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何でも知ってるしろあちゃん  作者: 家佐水井
紫月はなぜ死んだのか
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あのね、夏希が


 その後、私は交番に連れて行かれることになった。


 名前と住所、それからお母さんの電場番号を話すことになった。夏希のことも話した。一緒だったはずの友達がいつの間にかいなくなっている、と言った。私の前では、声掛けしてきたのとはべつの、女性の警官がいる。彼女が親身になって話を聞いてくれた。


「部活動で、廃墟に行ってたんだ。そっかそっか。うん、でもわかるよ。私も高校生の頃はそうだったから。よくあること。でもごめんね。仕事だからさ、無視できないんだよね~」

「はあ」


 私を落ち着かせようとしているのがわかったけど、とても落ち着いていられる状況じゃなかった。でもここで声を荒げてもどうにもならない。

 部活で廃墟にいたことは、話さないと許されなかった。天知さんにも逢坂さんにも申し訳ないけど、夏希とどこまで一緒だったかとか、何をしてたとか、そこは正直に話さないといけなかった。


「でも廃墟に行くなんて……どんな部活なの?」

「さあ。私もよくわかってなくて」

「ふうん?」


 笑っているけど、目が怖い。私のことを疑っている。どんな部活か説明ができないし、しても納得を得られないだろう。でもそれを、警官は私が隠しごとをしているからだと思っている。


「その、えっと、……私も最近、入部したので……」

「二年生の、この時期に? 珍しいね」

「……すみません」

「なんで謝るの?」


 なにか疚しいことでもあるの? と言われた。私が謝ったのは、そっちがそういう言い方をしてくるからだ。

 奥では男の警官がふたり、なにかヒソヒソと話している。こっちを見た。明らかに私の話だ。私のことを疑っている? なにについて疑っている。

 膝の上で拳を握る。視線が怖くて顔を伏せる。

 それでも女の警官はいろいろ言ってくるし、男の警官の怖い目つきが頭から離れない。


「すみません! あの、私、美穂の母の……」


 そこで、お母さんが現れた。私はばっと顔を上げる。


「ああ、お母さん。すみません、こちらで……」


 男の警官がお母さんと一緒に消えていく。別室へ行った。お母さんの目は、まだ怒っているようだった。当たり前か。ダメと言われたのに、喧嘩中だったし、警察沙汰にもなっているのだから。


「大丈夫、すぐに戻ってくるから。面倒な手続きがあるんだよ。ごめんねえ」


 こくこくと頷く。たしかに、お母さんが戻ってくるのは早かった。


「では、お母さん」

「はい、ありがとうございます。ご迷惑おかけしました。……ほら」


 促され、私も頭を下げる。


「すみませんでした」


 自転車を車に乗せて、私は助手席に。車に揺られながら、私は言った。


「お母さん、あのね、夏希が」

「そっちは警察が何とかしてくれるから」


 だからそれ以上言うな、と厳しく言われる。叱られることはなかった。でも、帰りはずっと、無言だった。

 家に帰ってから、私は逢坂さんたちに要らぬ心配をかけないようにと、無事に到着したことを連絡して、返信は見ずに、眠った。


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