side シャーリネーヴェ
何故、優秀なグレイザック様があんな小娘を引き取ってきたのか謎で仕方がない。
2歳年下らしいが、発育がよくないせいかもう少し年下に見える。
食事会で初めて会話をしたが、グレイザック様と親しく話していて少し嫌気がした。
あの仏頂面で無表情なグレイザック様があれほど表情を見せるなんて驚いた。
それをあの小娘に向かってするものだから、苛々したのを覚えている。
何故。特別可愛くもないのに。
グレイザック様自身も可愛がっている気がして心がもやもやする。
しかも平民なのかもしれない。
だって、城に到着した際、姓を述べなかった!
貴族なら姓があるはずだ。
グレイザック様と親しくしているのが許せない自分がいる。
だから、勉強をみてほしい、と教えを乞いた。
平民と思しき小娘なんかには負けない。
しかもわたくし自身はもう杖を所有している。
お父様が調合してくれたのだ。
素材はリュイジーンの樹の枝と虎の魔石だ。
お兄様は熊の魔石だ。わたくしより魔力が豊富だから、虎より大型の魔石になる。
お父様は象の魔石だ。家族で1番保有魔力が多い。
象ほどの大型の魔石を埋め込んでいる杖の所有者なんて大領地に1人いるかいないからしい。
それほどお父様はすごいのだ。
虎でも充分すごいと言われるが、やはりお父様が1番すごい。
因みにグレイザック様は犀の魔石だ。魔石の色が金色だから。象と比べると劣るが、犀の杖の所有者をあまり見たことがない。充分魔力が多い。
そして、何て言ったってすごい美青年なのだ。
わたくしとは4つ違いになるので、結婚相手としても申し分ない。
自分より豊富な魔力の持ち主、そして美青年。私生児と言われ続けても実力を示した優秀なあの方の隣に並びたいとわたくしは思う。
だから故にあんな小娘に負けるわけにはいかない。
魔法陣の授業をしてくれると言うので、わたくしは専属の教師に頼み込み、必死に教えてもらっている。
おかげで転移のあの複雑な魔法陣を何も見ずに描けるようになったのだ。
普通は既に書かれている転移魔法陣に魔力を流し込むだけなのだが、暗記して描けるようになっているとは誰も思わないだろう。
これでわたくしがどれだけ優秀か示せるはず。
公開授業となったこともあり、実力を見せつけてやろうと思っている。
意気込み、当日授業に挑んだわたくしは、あり得ない光景を目の当たりにした。
そして、もう2度と教えを乞うことはない、と宣言した。




