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クラスのギャルと兄妹になりました  作者: たかちょ


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第十七話 再会の図書館

夏休みの余韻も消えつつ、いつもの学校生活が戻りつつある教室。変わらず後ろを振り向きながら優也が話し掛けてくる光景は変わらない。


「夏休み明けてからすぐテストとかやばくない?マジでやばいよ!」

「2週間後かー。優也は勉強してるの?」

「まだしてない!とりあえずテスト終わったらハオウィーン祭だから、気合いで乗り切るべ!」


優也が言うハオウィーン祭。

簡単に言えば、ハロウィンの仮装と文化祭を混ぜた羽織高校の一大イベントだ。これまたハオリンピックと同様にその週を全て使う大掛かりである。


「ハオウィーン祭でカップルもけっこう増えるみたいだし、楽しみだな!貴大も頑張ろうぜ」

「あぁカップルね〜。とりあえず良い人がいればだね」


優也との会話中に夏祭りの出来事が頭に浮かぶ。頬杖をつきながら、珠凛の方に目線を向けた瞬間。教室の入り口に長身の男子の影が現れる。


「珠凛!髪切ったんだー!めっちゃ似合ってるよ!」

「友也、ありがとう!」

「急にどうしたー?失恋?」

「そんなことないよー」


この前の卓哉さんの誕生日会後、ロングからセミショートに変わった髪型に、前よりも雰囲気が柔らかくなった。髪型のせいか褒められて照れ笑いしている表情に、つい見惚れてしまった。


