第22話 妄想姉妹
今日の授業を全て終えて、朝陽奈 陽香は自宅へと帰って来た。
そして母親に「ただいまー」とだけ告げると、足早に二階にある自室へと入る。
その部屋は白を基調としており、ベッド・テレビ・小さめのテーブルに一人用のソファ・その上に薄いピンクのクッション・カラーボックスや本棚など、全体的に女性らしくかわいい印象だ。
そしてテーブルの上にカバンを置き、上下とも薄い青色をした半袖シャツとショートパンツというルームウェアに着替えた。
半袖シャツはややゆったりではあるものの、それでも大きく膨らんだ胸元がハッキリと分かり、ショートパンツから伸びる足は白くしなやかだ。
それからスマホだけを持った陽香はベッドに寝転ぶと、枕に両肘を乗せてスマホを操作していく。
そして表示された画面は、今日の昼休みにあの二人と話した時に文月のスマホが開いていたものと同じ。つまりはR-18指定の小説の販売画面だ。
(わぁー、初めて見たけどすごい……!)
所狭しと画面に表示されるカバーイラストは、そのどれもが陽香の興味を惹くものであり、見事なまでに美少女ばかりが描かれている。
それらを一時間ほど眺めてから陽香は部屋を出た。向かった先は隣の部屋の前。ドアをノックすると中から女性の声で「どうぞー」と返って来たので、中に入る。
「お姉ちゃん、ちょっと相談があるんだけどいいかな?」
「もちろんよ! 可愛い妹のためなら」
そう返事をしたのは陽香の姉、詩恩。21歳の大学生。陽香が黒のロングヘアであるのに対し、詩恩は茶色がかったミディアムヘア。
陽香と同じくその顔立ちは整っており、陽香と比べるとやはり大人びている。姉妹そろって美人だと言えよう。
「今日ね、学校の友達とお話ししてたらこういう本の話題になったんだ」
陽香はそう言うと、自身がさっきまで見ていた画面を見せた。
それを見た詩恩は最初こそ驚いた様子だったものの、すぐに陽香に話しかける。
「そうかぁ、陽香もそういう年頃なのねぇ」
「それでね、一つ買ってみたいなって思ってて。でも私はまだ買っちゃいけないみたいなんだ」
「そうねぇ。確かに陽香にはまだオススメできないわね」
「だからお姉ちゃんに買ってもらおうかなって」
「それで私のところに来たわけね。でもここに載ってるのは男性向けよね。買ってどうするつもりなのかしら?」
「男の人が好きなことを知りたいなって思ったの」
「もしかして好きな人ができた?」
「好き……かどうかはまだ分かんない。けど気になるなって思ってるの」
「あ、もしかして蓮二君? 昔は家が隣同士だったからよく遊んでたわよね。今も同じ高校なのよね」
「ううん、蓮二じゃないよ」
「そうなの? 陽香はいつも蓮二君について行ってたと思うんだけど」
「うーん、それがね、確かに子供の頃から好きだったんだけど、高校生になってからは話すことがほとんどなくて。でも二年生になってから一緒に出かけたけど、なんだか怖いなって思っちゃった」
陽香は江並から執拗に部屋に誘い込もうとされたこと等を説明した。
「そうねぇ……。確かにそれは行かなくて正解だと思うわね」
「だからね、男の人はこういう本に書いてあるようなえっちなことが好きなのかなって思ったの。……変かな?」
「全然変じゃないよ。えっちなことを考えるのは恥ずかしいことじゃないからね。特に陽香くらいの年頃だとね。経験済みの子もいるんじゃないかしら」
「わっ……、私にはまだ早いよー」
「陽香はその男の子とえっちなことしたくないの?」
「どう……なのかな? まだ早いかな? 自分でも分かんない。でもいろいろ妄想しちゃって、つい手が伸びちゃうことがあって。今日は学校でも……」
「あぁー、分かるなぁ。私も陽香くらいの歳の頃、当時好きだった男の子とのシチュエーションをいろいろ妄想してたなぁー。そしてつい手が伸びそうになるのよね」
「お姉ちゃんもだったんだ」
「そうだよ。私としては一人ですることも普通のことだと思ってるからね。それで陽香はこれからどうするつもり?」
「もっと仲良くなりたいなって」
「そっか。それでその男の子はこういうことに対してどんな感じなのかしら? 理解がありそう?」
「嫌悪感はなさそう……かな? 一緒に下着を買いに行ったこともあるし」
「陽香、思ったより攻めてるじゃないの……。もうそっち方面でアプローチしてもいいかもしれないわね」




