第4話:宴会に招かれた
場所はどことも知れない座敷のような部屋で、私は見知らぬ数人の若い女性たちと宴会をしていた。
私の向かいの席に切れ長の目とスッと通った鼻筋、ずっと見ていたいような美しい人なのに、前歯が無い女性がいた。
その女性が笑うたびにお歯黒をしているようにぽっかり穴があいたように見える。
少々残念な感じだ。
私が「口をあけなければいいのに」と思うと顔に出してしまったみたいで
「今、みっともないから口をあけるな、て思ったでしょう?」と言われた。
正直に「うん、思った」と答えると、彼女は気を悪くした様子もなく、さらに大口をあけて豪快に笑う。
かと思えば、その隣で中学生くらいに見える女性が、手酌でお酒をどんどん飲んでいる。
未成年でお酒を飲んでいいものかと心配していると、やはり顔に出てしまったみたいで
手酌をしている女性の隣、前歯が無い女性の反対側にいた女性が
「この子、けっこうトシいってるんだよ」と教えてくれる。
そしてけっこうトシいってるらしい彼女は
「もう、相当きてるよ?」と両手の指を顔にあて皺を作って見せた。
その姿がなんだか可愛らしくて、その場にいたみんなと、私も声を出して笑った。
夢の中の私は、知らないはずの人たちの輪の中で、肩の力を抜いて座っていた。
初めて会うのに、昔からの友だちといるような不思議な安心感があった。
話の詳しい内容は覚えていないけれど、彼女たちの明るい笑い声はとても心に響いた。
目が覚めて夢とわかったとき、残念な気持ちよりも「ああ、いい夢だったな」とちょっと得した気分になった。
私にとって笑い合うような明るい夢を見るのは珍しいので、今でもときどき思い出している。
夢はともかく、誰もいない公園のあんな綺麗な桜を自分だけ知っているのは何だか後ろめたい。
だから公園で一人で花見をして夢を見た翌日、職場で公園の桜の話をした。
「幹線道路から少し奥まったところに、桜のきれいな公園がありますね。第二公園。
あまりに桜が綺麗だから花見をしました。
日曜日なのに人っ子一人いなくてもったいないですね」と。
その場にいた人たちは、顔を見合わせてから言った。
「第二公園?そりゃ誰も行かないよ」「なんで、あんなところで花見なんかするかな」




