「俺の家に住めよ」
「俺の家に住めよ。」
確かにこの男は言った。
聞き間違えでは、ない、はず。
何がどうなっていいるのか全く分からない。
とりあえず状況を整理しなければ。
「え、えっと……。あなたは私を獣人だと知っているんですよね。」
「ああ、そういったろ。」
「そうであるならなんで……」
男は大きなンため息をついて、あきれたように答えた。
「お前、すべての人間が獣人がいたら通報だの捕まえるだのすると思ってんのか。そんなの一部の過激派だけだろ。」
「で、でも、町では......」
「そんな他の連中が考えていることなんて、こんな人里離れたところに住んでいる俺はもうとっくのとうに無縁な話だ。」
「.......」
「大丈夫、俺は無害だ。だから、ここに住むといい。食べるものも着るものも基本的なものは全部落ち着くまで金を出してやる。」
「でも.......」
男はまたあきれた顔になった。
「はあ、お前、考えてみろよ。このまま俺の誘いを断ったとして、お前はこれからどうやって生きていくんだ?ついこないだそれが出来なくてぶっ倒れたろ。」
「う……」
「どうするんだ?住むのか住まないのか、俺のきが変わる前にさっさと答えろ。」
「え、あ、す、住まわしてください!!!」
「よし、そうと決まれば自己紹介だ。」
男はそう言いてニコッと笑た。
「俺はウル。薬術師という仕事をしている。魔女と同じだと思われることもあるが、魔女とは全く性質が違くものだ。魔女は......お前のよく知っている通り、野蛮で薬づくりのためなら何でもする。薬によって己を強くしようと試みている自分勝手な存在だが、俺ら薬術師は、基本的に人を救うことを目的として、薬の開発、生成をしている。」
私も続けて自己紹介をした。
「私は、ハルミ。ご存じの通りで獣人よ。獣人の中でも狐獣人。仕事は......特にまだしてなくて、えっと、趣味は人間の街に行くこと、かな。」
ウルは少し驚いた様子で目を見開いた。
「お前、獣人だから人間にひどい仕打ちをされてきたんだよな?」
前の事件とか.......とウルは続けた。
私は頷いた。
「うん。でも、昔から人間に憧れがあって。人間にひどい仕打ちをされたとしても、人間へのあこがれはずっとあるの。」
そうだ。人間は確かに私達に対してひどい仕打ちをした。でもそれは、勘違いであって、いつか獣人のことをみんなが正しく理解してくれれば、きっと仲良く暮らせるのだとハルミは信じていた。それに、人間が作るハルミが愛してやまない美しい芸術品や工芸品はそれとはまた別の問題であると考えていたからだ。
「へえ。それでよく人間の世界に出てきて.......」
「え?なんて言ったの?」
いや、なんでもない。ウルはそう言ってベッドから立ち上がった。
「さあ、俺の家を案内する。」
ウルがそういったので続いて私も彼の後ろについて行った。
今のところ悪い人ではなさそう。
半ば強引にここに住むことになったけれど、一時ここで住まわしてもらうのも悪くないかもしれないーー
ハルミは彼の背中についていきながらそんなことを考えていた。
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