第40話 戯れ
「私がエロく……。それってつまりえっちな私になればいいということですか?」
「そーそー。それなら彼氏君もそういう気になるんじゃないかなー」
「そうですよ陽香さん! きっと階堂さんだって悶々とした日々を送ってるはずです」
「そうなのかな? お姉ちゃんはどう思う?」
「そうねぇ……。陽香のほうから階堂君が誘いやすい雰囲気を作るのはアリだと思うわよ」
「雰囲気作りかぁ。私にできるかな?」
「ねぇねぇあのさ、陽香ちゃんは彼氏君とどこまでいきたいって思ってるの?」
「どこまで……ですか? うーん、思い切ってこの街から数時間はかかるような遠い場所に行ってみたいです」
「あ、ごめん。聞き方が悪かった。私が言ってるのは彼氏君とどこまでえっちなことがしたいかってことだよ」
「えっちなこと……! やっぱりキス……してみたいです。それからお互いに触れ合って、一緒のベッドで寝たいです」
「それってもう最後までってことじゃん! 陽香ちゃん、やるねぇ! もう全力で応援しちゃう!」
「ありがとうございますー!」
「亜希、私からもありがとうを言わせてもらうわね!」
「お礼なんていいってー。流菜もそうだけど、えっちなことに正直な女の子って応援したくなるんだよねー」
「亜希が言ってること、分かるなぁ。私も陽香が可愛くて仕方ないもの」
詩恩の言葉に、亜希は「うんうん」と大きく二回頷いた。
「さぁ、そうと決まれば作戦会議しよっか! そういえば流菜も陽香ちゃんの彼氏君を知ってんだよね。なんか情報とかあったりしない?」
「情報かぁ。……あ、そういえば前に私が階堂さんのためにピックアップしたいろんな小説の候補の画像を送り付けた時、同級生ものに一番興奮したって言ってたよ。多分だけど試し読みしてたのかも」
「いいじゃん! もうちょっと詳しく」
「えっと、確か『いつも明るくて純粋そうな同級生の女の子が実はめちゃくちゃエロかった』のがいいって言ってたかな」
「確かに陽香ちゃんって真面目で明るい優等生って感じだもんね。彼氏君、ギャップ萌えに弱いのかー。そういえば陽香ちゃん自身は今までどんなアプローチをしてきたの?」
「えっと、お付き合いする前は一緒に下着を買いに行ったりしてました。そしてその時に選んでくれたものを着けてデートして、そこでこれでもかってくらい見せました」
「めっちゃ積極的! けっこう大胆なんだね」
「お姉ちゃんからのアドバイスなんです!」
「大胆なのは詩恩だったんだー」
「一緒に下着を買いに行ったって聞いて、最初は私も驚いたわよ。でもだったらそれを活かさないのはもったいないわよね」
「分かるー。自分が選んだものを相手が使ってくれてたら超嬉しいもんね」
「でも私なりに頑張ったんですけど、なんだかずっと私と目が合って下着や谷間は全然見てくれなかったんです」
陽香がそう言うと亜希は少し考えているような様子を見せ、口を開く。
「なるほどねー。彼氏君、頑張るねぇ。でもだからこそ信用できると言えるね」
「お姉ちゃん、どういうこと?」
亜希の言葉に流菜が問う。
「例えば流菜がデートしてるとして、相手が流菜の胸や下半身ばかり見てるって分かったらどう思う?」
「キモい。私じゃなくて私の身体が目当てなんだって思う。でも同時にこの人は今私の身体に釘付けなんだって思うとつい反応しちゃうかも。もしそれが好きな人ならきっと反応しちゃう」
「うんうん、流菜は正直で可愛いね! でもキモって思うんだよね? きっと陽香ちゃんの彼氏君はそう思われないように、頑張ってワザと下着や胸を見ないようにしてたってこと」
