私の彼女
「うあー・・綺麗・・!」
由実が目の前を優雅に泳ぐ魚を見ながら言った。
「大学でもらった割引券とっといて良かったね、蓮ちゃん」
蓮はニッコリした。
「ほんと。お陰でこの水族館に来れたもんね」
「あっ、ねぇ、蓮ちゃん!この魚なんて名前かな!?」
由実が水槽にべったりとくっつきながら言った。
子供のようにはしゃぐ由実を見て連は肩をすくめながら笑った。
「水族館・・・かぁ」
私と蓮は中学校からの親友。
同じクラスだったけれど、最初はほとんど喋ったことがなかった。
私が美術部に入部して、後から由実が入部してきた。
由実はとても明るい子で絵も凄く上手だった。
それに比べて私は控えめな性格で、美術部に入ったくせに絵は酷かった。
だけど由実は大人しい私にも積極的に喋りかけてくれて私の絵を好きだと言ってくれた。
私はそんな由実に好感をもって、いつしか友達になっていた。
中学校を卒業しても、由実とは一緒の高校だった。
高校でも仲が良くていつも一緒だった。
そして高校3年のある日、由実と2人っきりで教室にいた時のこと。
「ねぇ・・蓮ちゃん」
「何、由実ちゃん?」
「私さ、好きな人が出来たんだ」
「ほんと!?え、誰だれ?」
「でも・・その人に告白しても、受け入れてくれないかもしれないんだ」
「そんな、大丈夫だよ。由実ちゃん可愛いし、クラスの人気者だもん」
「・・・好きな人が、女の子だとしても?」
「え・・・?」
「私、蓮ちゃんが好きなの」
そこで初めて彼女が同性愛者だという事が分かった。
私は同性愛者を差別するつもりは無かったけど、由実から告白された時
正直、とても戸惑った。
でも小さい頃からそんなに男子と関わった事がないせいか、
私は由実を受け入れる事が出来た。
それから高校卒業した後、それぞれ大学は違うけれどルームシェアをする事にした。
ルームシェアをするのにお互いの両親の承諾は必要無かった。
もし男と女でルームシェアをするなら止めるのだろうけど。
ルームシェアをしてから、由実との絆はよりいっそう深くなった。
私はもう「同性愛者」というのを完全に受け入れていた。
由実とは普通にキス(家の中)もするし、
1、2回は一緒に寝たこともある。
恋人というベタベタした関係でもないし、親友というには物足りなさ過ぎる。
とにかく由実といる日々がとても幸せで、
これからもずっとこんな日々が続くといいなと思っている。
「蓮ちゃん?」
由実が顔を覗き込んできた。
「どうしたの?疲れた?」
「ううん、ちょっと考えごとしてて」
「考えごと?」
蓮は水族館の外にあるアイス屋を見た。
「チョコとバニラ、どっちにしようかなって」
「アイス!食べようよ、蓮ちゃん!チョコが良いな」
由実は蓮の手を引っ張った。
「うん、このアイス、すっごく美味しい!」
由実がにこにこしながら言った。
「こっちのバニラも美味しいよ」
「ちょっと味見さーせて」
由実が顔を近づけて連にキスをした。
「ちょっ・・ちょっと、由実・・!」
蓮は由実をすぐに引き離して周りを見た。
周りの人は近くのアシカショーに夢中でどうやら見られてないようだ。
「もう、他の人に見られたらどうするの?」
蓮が由実を見ると、由実は少しがっかりしたような顔をしてた。
「ごめん、由実・・・」
「ううん、こっちこそごめん・・」
少し無言の時間が続いて蓮は由実の手を握った。
由実は何も言わずに握り返した。
私は同性愛を受け入れた、と言ったけど
周りからの視線はやっぱり気になった。
まだまだ世間の同性愛者への視線は冷たい。
私達はそんな世間に負けないように過ごさなければいけなかった。




