第12話:学徒監禁①
ヴィズが仲間になってから更に3年後、「UN」は更なる活動を始める。
ヴィズ、リデーラに出会ってから3年経った。僕は16歳、ウィンクルこと『オーウェン』は19歳。ヴィズは17歳、リデーラも10歳になった。
去年勧誘した新しい情報集め要員、キュロは今23歳で最年長の保護者ポジションだ。紫髪にどす黒い緑色の目。口をマスクで覆っていてミステリアスだが、案外明るい人だ。
キュロが皆を集めて資料を配る。
「『UN』に大きい出番が来ましたよ。」
ウィンクルが前のめりになって目を輝かせる。
「久しぶりね。最近は適当に奴隷商を殺して回ってたけど、それとは違うの?」
キュロはウィンクルに目をやってからとっておきを言うかのように息を溜める。
「大元は奴隷商ですよ。でも、その相手はカロカレッジ。しかも奴らの狙いは『グロリア高等学校』の生徒。」
『グロリア高等学校』。マナ、スキルを使って戦う役職『メイジ』を育成するための名門校。12歳から18歳の6学年で、ラティ王国内ではトップクラスの学校だ。
僕は情報を思い出した。
「あれ?明日って、5年生の修学旅行帰りじゃない?確か、フェリーで離島行ってなかった?」
キュロは僕を指さして楽しそうに語り始める。
「そうです!5年生は明日の朝には孤独な広い海の上に繰り出します。そこでは王国の援軍も望めない。あとはお分かりですね?」
ウィンクルが地図を指さし、呟く。
「海賊みたいに海上で襲撃、若くハイレベルなメイジを一斉に拉致、奴隷を大量確保…。」
「そう!ウィンクル、よく分かっていますね。」
キョロは笑う。
「学生とはいえ、王国屈指の学校の上級生。恐らくカレッジの連中も幹部を複数人連れてくるでしょう。我々がそこに乱入し、情報を奪う!あわよくばその後…。」
僕たちはキョロの話を聞いて、ここ最近無口になったヴィズがこの会話初の発言をする。
「質問がある。どうやって離島の学生に接触するんだ?地図の読めない俺でも分かるくらいには途方もない遠さだ。お前のスキルでも射程が…」
キュロは人差し指を立てて口の前で立てる。
「策も用意もしてあります。」
寝る前に僕は寝室でヴィズに語りかける。
「明日は面白い1日になりそうだね。」
「我々ならまあ大丈夫でしょうが、端から見ると隙しかない策ですね。」
ヴィズは心配そうにブーツの紐を結び直している。
「ヴィズが弱音?珍しいね。戦いの信念を忘れた?」
ヴィズは思い出したように僕に向き直って左拳を突き出す。
「『一騎当千』、純粋な力があればあらゆる闇を突き破る。」
「そういうこと!じゃあ明日は早起きだし、もう寝るよー。」
僕は消灯して2人で眠る。
ー翌早朝ー
僕は1人で地面に書かれた魔法陣の上に乗る。ウィンクルは心配そうに言う。
「方角は分かりますか?太陽が見える方に進めばいいんですからね?東。心配なら私が行きますけど…。」
「僕のこと舐め過ぎじゃない?いきなり呼ぶから、ちゃんと準備しといてね?」
キュロが血の溜まった瓶を魔法陣に置いて、手をかざす。
「言うのは2回目ですが、転送してからは自力で移動してくださいね。びしょ濡れで帰ってこないことを望んでますよ!」
ヴィズのスキル発動と同時に瓶が割れて、血が僕の体を隠すように包む。次に外が見えたのは、学生たちの船の倉庫だった。
僕は外の気配を感知して、状況を把握する。
「船上には50人。甲板に着けられた小舟に4人。生徒33人教師2人と調査してるから、既にカレッジの奴らが占拠済みかな。スタッフは7人。しかも…」
僕が手に纏ったマナが瞬時に弾けた。
(マナを消す呪いのようなスキルが船中に張り巡らされてる。)
僕は倉庫から出た瞬間に見張りに出会う。
「「あ」」
相手が剣に手をかけた頃には、マナの弾丸で僕が頭を貫いた。
(マナを纏ってから消されるまでの僅かな隙、消されるよりも早くマナを打てば当たる…。)
「さて、行くか!」




