表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラスのギャルと兄妹になりました  作者: たかちょ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
46/49

四十六話 予定が無くなったら

12月に入って、家の中でパーカーを着て過ごし始めた。俺はパジャマらしいものは持っていない。だから冬は家でパーカーかジャージになる。


リビングに入ると、デミグラスソースの匂いと久しぶりに見るエプロン姿の母。椅子に腰掛けた卓哉さんと、お皿を並べる珠凛を見て、何かしなければソワソワしてしまう。


「たかぴーそろそろご飯だよー」

「貴大も手伝いなさい」


2人のなんとも言えない圧に、俺は母が作ったハンバーグをキッチンからテーブルに運ぶ。

とりあえず仕事はした、とホッとしていると、卓哉さんが


「貴大君はクリスマスは何か予定でもあるのか?」

「あー、もしかしたら入るかもですね」

「そうか…デートか?」

「デートじゃないですよ!友達と幼馴染と予定が入らなかったら、どこか行こうみたいになってる感じなので」


言った後につい珠凛の方を見てしまい、目が合ってしまった。続けて卓哉さんは


「あはは、いいねー!珠凛は予定あるのか?」

「私も予定入ると思うー!まだ確定じゃないけど」

「まさか珠凛はデートか?」

「違うよー!友達とだよー!」

「2人ともクリスマスの日はいないみたいだし、どこかずらしてやろう」


卓哉さんと珠凛の会話を聞きながら、まだ今誘えば2人でクリスマスを過ごせるかもしれないと思っていた。テーブルに並べられたハンバーグの香りを掻き消すように割り込んで、珠凛は言った。


「たかぴーは、この前の子と遊ぶの?」

「まぁ、あと優也がいるよ、確定じゃないけど」


最後の一言を付けることで、まだ予定が空いているアピールをしてみるも


「なんか萩谷君邪魔じゃない?2人で行けばいいのにー」

「いやー、むしろ俺が邪魔かもだし。下手したらその日、俺は寂しく1人になってるかもだし」


「それは悲しいね!もし1人になっていたら、私が慰めてあげるよ」


たぶんここで一歩踏み込んだことを言えば、何かが変わっていたのかもしれない。でも俺には勇気がない。そもそも母と卓哉さんの前で踏み込むことは出来なかった。


「2人でクリスマス遊びに行けばいいじゃないか!あははー!」

「珠凛ちゃんが貴大とクリスマスを過ごさせるのが可哀想よ!」

「貴大君なら安心だよ、優しいんだから」

「そんなことないよー」


卓哉さんの最高のパスが来たのにも関わらず、母が遮ってしまった。その2人の会話を聞いた珠凛は


「全然たかぴーでもいいけどねー!でも予定あるみたいだから」


珠凛の言葉に、今『予定がない』と言えば一緒に行けるかも、と思った。心の中で一緒に行きたいと思いながら、俺の口から出た言葉は


「予定が無くなったら、珠凛ちゃんに頼もうかな」


自分自身に落胆しながら、ハンバーグを食べ始めた。

肉の甘味が消えないうちに、ご飯を頬張る。口をもぐもぐしながら、あの場面に戻りたいな、といつもより長く咀嚼をしていた。


「由紀恵さんのハンバーグ美味しいー!今度教えてよー!」

「あらー嬉しい!じゃあ今度一緒に作ろうね」

「やったー!」


喜ぶ珠凛の横で、俺はただ後悔を忘れるために、夕食を味わっていた。やっぱり母が作ってくれたハンバーグが一番好きだなと、ジュワッと溢れる肉汁にご飯が止まらない。頭の中では食レポが始まっていた。




夕食後、ハンバーグの匂いがするパーカーを着て、俺はベッドの上でスマホを触っている。


「結局、クリスマスの予定はどう?」


3人のグループ連絡のところに、優也がメッセージを送った。


「私はクリスマス予定ないから、遊びに行けるよ!」

「花ちゃん来るのは、熱いぜ!男だけはマジでキツいからね!」

「貴大はー?どうせ暇でしょ?」


優也と花のやりとりを眺めて、指がなかなか動こうとしない。今断れば、珠凛に予定無くなったと言えるのに、でも優也なら珠凛に俺が断ったってちくりそうだし。

色んなことを想定すると、優也と花の予定を断って、珠凛を誘うのもリスクがある。もしかしたら珠凛もさっきのは冗談とか言って、本当に1人になる可能性もある。


なせが画面の入力欄に『ごめん、その日無理かも』と打ってすぐ消した。その後に打ち直して、


「大丈夫!俺も予定ない!」


俺は優也と花とクリスマスを過ごすことを、渋々選ぶことにした。俺の返信の後に優也は


「とりあえずどこ行くよー?花ちゃんはどこか行きたいところある?」

「どこでもいいけどー、ビックランドとかは?イルミネーションすごいし、ジェットコースターとか色々アトラクションあるしね」


ビックランドは家から電車で1時間もかからないテーマパークである。この辺に住んでる人はデートスポットでもあるし、家族で遊ぶ場所でもある。クリスマスの日にテーマパークは激混みな予感がして、後ろ向きの返信をしてしまう。


「マジー?混みそうじゃね?優也とか混むところ嫌いじゃないの?」

「いやむしろ好きだわ!ビックランドにしよう!花ちゃんが行きたいって言ってるんだから!」

「貴大文句言うな!じゃあビックランドに決まりねー!」

「わかったよ!じゃあビックランドってことで!」


俺はスマホを枕の横に置いて、天井を見上げる。鳴り止まないスマホの通知音。チラッと覗くと待ち受け画面に映るメッセージ。


「絶対ジェットコースター乗るぞ!」

「乗ろう!!」


あえて無視しながら、今日の夕食の時の会話の反省会を始めた。


「あー、せっかくなら一緒に行こうよ!あっさり言えば、たかぴーが言うなら、一緒に行ってもいいよー!」


一人二役をしながら、俺と珠凛の会話を妄想していた。妄想ならいつも上手くいって、現実と違って思っていることをハッキリ言えるのに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