表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンがある世界で女性のステータスを大幅に上げるバフスキルを獲得したら、ハーレムみたいなクランが出来上がって最強のクランになりました  作者: ミコジ
異世界の上級ダンジョン

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/40

死闘

秩父の深い山林にたどり着くと、濃密な魔力が肌にまとわりつくようだった。

ダンジョンの入り口は、巨大な獣の喉のようにも見える。底なしの闇が広がり、時折、地鳴りのような唸り声が地下から響いてくる。まさに禍々しい雰囲気そのものだ。

「行くぞ」

優斗の言葉に、13人は強く頷いた。綾乃やクランメンバーたち、そして未来のために、引くわけにはいかない。


一歩、足を踏み入れると、そこは異様な空間だった。

洞窟の壁はぬめるように湿り、ところどころに埋め込まれた魔石が不気味な紫の光を放っている。何より驚いたのはその広さだ。13人が横一列に並んで歩いても、まだ余裕で周囲を見回せるほどの広大な空間が地下へと続いていた。

「広すぎる…まるで最初から私たちを迎え入れるように作られてるみたい」日向が厳しい表情で呟く。


「沙織、先頭で偵察を頼む。罠と敵の気配に集中してくれ」

「任せて。絶対に見逃さないわ」沙織が音もなく前へ出る。

慎重に足を進めること数分。沙織がピタリと止まり、手信号を送ってきた。人差し指を立て、前方の闇を指し示す。モンスター発見だ。


「1匹だけだ。数は不利じゃない、やるぞ!」

優斗の指示に、全員の緊張が一気に高まる。

闇の中からズルズルと這い出してきたのは、岩のような皮膚に覆われた巨大なトカゲだった。その眼光は鋭く、口からはポタポタと毒液が滴り落ちている。


「沙織、下がれ! 静香、前に出て攻撃を受け止めろ!」

「はいっ!」

沙織がバックステップで退くのと同時に、静香が盾を構えて前に出る。

ドォォン! という重い衝撃音と共に、トカゲの爪が静香の盾に弾かれる。だが、その重さに静香は大きく後ずさった。


「凛、カグヤは右から! 巴、美月は左だ! 翠、弱点は見えるか!?」

「右了解!」凛とカグヤが疾風の如く右側へ回り込む。

「左行くよ!」巴と美月が反対側へと走る。

「背中の少し上、色が変わってるところ! そこが弱点!」翠が鋭く叫ぶ。


「灯、美鈴! 静香の回復を切らすな! 藍は回復組の防御を頼む!」

「はい、いきます!」「任せてください!」


右から凛の刀が、カグヤの二刀流の短剣が閃く。左から巴のハルバードと美月の刀が襲いかかる。金属が岩皮を削る嫌な音が洞窟に響き渡った。

攻撃は確かに当たっている。しかし、敵の皮膚は硬すぎた。致命傷には程遠く、トカゲが暴れるたびに前衛が弾き飛ばされる。


「くそっ、硬すぎる! なかなか削りきれないぞ!」

巴が舌打ちする。敵の反撃は一撃一撃が重く、静香の盾が悲鳴を上げ始めていた。


「日向、雪乃! ぶっ放せ!」

優斗が叫ぶ。

「合点承知!」「了解です!」


静香が敵の攻撃を盾で受け流し、前衛が一太刀入れてバックステップで離れた、その瞬間!

