その9
服の何処かに置いてある四種のブロックをボディータッチで探る。
ゴツゴツした異物を発見した絢音はブロックを掬い上げ刻鉄の蒼だけはポケットに戻した。
「シルアを翻弄し、無害な人間を殺させ、仲間を暗闇に落とした華咲一族の者よ。 人類最強こと間霧絢音がお前らを裁く!」
村崎沙久間に集めさせたアルトリス、クレイコア、デュアルの三種の物質を一つに統合し創造をする。
光と光がぶつかり合い電撃を発生させ天に柱を建てる。
力の衝突が収まると創造が終えていた。
「人生の中で名を与えた武具111種……の頂点に位置する十種類の武具の一つ、星屑の翡翠。 最強の武具で葬ってあげるわ」
持ち手には反り曲がった翡翠の双剣。
握る柄の部分は紅く燃えているようだ。
双剣にしては異様に長く宝珠の結晶が刃と柄の間に埋め込まれている。
「奴は人類最強。 力量は未知数だ。 油断だけは絶対にするな」
「いいえ、油断する必要もございません。 もう奴は動けないでしょう」
絢音は地に膝をつき双剣を松葉杖替わりにして必死に倒れるのを拒んでいた。
肩甲骨から生える針。
神経を麻痺させる毒。
創造の最中の隙に刺されたと気づいても後の祭り。
顎から汗を垂れ流し今にも倒れそうな顔である。
「呆気ないですね」
針を投擲した張本人が鞘から刀を引っこ抜き打ち首にしようと風を断ち切ると……猫のように視界が狭くなった。
刀はちゃんと握っているのに視界が低いのは何故かと目を傾け向けると胸骨から下がない。
「ああっ………あぁああああっ!?」
「隊長の言うことは従うべきよ」
麻痺毒で身体の自由がままならない絢音がピンピンと元気に立っているのが不可解だった。
ただの人間が毒耐性を持っていないのになぜと血液が地に吸われ意識が朦朧とする。
「情報収集してなかったようね。 魔法を帯びていない物質であれば触れた時点でブロックに出来るのよ。 ゆえに毒物も効かない」
死に行く水華に謎だった答えを教えて精鋭部隊に直進する。
美しい双剣は血にまみれて恐ろしく映る。
同胞が一瞬の間に胸から上を切り伏せる刃に警戒が増していく。
あの双剣に接触すれば只ではすまない。
「警戒を怠らなければいける!」
「一人で突っ走るな!」
慢心したのか精鋭部隊の一人が単独で人類最強に挑んできた。
隊長が呼び止めるも聞く耳持たず前身。
双剣を構えて戦闘準備に取りかかる。
「白冷っ!」
「よっいと」
刀身から氷つぶての弾丸が飛び交い絢音を襲うもスライディングで楽々と回避。
剣技を外した隙に懐に潜り込み腹に目掛けて双剣を振るうが刀でガードされる。
力任せでそのまま上空へと弾き飛ばすと水華ニッと笑い次なる剣技を発射しようと構える。
「双剣を生身で受けなければどうてことない!」
「ふーん……なら双剣以外ならどうかしら?」
柄と柄のお尻部分を合体させ双剣が弓へとチェンジする。
一線の弦が現れ弓を移つポーズをすると黄緑の球体がフワフワ浮き、矢へと変化する。
弦を引いて腹部に照準を合わせ叫ぶ。
「星屑の翡翠!」
真名を叫ぶと星屑の集大が腸をぶち破り大空へと消える。
剣が弓に変わるなど考えもしなかった精鋭部隊の青年はあり得ないと呟き絶命した。
「バカが。 お前らも舐めて掛かればああなるぞ。 心して立ち向かえ!」
「「はい!!」」
二手に別れて若者の水華は刀をきつく握り締め左右に止まる。
隊長は空を飛んで弓を所持する人間を見下ろすと目と目が合い絢音は語りかける。
「あなたの二つ名って翼斧の覇者だったかしら?」
「人類最強に知られているとは光栄だな。 いかにも翼斧の覇者と呼ばれる」
「残念ね。 あなたほどの異名を持ち、剣のカテゴリーに属さないレアキャラを屍にしないといけないてね」
「ほざけ。 左右からの剣撃に制空権を握った俺からの斬空波を生き延びれるのなら生きてみろ!」
四方八方から烈波が大気を歪ませ一点に集中する。
弦を足元に向けて放ち空高くへと回避し、球体が何故か撃った場所に残っている。
翼斧の覇者より上空にいる絢音は弦を引いて地表にいる水華に目掛けて射ちまくる。
当然に平気でかわされ降りてくるのを待ち伏せされる始末だが射った数だけ球体が鎮座している。
触れてはならないと恐れを抱いている精鋭部隊は気にはするが弓だけを警戒する。
「次の烈波は避けれまい!」
「――次なんて機会はないから」
糸も張ってない弦を引いて彼女は解放の文字を読み解く。
「星屑の翡翠、拡散せよ!」
球体がグルグルと回転しだすと光が収縮し星屑が地上にいる精鋭部隊を串刺しにする。
避ける方法などない全方向からの小さき翡翠の矢に二人の水華は力尽きた。




