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クラスのギャルと兄妹になりました  作者: たかちょ


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三十七話 誰かのためのプレゼント

人混み溢れている大きな時計台の前。スマホを触りながら、誰かを待っている人が何人かいる。その1人が俺である。


スマホで駅付近で買えるものをチェックしながら、視界の端で優也や花に似てる人が通るとつい見てしまう。20分ぐらいそんなことをしただろうか。


「貴大!待ったー?」

「さすが貴大!集合前に来るとは偉いねー」


「待ってないよ!なんかギリギリのやつはソワソワするからね」


並んで歩いてきた2人は、いつもと違って今日は気合いが入っているみたいだ。服装を見ると2人がカップルにも見えてしまう。


「ってか、2人ともなんでそんなにオシャレしてんだよ!優也も花も大人っぽいし!俺なんて、不審者ファッションだぞ」


自分のダサさを指摘される前に先に言っておいて、傷つかないようにする俺に


「別に似合ってるからいいじゃーん!ねぇ?優也君!」

「う、うん!いいと思う!」


「本当かよ!まぁとりあえず今日は買い物お願いしまーす」


俺たちは花を挟むように並んで、大型ショッピングモールに向かっているが、女性のプレゼントを初めて買う俺は、キョロキョロと心と身体が落ち着かない。


「お世話になってる人にプレゼントって決まってるの?」

「考えたけど、女の人が何を欲しいか全然わからなかった」

「貴大は女の子の気持ちなんて考えたことなさそうだからね!女の子と一緒にいるよりも、サッカーって感じだったもんね」

「たしかに、そんな感じだったけど…」


私はお前の全てを知っているぜ、みたいな不敵な笑みをしながら話す花の視線を避けるように、高層ビルのはるか遠くの空を眺める。すると優也が


「お世話になっている人って、まさか上本さんのこと?」

「あー、違う違う」

「お世話になってる女の人って、上本さん以外いないだろ?」

「まぁ…」


俺は優也に、これ以上話すなよ、と眉間にしわを寄せて目で訴える。それを見て花が


「上本さんって誰?」

「上本さんは、この前の演劇の王女だった人だよ!」

「あー、あの可愛い子ね!へぇ〜!貴大君!もしかして上本さんのこと好きなのかーい?」


「全然、そういうのじゃないから!」


ヘラヘラしてる2人に、俺は熱くなる顔を感じながら必死に否定する。その必死さが自分でも図星だとわかっていても、そうするしかなかった。


ショッピングモールに着くと、フロアマップの前で立ち止まり、花は顎に手を当てながら見上げて


「上本さんは何が趣味とか、知ってるの?」

「えーと、って違うって」

「いいから、いいから、その人趣味は?」

「わからないなー、Missyが好きなくらいしか知らないなー。あとピンクが好きだと思う」


一緒に住んでるけど、俺は珠凛のことを全然知らないことを、ここ数日痛感している。


「じゃあアクセサリーでもいいと思うけどな。あ、マグカップでもいいかも!Missyグッズは置いてあるお店はあるかなー?」


「まぁわからないし、アクセサリーとかなら?」


アクセサリーショップに向かう途中、目に入るお店全てが魅力的に感じる。


小さい可愛い熊の人形、丸いフレームの伊達メガネ、端がヒラヒラしたピンクのハンカチ、桜色のマグカップ。


あれをプレゼントしたら喜ぶかな。目に入るものに想像を膨らませていると、ネックレスやイヤリングがたくさん置かれているお店に辿り着いた。店内は女性が多くて、香水の良い匂いに落ち着かなくなりながら花の後ろをついていく。

突然、花が振り返ると


「これとか可愛いじゃん!ハートだよ!私ならこれ欲しいかな!」


確かに可愛くて、珠凛に似合うのは間違いない。そもそも何でも似合うと思うけど。


「でもハートは重すぎない?」

「優也君はどう思う?」

「俺もそれ可愛いと思うよ」


ニコッと親指を立てて、花に賛同する優也。でも基本的に花の言うことに、イエスマンの優也の言うことは当てにならない。


しかもネックレスを渡すのも恥ずかしいのに、ハートなんて、と思うと、無意識に違うネックレスに目を移していた。そこで目を奪われたピンクゴールドの三日月のネックレス。


「こ、これはー?めっちゃ良くない?」

「可愛い!貴大センスいいじゃーん!」


珍しく褒める花に、心の中で熱くなるものを感じた。


「じゃあこれにする!」


一瞬で心を奪われたネックレス。花に褒められて気を良くしたこともあって、即買いしてしまった。プレゼント用に包装している間に、ホッとしながら店内を振り返ると優也が、さっきのハートのネックレスのあたりで立っていた。花が近づいてきて


