表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
苦労少女の英雄伝  作者: 疾 弥生
内通者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

95/912

リディオノーレ無双




夕食後、3試合目が始まった。

初めての夜の天馬合戦である。


今日1日でどれだけ魔法を試し、どれだけ訓練したか分からないリディオノーレは回復魔法をかけてから試合に挑んだ。


場所は前に魔獣狩りを行った森である。

試合開始の合図と共に、皆が一斉に隠れる。

光は月明かりのみだ。


「暗視の魔法をかけろ」

グレイザックが指示する。

4人は暗視の魔法を自身にかけると、念話の魔術具をグレイザックに渡される。


本来はただの石のような形で手で握り魔力を注いでいる間、念話が可能になる。

だが、今渡されたのは指輪だった。


「手なら基本魔力を流し続けているだろう。これでこの暗闇でも連絡がとれる」

「……これ騎士団たちが使っているやつですよね。持ってきてたんですか」

ムナグレークが少し呆れたように言う。


「俺がつくったやつだ。魔法防御もかけてある」

「………」

ムナグレークとバルデミアンが魔術具を手に取り、苦笑いになった。

用意周到すぎるし、この魔術具、騎士団で使わせてもらいたい、とバルデミアンは素直に思う。


「うわー。本当師匠の道具はすごいですよね」

リディオノーレは興味津々に指輪を眺め、ぴったりだった中指に嵌めた。


「今回は何でもありだからな。お前も存分に魔法をふるっていいぞ。許可する。但し、殺すなよ」

グレイザックの言葉にリディオノーレはにやりと笑った。


「だが、俺と一緒に動けよ。グレークとバルデは好きにして良い。負けたら念話してくれ」

作戦という作戦じゃないので、ムナグレークとバルデミアンは目を丸くした。


「そんな感じでいいのですか?」

ムナグレークは思わず尋ねた。

その問いにグレイザックは鼻で笑う。


「俺とリディが負けるわけないだろう」

グレイザックがにやりと笑った。

4対20という人数差なのに、何と頼もしい発言なのだろうか。

そして、負ける気が全くしない。


「だがまあ、少しでも人数を減らしてくれると助かるがな。………行け」

グレイザックが命じた。

ムナグレークとバルデミアンは闇夜に紛れて、天馬に跨り、地上を駆け出した。


少し時間が経つと、戦闘の声が聞こえてくる。


「俺が補助する。好きな術を放て。お前には傷ひとつ付けさせない。だから攻撃だけに集中しろ」

グレイザックはリディオノーレをまっすぐ見つめてそう告げた。

何も気にしなくていいのはとても楽である。


「天馬はひとつでいいだろう」

元からその気だったようで、グレイザックは自分の愛馬しか連れてきていない。

彼女が前に座り、グレイザックがその後ろに座って手綱を握る。


「派手にやってもいいんですか?」

リディオノーレは振り返って尋ねた。

「構わん」

「では空から攻撃します」

折角の闇夜を無視し、2人は上空へと駆け上がる。


途中、2人を見つけた騎士たちが矢を放ってきたり、

魔法攻撃をしてきたりしたが、グレイザックが軽くあしらう。


ある程度上に上がったところでグレイザックは天馬を止める。

すごい目立つところにいるので、次々と攻撃が来るが、グレイザックが全て難なく防ぐ。


でもその攻撃のおかげで敵の居場所が丸分かりだ。

リディオノーレは雷撃の魔法陣を取り出した。

魔力を流し、陣を展開させる。

『やるぞ、衝撃に備えろ』

発動させる前にグレイザックが念話を飛ばした。


「トルドゥルッ!!!」

リディオノーレは叫ぶ。

攻撃を仕掛けてきた所を目掛け、雷撃を放つ。


いくつかで呻き声が上がった。

そのままお構いなしにリディオノーレは風刃を放ち、樹々の葉が茂っている上部を落とす。


