08話 異世界の暮らし
「戻ったらギルドに行ってこれ渡せばいいの?」
「そうそう、依頼書もいっしょにね」
俺は門が見えたところで口を開き、どうするかサフィルに聞いた。
「これって今日中に渡すほうがいいと思う?」
「確か依頼って二日だったよね?なら明日でもいいんだけど、まだ時間あるから行っておいでよ」
「ならそうする」
会話をしているうちに門に着いた。
門には門番がいた。
サフィルはギルドカードを門番に見せた。
「サフィルちゃん、ロジルさんが待ってるよ」
「そういえば置いて来たんだった」
門番の言っていたとおり、門を抜けたあたりでロジルが待っていた。
「おいおい、二人揃って夕方帰りか?」
「依頼を終わらせてきただけだよ」
「そうだったのか。ていうかワタルも一緒か」
「どうも、お昼ぶりですね」
他所他所しい俺の言葉を気にしたのか、ロジルは言った。
「なぁワタル、もう冒険者なんだろ?」
「ですね」
「なら俺たちはもう仲間だ!だから敬語なんていらねーよ」
「わかったよロジル」
「おう!」
そう言われた俺は、ロジルのいう通り敬語を使うのをやめた。
というかもう昼間の酔いは覚めているみたいだ。
それから冒険者ギルドまでの道のりの間、ロジルは俺たちと話した。
「ワタル、このレッドスライムも倒したのか」
そう言ってロジルが口を開く。
「いや、それはサフィルが倒したんだよ」
「ならこいつも一緒にギルドに買い取ってもらうといい」
レッドスライムが入ったビンをロジルに渡された俺は、サフィルと受付に向かった。
「俺はロビーで待ってるわ」
ロジルはギルドのある休憩所のようなところでゆっくりしていた。
まだ酔いが残っていたのだろうか。
ていうか、今日どうしよう、一旦異世界転移魔法で帰るか?
そんなことを考えてると、俺たちは受付に着いた。
「ワタルくん、依頼は達成できましたか?」
「えーっと、これ、お願いします」
ポケットから依頼書を出し、カバンに入っているスライムのビンを受付の台に出した。
「なんて段取りが悪い……」とシルべさんに思われたらと考えると少し心が傷ついた。
シルべが依頼書とビンを確認して、少し時間が経つころだった。
「はい、依頼達成ですね」
シルべはそう言うと、手に持っているはんこを、依頼書に打ち込んだ。
「こちらのスライム二本とレッドスライム一本を買取でよかったですか?」
「お願いします」
そうすると、奥に向かったシルべは買取の手続きをしに行った。
「お待たせしました。ではこちら銅貨16枚になります」
シルべの言葉を聞いたサフィルが口を挟んだ。
「ちょっと待って、レッドスライムって銅貨何枚の買取?」
「えーっと、レッドスライムは10枚になってます」
「18枚にならないかな?」
この世界の価値観がほとんどない俺でもわかる。
ふっかけ過ぎじゃないかと。
流石のシルべさんもさげざるおえない。
「そんな、なら11枚になりませんか?」
「17枚!」
しかし、その後もサフィルは引かない。
負けじとシルべも言い返す。
「なら13枚!」
「16枚!」
その言葉を物ともしないサフィル。
最後の言葉を振り絞ってシルべは言った。
「14枚!これ以上となると買取できません』
「わかった、14枚でお願いするよ」
今度こそ引き下がったサフィルだったが、買い取ってもらえなかったらどうしてたんだよ。
それほどの価値があのレッドスライムにあったということなのだろう。
「では、こちら銅貨20枚になります」
そう言ったシエルは息を少し切らした様だった。
ロジルと合流し、ギルドを出るとすでに日が暮れていた。
さっきも考えたけど、どうしよう。
サフィルの前で突然消えるのも申し訳ないし、せっかくできた縁なんだ。
せっかくだし、異世界で一夜を明かすのもいいかも。
そう考えた俺は泊まる宿を探すためにサフィルに聞いた。
「なぁサフィル、この辺に宿ってある?」
「なら、私たちが泊まってる宿においでよ」
するとサフィルは自分の泊まっている宿を勧めてくれた。
『ちょいとサフィルさんや、パーティーにも誘わなくていいのかい?』
いつもと違う口調で話すロジルは、声が小さく、俺には聞こえなかった。
「それは、また明日言うから大丈夫!——」
強い口調でロジルに返したが、なんのことか俺は全くわからなかった。
それにしても、サフィルが泊まっている宿。
とても気になる。
さぞ、いい宿なのだろう。
そう期待に俺は胸を膨らませていた。
「……?せっかくだしその宿にするよ」
「うん、じゃあ行こっか」
幸い、お金はあったからサフィルと同じ宿にすることになった。




