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ダンジョンがある世界で女性のステータスを大幅に上げるバフスキルを獲得したら、ハーレムみたいなクランが出来上がって最強のクランになりました  作者: ミコジ
クラン祝福の絆

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クランハウス 新しい仲間

事件の翌朝、警察が動いた。しかし、それは綾乃を逮捕するためではなかった。藤宮クランの拠点からは多くの証拠が見つかった。拉致監禁、恐喝、未成年への性的虐待未遂、さらには複数の探索者に対する集団暴行の記録。死んだ藤宮雷人とその手下たちこそが、本来逮捕されるべき連中だった。


「桜庭綾乃さんの行為は正当防衛、および緊急避難と認められます」


警察署の一室で、担当捜査官は淡々と告げた。


「でも、殺人ですよ? 5人も」


綾乃が困惑した声を出す。捜査官はちらりと彼女を見て、ため息まじりに言った。


「探索者同士のトラブルですからね。正直なところ、我々警察にできることは限られています。それに」


捜査官は声を潛めた。


「国としても、A級探索者にはダンジョン攻略をしてもらわなければ困るんです。ここ数年、ダンジョンの数は増え続けていますからね」


綾乃は黙り込んだ。そういうことか。探索者、特に高位の探索者は、国家にとって貴重な戦力なのだ。警察の手に負える存在ではない。


一週間後、探索者協会は正式に声明を出した。


「藤宮クランに関する調査の結果、メンバー桜庭綾乃氏の行為は正当防衛と認定する。なお、藤宮雷人氏については死亡により、クランマスターの地位は規約に従い、在籍メンバー中最もランクの高い桜庭綾乃氏に自動継承される」


その通達を受け取った綾乃は、すぐに協会へ赴き、藤宮クランの解散を宣言した。


「クラン名義の全財産は、クラン『祝福の絆』へ譲渡します」


宣言を聞いた周囲の探索者たちがざわついた。A級探索者が弱小クランに全てを譲るなど前代未聞だ。しかし綾乃の瞳に迷いはなかった。



数日後、優斗は郊外の丘の上に立っていた。


目の前には、大きな日本家屋風の屋敷がそびえている。門をくぐれば中庭があり、母屋は二階建てで十部屋以上ある。離れも二棟あり、合わせればゆうに五十人は暮らせる規模だ。


