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崩壊した異世界――レクシリア  作者: バル33
第二章:監獄の天鬼

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その5


「ではでは行程を見せながら説明いたそう。 第一行程に物質をブロック化する為に手を(かざ)す」

「うん。 特に変わった様子ないね」

「通常じゃブロックにしてはい終わりなんだが、この段階で特定の物質だけをブロックにイメージすると――汚物がない綺麗な水だけを取り出せる」

「…………なるほどね」


 水色で濁りのないブロックを見せることでより安全だと知らせるのに成功だ。

 誤解がなくなったのはいいが少々カルラの答えるまでの()が胸に引っかかる。

 驚いた感じでもなく、呆気ない感じてもないから余計にだ。 まあ、気にしても仕方ないか。


「すっきりした……路線がずれたけど続きね。 君と初めてに会話した時に人間が滅び行く運命って言ったの覚えてる?」

「ああ、覚えてるよ」

「滅びる原因の一部があの漆黒の剣士と関わっているからなんだよね」

「……詳しく訊かせてくれ」


 罪のない村の人達を命を奪った奴となると落ち着いていられない。

 早く訊きたくて身体が痒い。


「アイツはレクシリアを渡り歩いて片っ端から人間を見つけては殺すの繰り返しなんだ。 人間が憎くて憎くて、生涯尽きるまで殺しをやめないだろうね」

「なんで人が標的なんだ? どうして憎んでる?」

「それはね……」


 どこか切ない顔で思い出すように重々しい口が動いた。


「――愛する人を目の前で人間に殺されたからだよ」


 低い声で放たれた言葉は悲しい過去の惨劇だった。

 愛する人を殺された憎しみが原動力で同種の人を殺害を繰り返す。

 でもそれは、やり場のない怒りを他者にぶつけてるだけだ。 間違っている。


「無害な人を皆殺しするのは……おかしい」

「そうだね。 だからこそ私は殺してでも元仲間を止める」

「……元仲間だって?」


 元仲間だったのは予想外だ。 異常なほど奴のことを物知りなのが納得する。


「実はね。 一年前までは仲間だったんだよアイツは。 愛する人を殺される前まではね」

「カルラは殺意とか沸かなかったのか?」

「当然あったし、現場に駆けつけたときは仲間を殺した張本人は死んでたし、アイツの姿はなかった」


 平然を装っているが目は正直だ。 瞳が潤んで泣きそうになっている。

 ……もらい泣きしそうだ。


「でもね。 私の仲間は微かに息がまだあったの。 もう助からない重症だった彼は最後の力を使って石碑を創造し、遺言に"魂を抜いて後継者を捜してくれ"と言い残してあの世を去ったの」

「…………」


 石碑を創造した。 後継者を捜してくれ。

 この二つのキーワードから導き出される答えは……ほぼ100%推測が当たっている。

 ――恐らくカルラの死んだ仲間の魂が……俺の中に眠っているだろう。


「その通りだよ。 君の中には彼の魂が入っている」

「……心を読む能力があったのか?」

「あはは、まさか! 君があまりにも神妙な顔してるから分かりやすいだけだよ」


 あれれ。 表情に出やすいタイプだったけ……。

 見知らぬ誰かの魂が入っていることが、気味が悪くて顔に出てしまったのかもしれない。


「ああ、そうそう。 霊闢(フローレ)は魂の移動は可能だけど能力の引き継ぎは不可能だからね。 偶然に私が特別(・ ・)だったの感謝してね」

「お、おう。 そ、そうか」


 反応しずらい。 こう自慢気にスゴいだろうアピールされても苦笑いになるだけで困る。

 当の本人が満足するならそれでいいが、とにかく困るのは変わりない。


「さてと、アイツを止めるには石碑の解読に君の協力は必要なんだけど………肝心の石碑の場所が不明なんだよね」

「託されてなかったのか?」

「え~と、その~…………石碑の在りかを知ってるのがもう一人の仲間なんだ」


 頬をなぞり、言いにくそうに喋るので石碑を紛失したとか、海賊に盗られたオチではないようだ。

 しかし、なにか事件がある予感がする。 フラグがビンビンに建っているぞ。


「会いに行くだけだよな?」

「う、うん……そうだけど。 会うのは困難かな」

「怒らないから申してみよ」

「……魔人(ドゥーラ)に捕まってるから」


 はい、来ましたよデッカイ救出作戦が。 救出なんてしたことないぞ。

 戦闘なんてバルネギカの妨害しか経験のない俺に助けることが出来るか不安だ。 気が重い。


「オーケー。 助けるのはいいが、捕まってる場所は?」

「歩いてる方向から後、10㎞先の町にあるよ」

「遠いな。 でも、人がいる町となると安心するよなトルカ?」

「………」

「トルカ……さん?」


 呼びかけにも反応せず、一定の速度で歩く機械仕掛けのようだ。

 よく見ると目に光が宿っておらず、外部からの声を遮断している。

 目の前に手をブンブンと振ってもぴくりとも動かない。 どうしてこうなった……。

 よし、試しに肩を叩いて目覚めるか実行する。

 ……トントン、と……トントン、と……。 表情一つも変えない。

 ふぅ、仕方ないな。 最終手段として胸をさわる(ボディータッチ)をやるしかない。

 許せ、トルカ。 やましい気持ちは……少しあるからな。



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