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第5話 怪盗!激闘!這い上がれチャレンジャー!

※カクヨム版から一部修正してます。

 ――同日同時刻。とあるマンションの一室にて――


 私と静は、影月から話を聞いていた。


「よかったんですか? このまま放っておいて」

「いいよ。あの人のことをちゃんと考えられなかったし」


「私も……先走りすぎて迷惑かけちゃったし。帰ってこられたら謝らないと」


「あの人からは、何かただならぬオーラがあるんですよ」


「それってどういう?」


「なんだがよく分かってないんですけどね。感覚的に……」


「へぇ。そうなんだ」


「ってゆうかさ、当たり前のように話してるけど、影月くん……だっけ? いったい何者なの?」

 確かに何故か私達は浮いているクナイと話してる。その光景は絶対に非日常なものだ。


「ああすいません。ちゃんと説明しておかないといけなかったですね」


「確か、別の世界から来たとか、なんちゃら異聞録がなんちゃらとかまでは聞いたけど……」


「あの変なコスみたいなのは?」

 静が会話に横入りしてきた。


「あれはジュエルミンと言って、僕の真の姿と言っていいのかな……そんな感じです」


「よく分かってないんかい!」

 すぐに答えてしまうほどには呆気に取られた。


「はい、なんか、咄嗟にあの時イメージが浮かんだんです」


「あの時って、私がそのジュエルミンになった時?」


「いや、実はあの人と一度変身したことがあって……」

 やっぱりあの時のことは夢じゃなかったのか。と思った。あの時彼がいたのも、全部ほとんど辻褄が合った。


「だからオーラを感じたんだ……」

 


 ――数分後――


「おかえりなさい」

 ただいまの一言も無く、彼は帰ってきた。


「そろそろ寝たい」


「でも寝てる時に現れたら……」


「じゃあ僕が見張ってます!」

 影月が意気揚々と声をあげる。


「お前じゃ押し負けるに決まってる」


「じゃあどうするんです?」


「俺は眠らなくても平気だ」

 


「そう?」

 きっとそれくらいの意気込みなのかもしれないと思った。


「じゃあ、お願いします。あっ、寝込みを襲ったりしたら許さないので」

 静の目はどこか何とも言えない表情で彼を睨みつける。


「俺にそういう興味は無い」



 ――午後十時頃。ベッドルームにて――


「真白。私あの人嫌いなんだけど」

 静は開口一番に軽い陰口を吐いた。


「ちょっと、本人が聞いてるかもよ」

 もしかしたら彼は言葉通りに寝ていないのかもしれないので、この一言を聞かれたら、あまり良くない。

 それに、人の陰口はあまり好きじゃない。

「だってあの態度! なんか舐めてる感じがするもん」


「う〜ん、そういう人もいるよ……」

 何とかこの場を流そうとしようとする。

 

「まあ、そうかもね〜」

 と、軽い気持ちのこもった返事が来た。

「何その返事〜」


「はは、なんか懐かしいね。学生の頃を思い出しちゃった」


「一緒に寝たことないでしょ」


「あっ、バレた〜? でも真白はすごかったよね〜文武両道っていうんだっけ? もうね、超人だった!」

 私は人より勉強できたし、運動もできた。だから他人からは羨まれることもあったし、同時に妬まれることもあった。

「ちょっと、それは言い過ぎ」


「あと、忍先生にめちゃ懐いてた!」

 忍先生は私の高校の頃に三年間担任だった先生で、私の恩師だ。


「あ〜懐かしい! また会いたいな〜ホントいい先生だった」


「それに比べたら、私なんて……」


「どうかしたの?」


「私ね、全然変われてないなって最近思うの」


「そんなことないよ。雰囲気だいぶ違うし、彼氏もできたんでしょ?」


「実は、彼氏できたの嘘なんだ……」

 

