その18
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「霊谷の森近いなおい!」
開幕早々に叫びたくなるのは仕方ないのだ。
何故なら徒歩十分で着く大国なんて普通に想像だにもしなかった。
もっとこう数万キロメートルの侵入者を死海の森を妄想していたのに全然イメージと違う。
「まあ、あの町は霊谷の森の管轄場所ですから、近隣に町を建設した方が問題があった時に対処しやすいとの事で作ったのでしょう」
「なるほど。 だから大国がこんな近くにあるのか」
資金供給源ともなる町ね。
さすがは大国様だ。
さてと、山脈に囲まれた谷を降りたら霊闢共と対決しなければいけない。
目標は谷底に建つ立派な白。
日本の城と似ていて驚く。
屋根は瓦だしシャチホコご反り返って輝いている。
もしや風呂屋みたく彼女が建築したのでは……今はどうやって忍び込むか考えよう。
「谷に降りずに丘を沿って城近く来たらそこから降りて侵入するってのはどうだ?」
「良い案ですわサクマ。 ですがその案は自殺行為です」
「……なぜだ?」
「城周辺の丘上は侵入者を弱体化させる結界に大人数の霊闢が待機しています。 ゆえに侵入するなら丘を降りて向かうしかないのですわ」
「ちっ、一方通行てわけか」
谷上から奇襲しようならば袋叩きにされるってことだ。
数で城周辺を攻めても弱体化を受けてタコ殴りと完璧な迎撃システムだな。
挑戦するなら許されたのは一本道だけ。
敵の能力も未知数と厳しいものだ。
「はぁ、真っ向勝負するほかないのか。 作戦は一方通行に進めだけ……だけどそれでいいか?」
「それしか手段がないのでしょ?」
「うむ、その通り。 ただし、頭を狩るのは俺に任せてくれ」
「オッケー。 邪魔する霊闢は私の刻鉄の蒼で抑えておくからね」
「私はサクマのサポートにトルカのバックアップ致しますわ」
「頼りにしているぞ。 美少女のお二人さん」
タイヤに入れた空気を抜けるように発言したつもりが……ごめんなさい。
そんな俗物を見るような眼はやめてくれ。
余計に力が入ったかもしれない。
「サクマは放っておいて行きましょうリーネ」
「賛成ですわ」
「待て待て俺が悪かったから置いてかないで!」
一足先に丘を降りていく二人を必死に追いかけていく。
無視されるのは辛いってほんと。
「崖を走るとか超人かよ……んって、落ちてる!」
先駆けて疾走するトルカとリーネを追いかけて気付いた。
身体能力が普通で魔法を在留してない俺が崖なんて走れるわけがないと。
踏み外したのと同じで頭から地面に向かって一直線に進んで行く。
なにもアクションを起こさなければ天国まっしぐら。
マントの内に隠した魔法が凝縮されたブロックを漁る。
目視しなくとも何の物質かは触れれば勝手に頭に浮かんで教えてくれる。
これも創造能力の一種だと知ったのは魔法瓶をブロックにしてからだ。
……あった。 風の魔法。
風の魔法を閉じ込めたブロックを握り締め解放する。
パラシュートを担いで空中を降りていくイメージで身に纏わせた。
「無事に着地と。 危うく死ぬところだった」
「……ミンチになれば良かったのに」
「何気に酷い言葉じゃないトルカ!」
「ふふ、嘘よ嘘。 さ、攻略しに行くわよ」
その不適な笑みが嘘に見えないのですが……気にしたら負けだな。
トルカの宣言した通りに攻略を実行しよう。
霊闢が襲ってくるなら崖上かこの平地のどちらかだが……仕掛けてこない?
容易く領土の侵入を許しているのに奇襲してこないのは不自然だ。
警戒を怠らないでお………こう!?
「トルカ、リーネ下がれ!」
城付近にそびえ立つポール型の頂上から何かが光るのが目に映った。
恐らく霊闢の攻撃と悟った俺は前に出て硬化の魔法ブロックを取りだし左腕に強固させる。
予想通りにポール頂上からは弾丸が放たれた。
動作するまで間に合わないトルカとリーネを守るように左腕を翳して弾丸を防ぐ。
第二射が放たれる前に射程外の領域まで後退する。
「どこから攻撃!」
「城近くの長細い塔からだ」
「あんな飛距離から攻撃を行うなんて……なんなんですのあれは?」
「スナイパーライフルみたいな長距離武器の狙撃だ。 射程範囲内に踏み込めばさっきみたいに気付かれず頭を撃ち抜いてくる」
ゾッと二人の顔色が真っ青になる。
俺があと一歩早く察知してなければ死んでいたのを想像したのであろう。
警戒を怠った二人は先程とは比べ物にならないほど真剣な眼差しになる。
神経をとぎすまし戦闘モードに入ったのはいいが狙撃主を叩き落とさなければ城内に入ることは叶わない。
なら、霊闢が知らない兵器でポールの頂上から引きずり落とす。
「狙撃には……ミサイルを」




