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苦労少女の英雄伝  作者: 疾 弥生
学院~下級生編~

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魔獣狩りに行く約束




「この回復薬、面白いな。よく見つけた」

グレイザックはリディオノーレの回復薬の素材を見て褒める。


「まあまあの効果があったみたいですね」

アラウィリアからの感想を見て、リディオノーレは唸る。

「他にも試したい素材を教科書で見つけたのですが」

「それについてはまた後で教えてくれ」


2人はアラウィリアからの感想を元に新しい回復薬の研究を始めた。


「最速合格は褒めるが、お前、最速帰領だぞ」

グレイザックは色々書き留めながら話しかける。

「えっ。問題児じゃないですか」

リディオノーレは驚く。


「問題児なのは、面談のときに周知されているから心配はいらん」

「それは良くないですぅ!」

リディオノーレは抗議した。


「問題行動を取った覚えはないんですけど」

「俺の弟子の時点で問題児だろ」

「えっ。じゃあ根本的に駄目じゃないですか」

リディオノーレは次に試していきたい素材の組み合わせを書き留めながら答える。


「そんなことも知らなかったのか。俺の弟子になる時点で奇特な奴だろ」

「………」

リディオノーレは手を止めてグレイザックを見る。


「何だ。弟子を辞めたいか?」

グレイザックに問われる。

「いえ。名を馳せるには、グレイザック様の弟子であることが1番手っ取り早いです」

リディオノーレは答えた。


「有名になりたいのか?」

「そういう訳ではないのですが、そうせざるを得ない時はそうする予定です」

「………」

グレイザックは顎に手をやり、リディオノーレをじっと見つめる。


「何ですか」

「何を考えてる?」

彼の問いにリディオノーレは微笑んだ。


「………大分、隠せるようになったな」

グレイザックは言った。

「はい。だって、師匠も私に隠し事しているでしょう?」

リディオノーレは尋ねる。

「勿論」

グレイザックは当たり前のように答えた。


「じゃあ、私の計画も秘密です」

「生意気な」

グレイザックは彼女の額を弾く。

「いいじゃないですか。それより、私、まだ素材収集と魔獣狩りに行きたいです」

「魔石をどうするんだ?」

「杖の枝との結合実験したいです。ロガリアの樹の枝が沢山あるので、どこまでの魔石とくっつくのかの実験をしたいです。出来れば大型魔獣狩りに行きたいです」

「ふむ………」

グレイザックは考え込む。


「………ドロゴルミットに行くか?」

グレイザックは尋ねる。

ここらでは、大型魔獣と言っても熊くらいまでしか出没しない。

象や犀も稀である。


魔獣頻発国と言えば、ドロゴルミットだ。

自国とは友好国なので、問題なく行けるはず。


「行きたいです!」

リディオノーレの目が輝く。


「お前、学院に帰るつもりあるのか?」

「卒院式は全員出席なのでしょう?それには行きますよ」

「お前それ、いつの話だ。一年の最後だろ」

グレイザックはため息をつく。

「それまで帰らないつもりか?」

「………」

リディオノーレは視線を逸らす。


「今恐らくアブストールの妹とやらが発狂しているだろうな」

グレイザックは、くく、と笑う。

「あ!ティルのこと完全に忘れてました!!」

リディオノーレは叫ぶ。

「ぅわーーー。アングロード様ごめんなさい。調合手伝わせるだけ手伝わせて、ティルの勉強もみれてないし、手合わせも出来てないです」

リディオノーレはやらかした、と頭を抱えた。


「あー、調合手伝わせたらしいな。あ……俺もアリウォーナに返信していない。まあいいか」

グレイザックはどうでもいい風に呟いた。


「アリウォーナ先生から催促来ますよ」

「お前宛てにも届いてたぞ」

「え。代わりに返信してくれてます?」

「そんなわけないだろ」

「もしかして、結構たまってる手紙あるんじゃないですか」

リディオノーレは息を吐く。


「ああ」

「面倒くさいですね……」

リディオノーレは思わず呟く。


「グレイザック様、回復薬の感想を纏めててもらってもいいですか?私、手紙返してきます。面倒くさいことは早めに終わらせてきます」

リディオノーレは嫌そうに立ち上がる。


「好きにしろ。昼食に呼びに来てくれ」

「分かりました」

リディオノーレはそう返事して、トボトボと執務室に向かったのだった。



執務室に帰ってきた彼女を見て、執務していた男4人は目を丸くした。


「どうされましたか」

バルデミアンが席を立つ。

「私宛てに手紙届いてます?」

「ええ、大量に」

サムエルが差し出す。


リディオノーレは引き攣った顔で受け取る。

「私、そっちの椅子で書くので、バルデミアン様はそのままその席で仕事続けて下さい。グレーク様、鳥貸してもらっても大丈夫ですか?」

「構いませんよ。その代わり、仕事も少し振りますがいいですか」

ムナグレークはにこりと笑い、続ける。


「使えるものは使いますからね。ここにいる間は、執務もして下さいよ?」

「はーーい」

リディオノーレは唇を尖らせながら返事した。



手紙を見てみると、1番多いのはアリウォーナだった。

結界をどうにかしなさいではなく、あの結界は何を組み込んでいるのか構成を聞いていた。

回復薬の素材も、リディオノーレがつくったやつは特殊だったのでかなり詳しく尋ねてきている。


次にスティルナーデの手紙が多いのだが、かなり怒っていた。

勝手に帰ったことと、手合わせを無視したことをかなり怒っている。


アングロードからも安否を確認する手紙が届いていた。


シャーリネーヴェからは簡潔に、『起きたらすぐに連絡すること』と来ている。

「これは、完全に怒ってる……」

リディオノーレは慌てて筆を取ったのだった。




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