 少し動揺した。


「見栄を張ってたの。真白を見てさ、すっごく大人びてたし、もう社会人って感じで」


「結局私はなんにも変わってない。それなのに、真白も、他のみんなも変わっていってさ、私だけ、ずっと……」


「そんなことないよ。今でも子供っぽいところなんてあるし、諦めた夢、ずっと引きずってる。」


「漫画家になるんだー! ってやつ?」


「うん、今の仕事もやり甲斐あるけど、なんか、自分がここにいるべきか分からないし、っていうか、ずっとそうだったよ。ここにいていいのかってずっと悩んでた」


「私、嬉しかったよ。孤独だった私に、寄り添ってくれたこと、静が友達でいてくれたこと。全部嬉しかった。ありがと」


 孤独――生まれた時からそうだった。

 私は孤児院で育った。捨て子だったのだ。親の愛情も温もりも、直接肌で感じることは無かったけれど、それ相応のものは手に取る事ができた。

 

 静は良き友人でいてくれた。なかなかこの世界に馴染めなかった私を助けてくれたから。

「真白……」


「なんかごめん//そろそろ寝よっか」

 少し照れてしまい、顔が熱くなっていた。


「うん。おやすみ」


「おやすみ」


 ――リビングにて――



「なあ、そもそもお前はなんなんだ」


「いや〜それが、あんまり覚えてなくて〜」


「はぁ……わかる範囲でいい。言えることはすべて言――」

 その時だった。カゲムシャーの音だ。ディスプレイのあるものはある程度塞いだはずだが、奴らはやってきた。見ると、二人のいる部屋に壁を登って侵入してきた。



「今度は蜘蛛か」

 全身は真っ黒で、タランチュラのようだった。


「どうだい? 僕の作戦は」

 と連れのアルセーヌが髪をいじりながら意気揚々と話す。


「おい! 起きろ!」


「何よ……って、きゃあああああっ!」


「仕方がない……。おい、クナイ野郎!」


「影月です!」


「どうでもいい。やるぞ。受信変装!」


「君が!?」

 俺はテレビに付けた新聞紙を破る。


「モースモノゾーン!」


「どうして!?」


 ――モースモノゾーンにて――

 今回はどうやら高層ビルの屋上のようだ。といってもそこまで高くはない……と思ったが、下を見ると、並大抵の人間なら怖がるのはおかしくない程の高さである。


「まずはあいつから……」

 俺は蜘蛛野郎に標準を定めた。

 

 シャァァァァと音を立てて糸を吐く。俺は向かってきたそれを切る。相手は何発も撃ってきたが、風切りを発生させながらも切り、切り、着実に相手の方に向かっていく。


 近づいた後に、腕を一本一本斬り落としたが、妨害が入った。あと一息だったのに。


「困るよ〜ここで倒されちゃったらさぁ。しょうがない、助けてあげるよ」

 彼の左腕には謎のブレスレットが付いていた。


「なんだ、それ……」


 ――日時不明。謎の場所にて――


「お呼びかな? 博士ちゃん」

 飄々と研究室の扉を開け、軽い足取りでステップを踏みながら、アルセーヌは彼女の近くまで来る。


 彼女の服装はなんだかおかしい。白衣の下に下着を付けているからだ。寒くないのだろうか。


「ええ。新しい装備のテスターになってもらおうと思って」


「へ〜、それはどんなお宝かな?」

 ジュラルミンケースから出てきたのは新たなブレスレットだった。

「これは!?」

「シャイニンチェンジャーをアップグレードとリバースエンジニアリングによって完成させた新たなチェンジャー。名前は“カラトチェンジャー”。これには貴方だけでなく、使役しているものも強化できるわ」


