思い出
「・・・あのさ」
石田がフィルムのつまった箱を積みながら言った。
「江藤、彼氏とかいんの?」
「えっ・・うあ!」
蓮はいきなりの質問に箱をひっくり返して
写真をバラまいてしまった。
「おいおい・・そんな驚かせるような事聞いた?」
石田が苦笑いしながら写真を拾い集めた。
「いきなりそんな事聞くから・・・」
「で、どうなの?」
「・・・まぁ・・うん」
「・・そっか」
蓮は彼氏じゃなく彼女がいる事を言えなかった。
少し沈黙が続いて石田が口を開いた。
「懐かしいな、この写真」
石田は水族館の大きい水槽の前でサークルの皆が
集まってる写真を持っていた。
「あ、去年の」
「いつ行ったっけ・・確か今ぐらいだよな」
「うん。この時野外の写真撮影企画してたけど今日みたいに雨で」
「そうそう、それで近くの水族館行くかーってなって」
「結局そのまま水族館で1日過ごしたんだよね」
「この時はなんだかんだで楽しかったな」
「また皆で行こうよ。夏だし」
「うーん・・・」
石田は頭をかきながら言った。
「俺・・できたら江藤と2人で行きたいな」
「え?」
蓮は予想外の誘いに目を丸くした。
「いや、あの、ほら、お前には彼氏いるのは分かってるよ!
俺には彼女いるしさ!ただその・・・友達として普通に行きたいな・・と」
石田が少し顔を赤くしながら言った。
「そ・・そうだよね!ごめんなんか私へんな勘違いなんかしちゃって・・」
「いや、悪い。俺こそなんかタイミング変だった」
「えっと・・いいよ。いつに・・する?」
「・・・来週の土曜は?」
「たぶん平気」
「じゃあ来週の土曜に〇〇駅の改札口前に1時でどう?」
「うん、いいよ」
「決まりな」
会話が終わると2人ともまた少し沈黙した。
「・・じゃあ、私この箱2つ持ってくね」
「おう」
蓮が箱を持って倉庫を出た。
なんか・・・変な感じ。
連は言葉では言い表せないもやもやしたものを
取り払おうと早足で部室に戻った。




