16ページ
テスト返却日を迎えた結居蘭真希黒木は放課後図書室に集まっていた。
真希は数学が赤点であった為、補習に呼ばれる事となった。
「お前は本当に馬鹿だな」
「うるせぇぞゴリラ」
「とりあえずちゃんと補習出なよ?」
「あーめんどくせぇなぁ」
補習は夏休み中にある、三人で遊ぼうと約束していた日がちょうど補習の日だ。
だからめんどくさいと真希はごねていた。
***
当日、結居蘭と黒木は図書館へ来ていた。夏休みと言うだけあり、人が多かったが、座れる場所を確保して座った。
「ゆずき補習行ったって、メール来てた」
「良かったな」
「補習中にメールして大丈夫なのかな」
「あいつは本当に馬鹿だな」
それから二人は見たい本を探しに行き、また同じ席に着いた。結居蘭は動物図鑑、黒木は魚図鑑を持ってきたので気が合うねなんて笑いあった。
しばらくして結居蘭の携帯に電話がかかってきた、相手は真希だ。
『もしもし』
『今終わったからよぉ、そっち向かうわ』
『わかった、気おつけてきてね』
電話から十五分後程で真希が図書館へやって来た。
真希は結居蘭の右隣に座り、カバンからお茶のペットボトルを取り出しそれを一気飲みした。
「あー、暑かった」
「おつかれゆずき」
「はやかったな」
黒木は腕時計に目をやると、時間は先程から二時間半経ったくらいだ。
真希は本を読む二人の前に身を乗り出した。
「合宿したくね?」
「え?」
「は?」
「今日さ、運動部の合宿だって話を聞いてよ、学校に泊まるの楽しそうじゃね?」
本に視線を落としていた二人が、一気に真希を見つめた。
「帰宅部が何の為に合宿するの?」
「学校泊まりたいから」
「そんな理由で泊まれないだろ」
二人共乗り気でない事に真希は肩を落とした。皆で何かしたいと言う思いでそう提案したので寂しい気持ちにもなった。
「なんか三人で思い出作りてぇの」
「思い出ねぇ」
「そうだ、今週の土曜日ここら辺のお祭りだよ、三人で行かない?」
「行く!」
結居蘭からの提案に、真希はすぐさま返事をした。
「お祭りかぁ、いいね。僕も行きたい。行った事ないんだ」
「あんなに楽しいのに⁉︎」
「じゃあ教えてあげないとね。お祭りは浴衣とか甚平を着て来ても楽しいよ」
「着ていくよ」
「じゃあ決定! 楽しみだなー。時間は十九時に駅集合で良いか?」
「いいよ」
「僕もそれでいい」
そう決まり、三人は土曜日を待ち望んだ。
***
次の土曜日、駅前に三人は集まった。
真希は赤い甚平を着て、黒木は男物の黒い浴衣を着て来たが、結居蘭は私服姿で来た為、真希と黒木に驚かれた。
屋台が沢山並び、人も沢山居る中で、真希は背が小さい為結居蘭と手を繋ぐ事にした。
真希は焼きそばを見つければあれが食べたいと言い、チョコバナナを見つければそれが食べたいと言ったが、まずは全部見てからにしようという事で、三人で最後の屋台まで見て周った。
その後真希と黒木は焼きそばを、結居蘭はチョコバナナを買った。
神社の所まで歩き、人が居ない木陰に集まり手にしていた物をそれぞれ食べた。
「うめー」
「美味しいな」
「美味しい」
食べている最中、急に<ドドーン>と大きな音が聞こえ何かと思ったが、空を見上げれば花火が打ち上がっていた。いつの間にか花火が打ち上がる時間になっていた。
食べながら三人はその場で花火が打ち上がっては消えていく様を眺めた。
「綺麗だね」
「かっけー!」
「綺麗だ」
この光景をずっと見ていたい気分になってきた所で、花火は終わってしまった。
「終わったね」
「はえーな」
「この後どうする?」
「うちによってかない? みんなでやる花火あるよ」
「行く!」
「じゃあ、ゆいらちゃんの家に行こうか」
そのまま三人は結居蘭の家に向かった。
結居蘭の家に着き、庭に出た。花火とライターとバケツに水を入れたのを結居蘭が持ってくると、後ろから善子が麦茶を淹れたグラスを人数分持って来てくれた。
真希はそれを一気飲みし、黒木は一口飲み、結居蘭も一口飲み、皆グラスをおぼんの上に置いた。
真希は大きめの花火に火をつけると鮮やかな光が<バチバチ>と音を立てて瞬いた。結居蘭も隣で同じ花火を楽しむ。真希は赤色の光が瞬く、結居蘭のは青色の光が瞬く。
黒木は二人のそんな様子を眺めては、線香花火を楽しんでいた。
大きめの花火がなくなった頃、結居蘭も真希も線香花火を黒木と一緒に楽しんだ。
小さく儚く燃えている。
「綺麗だね」
「おう」
「そうだね」
「また来年もやろうね」
「そうだな!」
「そうだね」
三人でそう約束し、笑い合った。
読んでくださりありがとうございます。
よろしければブックマークや評価や感想やいいね等お願いします。
次回もお楽しみに。