「うわぁっっ!!」

「死ぬだろっ!!」

悲鳴がまた上がった。


樹々が幹だけになり、隠れている騎士たちが見えるようになった。

リディオノーレは思わずにやりとする。


本当に攻撃だけに集中している。

グレイザックはあらゆる敵の攻撃を防ぎながら息を吐いた。

なかなか鋭くて強い攻撃を受けているのだが、全く気にしていない。


「もう一回、いきますよっ」

リディオノーレはにやりとしたまま、雷撃を放った。

そのすぐ後、彼女たちの方にも雷撃が飛んできた。


「トルドゥル!!!」

グレイザックが雷撃を雷撃で撃ち落とす。

ばちばちと雷が彼女たちの体を少し掠める。


グレイザックは、ぐ、とリディオノーレの体を引き寄せ、自身の腕で衝撃を防ぐ。

アブストールから勝ち取った腕輪をしているグレイザックは、それに衝撃波が当たり、鈍い音が出る。


グレイザックは衝撃が当たったことに少しイラッとしたのか、魔法陣を描き出した。

リディオノーレは彼の魔法陣が完成するまで、攻撃を防御する。


「フランヴェロギッタ!!!」

グレイザックが円を描くように炎の矢を放った。

地上が円形の炎に囲まれる。

その炎にリディオノーレが円の中心に向けて風を送り、焼け野原にしていく。


そのせいで隠れていた騎士たちが天馬に乗って次々と出てきた。

グレイザックはにやりとする。


「風魔法の訓練の成果を見せてやれ」

リディオノーレは風で石を3つ浮かせた。

訓練よりは少し大きめの石である。

最低限の魔力で繊細に完全に操れるのは3つのみだ。


飛びかかってくる騎士の横っ腹に石を3つまとめて叩き込む。そのまま風で力一杯押しながら横薙ぎに5人払う。


5人まとめて落ちていくのを視界の端で見ながら、リディオノーレはまた石を操る。


前衛に剣を持った騎士が3人。

後衛に魔法を放つ騎士が3人。


剣を持っている3人に向かって、リディオノーレは石をそれぞれの剣にぶつける。

刃に当たって剣が飛ばされそうになった騎士が1人。その騎士に向かって3つの石をまとめてぶつけようとする。

だが、その騎士を守ろうと後衛の騎士が盾を展開した。


その盾を破るため、グレイザックは風で竜巻を起こす。一点だけを狙い、グレイザックの魔力を叩き込めば、盾なんていとも容易く砕け散る。


「っっ!!!」

盾が破られ驚く騎士たち。

その驚いた瞬間を狙い、リディオノーレは石を後衛の騎士の手にぶつける。


杖を手離してしまって落ちていくのを見て、リディオノーレは杖をまっすぐ向けて口を開いた。


「降参してください」

杖が落ちた騎士は両手を上げ、地上に降りていく。

その入れ違いに下からすごい勢いで駆け上がってくる騎馬がいる。


「グラティパーダ!!!」

グレイザックはすぐさま杖を大剣に変え、駆け上がってくる騎士の剣を受ける。

ライムグートだ。


そのライムグートの背後に1人隠れており、その騎士が剣を手に跳躍した。


「アブストール!!!」

グレイザックは驚き、名を叫ぶ。

グレイザックはライムグートの剣を受けている。

なら、飛び出したアブストールの剣を受けられるのはリディオノーレだけだ。


操っていた石を捨て、彼女は風でアブストールの四肢を押し返す。

右腕、左腕、右脚、左脚を風で受け止める。

動けなくなったアブストールは空中で止まっていた。

リディオノーレが風を解除すれば、そのまま落ちていくだろう。


「負けを認めろ、アブストール」

グレイザックはライムグートの剣を押し返しながら、彼に告げる。

ライムグートも負けじと力を込めてきた。


「………負けだ」

アブストールは悔しそうに呟く。

リディオノーレは左腕の風を解除し、その風で鈴を取る。

彼女の手に渡ると鈴が割れて、赤い光が上空に放たれた。


「終了ーーーーっ!!!!」

審判の拡声された合図で天馬合戦が終わった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