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95話 王都公園6 冒険者養成所70日目

 人気のトップ3のソフィーとリリーの二人はあまりの熱意に断り切れず、ダコタは最初のモテ期にうれしい悲鳴をあげていた。


 ストアの次のお相手はペギーだった、やはりリリーの護衛のイメージは強く、しかも時々泣くという面倒くさそうなペギーの人気はあまりなく、ストアと目が合ったのでストアが誘ったのだった。


「ペギー 誘ってもいいかな」


「ええ うれしいわ」


 一応手を携えてペギーをボートにエスコートした。


「女性の扱いはうまくなったのね」


「もうクセみたいになってきたよ」


「クスクス」と笑うペギー


 一緒に乗ったが少し沈んだ感じのペギーに何も言えないストア、それでもボートは湖を進んでいく、しばらくするとペギーが話を始めた。


「ストア君ってモテたでしょ デートとかしたことある?」


「う~んわかんないよ 稽古と仕事と勉強に忙しかったから」


「そうなの? 女の中に一人いても平気そうだよ」


「うん 殺気は感じないから」


「殺気って」


「森では俺を殺そうとしてる魔物達の殺気の気配を感じながら薬草採取してるから」


「そうなんだ それで女の子に平気なのね」


「居づらいのは確かだけどね」


「全然溶け込んでるじゃない」


「やることがあるからだよ」


「クスクス まぁそうね」


「ペギーはデートとかしたことあるの?」


「ううん ないわ 男は怖がって寄ってこないから」


「最初は怖かったなぁ」


「やっぱり そう思う」


「うん 娘を守る親ぽかったよ」


「からかわれているリリーを庇うようになってからそうなったのかも」


「いじめられてたの?」


「今ならわかるけど かわいい子にどう接していいかわからなくていじめてたんだと思う」


「そうなんだ」


「私はここに来るまでは男女で一緒に遊ぶのも初めてで どうやって接したらいいかよくわからなくて」


「俺も一緒に遊んだことないよ でも俺には普通に接してくれてるよね」


「ストア君は信頼してるから気を張らなくていいかなって」


「ありがとう それなら答えは出てるね」


「えっ」


「気を張らないようにすればいいんだよ」


「でも」


「うん わかるよ ここを出たら一応成人だし 知り合いは本人に任せたらいいと思うんだ」


「そうね」といいながらリリーが乗っているボートの方を見るペギー。


「ストア君はリリーが好き?」


「好きだよ カトリーヌにも言ったけどソフィーやブロッサムや女子とは仲がいいって」


「そういう意味ではないんだけどね 私のせいかもしれないけどストア君の前でのリリーはすごくはしゃいでるの」


「それはそう思う リリーっていつもはきちんとしてる感じがする」


「リリーは私にも言わないけど気を許してると思うの」


「カトリーヌに言われたんだ 親戚の年下の男の子だって」


「ププッ う~ん それはそうかもしれない でもストア君は頼りなさそうでも頼りになるよ でも そうね ププッ」


「やっぱり ペギーも思ってるんだ」


「一生懸命なストア君ってすごくかわいいのよ」


 腕を組み一応考えたふりをするストア、しかしかわいいと言われても動画も写真もないので客観視できないのでやはり考えることをあきらめるストアであった。


「そういう姿がまたかわいいのよ」


「もういいや そうそう 父さんはどういう風に見えたの?」


「ストア君のお父さん 立派な大人の男性に見えたわよ」


 その話を聞いてホッとするストア、自分も年を取れば大人に見られると安心した。


「ストア君 ここを出てもみんなに会いたい?」


「会えるなら会いたいよ」


「そうよね 会いたいわよね」


 ペギーは楽しそうに同意するのだった。



 一方、リックのお相手は昨日のパートナーのカトリーヌだった、お互い気まずいと思うのかと思ったがリックはカトリーヌを誘うのだった。


