗した計画、次の一手はー

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