94話 王都公園5 冒険者養成所70日目
ストア達がボートを降りた後にリック達がボートを降りてきた、リックとストアはお互い軽く手を挙げ近づいていく。
「パートナーを交代しよう いいかな カミラもオリアンティも」
「ええ」「うん」
ストアとリックはお互いのパートナーの手を放して新たなパートナーの手を乗せ、ボートまでエスコートしてボートに乗り込んだ、もちろんオリアンティの物語の中では二人の青年を誘惑する都随一の美女として登場することになるカミラだった。
そんな妄想をしているとはもちろん気付いていないストアは笑顔でオリアンティに話しかけていた。
「久しぶりだね 父さんと話してたけど俺とは話してなかったよね」
「ごめんね ストア君 リタからは話をよく聞いてたけど迷惑かけてたから話すのをためらってたの」
「ぜんぜん気にしていないのに」
「うん ストア君がそういうのはわかってるけど やっぱり気になって」
「でも今日は話せてるよね すこしは元気になってきたのかな?」
「みんなが踊ってるとか舞踏会に出るとかという話を聞いて、落ち込んでるばかりじゃだめだと思ったの」
「そうだよオリアンティ 明日から舞踏会の練習じゃなくて女子の踊りの練習になるから来ない?」
「ええでも 踊ったことないし」
「いや大丈夫だよ 俺も週末までになんとか踊れるようになったしオリアンティも踊れるようになるよ」
「・・・うん」
否定しても肯定してくれるストア君はやさしくてかわいい、ストア君を見てるだけで心も体もポカポカしてくる本当は恋人乗りでボートに乗りたい、心の中では乗っているオリアンティ、久しぶりの間近のストアで妄想が止まらないのだった。
「そういえばオリアンティは白魔法や光魔法にいなかったけれど何魔法の教室に行ってるの?」
「・・・えっ あっ 私は土魔法なの 家が代々土魔法が得意で私の属性も土魔法だったの」
「へぇー 土魔法ってどんな感じなの」
「土を出す魔法と思われているけど基本はさわってる物と同じ物を出す魔法なんだよ」
「そうしたら黄金をさわったら黄金を出せるの?」
「うん 魔力にもよるけど黄金をだせるよ」
「土魔法ができるようになると大金持ちになれるね」
「クスクス そんなに簡単だったらいいけど重い物や貴重な物は出しにくいし量も少ないのよ」
「そんなうまくはいかないんだね」
「家は代々 刃こぼれを直していたのよ 大きい街は遠いし直せる腕の良い職人とかいなかったしどんな素材でも直せるから重宝がられたんだって」
「凄いね 刃こぼれを直せる魔法なんてあるんだね」
「トレースって魔法なんだよ 原理は同じ物を出すの、応用みたいなものだよ」
「白魔法が終わったら土魔法に行ってみたいな」
「えっ ストア君 土魔法の属性があるの?」
「言ってなかったかな 一応全属性なんだ」
「ストア君 すごいすごい」
「魔力は少ないらしんだけどね」
「私も色んな魔法ができたらなぁ」
「系統が違っても覚えることはできるよ 魔力の消費が多くなって負担は増えるけど」
「そうなんだ」
「俺が土魔法に行ったら、交代で教えあおうよ」
「うん」
オリアンティはストアと二人っきりの世界を思い浮かべて、イチャイチャする姿ににやけてしまっていた。
「どうしたの オリアンティ」
「いや なんでもないの うふっ」
オリアンティは目の前の現実より妄想の中で爆走し続けるのだった。
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一方、リックとカミラの絵に描いた美男美女のカップルはお互い微笑みながら様子をうかがう。
「リック君 楽しそうね」
「綺麗な公園で君とボートに乗ってるからね」
「ありがとう でも 私だけを見てないでしょ」
「色んな女の子と友達になったからね」
「ううん そういうことじゃないの」
「えっ」
「最初の頃は私を見る目が熱かったのに段々爽やかになっていったの」
「えっ そうかな」
「そうよ 稽古を熱心になると比例して」
「自分では変わらないつもりなんだけどね」
「ストア君の父さんが来ていた時に一番瞳が輝いていたわ」
「会いたかった人に会えたからね」
「それにアレクシスが何もできないで負けたのに素直に話を聞きに言ったでしょ」
「ああ そうだったね」
「あんな性格じゃなかったの リック君もそうじゃない?」
「性格が変わったっていいたいの」
「そう 気持ちを全部持っていかれた気分なの」
「ここに来るまでは何かを期待してきたわけではなかったよ ストアやカミラ達に会って今までにない新鮮な気持ちになれた 特にストアと戦って今までとは違う剣術があるのを知って興奮したんだ それに身体強化の魔法と出会ってこれを使いこなせるようになりたいと思うようになったよ」
「もしかしてストア君並みに一生懸命なの?」
「う~ん一緒に練習していた時の熱意は変わらなかったと思うよ」
「あん もう 今 絶世の美女が私と剣術のどちらを取るの?と言われたらどーするの?」
「多分 剣術を選ぶと思うよ」
「アレクシスもそうだと思う?」
「僕は同じだと思う」
「でもいくら強くなったって商家の家の者には宝の持ち腐れでしょ」
「一概には言えないんだけどね 必須とは言えないかな」
「でしょ」
「それでも 今 体中が熱く燃えて強く叩けと叫んでいるんだ 強くなれると叫んでいるんだ」
「もう 将来有望な男はどーしてみんなバカなの?」
「ごめん カミラ 男がバカになるくらいの出来事だったんだ」
それからは二人は無言となりボートは終わりに近くなる。
「ねえ リック君 私はどーすればいいの?」
「自分を幸せにしてくれる男はどんな人だと思ってる?」
「いじわるね 質問に質問で返すなんて」
「夢を追うタイプの男はどれだけ優しくても自分勝手なものさ」
「しょうがないわ うふふ イケメンでお金持ちで 楽しくて やさしくて イザというときに命懸けで助けてくれる そんな我儘な男をみつけるから」
「そ その時は祝福するよ カミラ」
リックは仲間を好きだったからいい加減な事は言いたくなかった、だからこそ嫌われてもいいとも考えていた、しかしカミラの言葉がリックの心に打ちこまれたのは間違いはなかった、この種が芽吹き花が咲くまでの時間が二人にあるかどうかは今はわからない。




