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夏休みのある日、三人は海へと来ていた。
結居蘭はボーダーのノースリーブとショートパンツ型の水着を着ている。真希は赤のビキニを着ている。黒木は男物の黒い水着上下セットを着ている。
熱い砂の上をしばらく歩き、空いているスペースにリクライニング式ビーチチェアとパラソルを設置してそこにレジャーシートを引いた。
ビーチチェアには黒木が座り、残りの二人はレジャーシートの上に座った。
「三人分ねぇのかよその椅子」
「ないよ」
黒木はティアドロップ型の青のサングラスを少しずらし真希を睨んだ。
結居蘭はクーラーボックスの中からお茶を取り出し少し飲んだ。真希はコーラを取り出し<ゴクゴク>と音を立てて飲んだ。黒木もお茶を一口飲んだ。
結居蘭と真希は海の方へ行き、浮き輪で海を漂ったりし始めたが、黒木はビーチチェアから動かない。
二人の様子を見てるだけで楽しいのだろう。
少し経ってから結居蘭と真希がビーチバレーを始めた。結居蘭は運動神経が悪い為、真希に全然勝てない様子だ。
黒木はそんな様子を少し眺めてから目を閉じた。
人々の笑い声と鳥の声と波の音、そして結居蘭と真希の声が聞こえる。
しばらく目を閉じていたが、真希と結居蘭の声が聞こえなくなり、ゆっくりと目を開けてビーチチェアから起き上がると、二人は誰かに話しかけられていた。
黒木はその様子を静かに眺めていたが、結居蘭と真希が明らかに困り始めているのに気がつき、二人の元へと向かい声をかけた。
「二人共、どうしたの?」
「あ、くろきさん」
「何だよ男居たのかよ」
「こいつほっといて、俺らと遊ばない?」
「遊ばねーよ、しつけぇなあ」
「おい、真希に触るな。手を離せ」
一人の男が真希の腕を強引に掴んだが、黒木がその男の腕を力を込めて掴んだ。
「いてててて」
「僕達は僕達で楽しんでいる。邪魔をするのならば、容赦しないぞ」
「おい、行こうぜ」
黒木がサングラス越しに男二人を睨みつけると、男達はどこかへ去って行った。
「よかった……ありがとうくろきさん」
「ありがとよくろき」
「別に良いよ。来るのが遅くなってごめんよ」
「でもよ、お前も女だから、あんま男に喧嘩腰はやめろよな。あぶねーぞ」
「おい、僕を誰だと思っている? 男相手に喧嘩なんてよくある事さ」
「喧嘩はダメだよ」
「あっちが僕につってかかってくるから、力の差をわからせてやるだけだ」
黒木は体を鍛えており力も強い、そして防衛術が完璧なので強い事から自分に自信があるらしい。
だが結居蘭と真希は黒木の心配をした。
「僕は君達の事、守りたいんだよ」
「あたし達だって、お前の事守りたいんだぜ?」
「そうだよ。気持ちは一緒だよ」
「僕が強いんだ。僕が守るのが当然さ」
「まあ、無理はすんなよな」
「この話はおしまい。――くろきさんもあそぼ」
「いいよ」
その後は三人で泳いだり、真希と黒木でビーチバレー対決をしたり、海の家でかき氷を食べたりして海を楽しんだ。
先程まで明るかった海が、今は夕日を映しオレンジに輝いていた。三人はレジャーシートの上に座り夕日を眺めていた。
人々の笑い声も、鳥の声も聞こえない。今は波の音だけが静かに響き渡っていた。
「楽しかったね」
「おう!」
「そうだね」
夏休みも残りわずか、三人はまた遊ぼうと約束し、着替えを済ませた後、黒木の車で帰った。
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次回もお楽しみに。




