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あの日見た桜は  作者: 森好子


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第2話:月明かりの桜

ある晩の仕事帰り、いつものように職場から自転車でアパートに向かっていたとき、

ふと視界の端が明るくなった。

通い慣れた道の、いつもは気にもとめずに通り過ぎる、

右奥に続く道の上方に、小さな光のかたまりが浮かんでいるように見える。

なんとなく気になって右奥に進んでみると、そこは公園で小さな光のかたまりに見えたのは、

公園を取り囲むように植えられたたくさんの桜の中の一枝だった。

満開の桜が月明かりに照らされ、薄い花びらが穏やかな風にゆっくりと揺れている。


「こんなところに桜があったんだ」


毎日通っている場所からちょっと横に視線を移せば見える場所なのに、そこに公園があることさえ気づかなかった。

明日は休みだ。天気予報では晴れであることはチェックしていたが、連日の残業で身体が悲鳴をあげている。

だからデートの誘いも断って、しっかり睡眠をとろうと思っていた。

しかし誰もいない夜の公園で、ひっそりと花を咲かせている満開の桜たちを見上げながら、私は決めた。

「明日はここで花見をしよう」

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