「喰らいなさい! エクスプロージョン!!」

「絶対零度!」

日向の爆裂魔法と雪乃の氷結魔法が、狹い洞窟内で交錯し、トカゲを直撃した。

轟音と熱風、そして極寒の冷気が渦巻く。視界が遮られる中、敵の絶命を期待したが――。


煙が晴れると、トカゲはまだ立っていた。

全身が煤け、氷が張り付いているが、その眼光はまだ死んでいない。むしろ激昂し、口から猛毒のブレスを吐き出そうと喉を震わせた。


「まだ倒れないのかよ! 静香、大丈夫か!?」

「はい…まだ行けます!」静香が血の滲む手で盾を握り直す。

「灯、回復は絶対に切らさないでくれ!」


「もう一度だ、倒れるまで行くぞ!」

優斗が叫び、再び接近戦が始まった。

回復魔法の青白い光が途切れることなく静香を包み、藍が横から敵の爪を防御魔法で受け流す。前衛が血を流し、後衛が魔力を燃やし続ける、まさに死闘だった。

何度も攻撃を重ね、魔法を撃ち込み、ついにトカゲの巨体が地に崩れ落ちた。


「はぁ…はぁ…」

全員がその場にへたり込んだ。たった1匹のモンスターを倒しただけなのに、息が上がり、汗が滲む。身体は鉛のように重い。

戦闘一回でヘトヘトだ。先は長いのに、これでは先が思いやられる。


「一度、入り口に戻ろう」優斗が息を整えながら言った。「休憩して体勢を立て直す。それに…レベルも確認する」


ステータスボードを開き、目を疑った。

「みんな、見てくれ。今の戦闘でレベルが3上がって、10まで行ったぞ」

「10!? たった一戦で!?」カグヤが驚愕する。

このダンジョンの経験値は、それほどまでに桁違いなのだ。苦戦した代償は、確かな成長として彼らに還元されていた。


激戦の傷跡を引きずりながら、13人はダンジョンの入り口へと後退した。

外に出た瞬間、足がもつれてその場にへたり込む者もいた。だが、全員の顔には恐怖以上に、明確な手応えがあった。たった一戦でレベルが3も上がったのだ。このダンジョンがいかに異常な経験値を孕んでいるかを証明している。


ただし、得るものばかりではなかった。

キャンピングカーで休憩を取りながら、優斗は重く口を開いた。

「反省点が一つある。静香の負担が大きすぎる」


その言葉に、全員が黙り込んだ。

静香は、疲れ切った表情で首を振った。

「私は大丈夫…」

「大丈夫じゃないだろ」優斗は遮った。「今の戦いを見てくれ。敵の攻撃は重く、静香が全てを受けていた。もし静香が倒れたら、前衛は崩れ、パーティは瓦解する」


カグヤも冷徹に分析を加える。

「それに、敵が複数出てきたらどうするの?静香1人では対処しきれない。藍を前に出せば後衛の防御が手薄になる。この編成では、先へ進めばいずれ全滅するわ」


絶望的な事実だった。攻撃力はあっても、それを支える盾が薄すぎる。

「一度戻ろう」優斗が決断した。「タンク役を探してくる。みんなで相談だ」


クランハウスに戻った優斗たちは、残っているクランメンバーのスキルリストを洗いざらい確認した。

レベルや基礎ステータスだけを見れば、今の静香には及ばない。しかし、スキルの相性なら覆せるかもしれない。

150人のリストを目で追っていく。

「いた!」灯が叫んだ。「防御系の固有スキル持ちです!」


名前は神崎千尋。19歳。

彼女はすぐに呼び出された。

黒髪のショートカットの似合う、健康的な魅力を持つ少女だ。

「神崎千尋です。お呼びでしょうか?」

緊張した面持ちで挨拶する彼女に、優斗は単刀直入に尋ねた。

「君のスキル、『不屈の砦』について聞きたいんだ」


千尋の瞳に強い光が宿った。

「はい! 私は前衛でみんなを守りたいんです! このスキルは、発動中は防御力が大幅に増加して、ノックバックや状態異常を無効化出来るんです!」


一同が息を呑む。ノックバック無効、状態異常無効。それはまさに、今のパーティが求めていた究極の盾だった。

「すごいわね…」カグヤが感心する。「でも、このダンジョンはS級より上よ。死ぬかもしれないわよ?」


千尋は一瞬も怯むことなく、むしろ一歩前に出た。そして、顔を真っ赤にしながらも真っ直ぐに優斗を見つめた。

「覚悟はできています! それに…私、優斗さんが好きです! だからこそ、優斗さんの背中を守りたい!」


突然の告白に、周囲がドヨメく。だが千尋は続ける。

「10倍の契りも…大丈夫です! 初めてですけど、どんなことでも乗り越えてみせます!」


その覚悟と好意に、優斗は胸を打たれた。

「わかった。君の想い、受け取った。一緒に戦おう!」

「はいっ!」


その足で、千尋との10倍の契りの儀式が行われた。

羞恥に震えながらも、千尋は優斗に全てを晒した。そして交わされた口づけと共に、彼女のステータスは爆発的に跳ね上がった。

レベルこそ5だが、防御力だけは既存のメンバーをも凌駕する数値へと変貌した。


「これなら行ける!」

14人となった最強パーティは、再び秩父のダンジョンへと挑むことになった。

新たな盾を得て、彼らの歩みは先ほどよりも確かなものとなっていた。


評価、ブックマークありがとうございます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