~絶望~
平成✕✕年。✕月✕日、大震災。大雨の日だった。私の大切な人は、私の身を守り、瓦礫によって命を失った。不幸にも、瓦礫が落ちても、少しだけ意識があり、幼い私は彼等の手を取って、しまった。冷たくなっていく。赤い血が、床をぬらし、広がると同時に、手は急速に冷えていく。いつも、暖かく、私の頭を撫でてくれたその手は。手を引いてくれた温かかったその手は、とても、とても冷たくなってしまった。私は、非力だ。瓦礫をどかそうと頑張っても、自らの手が赤くなるだけで、何ひとつどかすこともできず、力尽きてしまうのを、見ていただけに終わってしまったのだ。たった5歳だったのだからと、大人達は慰める。私は、その言葉に追い詰められた。私が、居たから。私をかばったから。私が居なかったら。大切な人は、死ななかったのに…。と。
それから数年後、新たな大切な人ができ、私は失ってしまった心を取り戻すことができた。親友の彼に、私は救われたのだ。彼は、死にたいといった私の頬を両手で包み込み、次の瞬間ギュッと強く掴むと、
「だめだよ、そのひとのぶんまで、いきなきゃだめだ!…ね?だから、いきよ?」
と、泣きそうな表情で、必死に言った。私はこくんと頷いた。私は、彼等の分まで、生きよう。それからまた何年か経ち、中学3年生になった。彼との帰り道、将来について語り合っていた。
「将来の夢…」
全然思いつかなくて、困った表情の私に、彼は微笑み、
「看護師になれば?誰かの命が救える、立派な仕事だぞ?」
と、言った。簡単にいってくれるな、と思いながら、彼は医師を目指し、私も釣られるように看護師を目指し頑張って一年経った。その時、二度目の悲劇が起きた。彼は、私を、落ちてきた花瓶から守り、当たりどころが悪く、亡くなった。また。まただ。私の大切な人は、皆死んでしまう。葬式の日。周りの人の視線に耐えられず、私は逃げてしまった。私のせい。全部、全部!私が殺したのも同然だ。私がいるだけで、死に導かれてしまうのだから。私は、いては、いけなかったのだ。
「うあっ、わぁぁぁぁぁ!あぁぁぁぁぁ…」
この日も、大雨だった。でも、すぐに止むことはなく、ザァァァァ…と止む気配はなく、私を責めるように強く叩きつけるような雨だった。
その後、私は迷惑をかけないように使わなかったお金を、施設に寄付し、屋上への階段を登っていった。




