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84話 モリッツ支店長の報告書 冒険者養成所68日目

モリッツ支店長の報告書



 グレッグ様へ


 リック様に関する冒険者養成所での行動のご報告を致します。


 今回、リック様は週末の舞踏会に出席することが決まりました。


 同室で友人のストア・ドラッグ様と女性の友人のリタ様とオリアンティー様の4人でハートビートの森で狩りをしていた時に新種のゴブリンに遭遇し撃退した所、陛下が知り興味を持たれて、今回の舞踏会出席と相成りました。


 新種のゴブリンは隠ぺいの術に優れ、存在と証拠を隠し今まで発見されていなかったようなのですが百匹以上でリック様達を襲ったようです、それにも関わらず、リック様とストア様のたった二人で撃退されたようです、リック様の実力もさることながらストア様の実力も目を見張るものがあるようです。


 リック様の冒険者養成所での生活は男女の友人をたくさん作られましたが、それよりも剣の稽古を熱心にされているようです。


 同室のストア・ドラッグ様は建国以来の薬師の家系で建国伝説の初代のドラッグ・マスター様の生活を未だに続けていて、どんな危険な場所にも入り込める実力を保持し続けている家系のようです。


 そしてリック様はストア様の父のチェーン様に出会いを師匠と呼んで師事を願ったそうです。


 また報告することがあれば随時、ご報告いたします。



 モリッツより

 



 ハートビートからの業務連絡の中の一枚に長男のリックの事が書かれていた父のグレッグはゴブリンに襲われたことより剣の熱心な稽古が再開されたことが気になるのだった。


 旅から帰って来たリックは剣の修行は日課として続けてはいたがまさか昔のように熱心に剣の稽古をするようになるとは思わなかったからであった。


 学校へ行くことより旅を選んだリックには友人と言える友人はいない、今回の冒険者養成所でたくさんの友人を作ったというのも意外であった。


 旅から帰って来たリックは大事に育てられた御曹司から凛々しい美男子に生まれ変わっていたが目の輝きは失われていた。


 旅での剣の師匠であり護衛であったマテウスやゴードンの悲劇はリックを子供のままではいさせてくれなかった。


 帰ってからは女性との浮名を流すようにもなったがしかし事業を熱心に手伝い、今回の冒険者養成所を卒業すればこれを機に本格的に一部の事業を任せるつもりであるがなにやらもやもやする気持ちを抑えることができない父のグレッグであった。



「いい方向で変わってくれたのなら喜ぶべきことだが・・・」



 グレッグの予感は当たっていた。

 その頃、リックは密やかに想いを膨らませていた、剣の訓練をすればするほど、実力がつけばつくほど、実戦で試してみたいという気持ちが大きくなっていく、本来商家の子息の考える事ではないのだがストアと出会い、まったく新しい剣の在り方や身体強化という自分の力が何倍も引き出せる魔法まで身に着けてしまって訓練をするだけでは気持ちが治まり切れないと感じるのであった、しかも今は仲間がいて訓練もできるお互い切磋琢磨するのは楽しい、こんな日々が続くのならいいのだがもう残された日々は少ないのである。


 この時代に青春というものがあるとしたら、今はまさに青春真っただ中のリックと仲間達、言葉がない葛藤はしばらく続くのである。

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