表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
崩壊した異世界――レクシリア  作者: バル33
第二章:監獄の天鬼

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/61

その7


「これがカルラちゃんの魂なんだ。 綺麗」

「ちゃん付けはやめてくれないかな? 多分、トルカより歳上だけど?」

「ああ、もう! 可愛いなぁ」

「あぅぅー………抱きしめないで」


 すでに上下関係が出来上がっているようだ。

 トルカが一番上で、カルラが一番下。 俺は中間のポジションだな。

 嫌がってるみたいだが気持ち良さそうな顔なので、ほんとは嬉しいのだろう。


「いちゃいちゃするのはいいんだけどさ、宿とかあるのか?」

「沢山あるよ。 冒険者や旅行する種族が拠点として立ち寄る町だからね」

「いちゃいちゃしてないからねサクマ!」

「なぬ? てことは……愛し合っていたの間違いだったか?」

「「どっちも違う!!」」


 みごとに意気投合し否定された。 

 してますと宣言してくれたら百合確定なので納得したのに残念だ。

 冗談はさておき、足を休めたいので宿に泊まりたい。

 町に詳しいカルラに訊ねることにする。


「肝心の宿屋に泊まりたい。 案内してくれよカルラ」

「同意見だね。 安い宿でもいいかな? 金銭的に厳しくてね」

「俺達の代わりに払って貰うんだ。 文句の一文字もないよ」

「…………意外。 君の前任者は絶対に嫌がってお風呂付きの宿しか泊まらない! ……て、駄々をこねて困ったものだったけどね」


 随分と贅沢をしたがる前任者だったようだ。

 おごってもらう身分で感謝もせず一品二品注文を付けるなんて、ずうずうしのにもほどがある。

 ……死者に対して悪口を叩いてもしょうがないか。


「苦労してるな。 ありがとうな俺達の為に払ってくれて」

「えへへーーここまで感謝されると照れるね。 ……前任者と真逆の性格で反応に困るよ」

「まあ、普通の性格ですから」


 ほんとに苦労していると感心する。 生計まで立てて前任者のワガママまで対応するカルラに感心した。

 会って間もない俺達に気づかいをしてくれる。 そしてタダで宿まで泊めてくれるときた。

 まさに母親のような身を包んでくれる優しい存在だ。 

 仲間として接しやすいけど……どうも利用されている感じがする。

 カルラなりの目的があって行動を共にしているように思える。

 裏があるとしても着いていくしかないのが現状だ。

 この異世界の知識が圧倒的に不足している今はカルラに協力する他はない。


「にしても――歩いても歩いても石レンガの道が続いているな。 どれだけ敷地があるのか」

「ん~と……君達が暮らしていた村のおおよそ百倍の規模かな」

「ひ、広すぎだわ」


 あまりの敷地の広さに圧巻するトルカの顔つきは無理もない。

 元々の村の広さは、公立の中学校または高校ほどの規模はあった。

 学校により広さは変わるけど基準の大きさはこれだ。


「見たことない材質の建造物が多数あるな。 コンクリートでもないし、金属系でもない。 なんなんだこれは?」


 色彩は白。 白だけど半透明の水晶に似ている。

 一見脆そうに思えるが叩いてみれば音がゴツゴツとして硬度がある。 かと言って石でも金属でもない不思議な物質に凝視しているところだ。


「ああ、君は初めて目にする物質だったね。 ナルカパキってバルネギカの結晶体なんだよ。 頑丈で軽くて色が綺麗と多くの種族に好まれる一品だよ」

「是非手に入れたい物質だな」

「お値段はかなり張るけどね。 私達じゃ買えない代物だよ」

「ちなみにお値段はいくらだ?」

「一キロで金コルト10枚」

「っっ、ななななんてぼったくりの値段なのよ!」


 レクシリアの通貨の価値を知らないので非常にビックリしているトルカの慌てっぷりがさっぱりだ。

 あの驚きようでは相当高価な一品なのだけはバカの僕でも分かる。


「価値がどれほどなのか教えてくれトルカ」

「サクマが集めてた金属が五キロで金コルト一枚なのよ。 人間が集めるには到底不可能な領域なの」

「想像以上にえげつないな」


 鉄が五十キロでやっと手に届くバルネギカの素材には(まぶた)がピクピクする。 こちらの世界では特徴が似ている物質と言えばステンレスだ。

 レクシリアでは鉄よりナルカパキの結晶体ほうがよほど価値があるらしい。

 鉄は役に立たない物質かもしれない。 鉄をはるかに凌ぐ物質が星の数ほど多いかもしれないからだ。

 バルネギカの結晶体……これから生き抜くには必須な物質かもしれない。


「さあさあお待ちかねの宿屋に着いたよ。 中に入るよ」

「おぉ………これはまた」


 なんとゆう孤立感がある建物だろうか。

 街を歩いて石系統の建物しかないのに対してここだけは違和感ばりばりの木造建築なのだ。

 街の風貌に逆らうごとく堂々とそびえ立つ木造の建物にすげぇーと小声で呟いた。

 率直ではイメージした宿屋と違って不意を突かれた感じだ。


「いらっしゃ――ふおぅ!?」


 扉を開けてカルラと目が合った店主が情けない声で尻餅をついた。

 産まれたばかりの小鹿のように立ち上がり震えている。

 カルラに恐れているようだ。 さては以前にとんでもないことをやらかしたなコヤツは……。


「なななんのご用でしょうか? あなた様が来られるような場所では……」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