「四人で来るはずだったけどボートだけでもデート気分を味あわない?」


「今だけでもリック君と乗れてうれしいわ」と心にもないことを言うカトリーヌ。


 リックはそれをわかっていながら手を差し出しカトリーヌをエスコートしてボートに乗る二人、それでも一緒に歩く二人の息はぴったりだった。


 カトリーヌは昨日の舞踏会のことを思い出していた、貴族の前でも物怖じせず,しかも肩の力を抜いてリラックスして話す大人の面のリックを見て頼もしくてやはりこの人しかいないと思った、そして相手の気持ちを考えずに自分の想いをぶつけてしまった、本当は逆にあの時に僕には君が必要だと言って欲しい、言うべきタイミングだったのに言ってもらえなかったんだと今更ながら気づいてしまう。


「昨日は本当に助かったよ」


「私も貴重な経験ができてよかったわ 舞踏会であんなに注目されることなんてこれからも多分一生ないと思うし」


「僕も多分一生ないと思うよ」


「そんなことはないと思う 今回呼ばれたのはリック君達が活躍したからでしょ」


「こんなことが何回もあったら命がいくらあっても足りないよ」


「私達と移動すると絡まれるのは運が悪いだけなのかな?」


「僕とストアの組み合わせが悪いのかもしれない」


「アレクシス君とクリストファー君の組み合わせなら絡まれないのかもね」


 お互い笑みがこぼれる二人そして静寂が訪れる、そしてカトリーヌの口が開く。


「昨日はごめんなさい 変なこと言っちゃって」


「ああ 僕も悪かったよ 今は稽古に集中したくてあんなことを言ってしまったんだよ」


「そんなに大事なことなの」


「今 基礎を固めておかないと中途半端になってしまうんだよ」


「よくわからないけど ストア君のお父さんみたいになりたいの?」


「ストアの父さんがどれだけ強いかわからないけど本気でも戦えるくらいにはなりたいよ」


「ストア君のお父さんは本気で戦ってなかったの?」


「僕は身体強化を使って剣や体を動かしていたけどストアの父さんは何も使ってなかったよ」


「あの時のリック君の振りは凄い音してたのにストア君のお父さんは普通に戦ってただけなんだ」


「能力の差からみれば普通に勝てないといけないんだ ストアは勝ってたんだし」


「どういう人なのかしら ストア君のお父さんって」


「薬師だよ ただ自分達で薬草を調達する為に武芸を磨いてるんだよ」


「冒険者と薬師の兼業みたいな」


「うん イメージとしてなら そんな感じだね かなり危険な場所にも行ってるみたいなんだ」


「全然そんな風には見えないのにね」


「怖さがないのがストア家の剣術なんだ アレクシスが1本を取られたみたいに負けちゃうんだよ」


「クスクス 本気で戦わせてくださいって言ってすぐ負けた試合だったわね」


「あれが本当の戦いなら実力を出す前に殺されるって事なんだよ」


「怖いわね」


「怖いよ だから稽古をして強くならないと」


「私達は商家の人だから冒険者や護衛に守ってもらえばいいんじゃない」


「普通はそうすべきなんだよ ただハンデル家は交易してるから海賊とも戦うんだ 父もそれなりに強いよ」


「そうなんだ やっぱり色々な事情があるんだね」


 そういうと涙をこぼすカトリーヌ。


「大丈夫かい」


 カトリーヌは自分はパートナーに相応しいとばかり思ってしまって理解が足りなかった、そんなことではリック君どころか誰にも必要とされない人になってしまう。


「ごめん 大丈夫 なんでもないの ただみんな一生懸命生きてるんだなって思って」


「強さには限りがないけど、一歩一歩頑張るだけさ」


「私も一歩一歩大人の女性になっていきたい」


 涙が乾いたカトリーヌは和らいだ美しい女性になっていた、その変化に戸惑いながらもこれが大人になっていくことなのかなと思うリックだった。

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