その17
「包んで纏めてこれで良しと。 ありがとうな魔法屋。 機会が会ったらまた来るよ」
「くっくっくっ、いつでも待っているよ。 ……いい金づるが顧客になったよ」
最後の一文黒い発言しやがったがスルーしよう。
いちいち気に止めてはきりがない。
乱雑に布袋に入れたので瓶が割れないか不安だ。
中身が溢れれば買い物した魔法がパーになる。
魔法屋を出でこっそり四隅でブロックに変えてしまおう。
「んぐぅっ! 重ぃ!」
肩に魔法瓶が入った布袋を担ぐと重量がずしりとのし掛かり太ももに負担がかかる。
推定30キロはあるぞこれ。
転けないように足場に気を付けないと悲しいことになるぞ。
慎重に後退りしながら踏み外さないように外出ミッションクリア。
割れないように引っ張りながらスローモーションで降ろしていく。
ガラスがぶつかる音が破損したのではないかとハラハラするが見事地面に置くことに成功した。
「はぁ、はぁ、はぁ……重労働だ。 まだ労働しないと……」
運び出しは終わったがブロック化はまだ終えてない。
纏めてブロックにしたいのは山々だが一個一個触れないとブロック化出来ないのは難点だ。
楽な作業ではあるものの地道なタッチするだけの仕事が面倒だ。
ブロック化しないと重たい荷物を運ぶ羽目になるので必ずしますけどね。
「ちょん、ちょん、ちょん、ちょんと。 まだ半分もあるのかよ」
文句を言い垂れつつ黙々とブロック化作業すること三分後。
カップラーメンが出来上がる時間帯で終わらせ軽量化した魔法瓶を布袋に再度包む。
担ぐとさっきとは比べ物にならないほど羽が付いたように軽い。
ジャンプしても走っても全然いける。
四次元に収納して持ち運びしてるようで楽々だ。
この前任者のブロック化能力はほんと便利で助かる。
「戦に必要な物質は調達したし服を買うか」
独断で一人行動してしまったのでトルカとリーネとは離ればなれになってしまう。
探すのも時間が勿体ないので新しい私服を物色することにする。
何処もかしくも圧倒的にマント系の種類が非常に多い。
レクシリアではマントが主流のファションと伺える。
日本では日中マントなんか着ていたら警察に通報されるのだがレクシリアでは疑心に思われない。
憧れのマントを堂々と着れるのは中二からの夢であり最高に胸が高鳴る。
「これだけ豊富だと求める品がありそうだ」
魔法屋に入店する前に魔法付与された商品が気になっていた。
この際に魔法付与されたマントを買ってしまおう。
暗黒竜の使い手が着そうなブラックマントに純白をイメージする聖騎士が着るホワイトマントと黒白が大半占めている。
うむむ、ここはマイナーなマントを選びたい。
白と黒の間のグレーにでもしよう。
「おやじ。 グレーの氷耐性のマントをくれ」
「……金コルト二枚だ」
「金コルト二枚ね。 どうぞ」
「……どうも」
奥さんに夜逃げされた旦那さんみたく暗いおやじさんだ。
客が来るまでずっと自分の靴を見詰めている。
関わることがあまりないからどうでもいいか。
「このマントはいいね。 新品の香りがたまらん」
買ったばかりのマントを首に巻き付けて全身を覆い被せ匂いを堪能する。
世界一のハンターになるため冒険する主人公になった気分だ。
うむ、マント最高。
「あー! やっと見つけたわサクマ!」
芳ばしいマントの匂いを嗅いでいると服装がチェンジしたトルカが出現した。
ボロボロだったマントはシワ一つもない白の新調品。
胸部を囲う黒のリストバントに短パンの墨が付いた服を着ていた。
へそが丸見えだし胸を強調するスタイルに感情が高ぶってしまう。
軽めの装備とは言ってたが肌を晒しすぎだろと内心叫んでいる。
「犯人は必ず同じ現場に二度戻るは合っていたみたいですわ。 トルカ私の勝ちですわ」
「うぅ……持ってけ泥棒!」
紐括りされた財布から金コルト十枚をリーネに渡している。
おい、賭け事を真っ昼間からするなよ。
無駄に賭け金額が高いし俺を競売に掛けないでくれよな……ほんとに。
「その様子だと買い物は済んだようだな?」
「ええ、そうですわ」
「いつでも行けるわよ」
「よし、お姫様が幽閉されたとこに乗り込む。 案内を頼むぞリーネ」
「お任せくださいですわ」
気を取り直してカルラが居る場所、霊谷の森に向かいだす。
住みたくない霊闢の大国からカルラを正しい居場所に戻す……待っていろよカルラ。
今から奪還しに霊谷の森に乗り込む。
内胸に情熱を燃やしお世話になった町から離れ静寂な森に突き進むのであった。




