07話 師匠はとても強かった
ウキウキで俺の足は浮き足立ってるってね。なんちゃって……。
スライム薬を回収し終えた俺たちは来た道を戻っている最中だった。
歩き始めて少しするとサフィルが口を開いた。
「さっきの刺突って誰かに教わったりしたの?」
「それは見よう見まね?」
「すごいよ。だって剣で戦うってなったら斬るとか考えない?」
サフィルが褒めたのは突き刺したことであって、技量ではなかった。
俺はそのことに気づくと、少しテンションが下がるが褒めてくれたことには変わりない。
「そうだけど、スライムの核まで楽じゃん?」
「それそれ〜。やっぱり渉って戦闘センスあると思うよ」
「そう?……なら頑張って強くなりたいな」
俺がもともと勢いで戦ってただけなんだ、とは言えなくなった。
少しすると、サフィルが急に止まったと同時に口に人差し指を当てて、何かを見ていた。
俺の視線も誘導されるように見ると、そこには赤いスライムがいた。
それにしてもでかい。
赤スライムはこちらに気づいたのか、サフィルのより俺が弱いと判断したのだろう、途端に俺目掛けて突進してきた。
間一髪で避けれたが、サフィルに「退いて!」と言われ、俺は手で突き飛ばされた。
「痛っ」
俺は文句を言う暇もなく、次の瞬間には彼女は口を開き唱えていた。
『|飛雷針』
サフィルが手を伸ばし、その先で針にしては少し大きいものが現れた。
その針からバチバチという音とともに、雷を纏っているように見えた。
放たれたそれは、目で追えない速さで赤スライムの核を撃ち抜いた。
「さすが私、百発百中」
「……俺突き飛ばす必要なかったよね??」
全くもってサフィルの言った通りなのだが、俺は突き飛ばされる必要はあったのだろうか……断じてない。
「まぁその場の勢い?」
「……」
サフィルの言葉を聞いた俺は思った通りの回答に返す言葉がなかった。
「まあまあ。怪我はなさそうだし、大丈夫!」
「……」
俺はサフィルに肩をトントンとされたが、やはり何も言葉が浮かばない。
腑に落ちない。
そんなことを思ったってどうしようもないから忘れることにした。
「まぁ、この赤スライムは私が回収しようじゃないか」
「サフィルがやるの?」
「舐めてもらっちゃ困るよ……見ときな」
サフィルは女だが、その横顔がカッコよく見えた。
こう言う時、不器用と相場が決まってると思うんだけど、サフィルはどうだろうか。
そんなことを考えている俺は、目の前の出来事に驚かされた。
「ひょいひょいひょーい——」
そんな言葉を口ずさんでいたサフィルは、瞬く間に赤スライムをビンに入れられた。
ビンを持たずにもわかる。
不純物もなければ、時間も早かった。
やはり、こっちの住人は違うと考えさせられた。
年は俺とそう変わらないはずなのに。
ていうか、不器用とか思ってたやつ誰だよ……。
「よし、おわりー」
「すごいよサフィル!」
「でしょでしょー」
ビン三個分を俺がビン一個集めてる時間とより早いと思った。
「帰ろっか、日が暮れると門閉じちゃうし」
太陽は斜めに落ちている。
もうあと小一時間すれば夕日が見えそうだった。
「うん、体も疲れた感じするし」
そう言って俺とサフィルは門までの道のりをまた歩き出した。
「それにしてもなんでこんな体がだるいの?」
「初めて魔力つかったからだと思う」
「魔力使い果たしたらどうなるの?」
魔力を使い果たしたら、大抵気絶するか、意識あるまま倒れるかのどちらかだろう。
しかし、俺が思っていたのとは違がった返答だった。
「うーん、気絶して倒れるんじゃないかな。ていうか、渉は使い切らないと思うけど」
「え?」
「だって、空気中の魔素を吸って、魔力回復してるからね」
なんかそう言うスキル持っていたような気もする。
帰ったらステータス確認してみるか。
俺はそう思いつつ、道のりを歩いていた。
なんか、こんなに距離離れてたっけ?