「次は花の買い物に付き合ってよ」

「いいよー、なんか欲しいものであるの?」

「コスメとか、気になるやつあるからさ。女の子も大変なんだよ」


「うん、久しぶりに花と会った時、可愛くなったと思ったよ。化粧は恐ろしい」

「化粧してないと可愛くないみたいな言い方するな」

「だって小学生の頃は、ほぼ男だったのに、今は女の子になっちゃったじゃん」

「殴るよ?私はずっとか弱い女の子だから」

「どこが?」


花にしか言えない冗談を言っていると、ちょうど包装が終わってプレゼントを受け取ると、すぐにコスメショップに向かう。


「優也は何か買いたいものとかあるの?」

「特にないけど、せっかく来たからね」


悩んでいるような顔をしている優也。違和感を感じながら、コスメショップの前に着くと優也が


「貴大!Missyのやつあるぞ!」


俺はMissyの言葉にすぐに反応して、眼球が物凄い速さで動き、探し始めた。


「どこ?」

「あそこの香水とこ!」

「本当だ!」


俺は見つけると、2人のことも気にせず真っ先にMissyが映る写真に早歩きで向かい、Missyがプロデュースする香水を手にしていた。


「俺の分も買っちゃおうかな」


珠凛にプレゼントするのはもちろん、自分の分も欲しくなっていて、2つ持ってすぐさまレジに並んでいた。


「めっちゃ最高」


小声で呟いて2人を探すと、遠くの鏡の前で優也の頬をツンツンと触る花がいた。それに照れながら笑っている優也を見ると、あいつ好きなのかなとも思ってしまう。


「めっちゃ仲良しじゃん」


2人で付き合えばいいのに、と思いながら少しの間、2人のいちゃつきを遠くから見ていた。



俺と花の買い物が一旦、落ち着き、ファミレスでお昼を食べることした。各自パスタやピザを食べながら、俺は2人に


「まだ見たいものとかあるの?」

「特にないかな。花ちゃんは?」

「私もないかな」


少し3人で何をしようか、沈黙が続くと優也が


「ゲーセンとかはどう?」

「それありだね!花もどう?」

「いいねー!行こう!」


みんなで盛り上がり、不意に窓から見える公園に目をやると、強く鼓動が打ち背中に冷や汗をかく。

そこにカメラを持っている人、銀髪の女性、髪の毛を直しに行く人?何人かで撮影をしていた。


「私、UFOキャッチャー得意だよー!」

「じゃあ俺と花ちゃんどっちが上手いか勝負しようぜ」


3人で会話をしながらも、チラチラと公園が気になってしまう。すると優也がゴソゴソと鞄持ち始めて


「ちょっとトイレ行ってくる!」


別に手ぶらで行けばいいのに、と思いながら無意識に頬杖しながら公園を見てしまっていた。


「さっきから外見てるけど、何かあるの?」


花の言葉にドキッして、背筋がまっすぐになり、コーラを一口飲む。氷が溶けて薄くなっている。


「あれー?上本さんじゃなーい?」

「えっ?あ、本当だ!」

「なるほどねー!やっぱり好きなんだー」

「好きじゃないから」


今の体勢に心地悪くなり動きたいが、頬が熱くなるのを感じると頬杖をやめたくてもやめられない。


「へぇ〜、好きじゃないんだ!」

「うん、好きじゃない。あの人は好きな人他にいるし」


少し間が空いて、虚ろな目をしながら震える声で花は


「じゃあ私にすればいいのに。私は貴大のこと好きだけどな。ずっと前から」


急に心臓を強く握られたように、胸が痛くなる。頬杖した手の薬指が目頭の大きく動いたのを感じた。

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