10話 忘れたこと
俺たちは宿に着いた。
「ぐぅ」と俺のお腹から音が出た。
「しょうがないよ、午後から動きっぱなしで何も食べてなかったから、私もお腹空いてるしね」
「この宿って食事とか出来ないの?」
「もちろんできるとも」
チェックインの様なことをカウンターでやる
「今からでも宿泊お願いできますか?」
「すいません、ただいま空き部屋を確認しますので少々お待ちください」
「わかりました」
「えっと、一部屋空いていますがその部屋でも大丈夫でしょうか」
「一泊いくらですか?」
「8500ゼニです」
「ではこちら一週間分でお願いします」
「——ちょうどお預かりします」
寝室の番号が「301部屋」と記された紙と鍵を渡された。
「夕食は2階のフロアですので、ご注意ください」
と、受付の人に言われた。
俺はサフィルたちが待っているであろう、2階に向かうことにした。
それにしてもエレベーターがあるとは思わなかった。
これ現代にも取り入れるべきだろ、ていうかどうやって動いてるんだ?
俺はそれに乗ると、全く揺れが感じずに2階に到着した。
「あ、いたいた。こっちだよワタル!」
俺はサフィルのところに少し早足で向かいつつ、そのにはロジルもいることを確認した。
「よかった、みんなここにいて……」
「よし、じゃあ早速食べようぜ」
異世界ではまさかのビュッフェだった。
これもしかして前の勇者がやったみたいなやつ。
ロジルとサフィルは皿いっぱいによそっていた。
二人は両手を合わせていた。
しかしその直後には口に入っていた。
「おいし〜!」
速い。速すぎる。
俺の目でも追えるのが精一杯だった。
にしてもさすが異世界メシ。
何を食べているのか予想がつかない。
「食べないの?」
「た、食べるよ」
しかし、下を向くと食べるつもりで取ってきたものが、俺の皿からすでに無くなっていた。
「あれ……」
「なぁワタル、食事は弱肉強食だって知ってるか?」
「いつのまに!?」
「ほらほら、サフィルばっか見てないで、取ってこい」
「ちょ——」
ロジルは俺がサフィルのことばかり見ていると本人の前で言われた。
「——どうしたの?早く食べないと時間なくなっちゃうよ?」
しかし、当の本人は気にするそぶりもなかった。
「はいはい、取ってきますよー」
なんだかよくわからないゴテゴテした料理からあっさりしてるような料理まで、たくさん並んでるけど、どれが美味しいとかわからない。
だからこそ試してみるしかない。
そう思った俺は片っ端から順に皿によそっていった。
「ワタルって根性あるんだな!」
「食べきれなかった時は助けてよ」
そう二人に言った。
「おう」
「もちろん」
思いの外二人に助けてもらった。
にしてもまだおかわりするのか。
◯食みたいなスキルあったりするんじゃない?
なんだかんだで俺は夕食を楽しみ、ようやく部屋に帰ることになった。
「ねぇ、ワタルて何号室?」
「301だったよ」
「じゃああとで行くね」
そう言って俺を置き去りにして、サフィルは自室に戻っていった。
今度は階段を使い三階に上がって行き、301号室に入った。
「おお!」
それはとてつもなくいい部屋だった。
ベッドはキングベッドみたいなサイズで、部屋の装飾も豪華だった。
しかもお風呂があった、宿っていうかもはやホテル。
異世界の宿もといホテルには風呂がないイメージだったけど、ちゃんとあった。
しかもめっちゃ貴族が入りそうな形してる。
「やっべぇな!」
俺はあのベッドにダイブしてみると思わず声に出てしまった。
1日中いろいろなことがあって疲れが溜まっていたのか、俺はそのまま眠りについてしまった。
何か忘れている気がするけど、俺は起きるそぶりも見せなかった。




