第11話:解ける
ヴィズとある程度打ち解けて、正真正銘、仲間を増やしたエラー。
1時間後、ウィンクルは食材を取り出して夕食を作り始める。
前にも行った気はするが、この世界は前世と食文化が似ていて、肉や魚を焼いたりする文化があるし、野菜とかカレーっぽいやつとかスープとか色々ある。パンも美味しい。(なお僕はごはん派である。)
物音がして振り向くと、リデーラという少女が昏睡から目覚めてベッドから起き上がっていた。アジトに運び込んだ時にウィンクルに体を洗ってもらったから、茶髪がサラサラとランタンの光を反射している。
「おぉ起きた。マナの様子も普通、結構タフだね。まだ幼そうなのに…。」
ヴィズが小走りでリデーラに駆け寄る。
「体は大丈夫か?肺の病気とか悪化してないか?」
「ヴィズ君、なんというか、すごく息が楽なの。今までにない感じで不思議…。」
ヴィズは目を見開いて僕を振り向く。僕はピースして反応する。
(やっぱり病気持ちだったか。腫瘍が肺に溜まってたから治癒と一緒にマナを流して破壊したから無問題だけど。)
ヴィズはリデーラの両手を包む。
「エラーっていうんだけど、あの人が助けてくれたんだ。今すぐお礼言おう。」
リデーラは頷いてトコトコと歩いてくる。僕の異形に明らかに怖がっているが、
「あのっ、えっと、助けてくれてありがとうございました!」
元気にお礼を言ってくれた後に深々とお辞儀する彼女を見て僕は微笑んでしまう。
「可愛らしいね。自己紹介しようよ。僕は13歳のエラー、こんな見た目だけどただの人間だよ。君は?」
「私はリデーラ、10歳です!私もただの人間です。」
会話が聞こえたのか、ウィンクルがクスッと笑う声が聞こえた。僕はリデーラに目線を合わせるためにしゃがんで話す。
「僕は結構危ない仕事をしてるんだけどさ、ヴィズ君のこともらって良い?死なせはしないよ。」
リデーラは怯えた顔になる。
「え、また奴隷ですか…?」
「いいや?対等な仲間だよ。」
誤解を解こうと話を考えていると、彼女は僕の目を見て言う。
「それなら私も仲間にしてください!ヴィズ君と離れたくないです!」
「それは駄目かな。」
僕が即答すると、彼女は悲しそうにうつむく。でも僕はすぐに言い換える。
「危ないからね。でも、僕たちと一緒にいることは問題無いよ。ここにいれば守ってあげられるし、人生も保証できる。」
彼女はそれを聞いて目を輝かせる。
「ありがとうございます!」
ウィンクルが料理を盛り付けた皿を両手に持って現れた。
「じゃあ2人の歓迎ってことで、夕食の時間にしましょう!今日はエラーに教わったスパゲッティよ。」
僕は椅子を4つ並べて2人を座らせる。
「行儀とかは考えなくて良いよ。お腹ペコペコでしょ?今日は好きなだけ食べなよ。」
遠慮されると気まずいし悪いので、先に説明しておいた。ウィンクルも笑顔で頷いている。
皆で食べ始めると、僕は早めに食べ終わって窓辺の椅子に座ってぼーっとする。しばらくしてウィンクルが寄って来る。
「どうしたの?」
「いやぁ、毎回言うけど僕には身近な家族がいなくてね。なんか今は人数が増えてホッコリしてるんだ。」
ウィンクルは苦笑いする。
「何を家主みたいなこと言ってるの、年齢的にはあなた子供側よ?」
「ははっ、ごもっともだね。でもお陰で楽しい、ありがとうね。」
僕はウィンクルに感謝を伝えて自室に戻る。ドアの前で2人に声をかけた。
「部屋が少ないから悪いけど、男女に分かれて寝ようか。ベッドは2つずつあるし。」
「じゃあエラー、ヴィズ君、おやすみなさい。」
「そっちもおやすみ。夜更かしし過ぎないようにね。」
僕はヴィズを連れて部屋に戻る。
「ヴィズ、ベッドどっちが良い?窓側と壁側。」
「じゃあ、窓側で。」
ヴィズが窓側のベッドに腰掛ける。毛布をいじりながら彼は僕に尋ねる。
「できる限り強くなるつもりですけど、本当になんで拾ってくれたんですか?こんな馬の骨を拾ってもエラーさんに利益は…。」
僕はヴィズにデコピンをする。
「だーかーらー、仲間欲しいからってだけだよ。まあ強いて言うなら可哀想だからかな?昔からマンガでも薄い本でも可哀想な物語にはそそられなくてね。」
「なんですかそれ。」
「マンガは絵がある小説かな。薄い本は…、忘れて良いよ。」
僕のくだらない失言を流して、眠りにつく。




