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人間には向いていない  作者: 咲紫きなこ
三人なら
20/33

19ページ

 今朝は持ち物検査があるという事で、ゲームを持ってこなかった結居蘭は難を逃れたが、真希はゲームと漫画を没収されていた。


「ちきしょー」

「昨日言ったじゃん持ち物検査があるよって」

「特に何も没収されねぇだろって思って鞄の中確認しなかった」

「馬鹿じゃん」

「馬鹿だったぜ」

「くろきさん大丈夫かな」

「メイク道具だなあいつは」


 そんな事を話し笑い合った。

 次の授業が移動教室だった為二人は筆記用具と教科書などを持ちながら美術室へ向かった。


              ***


 昼休みになり三人でご飯を食べている時、真希は今朝の事が気になり黒木に聞いた。


「なぁ、お前なに没収された?」

「化粧道具が入ったポーチを机の中に隠しておいたから、何もとられてない」

「なっ⁉︎ てめぇ、やるやつだぜ」

「賢いね。今日だけでも持ってこなければ良いのでは」

「僕の中で化粧は絶対だ。崩れたら直すのもまた絶対だ」


 黒木はおにぎりを食べながら、あ、と何かを思い出したような声を出した。


「何だよ」

「没収はされてないけど、朝飲んでたお茶が無くなってたり」

「えっ、こわっ」

「リップクリームが無くなっていたこともあるよ」

「何それ、やばくね? 誰かお前のカバンあさってるぜ」

「そうなんだよ。全く困っちゃうよね」

「お金は大丈夫なの?」

「お金は僕いつもズボンのポケットに財布入れてるから平気さ」

「良かった」


 今の話でわかったのはミツバチ怖いと言う事だと結居蘭も真希も思った。やっているのは奴らしか居ないだろうと二人共思ったからだ。


「あの、黒木様今いいですか?」

「ん、ああ、いいよ。なにかな?」

「ここだと話しにくいので、屋上に来ていただきたいのですが」

「わかったよ。――じゃあいってくるね」

「おう」


 黒木は席を立つと一人の女子生徒と共に屋上へと向かった。

 真希はその後を追うと言い出し、二人にバレないよう結居蘭と真希は二人の後を追った。

 ドアを繊細の注意を払いながら開け、建物の影に隠れ二人を見る。


「私……黒木様が好きです! 彼氏になってください」

「ありがとう、僕を好きで居てくれて。――でもごめんよ、君の気持ちには応えられない」

「どうしてですか?」

「僕はみんなのプリンスだからさ。君だけのプリンスにはなれない」

「――そうですか」


 女の子は泣きながらその場から動かない、黒木は女の子の頭を<ぽんぽん>と優しく撫でる。

 するとその女子生徒は顔を上げたと思えばそのまま黒木にキスをした。

 その状況にはさすがにびっくりした結居蘭と真希だったが、何とか気付かれずに済んだ。

 女子生徒は屋上から先に教室に帰って行った。

 黒木も帰ろうとした時、建物の影から結居蘭と真希が出て来た。


「二人共、どうして」

「どうしてはお前だよ」

「な、なんでキスされても何も言わないの?」


 結居蘭の真面目な質問に黒木は笑いながら答える。


「僕は好きじゃないけど、あの子は僕が好きだった。その気持ちがキスでおさまるんだから安いもんさ」

「全然わからん」 

「僕からは絶対しないけど、女の子にされる分にはあんまり気にしないかな」

「それやめた方がいいよ。後々キス以上も求められちゃうよ?」


 黒木を心配した結居蘭はそう言って黒木の顔を見た、彼女はとてもめんどくさそうな顔をしていた。


「彼氏って言われて腹立たしいのは僕の方なんだけど。何僕が断ったのを悪い事みたいに泣くんだろう」

「モテる人の言う言葉だ」

「性格悪いなお前」

「何とでも言ってよ。じゃあね」


 昼休みの終わりを告げるチャイムの中、三人はそれぞれ教室に戻って行った。

読んでくださりありがとうございます。

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次回もお楽しみに。

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