その4
そりゃ可愛い美少女にしか見えないから母性反応が擽るのだろうと説明しても理解できないので黙秘する。
序列四位の強さ誇る人物像とは違い幼女なので余計に好かれてるのもある。
こうして接してると人外とは思えない。 小さな子供だ。 見た目での話だけど。
「息切れしてる最中に申し訳ないが……さすがに種族のことは聞かせてほしい。 十五類の特徴と能力を」
「即決に嫌だね」
「めんどくさいだけの理由じゃ引き下がらないぞ?」
「話すのが疲れるからやだ」
ほうほうほう。 本音は疲れるからかで説明も面倒だとな。
ここで食い下がると思ったら大間違いだ。 徹底的に質問攻めして降参させてやる。
「なんで話をすると疲れるの?」
「そりゃ、顎が疲れるからだよ」
「えー、でも今話をしてるのになんで疲れないの?」
「別腹に似たやつかな? 意識して話さないからかもね」
ふむふむふむ。 ただの質問攻めでは陥落しないとな。
少し内容を変えて攻めてみるか。
「あれ、意識して会話するだけで顎が疲れるなんて上位種族の名が廃らない?」
「べ、別に上位種族だって顎が疲れることもあるよ」
うんうんうん。 効いてるぞ確実に。
上位種族についてチクチク攻撃していけば諦めそうだ。 怯まずガンガン行くぜ。
「それともカルラが特別に顎弱いのかな?」
「……っぅぅ。 そうかもね」
「普段何を食べてるの?」
「あっ、うん。 バナナとか」
「ぷふぅ。 ゴリ……だから弱くなるんだ」
「そろそろ限界だからやめてくれない?」
「トラミングをしたくて堪らないのか。 そーか、そーか」
「いっ……ぐぅ……」
おや、逆鱗に触れてしまったか?
仮にも序列四位の彼女なので顔面ボコボコフルコースを味わう危険性がある。 無事ではすまない。
うわあ、恐い恐い恐い! ギリギリ歯ぎしりしてるしヤバイ。
お願いだから怒りよ静まれー!
「もう分かったよ! 話せばいいんでしょ。 話せば」
はぁー良かったああああ! この歳で少女に殴られて顔の大きさがなんと二倍になりました! ……なんてお笑い番組でもあるまいし。
何事もなくて安心した。 ほんと安心した。
「じゃあ……最下位から順に言うね。 ――魔人、あらゆる物質の魔力を操るのが特徴で風とか水を自在にね。 焔、火炎を体内に生成して吐き出す事ができる。 小乱、身長は平均120センチの種族で、ずば抜けて第六感に優れている。 柑獣、通常では感じとれない自然エネルギーを読み取るが発達している。 迅変、姿形の原型はなく身体を変形できる能力。 剣華、剣技のみに特化した種族で能力は未知数。 反朸、力の方向を変える能力。 減岳、対象者に身体負荷を起こす種族。 鳳氷、力の分散と収縮を扱う能力。 紫麗、空間転移を得意とする種族。 硬欄、あらゆる物を硬くしたり脆くもできる。 霊闢、魂の移動を得意とする能力。 滅埆、羽翼、翼懺については能力どころか存在してるしか分からない種族だから、説明は終わり。 ………………ふぅ、口の中カラカラだよ」
生物の頂点に君臨する三種のが不明とは奇妙だ。 存在だけ確認されてるとなると他の生物の前には姿を出さない、あるいは架空の生物のどちらか。
とりあえず除外ってことで頭の隅に置いておく。
完全には満足していないけど、知りたい情報はあらかた得たので良しとする。
「ほれ、お疲れさま。 お礼の水」
「あ……優しいね君。 どこに水を隠し持ってたの?」
「足元のやつ」
迅雷のごとく高速で地面に放り投げ、カッと目を開き激怒だ。
カルラに優しくするなんてまずあり得ない……てことはなくて、感謝のお礼で水を差し入れた。
汚い物だと勘違いしてるようだが水だけをブロック化し、不純物をある程度除いた綺麗な水だ。
水道水より美味しい自信はある。
「まーあ、まーあ。 誤解してるだけだって。 ちゃんと理由がある」
「もしクソな理由だったら捻り殺すからね」
全身が凍てつくほどの悪寒駆け巡る。 なんつー殺気だよ。 これが上位種族の覇気ってやつかな………怖い怖い。