「すごい…お城みたい」


灯がぽかんと口を開ける。


「藤宮クランの蓄えって、どれだけあったのよ…」


日向も唖然としていた。彼女たちの知る探索者の生活とは、狹いアパートの一室か、せいぜい施設の寮だったのだ。


「クランハウスとしては最高だろ。庭もあるし訓練場にもなる」


優斗は鍵を開け、中へと足を踏み入れた。畳の香りが鼻をくすぐる。光が差し込む縁側、広々とした台所、杉板の風呂。すべてが彼女たちの手に余るほど立派だった。


「ここで、これから三人で暮らすの?」


日向が信じられないという顔で言う。


「ああ。部屋は選び放題だ。好きな部屋を使え」


「やったー!」


灯が嬉しそうに階段を駆け上がっていく。日向も「ちょっと灯ちゃん待ちなさいよ!」と慌てて後を追った。


優斗は縁側に腰を下ろし、庭を眺めながら微笑んだ。良かった。これで彼女たちに、せめてもの報いができた気がする。



数日後、屋敷に一人の来客があった。


門をくぐってきたのは、桜庭綾乃だ。彼女の顔は強張っていて、目は少し充血している。


「綾乃さん!」


灯が玄関で出迎える。


「灯ちゃん」


綾乃は灯の無事な姿を見つめ、唇を噛みしめた。


「あの、上がってください」灯が招き入れると、綾乃はおずおずと廊下を進んだ。


日向と優斗も居間から顔を出す。


「どうしたんだ、急に」


優斗が問いかけるより早く、綾乃は動いた。


彼女は自分のコートを脱ぎ、上着を脱ぎ、スカートを床に落とした。下着までも外し、一糸まとわぬ姿になると、その場に正座し、両手を畳につけて深く頭を下げた。


床に額をこすりつける土下座だった。


「なっ!?」日向が声を上げる。


「ちょ、ちょっと綾乃さん!?」灯が慌てる。


「待ってください」


綾乃は土下座したまま言った。


「私、白状します。私が藤宮に、白夜さんのクランに行くって言ったから。あの男、それで怒って灯ちゃんを…」


綾乃の声が震える。


「私のせいで灯ちゃんはあんな酷い目に遭いました。どんな謝罪も許されないと思っています。だからせめて…」


「見てください」


綾乃は顔を上げた。


「あなたが味わった屈辱を、私も味わいます。裸にされて、見られることがどれだけ辛いか、私も知るべきだから」


シンと静まり返る部屋。


灯は一瞬固まっていたが、はっとして優斗の目に手を伸ばした。


「優斗さん、目を閉じて!」


バッと両手で優斗の目を押さえる。


「お、おう…」


優斗は言われるまま目を閉じた。が、一瞬見えてしまった柔らかな曲線を脳内から消去しようと必死になる。


「綾乃さん、違います!」


灯は優斗の目を塞いだまま、涙声で言った。


「綾乃さんのせいじゃないです! 悪いのは全部あの藤宮って人で…それに!」


灯は声を詰まらせた。


「私、優斗さんに助けてもらえたから。優斗さんがすぐに来てくれたから、今はもう大丈夫なんです」


「灯ちゃん…」


綾乃の目から涙がこぼれ落ちた。


「だから服、着てください。私、もう綾乃さんのこと許してます。というか、怒ってなんていなかったです」


灯の言葉に、綾乃は嗚咽を漏らした。日向がそっと彼女の肩にコートをかける。


「優斗さん、後ろ向いててください!」


「わかってる」


優斗は背中を向けたまま立ち上がった。


数分後、綾乃が服を着終えたところで、優斗は振り返った。


「綾乃さん。良かったら…いや、頼む。俺たちのクランに入ってくれないか?」


「えっ…」


綾乃が顔を上げた。


「魔法抵抗が高いモンスターが出た時、今のパーティでは火力が足りないんだ。灯の魔法と日向の魔法だけじゃ突破できない敵もいる」


優斗は真剣な目で綾乃を見つめた。


「綾乃さんの物理火力を、俺たちに貸してほしい」


綾乃は呆然としていたが、やがて、泣き笑いのような顔になった。


「私なんかでいいんですか? 偽善者で、A級探索者のくせに自分の仲間も守れなかった…そんな私で」


「綾乃さん!」


灯が綾乃の手を取った。


「一緒に戦いましょう! 綾乃さんがいたら百人力です!」


「そうよ。あんたの剣、すごかったじゃない。一緒ならもっと強くなれる。そうでしょ、優斗!」


日向も笑顔で言う。


「ああ。俺たちにはお前が必要だ」


優斗が手を差し伸べた。


綾乃は涙を手の甲で拭い、そして、その手を取った。


「ありがとう。私、頑張ります。今度こそ、本当の仲間のために!」


こうして、クラン「祝福の絆」に四人目のメンバーが加わった。これで、前衛の綾乃、中衛の優斗、後衛の灯と日向というバランスの取れたパーティが完成したのだ。


夜になり、四人は改めて屋敷の広間で祝いの食卓を囲んだ。


「この屋敷、五十人も住めるんでしょ? もったいないわね」


日向が唐揚げをほおばりながら言う。


「まあな。でもいつか、もっと仲間が増えたらぴったりだろ」


「優斗さんのそういうところ、本当にすごいです」


灯がくすくす笑う。


綾乃も小さく笑った。彼女が心から笑ったのは、何年ぶりだっただろう。


「五十人か…」


綾乃が呟く。


「全員女の子だったら、藤宮みたいな奴は絶対に近づけないクランにしましょうね」


「だな。絶対そうしよう」


優斗はグラスを掲げた。


「祝福の絆に、乾杯」


「「「乾杯!」」」


四人の声が、新しいクランハウスに響き渡る。


それは始まりに過ぎなかった。やがて五十人どころか、もっと多くの仲間が集うことになるなど、この時はまだ誰も知らない。だが、この温かな絆が、その礎になることは間違いなかった。

読んでいただきありがとうございました

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