神秘の洞窟
「…ということで、入りたいのですが」
ミシェルは、目の前の石像にそう話しかけた。門番らしいのだが…。なんだか恥ずかしい気がする。
「アナタガ、イナクテ、皆ハ大丈夫ナノカ?」
石像が、急に喋ったので、ミシェル、ジェズ、セラは石像に目を向けた。
「え…。大丈夫ですよ。私はあまり強くないから。守ることができなかったんですから」
ミシェルは、哀しい表情を混ぜた、笑みを浮かべた。
「ソウデスカ、オ通リクダサイ。気ヲツケテ」
門番はそう言うと、足を上げガンッと地面を叩きつけた。すると、重々しく扉が開く。三人は頷き合うと、洞窟へ入って行った。
「中には何もいませんねぇー死体しか」
セラは足元のガーディアンの腕を蹴飛ばした。ジェズは後ろを警戒している。ミシェル達がだいぶ進んだ時、ミシェルが急に立ち止まった。
「変な気がする…気持ち悪い…」
ミシェルは腕をさすった。むかむかする。セラとジェズは顔を見合わせた。
「わからない、な」
ジェズがそう言うと、ミシェルはまつげを伏せ、
「これでも相手は気配を消してる。けれど私にはわかる」
と言って、また歩き出した。セラとジェズは、ギリギリまで気を高め、そして澄ませた。が、何者も気配を感じない。
「はぁ…。全然感じませんよぉー?ミシェルはどんだけ強いんでしょーか」
セラはそんなことを言いながら、初めて会った時を思い出していた。
セラは身支度をして、自分の家に声をかけた。
「それではー行ってきますねぇー!」
家を出ると、ギルドに行き依頼を受け森林へ向かった。
森林につき、出会うモンスターを倒しながら、奥へ進む。依頼にあった素材を見つけた時、
『グォオオオオ!!!』
とモンスターの唸り声が響いた。セラは身構えたが、そばにいない。まさか、他の戦士が襲われてるのだろうか?確かここら辺にはAランクがいるという報告が…!セラは、唸り声がした方へ走りだした。
「うっ!」
大きな獣に、黒髪の女性が襲われていた。セラは、太刀を抜き、全力で走る。女性は、獣にのしかかられ、喰われそうになっていた。なのに、抵抗もせず叫ぶこともなく、獣を見つめていた。セラは、慌てて指を口に当てると、口笛を吹いた。
『ピュィィィィ』
獣がこちらを見る。セラは、そのまま獣を切り裂いた。続けて、目を突き刺す。
『ギャオオオオォン!!』
獣の悲痛な叫び声が響き、獣は逃げていった。セラは、息を整え、ふぅっとため息をつくと女性に手を伸ばした。
「大丈夫ですー?見たことない顔ですけど何故ここにー?」
そう質問をすると、女性はこちらに顔を向けた。セラは、その目を見て、空っぽのようだと感じた。
「わかりません。わから、ない。教えて、ください、貴方が当たり前に知っていることを、私は何も知らないんです」
そう言われ、セラは、きょとんとする。私にもわからない。が、とにかく戦士について話をしてみた。いくつか質問をされながらも、返しながら。
「…。そう、ですか。戦うことが私の役目。…セラさんありがとう。あ、最後に一つ。青い髪で、後ろで一つにしばっている青年を、知りませんか?」
「知りませんねぇ。他の人ならば知ってるかもしれませんが」
セラがそう返すと、黒髪の女は黒い瞳を下に向けた。セラは、そんな女に、
「街に行きましょー危ないですし…ね?」
と声をかけた。だが、黒髪の女は首を横に振ると、走り去ってしまった。セラは、何故か追いかけることができなかった。




