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崩壊した異世界――レクシリア  作者: バル33
第二章:監獄の天鬼

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その3


 嘘のようにいつもの笑顔が似合う可愛いトルカ。

 殺気が丸出しのロボットだったのにまるで何事も無かったようだ。

 悪夢でも見てたのかな? 混乱してきたぞ。 (たず)ねてみるか。


「許してくれてるのか?」

「違うよサクマ。 私は最初(はな)から怒ってないよ。 "ある人"から殺気を出して怒ったら面白いよ……て教えてもらったから試してみたの」

「ははは。 たちが悪い演技だよ」


 迫真の演技で紛れもなく怒りに身を投じているかと騙されたぞ。

 バカっぽさはあるけど意外性なとこがトルカって感じだが、冗談はもうしないでほしい。

 それと――


「ある人って誰だ?」


 真顔でナイフのような鋭い眼差しにトルカの肩が少し跳ね上がった。

 重要なキーワードを逃すはずかない。

 崩壊した異世界レクシリアには来て十日も経っていないどころか素性を知る人物には一度も会っていないのだ。

 最長で人付き合いしてるのはトルカ以外いない。 それに素性について一切触れたことも、話したこともないのだ。

 経歴を知っている人物は元の世界の住人しかいない。 一体何物だ?


「紹介した方が早いよね。 ――カルラ出できてよ?」


 カルラ…………記憶にない人物名だ。 日本でも外人の友達なんていなかったぞ?

 やはりレクシリアの住人。 と、それはそれで不気味だ。

 念のため警戒はしておく。


「ハロー、お久しぶり。 何日ぶりかな?」

「あんたは……!?」


 さらさらの銀髪。 真っ赤な瞳。 どうみても幼女しか見えない白のフードを被った人物。

 異世界に連れてきたて張本人。


「――代表者(ふしんしゃ)か」

「なにそれっ! 酷いね君は!」


 地団駄を踏んで怒りを表現している。 子供でもしない怒り方だ。

 確かに素性を知っていても可笑しくない人物だ。 なぜなら神様だもんな。

 神様にしては幼稚だが気にしないでおこう。


「失礼しちゃうね。 命の恩人にその態度はイライラするよ」

「とは言われてもましても……。 世間一般では代表者の行動を不審者って呼びますしー」

「私にはカルラ=リ=ネルシエって名前があるの。 次、不審者って言ったらぶっ飛ばすかんね」


 上目で指を立たせて訴えている姿はなんだかほっこりする。

 死ぬ運命だった僕を救ってくれたのは感謝しきれないけど、今頃になって現れたのは謎だ。 てっきりレクシリアを復活はしてから呑気に登場すると考えていたが予想が外れた。


「カルラさん。 あなたの出番は当分先じゃないのか?」

「いやいや、そうでもないよ。 事情があってね」

「事情?」

「村を壊滅させた漆黒の剣を携えたアイツに遭遇したからね君」


 なぜ壊滅した事実を知っているんだ? 

 さては死臭で満ちた現場を傍観していたのか。 漆黒の剣を持つマントの相手と関わりあいがありそうだ。


「その漆黒の剣士がどう関係ある?」

「アイツを殺してくれたら褒美をあげるってことだよ。 それだけ」

「レクシリアの復活の報酬は嘘だってことか?」

「まあまあ、そう嫌悪しない。 話せば長くなるから歩きながらね」


 どうやら真相を話す気はあるようだ。 異世界に呼ばれた本当の理由、漆黒の剣士、カルラ=リ=ネルシエの存在。

 分かるとなれば落ち着いて話が聞ける。

 気になることがあれば質問攻めばかりしてしまう性根なので冷静ではいられない。

 それに上の空になってるトルカも疑問も解けるだろうし一石二鳥だ。


「君たちの知りたい情報を話す前にレクシリアの生態系から説明しないといけない。 一気に話すから(パンク)しないでね」

「覚えるのに自信あるから僕は問題ない」

「私はパンクするかも」


 勉強は苦手だと今日で実証済だし確実に破裂するな。

 介抱する手立ても用意しないと……。


「このレクシリアには奇跡を起こす魔力(ファイン)とゆうエネルギーが存在する。 魔力(ファイン)を自在に操る種族が十五種の種族に分類されてる」

「十五種……中二病の頃を思い出すなあ」

「なにか言った?」

「いいや、なにも」


 若返りし記憶に一度、「我は十五の種族を今、隔てをなくし一つにするものだ!」と中二発言したことがあったのだ。

 憎たらしい過去との混沌(カオス)で記憶から抹消したくてしょうがない。


「十五種類も話すの面倒だから飛ばすけど、君たちは種族は魔人(ドゥーラ)。 自慢じゃないけど私は霊闢(フローレ)って種族なんだよ」

「信じらんない! 序列四位の霊闢(フローレ)がこんなに愛くるしいなんて!」

「着眼点はそこなの?」


 カルラ的には崇めたたえるほど驚いてほしかったと思っているようだ。

 トルカは興奮ぎみで抱きついて匂いも嗅ぐ始末だ。 離せと言わんばかりに暴れているが体格の差もありほどける気配はなし。

 まるで人形扱いだな…………御愁傷様です。


「はふ、はふ、はふ………なんで毎度酷い目に遭わされるのかな……」

  

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