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崩壊した異世界――レクシリア  作者: バル33
第三章:霊谷の森の姫

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その8


 誇らげに胸部を叩き『余裕ですわ』とアピールする。 胸がポヨンと揺れたシーンは脳内カメラで激写保存したのは黙っておく。

 デュアルの討伐クエストの貼り紙を剥がし受付口に差し出すとギョッとした目でスタッフが見詰めてきた。

 何度も頭を上下させ確認を繰り返したのち問い訪ねてきた。


「当ギルドの最高難易度の依頼ですがお間違えはないですか? あなた様は人間と見受けれますが……」

「ああ、間違いない。 デュアルの討伐を受けたい」

「……では、誓約書の手続きを開始します。 同意の上フルネームで記入してください」


 不満げながらもキッチリと営業スマイルでサインしろと促してくる。

 漢字では読めないだろうと判断し片仮名で書名し受付嬢に渡すと眉間にシワを寄せた。

 記入ミスでもあったかな?


「あのー、どこの言語か分かりませんが読みを教えて下さい」

「あっ……村崎沙久間です」

「ムラザキサクマさんですね。 はい、これで契約成立となります。 案内人はすでに出入り口に待っていますので逝ってらっしゃいませ」


 片仮名がこの世界で共通だの失念していた。

 他国ならもしくも世界ごと違うのだから読めなくて当たり前だ。

 レクシリアにやって来てから書物を手にしたこがない。

 勉強する道具がなくとも依頼内容を読めたのには驚きはしたが、魂の浸食が根深く張り付いている。

 言語が読めるのは助かるが楽観視は出来ない。


「お先に狩りにいくぞ。 ……あっと、そうだ。 リーネは牙を持ち帰ってくれよ」

「ふん、戦利品としてサクマにぶちまけてあげますわ。 ……くれぐれも無茶はしないでください」

「心配ありがとうな」


 リーネの頭部をポンポンポンと三回優しく叩き、わしゃわしゃと髪を撫で回しにする。

 頭を両手で抑えて赤面していたが、そのまま入り口に歩きお別れのグッバイと手の甲を見せる。

 なにか騒いでようだが知らんぷりで案内人に赴く。

 頭上から足の付け根までびっしり真っ黒の装束。 見るからに不審者と言わざるえない格好に会話をしたくない。

 付いてこいと首を傾け表に出ていく。


「人間を見下されているのは自然の摂理かね」

  

 失礼な態度をした相手のことは考えるのをやめた。

 目的の達成のため案内人と静かにデュアルの生息地へと向かうのであった。


          ●●●



 馬車で町から離れた数キロ先の洞穴の前に立っている。

 自然に出来た穴ではなく人工的に作られた空間。 奥底は光が届かなく中を確認できない。

 暗闇から突然襲ってきそうで少しばかり怖い。


「一時間経って戻って来ない場合は亡くなったと判断しますので。 では」


 案内の役目を終えたガイドは馬車小屋の中に入っていき休憩を取り出した。

 これから死闘をする者に心配などない様子。

 親しい間柄でもなく仕事で送っただけの相手だから当たり前か。


「この隙にと」


 草木が多い繁った地帯にはガイドの一人だけ。  創造能力を目撃する者は小屋の中だ。

 今の内に岩で構成された入り口を頂こう。

 ブロック化の音は皆無で気づきはしないので楽々手に入れた。

 材料は心許ないものの、用意された物質で役に立ちそうなのは岩盤しかない。

 事前に用意しとけばと後悔している。

 暗闇で足元が見えないため創造能力で岩を棒に変化させる。

 足元の岩を擦り付けながら歩んでいくと、下りになっていると分かる。

 それも階段。

 敵はそこそこ知能が発達してると理解した。

 棒からカツンカツンと音響を鳴らし降りていくと一筋の明かりが差し込む。

 光源の元まで辿り着くとバカでかい空間がそこに広がっていた。

 光の正体は火で灯された松明だった。 数十個はくだらない松明が岩盤に突き刺さっている。


「快適な暮らしをしてるモンスターだな」


 まるで秘密基地のようだ。

 規模は違えど小さき頃の記憶を呼び覚ます。

 親しみに浸っているとジャリジャリと何かを削る音が奥の暗闇から聞こえる。

 デュアルのお出ましか?


『グポポ……ニン……ゲン』

「言葉を喋れるのか!」


 俺の約二倍の身長三メートルのモンスター。

 紅蓮の毛で覆われた猿顔。

 目立つ切っ先が鋭い長爪。

 これがデュアル……ギルドが危険度最大と評価する決闘モンスターか。


『ニン……ゲンヨ。 ココカラ……タチサレ。 サモナクバ……ニクカイ……ニ……スル』

「生憎――立ち去るって選択肢はない。 どうしてもお前さんの素材が欲しいわけでね」


 挑発するよう言葉投げつけた。

 人語を理解した奴はもう逃がす気はない。

 生きては帰さないと気迫が脳に伝わってくる。

 倍以上の体型の奴に対抗する武器を造る。

 握っている棒をブロックに変えて創造を開始する。

 造り出したのは刀。

 岩で創造した日本刀だ。

 複雑な構造などはいらない。

 シンプルな武器で奴を打ち負かすと出発前から決めていた。



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