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 卒業アルバムに残されていた蜜柑子の直筆文。

 恩師へ感謝の気持ちを贈る生徒らの寄せ書きがそこに大きく収められていた。


 そこから翔太の残した備忘録に記された筆跡とを照合して概ね担任のものと断定する。


 その後、当時の同窓生たちはすり替わっていた内容文や翔太のその後の行方が気がかりで仲間内で相談した結果。もっと真相を知りたくなり、この文書と想い出を携えて最終的に警察へ届け出た。



 行方不明者の捜索願いとして県警に届け出てみたのだ。

 警察は当初、いたずらの可能性を指摘するだけで本格的な捜索は期待できないと。


 何十年もの前の人間は、事故や事件性がなければお手上げだとの現実を突きつけられる。個人の捜索願いについては直接の家族か親族としての証明がなければ受理されないのだ。


 だが彼らは諦めずに探偵事務所なども併せて調査の依頼を試みた。


 彼ら、同窓生たちが捜索対象として証言する二人の人物。


 自記 翔太。久井谷 蜜柑子。

 

 尽力の甲斐あって、そのうち生徒だった翔太の行方が判明する運びとなった。



 タイムカプセルを掘り起こした作業員が幾つかの子供の人骨を発掘し、110番通報をしていたことが判った。つまり翔太の為のみんなの贈り物イベントが殺人事件の現場となっていた事実を同窓生らは知る。


 近年、同小学校の生徒の行方に関する相談を受けていた県警本部の初動捜査の矛先はこれにより絞られていた。

 警察が事情聴取のため同窓生の男性らに任意同行を求めた。

 現場から児童のものと思われる人骨が発見された以上は殺人を視野に入れ、警察は事件性を疑い、やっと捜査に乗り出してくれた。


 白骨化した遺体は誰のものだったか。

 彼らの証言に基づき、歯科検診などの記録等とDNA鑑定を併せれば、本人の特定にはそう時間を要することもなかった。


 元気だったあの子。

 級友を信頼することで前を向き始めた翔太は、あの日のうちに生き埋めにされていたのだった。


 タイムカプセルから取り出された捜索依頼の元となった思い出の品。

 そこに名の記載がある以上、同窓生の河東が重要参考人となり身柄の確保を余儀なくされた。

 河東は事情聴取であっさりと共犯であったことを自白した。


「生き埋めにて殺害せよ」


 河東は、蜜柑子より指示されての犯行であると素直に供述した。


 動機は蜜柑子からの肉体的誘惑。その甘言に乗せられてまんまと虜にされた。

 言うとおりにしなければ身の破滅が待っているだけだとの脅迫に遭った。

 当時、河東は長身で体つきはすでに中学生と変わらなかった。


 しかし、校庭の地中で翔太の息の根が止まったであろう頃。

 脅迫相手の蜜柑子も河東の前から忽然と消息を絶ってしまった。

 その後、彼女からは一度たりともコンタクトはなかったとも供述している。


 おぞましい呪縛からやっと解放された。

 いつか自分の元に捜査の手が伸び、真実の告白と懺悔の機会が訪れることを願って止まなかったと安堵の表情とともに河東は刑事の腕の中で泣き崩れた。


 もっと早く自首することは出来なかったか、刑事の問いに河東は。

 蜜柑子が姿を隠したことで「監視の目」の恐怖が夜な夜な彼の耳元で囁くと。


 お前は翔太の死を誰より強く望んでいたではないか、と。


 


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