織高文化祭、怪盗現る
文化祭が終われば放課後だ。担任の挨拶もない。そもそもやる場所がない。明日明後日と、おばけ屋敷はやるのだから一年三組の教室は片付けられない。
ばったりと、天理と会った。カツラは脱いでいたが、ワンピースは着たままだった。
「どうだった、文化祭は」
「おばけ屋敷はお金が取れる」
「あはは」
笑い事ではない。いまだ、寒気がするのだ。呪われただなんて……冗談ではあるのだろうけど、生身の日本人形のインパクトと、白い腕に掴まれたような気がしないでもない手足が不安になる。
「そっちはどうだったの。貞子さん」
「まあまあ楽しめたよ」
「天知さん、かわいかったよ。演技も惚れ惚れした。本当に観なかったの?」
「おかげで、文化祭なのに静かな校舎が観られた」
素直じゃないな、と目を細めるが、天理は気付かないふりで話題を変えた。
「そうだ、こんなのを見つけたんだ」
「……新聞?」
新聞部が出しているもの。織高文化祭の出し物を扱っていて、家庭科部のお菓子やパンの人気にも一役買っていたはずだ。
「……織高文化祭、怪盗現れる?」
目を惹く見出しには大きくそう書かれていた。一日に何部、何版刷られるのか知らない。そのためこれが第何版なのかも第何号なのかもわからない。
なんだこれは、と天理に目で質す。
「怪盗が現れたんだ」
「それは読めばわかる」
「明日、ミステリー部に行けばわかるかも」
「ふうん」
とりあえずその新聞は家に帰って読むとしよう。