「上本さん、髪型可愛くなったよね!元々綺麗だったけど、可愛系に路線変更したと言うか…。それにしても、友也は俺嫌いだわ!」

「路線変更かぁ。ってか、なんで嫌いなの?」

「あいつサッカー部入部してきて、俺のポジションと被ってるんだわ。長身でイケメン。しかもサッカー上手くて、女子にモテてて。」

「あー。優也もやばいんだな。まぁ全て負けてるな…」


夏祭りに珠凛と友也が歩く姿を思い出すと、少し優也に同情してしまう俺がいた。俺たちが見ていることに気づいた友也がニコッと笑って、こっちに寄ってくる。


「優也君!このクラスなんだ!」

「あぁ、今まで気づかなかったの?」

「ごめんね!あっ!」

何かを思い出したかのように、目を丸くする友也。その顔を見て俺も同じことが頭に浮かび、


「小学生の時、選抜一緒だったよね?」

「うん!一緒だった!まだサッカーやってないの?」

「もうサッカーするのはいいかなー」

「えー、あんなに上手かったのに!」


まさかの知り合いに優也は驚いて、話に入れずあたふたしながら

「貴大と友也が選抜で一緒とか、マジで強いじゃん」

「いやいや、レベルが違ったよ!貴大は10番で県の選抜にも行って、遥か上の存在だったよ」

「貴大は昔から上手かったんだな!」


サッカーの話をされると嬉しいけど、なぜかそこから進んでいない気もした。頬杖している肘が痛くなってきて、頬杖を止めると右頬だけ熱く感じる。


「そろそろ帰らないと!またね!」

「またね!」

教室の入り口に向かう友也の背中。教室を出る際、珠凛に手を振る姿。それに笑いながら応える珠凛。


無意識にため息が出る。

別に何でもないはずなのに、胸の奥が少しだけ重い。


「貴大!テスト勉強一緒にやらね?図書館で!」

「まぁいいけど、バカ同士で大丈夫か?」

「そんなの関係ねぇだろ!」

「部活は?」

「今日から全部活やってないよ」

「じゃあ今日行こっか!」


勉強に集中でもしていれば、何も考えずに済むかなと、そんな理由で勉強会をすることになった。


「なんか図書館の勉強ってワクワクするな!」

「普通にテスト勉強でしょ?」


学校帰り、図書館に向かう俺。

何かに期待しているわけでもなく、ただ足元の小石を蹴りながら歩いていた。むしろ家に帰れば良かったかなと思いながら、足を振り上げると


「おぉー!貴大!どっか行くのか!」

「えっ」


空振りして、その勢いで振り返ると涼と前川さんが後ろにいた。2人でいるってことは……。察して、少し胸が締め付けられる。


「今から優也と図書館で勉強するんだよ」

「マジー?俺らも図書館に行くところ!じゃあ俺たちもいいか?」

「別に俺らはいいけど、前川さんいいの?」

「あ、うん。いいよ」


片腕に手を添えながら、斜め下を見ている前川さんを見ると、2人の温度差に少し気を使ってしまう。


「じゃあ行こうぜ!」


涼が声かけながら歩くスピードを速めて、気づけば夏祭りと同じ位置になっている。俺はすかさず前川さんの耳元に


「2人きりじゃなくて良かったの?どっかのタイミングで優也と場所変えるよ!」


顔を赤くして前川さんは、顔の前で手をバタバタと


「大丈夫!大丈夫!」


前川さんのてんぱり具合を見て、ほっこりしてニヤけてしまった。ただ可愛かった。


「まぁその時の成り行きで!」

「貴大君!本当にいいからね!」


たぶん恋愛に不器用なのかなと、その時に純粋に応援しようと思った。人に不器用とか言う立場ではないのにと思いつつ、ドヤ顔で親指を立てている俺。


図書館に着いたのはいいが、思ったより人がいて4人で座れるところを確保するのも一苦労。周りを見回して指さす前川さんが


「あそこの4人座れるよ」

「俺とってくるわ」


涼が早歩きで席を確保しに行った。2人のコンビを見るとさすがだなと感心してしまう。それと違って俺と優也はただ立ち尽くすだけの、図書館デビューの俺たち2人だった。


机に各自、勉強道具を広げている。俺は大人数いるのに静まり返っている部屋に息苦しさを感じる。

前に座る涼と前川さんのスラスラと書く音を聞きながら、解けない数学の問題を見つめる。


「はぁー、わからん」


隣で頭を抱えながら小さな声でつぶやいている優也を見るとホッとして、教科書よりも周りの人たちも見渡し始めてしまう。居心地が悪く逃げるように


「ちょっとトイレ行ってくる!」


初めての図書館に少しワクワクして、館内をぐるっと見て回ることにした。


専門書がたくさんある棚を抜けるとこっちにも勉強机がある。なんかこっちの人たちの制服を見ると頭が良さそうな雰囲気を感じる。


「なんか緊張するなー」

人には聞こえない声で呟きながら、その先の漫画コーナーに向かってみる。


「このサッカー漫画面白いやつじゃん!」


興奮して少し鼻息が荒くなる。小学生の頃に見ていたアニメの漫画。

気づけば2巻も終わりそうなところでライバルの影が登場した…その瞬間



「貴ちゃん!元気ー?」


漫画を閉じて、話し掛けられた方に目をやる。


栗色の長めの髪に軽くかかったパーマ。

まつ毛が長く、大きな目が笑うたびに三日月みたいに細くなる。

一瞬、本当に芸能人かと思った。


フワフワした雰囲気に優しくニコニコしているお姉さん。こんな人知らないぞと思いつつ…


「こ、こんにちは」

「貴ちゃん!ふーだよぉ!」


俺の知っている「ふー」は、川澄風香。親の知り合いの娘さんで小学生の時はよく一緒に遊んだ。言われてみれば雰囲気と話し方は変わっていない。変わったのは髪型髪色。そして当時はメガネだったってこと。


「えー!ふーちゃん?」

「やっと気づいたかぁ!忘れたと思って、一瞬ショックだったよぉ」

「化粧してるから、全然違うんだもん!」


大人になれば化粧もすれば顔も変わるだろうと納得するも、化粧で全然違う見た目になるのだから怖いものだと思ってしまう。


「貴ちゃんは何してるのぉ?」

「テスト勉強です」

「私も大学の課題やってるのぉ!せっかくだし一緒にやらない?」

「たぶん大丈夫だと思う!ちょっと待ってて!」


本の匂いに囲まれながら、リズミカルな足取りで自分の机に向かった。

机には涼と前川さんの姿だけだった。


「あれ?優也は?」

「なんか電話かかってきて、帰ったぞ!姉ちゃんに呼び出されたとか言ってた!」

「マジか!」


涼の話を聞きながら、鞄に雑に勉強道具をしまっている俺に涼は言う。


「貴大も帰るの?」

「ちょっと知り合いと会って、そっち行ってくる!」

「そうかー!わかった!」

「じゃあ2人、仲良くー!」


不思議そうな顔で手を振る涼と、少し赤らめた顔で見つめてくる前川さん。

俺はピースをして、風香の方へ急いだ。

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