「……あ、そういえば階堂さんと話してた時に同じようなことがあったの思い出した。もうずーっと私の目を見てるの。だからもうこっちから見せてみたくなっちゃったんだよね」
「じゃあきっと流菜にも嫌われたくなかったんだね。誰だってチラ見くらいはすることがあるかもしれないけど、それでも身体をガン見してくる男よりはずっと信用できるよね?」
「確かにそうだね」
「だからもうむしろ今度デートする時は陽香ちゃんから積極的に密着していくのはどう? 詩恩はどう思う?」
「密着って、ボディータッチということかしら?」
「そーそー。私らだって興味ない男には触れられたくないし触れたくないじゃん?」
「そうね。それもあるけど私の場合は相手の子に勘違いさせたら悪いからとも思うわね」
「それもあるねー。好きな男だったら逆にベッタベタに触るけど。ドン引きされない程度で」
亜希はそう言うと、陽香の胸に目線を向けて問う。
「陽香ちゃんもデカいよねぇー。彼氏君、胸の大きさの好みはどうなんだろ? デートしててどう思った?」
「うーん、正直わからないです。だって私の胸を見ないんだもん」
「陽香さん、多分ですけど階堂さんは胸の大きな子が好みですよ。だって階堂さんが選んだ本の表紙イラスト、巨乳の子ばかりでしたから」
「なるほどねぇ。きっと無意識のうちに選んだんだろうね。次に会ったら積極的にアピールしてみるのはどう?」
「アピールですか? でもどうすればいいのかわかりません」
「そんなの簡単じゃん、当てるの。ほとんどの男は喜ぶんじゃないかな。まさかマジギレされたりはしないっしょ」
「陽香、あくまでもさりげなく、ね。例えば腕組みをするとか。そしてちょっとだけ強めに胸をギュッと押し付けるような感じで」
「うぅー、私にできるかな? 変に思われないかな」
「きっと陽香なら大丈夫。それにこれはちょっとしたアピールだからね。例えばいきなり胸を触らせようとしたら変に思われるだろうけど、腕組みして密着するくらいのことはカップルなら普通のことで可愛いものよ」
「うん、わかった。私、頑張ってみるね」
「それはそうと陽香ちゃん、ちょっと胸を触らせてもらっていい?」
「えっ? どうしてですか?」
「流菜もそうだけど、つい触ってみたくなるじゃない?」
「前に流菜ちゃんにも同じこと言われました」
「そうなんだ。やっぱり私の妹だねぇ、考えることは一緒だ」
「わかりました、どうぞ!」
陽香はそう言うと亜希の正面に座り、少しだけ胸を張って突き出している。
「ありがとう。それじゃちょっと失礼して……」
そして亜希は陽香の胸をそっと触った。陽香は目を閉じてそれを受け入れている。なんだか陽香の呼吸が少し荒くなっているようだ。
「やば、超柔らかい……! 手に吸い付く」
「亜希ってば、初めて触った男の子みたいな感想じゃない」
「いやいや、ホントにすごいんだって。……そういえば詩恩もいいもの持ってるじゃん。触らせて?」
「えっ、私も? ちょっと、何を考えてるのかしら。……はい、どうぞ」
「そう言いつつ触らせてくれるんだ」
そして詩恩は亜希の前へと移動して胸を突き出し、亜希が優しくそっと包み込むように触った。詩恩も陽香と同様に黙って目を閉じて受け入れて、呼吸が荒くなっている様子だ。
「やば、二人とも最高すぎるんだけど。次は陽香ちゃんと詩恩、二人同時に……!」
「ねぇ亜希、まさかこれで終わりじゃないわよね?」
「もう、仕方ないなぁ。いいよ、私のも触って」
「えぇー、私も詩恩さんの胸、触りたい」
「流菜も興味あるんだ。それならもうみんな順番ってことで」
こうして女の子だけの戯れが始まったのである。
そしてその日の夜、陽香は階堂に連絡をしてデートの約束をした。