「へぇ〜ところで、“カラト”ってどんな意味?」


「意味なんてない。センスよ」


「センスって……まるで――」

 言いかけた途端に、彼の首に鎌の刃先が向いていた。

「それ以上言うな」

 冷たい口調で言う。


「ごめんごめん。ギャグだって……じゃあ、有り難く使わせて貰うよ」


「それ、今一個しかないから。壊さないで」


「はいは〜い」

 そう言って、彼は部屋を出た。


 ――閑話休題――


「これは、博士ちゃんの新しい発明品さ。シャイニンチェンジャーのリバースエンジニアリングによって作られた。名前は、カラトチェンジャーだったかな」 


「横文字だらけで混乱するぅ」

 影月、お前は少し黙ってろ。

 

「そんなのは関係ない。ただ相手を潰すだけだ」

「行け」

 そう言うとあいつはディスクをセットする。

 すると蜘蛛野郎は氷を纏った。〈スラッシュブリザード〉。使うと氷の能力が使える〈シャイニンディスク〉だ。


 さっきまでの糸とは違う氷柱のような物に変化した。


「当たったらひとたまりもないですよ!」


「分かってる!」

「なら、あれを使う番ですね。ボタンを押してください!」

“受信忍法! 稲妻超加速!”


 高速移動によって相手は視認できないほどになった。

 音を立てることなく、距離を詰めていく。

 そして相手の近くまで来た。すかさず腰を斬った。

 中には人はいなかった。

 

 次はあいつだ。


「お前には聞きたいことがある」

 膝に蹴りを入れ、相手を倒れさせる。

 馬乗りになって問い詰める。


「ま、待て! 一体君はなんなんだ! モースモノゾーンを使えるとは……只者ではないようだけど」


「ああ、そうだな。シャイニングキラー。そういえば分かるか? 馬鹿野郎」


「シャイニング……キラー!? お前は死んだはずじゃ!?」


「どうやら生きていた……らしい。そんなことはどうでもいい」


「どうでも良くない! って、うっ……」


「お前の仲間はあと何人いる……」


「聞いてどうする……」


「倒すだけだ」


「そうか。なら言わない」


「そうか。だったらここで消えてもらおう」


「待ってください!」


「何故だ!」


「分からないです……でも、倒してはいけない気がしたんです」


「俺は、こいつを倒す。それが俺の生きる道だ! 俺には、これしかないんだ」

「でも!」

「――なら、これで勘弁してやる」


「くっ……」

 俺はブレスレットを壊し、あいつの持っているディスクを四枚ほど拝借した。

「次は必ず、お前の人生を終わらせる。それと、あの女にはもう手を出すな。そうすれば命は、命だけは助けてやる」


「わ、わかったよ……では、さらばだ!」


(なぜ、モースモノゾーンを抜けない?)


「終わったぞ」


「早!」

 モースモノゾーンでは、時間の流れが違う。だからそう思うのも仕方がない。

「本当に?」


「ああ、お灸も据えておいた。これで狙われることはない……らしい」


「まあ、一件落着ってことで」


 ――翌日朝6時頃。とあるマンションの近くにて――


「ほんとに大丈夫?」


 キャリーケースを持った静は元気だった。


「うん、ありがとう。あと……ごめんなさい。色々と迷惑かけちゃって」


「気にしないで。困った時はお互い様だよ」


「そうだね。ねぇ……真白はさ、自分の思うままに生きてみればいいんじゃない?」


「え?」


「諦めた夢、また挑戦すればいいじゃん」


 その一言に少し心を動かされた。

「そう、だね……考えとく」


「うん。そんじゃ、またね。」


 静を見送った真白は目線を彼の方に向ける。


「貴方はどうするの?」


「あいつには仲間がいるはずだ。ただ倒すだけだ」


「でも……きっと彼らにも理由があって――」

 影月が答える。


「そんなものはどうでもいい」


「まあ、細かい話は入ってからにしよ」

 そう言って、三人は部屋に入っていった。



 あっ! ごめんごめん。気づかなくってさ。つい話に夢中になってたよ。

 

 どうやら彼らのプロローグはあともう少しだけ続くらしいよ。

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